1. 「サイトはあるんですけど、商談では使っていなくて」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページは作ったんですよ。実績もそれなりに載せて。でも営業の場では、結局いつもの会社案内を出して口で説明しています。せっかく作ったのに、お客様の前で開いたことはほとんど無いですね」
この話は、業種を問わず伺います。そして、サイトの出来が悪いから使われていないとは限りません。お客様の前で、どのページを、どの順番で開くかが決まっていないだけ、ということがよくあります。
社員がサイトを見ていない問題は、ホームページを作ったのに、社内で誰も見ていない にまとめました。そちらは社内の流通の話です。この記事は、その一歩先の話になります。お客様の目の前で、サイトをどう見せ、商談のあとに何を送るかに絞って書きます。
この記事で書くこと
- 商談でサイトを開くと、何が変わるか
- 商談中に見せるページを、3つに絞る
- スマートフォンやタブレットで見せるときの段取り
- 商談のあとに「このページを見てください」と送る方法
- 名刺交換のあとのお礼メールに、どのページを入れるか
- よく聞かれることを先にページにしておくこと、そして紙の会社案内との使い分け
2. 商談でサイトを開くと、何が変わるか
先に、なぜ商談でサイトを開くとよいのかを書いておきます。理由が分かっていないと、開く場面を作っても続きません。
口で話したことが、相手の手元に残る形になる
商談で話した内容は、相手の頭の中にしか残りません。会社に戻って、上司や家族に説明しようとしたとき、細かいところは思い出せないものです。
ところが、商談の途中で開いたページは、あとから相手が自分で開き直せます。「さっき見せてもらった、あのページ」と探せば出てきます。話した内容と、画面で見た内容が同じであれば、相手は思い出しながら読み返せます。
相手が社内で説明するときの材料を、先に見せておける
法人のお客様の場合、目の前の担当者が決める人とは限りません。担当者は、商談のあとで社内の誰かに説明します。そのとき使われるのは、たいてい貴社のサイトです。「この会社です」とURLを回して、見てもらう形になります。
商談の場で同じページを一緒に見ておけば、担当者は社内で説明しやすくなります。どこに何が書いてあるか、もう知っているからです。紹介で来られた方が、社名で検索して確かめる流れも同じで、紹介で仕事が来る会社の、ホームページ に書いたとおり、確かめられる場所があることが最後のひと押しになります。
紙には無い「今」を見せられる
会社案内は、刷った時点で止まります。サイトは、先月終わった仕事も載せられます。「最近ですと、こういう案件がありました」と、新しい実績をその場で開けるのは、サイトならではです。
ただし、実績が何年も前で止まっているなら、開いた瞬間に古さが伝わります。商談で使うと決めると、更新する理由もはっきりします。
3. 商談中に見せるページは、3つに絞る
商談でサイトを開くとき、いちばん多い失敗はトップページから順に見せることです。相手は、会社の全体像を聞きに来ているとは限りません。見せるページは、3つに絞ってください。
① 相手に近い実績
まず開くのは、実績のページです。ただし、新しい順に並んだ一覧をそのまま見せるのではありません。相手と業種や規模が近いものを、1件か2件選んで開きます。
「同じような規模の会社さんで、こういうご依頼がありました」と話しながら見せると、相手は自分の場合に置き換えて考えられます。似た実績が無い場合は、困りごとが近いものを選んでください。
② 料金と条件
次に開くのは、料金と条件のページです。金額を口で言うより、画面で見せるほうが、相手は落ち着いて聞けます。書いてあることは誰にでも同じだと分かるので、駆け引きをしている感じが薄れます。
料金をサイトに載せていない場合は、ここで口頭の説明になります。商談で毎回同じ金額の説明をしているなら、それはサイトに載せられる情報かもしれません。この機会に一度考えてみてください。
③ 進め方とよくある質問
最後は、依頼してから納品や完了までの流れと、よくある質問です。相手が気にしているのは、金額の次に「頼んだら、このあと何が起きるか」です。
期間の目安、こちらで用意するもの、途中で確認するタイミング。これが1ページにまとまっていれば、口で順に説明するより早く伝わります。
ここではまだ画面を開きません。相手の業種、規模、何に困っているかを聞きます。この話が、次に開く実績を選ぶ材料になります。
たとえば「従業員20名ほどの製造業で、外壁の塗り替えをした例です」のように、相手と近い1件を選んで見せます。
口で金額を言う前に、画面を見せます。高くなる条件と安くなる条件が書いてあれば、相手の場合がどちらに寄るかを一緒に確かめられます。
依頼から完了までの流れと、よくある質問を開きます。期間の目安と、相手に用意してもらうものを確かめます。
「今日お見せしたページは、このあとメールでお送りします」と伝えます。相手は、画面を写真に撮ったりメモを取ったりしなくて済みます。
流れは業種によって変わります。大事なのは、話の段階ごとに開くページを1つ決めておくことです。決まっていれば、営業担当が誰でも同じ順番で見せられます。
4. スマートフォンやタブレットで見せるときの段取り
見せるページが決まったら、次は実際に開くときの段取りです。ここで手間取ると、相手を待たせることになります。
開くまでに、迷わないようにしておく
商談の場で、検索して自社のサイトを探すのは避けてください。検索結果が出るまで待たせますし、広告や他社の名前が先に出ることもあります。
- よく見せるページを、ブックマークに入れておく ― 実績、料金、進め方の3つ
- ホーム画面にアイコンとして置いておく ― 1回押せば開ける状態にする
- 商談の前に、一度開いておく ― 開いたままにしておけば、すぐ見せられます
社用のスマートフォンやタブレットを使っている会社なら、この設定を全員の端末で揃えておくと楽になります。
画面を相手に向けるか、渡すか
スマートフォンの画面は小さいので、向かい合って見せると相手には読みにくいことがあります。文字を読んでほしいページは、端末ごと相手に渡してください。相手は自分の速さでスクロールできます。
タブレットなら、机の上に置いて二人で見る形が向いています。縦向きと横向きのどちらが見やすいかは、商談の前に自分で確かめておきます。
電波が弱い場所に備える
工場の中、地下の打ち合わせ室、山あいの現場。電波が弱い場所では、ページが開くまでに時間がかかります。商談の場所が分かっているなら、到着前に見せるページを開いておいてください。
よく見せるページの画面を保存しておく手もあります。ただし、料金を改定したあとは保存し直してください。
見せる前に、画面を片付けておく
意外と見落とされるのがここです。商談中に、別のお客様からのメッセージの通知が画面に出る。開いたままの別のタブに、他社の見積もりが映っている。相手の前で画面を開くときは、通知を切り、関係のないタブを閉じておいてください。
オンラインの商談で画面を共有するときも同じです。共有するのはブラウザのタブ1つにして、文字は少し大きめに拡大しておくと、相手の画面でも読めます。
見せにくいページは、商談の場で見つかる
実際に商談で開くと、「このページは見せにくい」と感じる場面が出てきます。写真が小さい、肝心の金額が下のほうにある、実績が業種で探せない。それは、サイトの直すべきところです。気づいたら、その場で1行メモしておいてください。社内でまとめて直すときの材料になります。
5. 商談のあとに「このページを見てください」と送る
商談が終わったら、その日のうちにメールを送ります。ここで送るURLが、商談の内容を相手の手元に残します。
送るのは、話題に出たページ
送るのは、トップページではありません。商談の中で開いたページ、話題に出たページです。トップページを送ると、相手はそこから探し直すことになります。
商談前にURLを送っておく段取りは、ホームページを作ったのに、社内で誰も見ていない で書いた手順のとおりです。商談のあとに送るものは、それとは役割が違います。前に送るのは「会社を知ってもらうため」、あとに送るのは「話したことを確かめ直してもらうため」です。
本数は1本か2本、何のページかを一言添える
URLを5本も6本も並べると、相手はどれを開けばいいか分からなくなります。1本か2本に絞り、それぞれ何のページかを一言添えてください。
「本日はお時間をいただき、ありがとうございました。お話の中でご覧いただいた、同じ規模の工場での施工例はこちらです(URL)。費用が上がる条件は、こちらのページの中ほどにまとめております(URL)」
長いページなら、見てほしい見出しの名前を添えると、相手は迷いません。
転送される前提で書く
商談のあとのメールは、相手の社内で転送されることがあります。転送された先の人は、商談の場にいません。メールだけを読んでも、何の会社の、何の話か分かるように書いてください。
社名、何の相談だったか、送ったページが何を説明しているか。この3つを本文に入れておきます。
送ったURLが、どう見えるかを確かめる
URLをメールやLINEで送ると、相手の画面には画像と見出しが出ることがあります。何も設定していないと、灰色の四角とURLだけが出たり、関係のない文字が出たりします。一度、自分宛てに送って、相手の画面でどう見えるかを確かめてください。整え方は LINEやSNSでURLを送ったときの「見え方」を整える にまとめてあります。
6. 名刺交換のあと、お礼メールにどのページを入れるか
商談ほど深く話していなくても、名刺を交換した相手にはお礼のメールを送ることがあります。ここに入れるページも、場面によって変えたほうが伝わります。
会社概要より、話した中身のページ
お礼メールに会社概要のページを入れる方は多いと思います。悪いことではありませんが、相手が知りたいのは、会社の住所や設立年より、話した中身の続きであることがほとんどです。
立ち話で「こういう工事もやっています」と話したなら、その工事の実績のページ。「料金は月額制で」と話したなら、料金のページ。名刺の裏に、何の話をしたかを一言メモしておくと、お礼メールで送るページを選べます。
| 名刺を交換した場面 | 入れるページの例 | そのページにする理由 |
|---|---|---|
| 交流会で、短く立ち話をした | たとえば、話題に出たサービスのページを1本 | 相手は多くの名刺を持ち帰っています。何の話をした人かを思い出してもらうのが先です |
| 紹介で会い、すでに相談の中身を聞いた | たとえば、相談に近い実績のページと、料金のページ | 相手はすでに検討の段階です。判断に使う材料を渡します |
| 展示会のブースで製品を見てもらった | たとえば、ブースで見せた製品のページ | トップページだと、相手は製品を探し直すことになります |
| 取引先の担当者が代わり、挨拶に伺った | たとえば、会社概要と、取引の流れが分かるページ | 新しい担当者は、貴社のことを一から知りたい段階です |
| 採用の場で、学生や求職者と会った | たとえば、採用情報と、仕事の中身が分かるページ | 知りたいのは事業の全体より、入ったら何をするかです |
会社概要が合うのは、相手が貴社のことを一から知りたい場面に限られます。多くの場合、入れるべきなのは「話した中身の続き」のページです。名刺の裏に一言メモしておくと、選ぶときに迷いません。
展示会のあとは、製品のページを
展示会や商談会のあとのお礼メールは、送る相手が多くなります。それでも、ブースで話した製品のページを1本入れるだけで、相手の記憶との結びつきが変わります。会期の前後にサイトで用意しておくことは、展示会・商談会に出る前と後に、ホームページでやること に詳しく書きました。
署名のURLとは、別に考える
メールの署名には、会社のURLが入っていると思います。ただ、署名のURLは毎回同じものです。お礼メールでは、署名とは別に、本文の中にその相手のためのページを1本入れてください。署名は名刺の代わり、本文のURLは話の続き、という分け方です。
7. よく聞かれることを先にページにし、どこに何があるかを社内で揃える
商談で見せる、商談のあとに送る。この2つを続けていると、足りないページが見えてきます。最後に、その埋め方と、社内の準備について書きます。
営業でよく聞かれることを、先にページにしておく
商談で聞かれることは、ある程度決まっています。費用の目安、期間、対応できる地域、途中で内容を変えられるか、支払いの方法。毎回口で答えている質問は、ページにしておく価値があります。
やり方は簡単です。営業担当に、1ヶ月だけ、商談で聞かれたことをメモしてもらいます。何度も出てくる質問から順に、答えをページにします。答えのページがあれば、商談の場で開けますし、あとから送ることもできます。
実績は、商談で開ける形に書いておく
商談で実績を見せようとして、困ることがあります。写真は並んでいるのに、業種も規模も書いていない。どんな困りごとだったかも分からない。これでは、相手に近い1件を選べません。
実績の1件ごとに、業種、規模、困りごと、やったこと、期間を書いておくと、商談で選んで開けるようになります。書き方の型は 実績ページに何を書くと、次の依頼につながるか にまとめました。
社員が、どのページに何があるか知らない
営業担当が複数いる会社で、よく起きることがあります。社長はどのページに何があるか知っているのに、営業担当は知らない。だから、商談でお客様に聞かれても、そのページを開けません。
手当ては、社内で一度、商談の練習をしてみることです。1人がお客様役になり、「同じ業種の実績はありますか」「費用はどれくらいですか」と聞きます。営業役は、その場で該当するページを開いて見せます。
- 開くまでに迷ったページは、ブックマークに足す
- 開いたけれど見せにくかったページは、直すメモに書く
- 聞かれたのに開けるページが無かったら、作るページの候補にする
練習で見つかった不足は、本番で見つかるより損が少ないです。新しく入った営業担当にも、同じ練習をしてもらってください。
紙の会社案内との使い分け
紙の会社案内が要らなくなるわけではありません。紙は、商談の場で手渡して、相手の机に残るものです。サイトは、あとから開き直せて、新しい情報まで見られるものです。
使い分けるなら、会社の全体像は紙で手渡し、実績や料金のように変わる情報はサイトで見せる、という形が収まりやすいと思います。紙とサイトで書いてあることが食い違わないようにしておくことも大事です。役割の分け方は 会社案内・チラシとホームページの、役割分担 に書きました。
8. 雄喜晃の伴走:商談で開けるページを、一緒に用意します
私たち雄喜晃のホームページ制作では、サイトをお客様の前で開いて使えるかどうかを、公開前に確かめるようにしています。きれいに見えるかだけでなく、商談の場で見せやすいか、送ったときに伝わるかを見ます。
私たちがやること
- 商談で見せるページを決める ― どんな商談が多いかを伺い、実績、料金、進め方のうち、どのページをどの順番で開くとよいかを一緒に決めます
- 実績を、選んで開ける形に整える ― 1件ごとに業種や規模が分かるように書き、相手に近いものを探しやすく並べます。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます
- よく聞かれることを、ページにする ― 営業の場で聞かれたことのメモをいただき、答えのページや、よくある質問に書き起こします
- 送ったときの見え方を整える ― 商談のあとに送ることが多いページについて、メールやLINEで送ったときに出る画像と見出しを用意します
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、商談で見つかった「見せにくいところ」や、新しく足したい実績も、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
営業の同行や、営業の話し方の研修はしていません。商談でどう話すかは、貴社のお客様と仕事を知っている方がいちばんよく分かっているからです。私たちが用意するのは、その話の途中で開けるページです。
また、紙の会社案内やチラシの制作、商談での成約をお約束することもしていません。何件が仕事につながるかは、商品や相手の状況で大きく変わります。
「サイトはあるのに、お客様の前で開いたことがない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
9. まとめ:開く順番と、送るページを決めておく
商談や営業の場でホームページを使うために決めておくことは、5つです。
- 見せるページを3つに絞る ― 相手に近い実績、料金と条件、進め方とよくある質問。トップから順に見せない
- 開く段取りを整える ― ブックマークとホーム画面に置き、通知を切り、関係のないタブを閉じておく
- 商談のあとは、話したページを送る ― 1本か2本に絞り、何のページかを一言添える。転送される前提で書く
- お礼メールには、話した中身の続きを入れる ― 会社概要より、立ち話で出た話題のページ
- 足りないページは、商談で見つける ― よく聞かれることをページにし、社内で一度、商談の練習をする
サイトは、作っただけでは営業の道具になりません。お客様の前で開く順番と、あとで送るページが決まって、はじめて道具になります。そして、商談で使い続けると、どこを直せばよいかも商談の場が教えてくれます。
まず、今日できること
次の商談で見せたいページを、3つ選んでみてください。そして、その3つをスマートフォンのブックマークに入れておきます。開いてみて見せにくいと感じたところがあれば、それが最初に直すところです。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の商談で開けるページを、一緒に用意するところからご一緒します。