1. 「LINEでも受けたほうがいいですか」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「お客さんから『LINEやってないんですか』と聞かれるんです。電話とメールで受けてきたけど、LINEも始めたほうがいいのかなと。ただ、始めたら夜も休みも返さないといけない気がして」
LINEは、多くの人が毎日開いている連絡の手段です。電話ほど構えず、メールほど改まらずに送れます。入口としては、とても軽い。だからこそ、受ける側の決めごとが無いまま始めると、あとで困ります。
入口をメールだけにしている会社が何を取りこぼしているか、LINEで受けるときの基本の注意は 問い合わせを「メールだけ」にしている会社が、取りこぼしているもの に書きました。この記事では、その先の話をします。LINEで受けると決めたあと、ホームページとどうつなぎ、社内でどう回すかです。
なお、LINEの事業者向けアカウントの料金プランや、機能の細かい仕様はこの記事では書きません。変わることがあるので、始める前に公式の案内を確認してください。
この記事で書くこと
- LINEが向く業種と、向かない業種
- サイトのどこに、LINEの入口を置くか
- 友だち追加のあと、最初に何を送るか
- 営業時間外の返し方と、担当者が複数いるときの受け方
- やりとりの記録の残し方
- フォームや電話と並べるときの、役割の分け方
2. LINEが向く業種と、向かない業種
LINEで受けるかどうかは、流行りで決めないほうが安全です。貴社のお客様が、どんな用件を、どんな気持ちで送ってくるかで決めます。
たとえば修理、不用品の回収、住まいの小さな工事、美容、教室など。「これ、直せますか」と写真1枚で聞ける気軽さが、そのまま問い合わせの増え方につながりやすい商売です。
たとえば飲食の貸切の相談、来店型のお店など。日程の調整には向きますが、予約の確定をLINEの中だけで済ませると、ほかの予約と食い違うことがあります。正をどこに置くかを先に決めます。
たとえば会社同士の取引が中心の製造業や、人に見られたくない事情を扱う相談。相手の会社が業務でLINEを使っていないことも多く、記録や書類のやりとりにも向きません。
分かれ目は業種の名前より、お客様が個人か会社か、用件が軽いか重いかです。同じ業種でも、個人向けと法人向けの両方をやっているなら、個人向けの入口にだけLINEを置く、という分け方もできます。
3つの質問で決める
迷ったら、次の3つを考えてください。
- お客様は、仕事の連絡にLINEを使う人か ― 個人のお客様が中心なら、たいてい使います。会社の担当者が相手なら、使わないことも多いです
- 写真や短い文で、用件が伝わるか ― 伝わるなら、LINEの強みが生きます。長い説明や書類が要るなら、フォームやメールのほうが向きます
- 返す人と時間を、決められるか ― 決められないなら、始めるのは待ったほうが安全です
3つ目がいちばん大事です。LINEは、送った側が早い返事を期待しやすい手段です。返せないまま置いておくと、電話に出ないより悪い印象になることがあります。
扱う内容によっては、決まりを確かめる
医療、法律、お金に関わる相談のように、扱う情報に業種ごとの決まりがある場合は注意が要ります。どこまでLINEで扱ってよいか、本人の確認をどうするかは、業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。
3. 始める前に、社内で決める3つ
LINEは、担当者の個人のアカウントではなく、会社として作る事業者向けのアカウントで受けてください。個人のアカウントで受けると、その人が辞めたときに、やりとりが履歴ごと会社から消えます。
そのうえで、始める前に3つだけ決めます。
- 誰が見るか ― 通知を受ける人と、その人が休んだときの代わりの人
- いつ返すか ― 営業時間内なら何時間以内か。時間外はどうするか
- LINEで扱わないこと ― 正式な見積もり、契約、支払いの話など
3つ目を決めておくと、受けた人が迷いません。「見積もりの金額は、LINEでは幅までにして、正式なものはメールで送る」のように線を引きます。問い合わせが増えたあとの社内の決めごと全体は、問い合わせが増えたあと、社内で何を決めておくか にまとめてあります。
4. サイトのどこに、LINEの入口を置くか
アカウントを作っても、サイトのどこにも入口が無ければ、友だち追加はされません。逆に、どのページにも大きく置くと、ほかの入口が見えなくなります。置く場所は、LINEが役に立つ場面のすぐそばに絞ります。
スマートフォンの、画面下の固定ボタン
スマートフォンで見ている人には、画面の下に固定したボタンがいちばん届きます。ここに置くのは2つまでにしてください。電話とLINE、あるいはフォームとLINEです。3つ以上並べると、指で押しにくくなり、どれも小さくなります。
ボタンの言葉は「友だち追加」より、押したあと何ができるかが分かる言葉にします。たとえば「LINEで写真を送って相談」。何ができるかが分かると、押す理由になります。ボタンの言葉と並べ方は 「お問い合わせはこちら」のボタンを、何と書き、どこに置くか に書きました。
問い合わせのページで、使い分けを書く
問い合わせのページには、入口を並べて、それぞれ何に向いているかを一文ずつ添えます。
- 「お急ぎの方は、お電話で」
- 「写真を見ながら相談したい方は、LINEで」
- 「正式なお見積もりのご依頼は、フォームから」
こう書いておくと、お客様が自分で選べます。そして、急ぎの用件がLINEに来て、気づくのが翌日になるという事故を防げます。
写真が役に立つページ
修理、回収、工事のように、写真があると話が早い商売なら、サービスのページの中にも入口を置きます。「壊れたところの写真を送っていただければ、だいたいの金額をお伝えします」。この一文とボタンが、そのページを読んだ人の背中を押します。
パソコンで見ている人には、QRコードで
パソコンで見ている人は、そのままでは友だち追加ができません。QRコードを置いて、スマートフォンで読み取ってもらいます。QRコードの下に「スマートフォンで読み取ると、LINEの友だち追加の画面が開きます」と書き、アカウントのIDも文字で添えておくと、読み取れない人も探せます。
チラシや名刺のQRコードをどこに飛ばすかは 名刺・チラシ・看板のQRコードは、どのページに飛ばすか にまとめました。LINEに直接飛ばすか、サイトの問い合わせのページに飛ばすかも、そこで考え方を書いています。
置かないほうがいい場所
逆に、置かないほうがいい場所もあります。
- トップページの最初の画面の真ん中 ― 何の会社かが伝わる前にLINEのボタンが目に入ると、読む人は判断の材料を持たないまま迷います
- 用件が違うページ ― 採用のページや会社概要に置くと、応募や取引の連絡までLINEに混ざります
- 本文の途中に、何度も ― 同じボタンが続くと、広告のように見えて読む気がそがれます
入口は、多ければいいわけではありません。置いた場所ごとに、そこから来る用件を想像できるかで決めてください。
5. 友だち追加のあと、最初に何を送るか
友だち追加をした人は、まだ何も送っていません。ここで最初に届くメッセージが、「何を送ればいいか」を決めることになります。多くの事業者向けアカウントには、友だち追加のときに自動でメッセージを送る機能があります。ここに書く内容を決めておきます。
書くのは、4つだけ
- お礼と、何の会社か ― 1行で足ります
- LINEで何ができるか ― 相談、写真での概算、日程の調整など
- 返事をする時間 ― 「平日9時〜18時にお返事します」
- 最初に送ってほしいこと ― 地域、内容、写真があれば写真
長く書くと読まれません。スマートフォンの画面1つに収まる長さが目安です。
「友だち追加ありがとうございます。〇〇市で住まいの修理をしている〇〇です。気になるところの写真と、お住まいの市区町村を送っていただければ、だいたいの金額をお伝えします。お返事は平日9時〜18時です。お急ぎの方はお電話でどうぞ。」(文面は架空の例です)
最初のメッセージで、やらないこと
最初のメッセージで、割引やクーポンを大きく打ち出したくなるかもしれません。ただ、相談したくて追加した人に、いきなり売り込みが届くと、送りにくくなります。最初は、相談の受け方だけにしておきます。
友だちになった人全員に送る一斉の配信も、送りすぎるとブロックされやすくなります。配信するなら、季節の案内や休業のお知らせなど、受け取る人の役に立つものに絞ってください。
個人情報の扱いに、一言触れる
LINEで写真や住所を受けると、個人情報を預かることになります。サイトのプライバシーポリシーに、LINEで受け取った情報の扱いも含めておき、最初のメッセージからリンクしておくと安心です。書き方は業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。
6. 営業時間外と、担当者が複数いるとき
営業時間外は、自動の返事で受ける
LINEは、夜や休日にも送られてきます。そのたびに返す必要はありません。ただ、何も返らないと、届いたのか、見てもらえるのかが分かりません。
営業時間外に送られてきたら、自動で返事が出るようにしておきます。
「メッセージありがとうございます。ただいま営業時間外です。翌営業日の午前中にお返事します。お急ぎの場合は、〇〇までお電話ください。」(文面は架空の例です)
書くのは、いつ返すかと、急ぎのときの逃げ道の2つです。自動の返事で「すぐ返します」と書いてしまうと、守れなかったときに信用を落とします。
もう1つ、夜や休日の通知を、担当者の個人のスマートフォンで鳴らし続けないようにしてください。時間外に返し始めると、それが当たり前だと受け取られます。返す時間を決めたら、決めた時間の中で返すほうが長く続きます。返す速さの目安は 問い合わせが来たあと、何時間以内に返すべきか にまとめました。
すぐに答えられない質問が来たら
LINEは、読んだことが相手に伝わりやすい手段です。読んだのに返事が無いと、見たのに放っておかれたと受け取られます。
その場で答えられない質問なら、まず一次返信だけ送ります。「確認して、明日の午前中までにお返事します」。答えの中身より先に、いつ返すかを伝えるだけで、相手は待てます。
担当者が複数いるときは、「誰が返すか」を見える形に
事業者向けのアカウントは、多くの場合、複数の人で同じやりとりを見られます。便利な反面、2人が同時に返す、全員が誰かが返すと思って誰も返さない、ということが起きます。
防ぎ方は3つです。
- 最初に返す人を決める ― 曜日ごとの当番でも、最初に見た人でも構いません。決め方を1つにします
- 対応中の印をつける ― 印やメモをつける機能があれば使い、無ければ表計算に1行書く
- 返信の頭に名前を書く ― 「担当の〇〇です」と書くと、お客様も次に誰とやりとりするか分かります
人が辞めたり担当が替わったりしたときは、その人の管理の権限を外すことも忘れないでください。機能の名前や権限の細かい設定は変わることがあるので、公式の案内で確かめてください。
7. 記録の残し方と、フォーム・電話との役割分け
LINEの中だけに、記録を置かない
LINEのやりとりは、流れていきます。あとから「あのお客様と、何を約束したか」を探すのは大変です。案件になりそうなやりとりは、LINEの外に記録を残してください。
難しい仕組みは要りません。表計算1枚で足ります。日付、お名前、用件、どの入口から来たか、次にやること。電話やフォームで来た問い合わせと同じ表に書くと、入口ごとの件数も見えてきます。
送ってもらった写真は、見積もりに使うなら、会社の決まったフォルダに保存しておきます。トークの中の画像がいつまで見られるかは仕様によるので、残すものは自分で残すと考えておくと確かです。
正式なことは、メールか書面で
見積もりの金額、作業の日程、キャンセルの条件。あとで食い違うと困ることは、LINEで話がまとまっても、メールか書面で送り直します。「LINEでお話した内容を、念のためメールでもお送りします」と一言添えれば、相手も嫌がりません。
LINEから、フォームや電話に移ってもらう
LINEで話が具体的になってきたら、正式な依頼はフォームや電話に移ってもらいます。そのときは、移ってもらう理由を一言添えます。
「正確なお見積もりのために、こちらのフォームから場所と大きさを送っていただけますか。写真はこのままLINEで大丈夫です」(文面は架空の例です)
理由が分かれば、手間をかけさせられたとは感じません。全部をLINEで済ませようとしないことが、記録を散らかさないいちばんの近道です。
入口ごとに、役割を分ける
LINEを足すと、電話、フォーム、LINEと入口が増えます。全部を同じように扱うと、受ける側が回りません。入口ごとに、受ける用件を分けてサイトに書いておきます。
| 入口 | 向いている用件 | 返す目安の書き方 | 記録の残し方 |
|---|---|---|---|
| 電話 | 今日・明日の急ぎ、話しながら決めたいこと | たとえば「受付は平日9時〜18時。出られないときは当日中に折り返します」 | 受けた人が、その日のうちに表に書く |
| フォーム | 正式な見積もりの依頼、会社としてのご相談、長い説明 | たとえば「翌営業日までにメールでご連絡します」 | 届いたメールがそのまま記録になる。表には要点を1行 |
| LINE | 写真での気軽な相談、日程の調整、ちょっとした質問 | たとえば「平日9時〜18時にお返事します。時間外は翌営業日に」 | 流れていくので、案件になったら表に移す。正式なことはメールで送り直す |
役割を分けたら、問い合わせのページに、入口ごとの一文を書いておくのがいちばん効きます。お客様が自分で選んでくれるので、急ぎの用件がLINEに埋もれることが減ります。
電話の役割を、弱めない
LINEを始めると、電話の扱いが軽くなる会社があります。けれど、急ぎの用件や、文字で説明するのが苦手な人は、いまも電話を選びます。LINEは電話の代わりではなく、電話の手前の入口と考えてください。電話の受け方の見直しは 「ホームページから電話が鳴らない」を、電話の側から直す にまとめました。
8. 雄喜晃の伴走:LINEの入口を、受けられる形でサイトにつなぎます
私たちがやること
私たち雄喜晃は、LINEの入口をサイトにつなぐとき、貴社が受けられる形から逆算して置き場所を決めます。誰が見て、何時までに返せて、何をLINEで扱わないか。そこを伺ってから、スマートフォンの固定ボタン、問い合わせのページの使い分けの一文、パソコン向けのQRコードを配置します。友だち追加のあとの最初のメッセージや、営業時間外の自動の返事の文面も、一緒に考えます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、受付時間や入口の役割を変えたときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
LINEでのお客様への返信を、私たちが代わりに行うことはしません。お客様とのやりとりは、貴社の仕事の中心だからです。また、友だちの数を増やすことだけを目的にした配信の計画や、特典と引き換えに友だち追加を集めるようなやり方もお勧めしません。問い合わせの件数や検索の順位をお約束することもいたしません。
「LINEで受けたいけれど、始めたら回らなくなりそうで迷っている」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
9. まとめ:LINEは、受ける側の決めごとから始める
LINEで問い合わせを受けるときに押さえることは、5つです。
- 向くかどうかは、お客様と用件で決める ― 個人のお客様が、写真や短い質問で相談してくる商売に向きます
- 入口は、役に立つ場面のそばに置く ― スマートフォンの固定ボタン、問い合わせのページ、写真が役立つページ。パソコンにはQRコード
- 最初のメッセージは、相談の受け方だけ ― 何ができるか、いつ返すか、何を送ってほしいか
- 時間外と担当者の重なりを、先に決める ― 自動の返事で受け、誰が返すかを見える形にする
- 記録はLINEの外に、正式なことはメールで ― 電話・フォーム・LINEの役割をサイトに書いておく
LINEは入口として軽い分、始めるのも簡単です。難しいのは始めることではなく、続けて受けることです。
今日できることを1つだけ挙げます。LINEで来たら誰が見て、何時までに返すかを、紙に1行書いてみてください。その1行が書けたら、サイトに入口を置く準備ができています。