1. 「報告は届くんですが、読んでもよく分からなくて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「制作会社さんから、毎月アクセスの報告が届くんです。グラフがたくさん付いていて、先月より何パーセント増えました、と書いてある。ありがたいんですが、正直、それで良かったのか悪かったのか分からないまま閉じています」

報告を送る側は、数字を並べることには慣れています。けれども、受け取る側がその数字で何を判断すればいいのかまでは、書かれていないことが少なくありません。数字が多いほど、読む側は判断の手がかりを見失います。

この記事では、報告を受け取った経営者の方が、どこを見て、何を聞き返せばいいかを書きます。報告の中身を全部理解する必要はありません。見るところを4つに決めて、そこだけを確かめれば十分です。

この記事で書くこと

  • 報告の数字は、何のためにあるのか
  • 見るところ①:問い合わせ・電話・予約につながったか
  • 見るところ②:どのページから来て、どこで問い合わせたか
  • 見るところ③:前の月と、前の年の同じ月との比べ方
  • 見るところ④:増えた・減った理由と、「次に何をするか」
  • 報告がないときに、自分で見る最低限

なお、自社で何を測るかを決める話は ホームページを作ったあと、何を測ればいいか に、サーチコンソールの画面の見方は サーチコンソールを入れたあと、最初に見る画面 に書きました。この記事は、人から渡された数字を受け取る側の読み方を扱います。

2. 報告の数字は、何のためにあるのか

判断の材料でなければ、役目を果たしていない

報告は、貴社が何かを判断するための材料です。このまま続けるか、どこかを直すか、別のことに力を入れるか。読んでも何も決まらない報告は、どれだけ丁寧でも役目を果たしていません。

これは、報告を作る側を責める話ではありません。何を判断したいのかを、受け取る側が伝えていないことも多いからです。伝えれば、報告の中身は変わります。

何を知りたいかを、先に伝える

報告の形が決まっていないなら、貴社が知りたいことを先に伝えておくと話が早くなります。たとえば、こんな伝え方です。

「うちが知りたいのは、問い合わせが何件あったかと、サービスのページを見た人が増えているかどうかです。ほかの数字は、変化があったときだけ教えてください」

こう伝えると、報告は短くなり、そのぶん読めるようになります。知りたいことが変わったら、そのつど伝え直せば構いません。

報告によく入っている数字

報告には、たいてい次のような数字が並んでいます。

  • 見に来た人の数 ― サイトを訪れた人や、訪れた回数
  • 見られたページの数 ― ページが開かれた回数の合計
  • 検索での数字 ― 検索結果に表示された回数と、クリックされた回数
  • どこから来たか ― 検索、SNS、広告、ほかのサイトのリンク、直接の入力など
  • 問い合わせの数 ― 入っている報告と、入っていない報告があります

この中で、貴社の売上にいちばん近いのは最後の1つです。ほかの数字は、そこに至る手前の様子を示しているにすぎません。

見るところを、4つに決める

報告を開いたら、上から順に読むのではなく、見るところを4つに決めて、その順に探します。

図:報告を受け取ったら、この順に見て、質問を返す(質問の文面は一例)
① 問い合わせ・電話・予約につながったか

見に来た人の数より先に、結果の数字を探します。報告に無ければ、そこがいちばん大事な質問になります。

質問の例:「今月の問い合わせは何件と数えていますか。社内の受付の記録と合わせたいです」
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② どのページから来て、どこで問い合わせたか

人が増えたページが、貴社の仕事と関係のあるページかどうかを見ます。

質問の例:「サービスのページを見た人は、増えていますか」
▼
③ 前の月と、前の年の同じ月

前の月だけと比べると、季節の波を成果と取り違えます。去年の同じ月とも並べます。

質問の例:「去年の同じ月と比べると、どうでしたか」
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④ 理由と、次に何をするか

増えた・減ったの理由と、来月やることが書いてあるかを見ます。書いていなければ聞きます。

ここが無い報告は、読んでも何も決まりません

全部を毎回聞く必要はありません。その月にいちばん気になったところを1つだけ聞き返すだけで、次の報告から中身が変わっていきます。

3. 見るところ① ― 問い合わせ・電話・予約につながったか

見に来た人の数は、手前の数字

見に来た人が増えるのは、悪いことではありません。ただ、見に来た人の数は、売上ではありません。調べものをしに来ただけの人や、求人を見に来た人も、同じ1人に数えられます。

貴社にとっての結果は、問い合わせ、電話、予約、来店です。業種によって違うので、自社にとっての結果は何かを、制作会社と言葉をそろえておくことが出発点になります。

報告に結果の数字が無いとき

報告に問い合わせの件数が入っていないことがあります。理由は2つ考えられます。数える設定がされていないか、設定はあるけれど報告に載せていないか、です。

どちらなのかは、聞けば分かります。「問い合わせの件数は数えていますか」と一言聞いてみてください。数えていないなら、数えられるようにしたいと伝えます。結果の数字が無い報告を、何年受け取っても判断は進みません。

社内の記録と、突き合わせる

報告に問い合わせの件数があっても、そのまま信じるのではなく、社内で受け付けた件数と並べてみることをおすすめします。

数字が合わないことは珍しくありません。テストの送信が混ざっている、営業のメールまで数えている、迷惑メールに入って社内で気づいていない。合わないこと自体が問題なのではなく、合わない理由が分かっていないことが問題です。理由が分かれば、どちらを信じればいいかが決まります。

電話と予約は、別に数える

電話は、サイトの側では数えにくい結果です。スマートフォンで電話番号が押された回数は数えられることがありますが、実際につながったかどうかまでは分かりません。

ですから、電話は社内で数えます。電話を受けたときに「何で知りましたか」と一言聞いて、記録しておく。Googleマップの画面から電話をかけた回数は、Googleビジネスプロフィールの側で見られることもあるので、あわせて並べると手がかりが増えます。予約の仕組みを別に使っているなら、その件数を報告と並べます。サイトの数字と社内の数字の両方がそろって、初めて結果が見えます。

4. 見るところ② ― どのページから来て、どこで問い合わせたか

人が増えたのは、どのページか

報告で「見に来た人が増えた」と書かれていたら、どのページに来た人が増えたのかを聞いてください。ここで、増えた中身がかなり分かります。

  • サービスや料金のページ ― 仕事を探している人が増えている見込みが高い
  • ブログやコラムの記事 ― 調べものをしに来た人が多い。仕事につながるかは記事しだい
  • 採用のページ ― 求職者が増えている。問い合わせとは別の話
  • トップページだけ ― 社名で検索してきた人が多い。新しいお客様とは限らない

どれが良くて、どれが悪い、ではありません。増えたのが誰なのかが分かれば、その数字をどう受け止めればいいかが決まります。アクセスが増えても問い合わせが増えないときの切り分け方は アクセスは増えたのに、問い合わせが増えない に詳しく書きました。

問い合わせの直前に、どこを見ていたか

もう1つ聞いておきたいのが、問い合わせをした人が、その前にどのページを見ていたかです。

施工事例を見てから問い合わせる人が多いのか、料金を見てからなのか。これが分かると、どのページを厚くすればいいかが見えます。件数が少ないうちは傾向まで言えないこともありますが、聞いておくと、制作会社の側もそこを見るようになります。

どんな言葉で検索されたか

検索から来た人については、どんな言葉で検索されて表示されたかも報告に入っていることがあります。社名での検索が多いのか、「地域名+仕事の名前」のような言葉が多いのか。

社名で来る人は、すでに貴社を知っている人です。仕事の名前で来る人は、まだ貴社を知らない人です。後者が増えているなら、新しいお客様に見つけてもらえ始めているということです。

5. 見るところ③ ― 前の月と、前の年の同じ月と比べる

前の月とだけ比べると、季節を成果と取り違える

報告によくあるのが、「先月より何パーセント増えました」という書き方です。ただ、多くの商売には季節の波があります。繁忙期の入口の月は、何もしなくても数字が増えます。反対に、閑散期に入れば、何かを頑張っていても減ります。

前の月との比べは、急な変化に気づくには役に立ちます。けれども、良くなったかどうかを判断するには、去年の同じ月とも並べる必要があります。サイトを作って1年たっていない場合は、比べる相手がまだ無いので、月ごとの数字を同じ表に並べて、続けて見ていきます。

率より、件数で見る

もう1つ気をつけたいのが、率で書かれた数字です。問い合わせの件数が少ないうちは、1件の違いで率が大きく動きます。

表:同じ月の数字でも、比べる相手で読み方が変わる(数字はすべて架空の例)
項目今月前の月去年の同じ月読み方
見に来た人たとえば 900人600人850人前の月より大きく増えて見えるが、去年と比べるとほぼ同じ。季節の波かもしれない
サービスのページを見た人たとえば 180人150人110人去年より増えている。仕事を探す人に届き始めている見込み
問い合わせたとえば 4件2件3件「倍増」と書かれても、差は2件。率で騒がず、件数で数か月続けて見る

この例では、見に来た人の数は季節で増えただけかもしれませんが、サービスのページを見た人は去年より増えています。見るべきは、合計の数字より、仕事に近い数字の動きです。数字は説明のための架空の例で、貴社の実際の数字で並べてください。

数え方が途中で変わっていないか

数字が急に増えたり減ったりしたときは、数え方そのものが変わっていないかも確かめてください。計測の設定を入れ直した、サイトを作り直してページの住所が変わった、集計の期間が月の途中で切れている。こうしたことで、実際の動きとは関係なく数字が動くことがあります。

「先月と今月で、数え方は同じですか」。この一言で、余計な心配や、ぬか喜びを避けられます。

6. 見るところ④ ― 増えた・減った理由と、「次に何をするか」

理由を聞く

数字が動いたときは、なぜ動いたと考えているかを聞いてください。理由として考えられるのは、たとえば次のようなものです。

  • 季節 ― 繁忙期・閑散期、長い休みの前後
  • 貴社の側の動き ― チラシを配った、展示会に出た、テレビや新聞に出た、休業した
  • サイトの変化 ― ページを足した、直した、作り直した
  • 検索での見え方の変化 ― 表示される言葉や回数が変わった
  • 数え方の変化 ― 前の章で書いたとおり

理由がすぐに分からないこともあります。それは正直な答えです。「分からない」と言われたら、次の月までに何を確かめれば分かりそうかを聞けば十分です。

貴社の側の出来事を、先に伝えておく

理由を読むためには、貴社の側で何があったかを、制作会社が知っている必要があります。チラシを配った日、休業した日、キャンペーンを始めた日。こうした出来事を、月に一度まとめて伝えておくと、報告に書かれる理由の精度が上がります。

数字だけを見ている側には、店の前で何が起きたかは分かりません。報告は、送る側と受け取る側の両方の情報がそろって、初めて読めるものになります。

「次に何をするか」が書いてあるか

報告の最後に、来月に何をするかが書いてあるかを見てください。書いてあるなら、誰が、いつまでに、何をするのかまで分かるかどうか。書いていないなら、聞いてください。

「この数字を見て、来月はどこを直すのがいいと思われますか」

この質問は、報告を作った人の考えを引き出します。答えが返ってくれば、それを一緒に検討できます。数字の報告が、次の打ち手の相談に変わります。

責める聞き方にしない

数字が減ったとき、つい「どうなっているんですか」と聞きたくなります。ただ、そう聞くと、相手は言い訳から入ることになります。

「一緒に考えたいので、教えてください」という聞き方のほうが、本当の理由が出てきます。報告を作る側も、数字が減った月ほど、何を書けばいいかに迷っているものです。

7. 報告がないときに、自分で見る最低限

報告があるかどうかは、契約しだい

そもそも報告が届かない、という会社もあります。報告は、制作の契約に含まれていることもあれば、含まれていないこともあります。保守費に何が含まれるかは会社によって違うので、確かめ方は ホームページの「保守費」で、何をしてもらえるのか にまとめました。

検索に関わる作業の費用を払っている場合は、その作業で何をしたのかの報告を求めてよいと思います。見積書の「SEO対策費」の中身の聞き方は 見積書に「SEO対策費」と書かれていたら、何を聞くか に書きました。

見る権限をもらう

報告がなくても、数字そのものは見られることが多いです。サイトに GA4 やサーチコンソールが入っているなら、貴社の側でも見られるように、権限をもらっておくと安心です。誰の名義で入っているかも、あわせて確かめておいてください。

月に一度、見ること

自分で見るときは、全部を見ようとしなくて構いません。月に一度、次の4つだけを見れば十分です。

  • 数字が止まっていないか ― ある日から急に0になっていたら、計測が外れているかもしれません
  • 問い合わせの数を、社内の記録と並べる ― 第3章のとおり、合わなければ理由を探す
  • サービスのページを見た人の数 ― 去年の同じ月と比べる
  • 社名以外の言葉での検索 ― サーチコンソールで、どんな言葉で表示されているかを見る

この4つを、表計算の1枚に月ごとに書き込んでいくだけで、半年後には貴社なりの見方ができてきます。自分で見る習慣があると、報告を受け取ったときにも、聞き返すところがすぐに見つかります。

8. 雄喜晃の伴走:数字を読んで、ページを直すところまで

私たち雄喜晃のホームページ制作では、数字の話をするときに、見に来た人の数ではなく、問い合わせや電話、予約につながったかから始めます。

私たちがやること

  • 結果を何にするか決める ― 貴社にとっての結果が、問い合わせなのか、電話なのか、予約なのかを、作る段階で一緒に決めます
  • 数字の読み方を一緒に確かめる ― 貴社が見ている数字について、この記事の4つのところに沿って、何が読み取れるかをご一緒に確かめます
  • 読んだ結果を、ページに反映する ― 直すところが見つかったら、文章や構成を書き換えて、実際のページに落とし込みます

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、数字を見て「このページを書き換えたい」と思われたときも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

見に来た人の数だけを並べて、良く見せることはしません。その数字が、貴社の判断の材料にならないからです。検索の順位や、問い合わせの件数をお約束することもしません。

また、ほかの制作会社から届いている報告や契約の良し悪しを、こちらで判定することもいたしません。私たちにできるのは、数字の読み方を一緒に確かめることと、直すべきページを直すことです。

「報告は届くけれど、読んでも何を決めればいいか分からない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:4つを見て、1つ聞き返す

制作会社からの報告やアクセスの数字を読むときに押さえることは、5つです。

  • 結果の数字から見る ― 問い合わせ・電話・予約。報告に無ければ、まずそれを聞く
  • どのページに来た人が増えたかを見る ― 増えた中身が分かれば、受け止め方が決まる
  • 前の月と、去年の同じ月の両方と比べる ― 率ではなく件数で、数か月続けて見る
  • 理由と「次に何をするか」を聞く ― 責めずに、一緒に考えたいと伝える
  • 報告が無ければ、自分で月に一度だけ見る ― 4つの数字を、表に書き込んでいく

報告の数字は、全部を読み解く必要はありません。見るところを決めて、質問を1つ返す。それだけで、報告は「届いて閉じるもの」から「次を決める材料」に変わります。

まずは次に報告が届いたら、問い合わせの件数を探して、社内の受付の記録と並べてみてください。そこから、最初の質問が見つかると思います。