1. 数字は伸びているのに、電話は鳴らない
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「業者さんからのレポートで、アクセスが去年の3倍になりましたと言われまして。ありがたい話なんですが、うちの実感としては何も変わっていないんです。問い合わせも、去年と同じで月に1件か2件。3倍になったのは何なんでしょうか」
これは、ホームページの相談の中でもかなり多いご質問です。そして、原因はほとんどの場合、はっきりしています。
増えたアクセスが、買う気のない人だからです。
「増えた」の中身を見ないと、何も分からない
アクセス数という数字は、来た人の人数しか教えてくれません。その人が何のために来たのかは、アクセス数を見ても分かりません。ですから、3倍に増えたときにまず確かめるべきなのは、「増えたのは誰か」です。
私が現場で見てきた限り、増えた分の中身を見ずに「アクセスは増えているので、あとはデザインを直しましょう」という話に進んでいる会社が、本当に多いです。順番が逆になっています。先に、来ている人の中身を見るべきです。
この記事でお伝えすること
この記事では、アクセスが増えたのに問い合わせが増えないときに、どこを順番に見ればいいのかを書きます。専門的な分析の話ではなく、経営者ご自身が30分で確かめられる範囲の見方だけを扱います。
公開後まもない時期の切り分け全体は ホームページを作ったのに問い合わせが来ない ― 公開後90日でやること にまとめてあります。あわせてお読みいただくと、順番が整理しやすいはずです。
2. アクセスには、種類がある
大前提として、ホームページに来る人は1種類ではありません。ざっくり分けると、次のようになります。
- 依頼したくて来た人 ― 「地域名+業種」「〇〇 業者」「〇〇 見積もり」などで来る
- 調べものに来た人 ― 「〇〇とは」「〇〇 やり方」「〇〇 費用 相場」などで来る
- 就職・転職で来た人 ― 求人を見て会社を確認しに来る
- 同業者・営業 ― 競合調査や、営業リストを作るために見に来る
- たまたま来た人 ― SNSで流れてきた、広告が表示されたので押した
増えやすいのは、下のほう
ここが厄介なところです。増やしやすいアクセスと、問い合わせにつながるアクセスは、別物です。
「〇〇とは」のような調べもの向けの記事は、検索する人が多いので、書けばアクセスは伸びます。SNSに面白い投稿を出せば、一気に人が来ます。広告を出せば、その日から数字は動きます。どれもアクセス数は増えます。
一方で「地域名+業種」のような、依頼したい人が使う言葉は、そもそも検索する人数が少ないです。1日に数人、という規模のこともあります。数としては小さいけれど、問い合わせになるのはこちらです。
数が増えるほど、率は下がる
この構造から、当たり前のことが起こります。買う気のない人を増やすほど、問い合わせ率は下がります。分母だけが増えるからです。
つまり「アクセスが3倍になったのに問い合わせが増えない」という状態は、失敗というより、増やした場所が違っただけであることが多いのです。ここを理解しておくと、次に何をすべきかが見えてきます。
検索する人数はいちばん少ない。1日に数人ということもあります。それでも、問い合わせになるのはここです。
記事を書けば伸びます。今すぐ頼む人ではありませんが、比較の段階に入れば戻ってくることがあります。
いちばん短期間で数字が動きます。ただし依頼する気があって来たわけではないので、分母だけが増えます。
下に行くほど増やしやすく、下に行くほど問い合わせから遠くなります。「アクセスが3倍になったのに問い合わせが増えない」は、失敗ではなく、増えた場所が下だったというだけのことが多いです。
3. どの言葉で来ているかを見る
いちばん最初に見ていただきたいのが、検索の言葉です。Google Search Console という無料の道具で見られます。設置されていない場合は、制作会社に「サーチコンソールを入れてください」と伝えれば済みます。
依頼目的の言葉か、調べもの目的の言葉か
見るときは、言葉を2つに分けてください。
依頼目的の言葉の例
- 「神戸市北区 ホームページ制作」(地域名+業種)
- 「〇〇 修理 業者」
- 「〇〇 見積もり」
- 「〇〇 依頼」「〇〇 頼みたい」
- 会社名そのもの(指名検索)
調べもの目的の言葉の例
- 「〇〇とは」
- 「〇〇 やり方」「〇〇 自分で」
- 「〇〇 意味」「〇〇 違い」
- 「〇〇 無料」
「自分で」と「無料」は、特に効きます
とくに分かりやすい判別語が2つあります。「自分で」と「無料」です。この2語が入った検索で来ている人は、原則として依頼する気がありません。自分でやりたい人か、お金をかけたくない人だからです。
この言葉で1日100人来ていても、問い合わせは増えません。それは失敗ではなく、そういう人が来る言葉だというだけです。
会社名での検索が増えているかも見る
もう1つ見ていただきたいのが、会社名そのものでの検索、いわゆる指名検索です。ここが増えているなら、ホームページ以外の場所(チラシ、紹介、看板、営業)が効いていて、確認のためにサイトを見に来ているということです。この場合、アクセスの増加は良い兆候です。
指名検索で来た人は、すでに貴社を知っています。この人たちが問い合わせずに帰っているとすれば、原因はサイトの中身のほうにあります。ここは次のセクション以降で見ます。
4. どのページに来ているかを見る
次に見るのは、入口になっているページです。アクセス解析の「ランディングページ」や「上位ページ」といった項目で分かります。
ブログ記事に人が来ていませんか
よくあるのが、アクセスの大半をブログ記事が占めているという形です。数字としては立派ですが、記事を読みに来た人が、そのまま問い合わせをすることはほとんどありません。
これ自体は悪いことではありません。問題は、記事から先に行く道が用意されていないことです。記事を読み終えた人が次にどこへ行けばいいのか、示されていない。だから読み終わって、閉じます。
対策は単純で、記事の終わりに「関連するサービスのページ」への案内を置くことです。売り込みではなく、次に見る場所を示すだけで十分です。
サービスページに人が来ていない
逆のパターンもあります。トップページとブログには人が来ているのに、料金や事業内容を書いたページには誰も来ていないという形です。この場合、そもそも検討に入っている人が少ない、ということになります。
このときに見るべきは、トップページから各ページへの導線です。メニューの言葉が分かりにくい、料金ページが深い階層にある、といった理由で辿り着けていないことがあります。
求人ページばかり見られている
これも実際によくあります。求人ページのアクセスが全体の半分を占めていて、サービスのページはほとんど見られていない。この状態でアクセスが増えても、問い合わせは増えません。来ているのは、お客様ではなく求職者だからです。
これも悪いことではなく、採用としては成果です。ただ、問い合わせを増やしたいという目的とは、別のことが起きていると理解しておく必要があります。
5. 滞在時間と直帰を見ると、温度が分かる
言葉とページを見たら、次は来た人がどれくらい真剣だったかを見ます。
滞在時間
ページを開いてすぐ閉じているのか、しばらく読んでいるのか。目安としては、こう考えてください。
- 10秒未満 ― 開いた瞬間に「違う」と判断されている
- 30秒〜1分 ― 内容は見ているが、決め手がない
- 2分以上 ― 真剣に読んでいる。ここが増えているなら良い兆候
滞在時間が極端に短い人ばかり増えているなら、来ている人と、書いてある内容が合っていないということです。広告やSNSからの流入で、これがよく起こります。
直帰(1ページだけ見て帰る)
1ページだけ見て帰る割合が高いこと自体は、必ずしも悪くありません。地図と電話番号を見て、その場で電話をかけた人も直帰として数えられるからです。
見るべきは、入口ページごとの直帰です。
- ブログ記事の直帰が高い ― 想定の範囲です。次への案内を足します
- トップページの直帰が高い ― これは要注意です。何の会社か伝わっていない可能性があります
- 料金ページの直帰が高い ― 金額を見て判断されています。書き方を見直す価値があります
スマートフォンとパソコンで分けて見る
そして、必ず端末別で見てください。パソコンでは普通なのに、スマートフォンだけ滞在時間が極端に短い、という形はよくあります。この場合、原因は内容ではなく表示のほうにあります。詳しくは スマートフォンで見たときに、人が離れる7つのこと をご覧ください。
6. 母数が小さいと、率は必ず乱高下する
ここは、多くの会社で誤解が生まれている場所です。
1件で、率は倍になる
月のアクセスが300、問い合わせが1件だとします。このときの問い合わせ率は0.33%です。翌月、アクセスが同じ300で、問い合わせが2件になったとします。率は0.67%です。
率は倍になっていますが、実際に増えたのは1件です。
これが逆に振れると、「率が半分になった」という報告になります。中身は1件の増減です。母数が小さいうちは、率は運の要素で大きく動きます。ここに一喜一憂すると、判断を誤ります。
「率」ではなく「件数」で見る
ですから、私たちがおすすめしているのはこうです。
- 月のアクセスが1,000未満なら、件数だけを見る
- 率を見るなら、3ヶ月をまとめて見る
- 単月の率の上下では、何も判断しない
率という指標は、母数が十分にあるときに初めて意味を持ちます。中小企業のホームページでは、月のアクセスが数百というのはごく普通です。その規模で率を追いかけると、存在しない変化に反応することになります。
見るべき件数は、3つ
数えるなら、この3つを月ごとに並べてください。
- フォームからの問い合わせ件数
- 電話がかかってきた件数(サイトを見たかどうかを一言聞いておく)
- その中で、実際に商談や見積もりに進んだ件数
3つ目がいちばん大事です。問い合わせが10件あっても、全部が営業電話なら成果はゼロです。逆に、月2件でも2件とも契約になっているなら、その2件を安定させるほうが先です。
7. SNSと広告で数を入れたときに、いちばん起きやすい
アクセスが急に増えたとき、原因として多いのがこの2つです。
SNSからの流入
SNSで投稿が伸びると、その日だけアクセスが跳ねます。ただ、SNSから来る人はたまたま流れてきた人です。今まさに探していた人ではありません。
これは、SNSが悪いという話ではありません。役割が違うという話です。SNSは知ってもらう場所、検索は探している人が来る場所。役割を混ぜて期待すると、「バズったのに問い合わせが来ない」という結果になります。
広告からの流入
広告も同じです。予算を入れれば、その分だけ人は来ます。ただ、広告で問い合わせにつなげるには、どの言葉で出しているかが決定的に効きます。
- 「〇〇とは」に近い語で広告を出すと、調べもの目的の人が大量に来ます
- 「〇〇 業者 地域名」のような語なら数は少ないですが、依頼目的の人が来ます
広告のレポートで「クリック数が伸びました」と報告されたときは、どの言葉のクリックが伸びたのかを必ず聞いてください。ここを聞かずに数字だけを見ると、費用の使い道を見誤ります。
アクセス数は、いちばん見せやすい成果です
ここで、私たち制作会社側にとって都合の悪いことを書きます。
アクセス数は、報告する側にとっていちばん見せやすい数字です。棒グラフが右肩上がりになるので、資料としては見栄えがします。数字を増やすこと自体も、それほど難しくありません。調べもの向けの記事を数本書けば、アクセスは伸びます。
ですから、アクセス数の増加だけを報告してくる会社には、その先を聞いてください。「そのうち、依頼目的の言葉で来た人は何人ですか」「問い合わせは何件になりましたか」。ここに答えが返ってこないなら、伸びているのは成果ではなく、報告用の数字です。
私たち自身も月次でアクセス数はお出ししますが、それだけをお見せすることはしません。件数の話をしないレポートに、意味はないと考えています。
8. 雄喜晃の伴走:数字は、件数まで見て初めて意味を持ちます
私たち雄喜晃では、ホームページを公開したあと、アクセス数と問い合わせ件数を並べてお見せしています。増えたアクセスがどの言葉から来ているのか、そのうち依頼目的の言葉がどれだけあるのか。そこまで一緒に見ないと、次の打ち手が決まらないからです。
代表の木戸が、ヒアリングから制作、公開後の運用まで直接担当します。原稿も「ご用意ください」とは申し上げず、お話を伺ってこちらで書き起こします。文章の作り方については ホームページの原稿を、経営者が書かずに済ませる方法 にまとめてあります。
料金と条件
- 制作費は0円、月額8,800円(税別)からです。ライトプランは1ページのLP、スタンダードは月額13,800円で6ページ程度まで、それ以上の規模はグロースプランとしてご相談をいただく形です
- 最低契約期間は6ヶ月です。7ヶ月目以降はいつでも解約でき、違約金はいただきません
- 7〜35ヶ月目で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、ドメイン代などの必要経費をご負担いただくことを条件に、サイトをお渡しします
- 月5回までの修正更新、サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます
- 契約前に、貴社のサイトのサンプルを無料でお作りします。ご覧いただいてお断りいただいても、費用は一切かかりません
条件の全体像や、月額制がどこで費用を回収しているのかは 「制作費0円」のホームページは、どこで回収されているのか に、包み隠さず書いてあります。
私たちがやらないこと
はっきり書いておきます。予約システムや会員機能、決済を含む仕組みの開発は、私たちの範囲外です。ホームページと問い合わせフォーム、独自ドメインのメールアドレスの開設まではお引き受けしますが、そこから先が必要であれば、開発を得意とする会社にご相談いただくほうが確実です。
もう1つ。アクセスを増やすことを目的にした記事の量産も、私たちはお引き受けしていません。件数の請求としてはそのほうが分かりやすいのですが、調べもの目的の人が増えるだけで、問い合わせにはつながりにくいからです。分析や提案だけで終わらせず、件数が動く場所から順に直していく形をとっています。
「アクセスは増えたと言われているが、実感がない」という会社には、私たちは間違いなくお役に立てます。今のサイトのままで構いませんので、数字を一緒に見るところからで結構です。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台が拠点で、2025年10月の創業です。
9. まとめ:増えた分が誰なのかを、先に確かめる
アクセスが増えたのに問い合わせが増えないとき、確かめることは3つです。
- どの言葉で来ているか ―「自分で」「無料」「とは」が多いなら、依頼目的の人ではありません
- どのページに来ているか ― ブログや求人ばかりなら、増えているのはお客様ではありません
- 率ではなく件数で見る ― 月のアクセスが1,000未満なら、率は運で動きます
この3つを確かめれば、「増えた分が誰なのか」はほぼ分かります。分かってしまえば、次にやることも決まります。依頼目的の人が来ていないなら、来る言葉を増やす。来ているのに問い合わせがないなら、問い合わせフォームで、人はどこで手を止めるのか を見て、フォームの項目を減らす。原因の場所によって、打ち手はまったく変わります。
そして、いちばん申し上げたいのはこれです。アクセス数は、目的ではありません。目的は問い合わせの件数で、その先にある受注です。数字が伸びていることを喜ぶ前に、その数字が何の数字なのかを確かめてください。
まずは今日、直近3ヶ月の問い合わせ件数を、紙に3つ並べて書いてみてください。率ではなく、件数です。それだけで、アクセスのレポートとは違う景色が見えることがあります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。増えた分が誰なのかを一緒に見るところから、ご一緒します。