1. 「『こんな本も置いてたんですね』と、何年も通っている方に言われるんです」
町で本屋を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「何年も通ってくださっている方に『こんな棚もあったんですね』と言われて、はっとしたんです。うちは地域の本と絵本に力を入れてきたのに、それが伝わっていなかった。サイトには住所と営業時間しか載せていないので、来る前に知る方法もないんですよね」
通販で頼めば本が届く時代に、町の本屋に足を運ぶ人は、棚を見に来ているのだと思います。どんな本が、どんな並びで置いてあるか。誰が選んでいるか。ところが、それがサイトに書かれていないことが多いのです。住所と営業時間だけでは、ほかの本屋との違いが、来るまで分かりません。
見に来る人は、4種類いる
町の本屋のサイトを見に来る人は、大きく4つに分かれます。
- 本を探している人 ― 欲しい本があるか、無ければ取り寄せられるか、何日くらいかを知りたい
- 店を知りたい人 ― どんな棚か、カフェやイベントはあるか。行ってみる価値があるかを知りたい
- 決まった本を届けてほしい人 ― 雑誌の定期購読や配達を頼めるかを知りたい
- 学校や図書館、会社の担当者 ― 納品を任せられるか、書類や支払いがどうなるかを知りたい
最初の2つは個人のお客様、最後の1つは仕事の取引です。同じサイトに、確かめたいことが違う人が来ています。地域で商売をする店のサイトの全体の組み立ては、地域で商売をする会社の、ホームページの全体像 にまとめてあります。
この記事で書くこと
- 店の個性を、棚の特徴と選ぶ人の顔で伝える
- 取り寄せと予約の受け付け
- 雑誌の定期購読と配達
- 学校・図書館・会社への納品の窓口
- 教科書を扱う場合の案内、イベントや読書会
- 営業時間と在庫の問い合わせ方、SNSとの使い分け
2. 店の個性は、棚と選ぶ人で伝える
「品揃え豊富」ではなく、どの棚が厚いかを書く
「幅広い品揃え」「地域に根ざした書店」は、どの本屋も書ける言葉です。読む人の判断の材料になりません。代わりに、どの分野の棚に力を入れているかを具体的に書きます。
- 厚い棚 ― 絵本と児童書、地域の歴史や地図、料理、専門書など。店の中で棚がいちばん広い分野
- 並べ方の考え方 ― 出版社ごとではなく、テーマで並べている。季節で棚を入れ替えている
- 扱っていないもの ― 置いていない分野があるなら、取り寄せで受けることと一緒に書く
棚の写真は、文字より多くを伝えます。貴社で撮った棚の写真を、分野ごとに1枚ずつ添えると、店に来たことのない人にも雰囲気が伝わります。写真に本の表紙が大きく写るときは、表紙の画像の扱いに出版社などの決まりがあることがあります。使い方は取引先の案内で確かめてください。
選ぶ人の顔と、ひとこと
町の本屋の個性は、誰が棚を作っているかから生まれていることが多いと思います。店主や、担当の分野を持つスタッフの写真と名前、どんな本が好きか、どの棚を担当しているかを載せておきます。
「児童書の棚は、〇〇が担当しています。読み聞かせの本を選ぶご相談も、お気軽にどうぞ(言い回しは架空の例です)」
「この人に聞けば選んでもらえる」と分かると、相談のために来る人が出てきます。スタッフの紹介をどこまで載せるかは、社員紹介ページは、本当に要るのか に考え方を書きました。
カフェや場所の使い方も、店の個性になる
カフェを兼ねている店、展示や小さな集まりに場所を使っている店は、本を買う以外の過ごし方も書いておきます。座って本を選べる席があるか、子ども連れで長くいられるか、静かに過ごしたい人に向いた時間帯はあるか。「本を買うつもりがなくても、立ち寄っていい店」だと分かると、来る理由が増えます。過ごし方の決まり(飲み物を持って棚を見てよいか、など)があるなら、それも一緒に書きます。
個別の本の紹介は、サイトに積み上げない
おすすめの本を1冊ずつサイトで紹介すると、すぐに古くなります。季節が変わっても去年のおすすめが残っていると、更新が止まった店に見えます。サイトには棚の考え方と選ぶ人を書き、個別の本の紹介はSNSに任せる。この分け方は第7章で書きます。
3. 取り寄せと予約の受け付け
頼み方と、要る情報を書く
町の本屋の大事な仕事の1つが、店に無い本の取り寄せです。ところが、取り寄せを受けていることがサイトに書かれていないと、読む人は通販で頼みます。受けているなら、頼み方をはっきり書きます。
- 頼み方 ― 店頭、電話、フォーム。どれで受けているか
- 要る情報 ― 書名、著者名、出版社名。全部分からなくても相談できると書いておく
- 連絡の仕方 ― 入荷したら電話か、メールか。どのくらい取り置いておけるか
- 取り消し ― 頼んだあとで取り消せるか。取り消せない場合があるなら、その条件
日数の目安は、言い切らない
取り寄せでいちばん聞かれるのは「何日かかりますか」です。ただ、日数は本の在庫のある場所や、出版社の状況によって変わります。すでに作られていない本や、在庫が無い本は、取り寄せられないこともあります。日数は言い切らず、変わる理由と一緒に書きます。
店頭、電話、フォームで、書名や著者名を伺います。分かる範囲で構いません。似た題の本がある場合は、こちらで確かめてご連絡します。
在庫があるか、いつごろ届きそうかを確かめます。取り寄せられない場合や、時間がかかりそうな場合は、ここでお伝えします。
届いたら、伺った連絡先にお知らせします。電話かメールか、どちらがよいかを受け付けのときに伺います。
店頭でお渡しします。配達を受けているなら、その範囲と料金もここに書きます。
日数を言い切らなくても、どの段階で、何を連絡してもらえるかが分かれば、読む人は安心して頼めます。「届くか分からないまま待たされる」という不安が、取り寄せを通販に回す理由になりやすいからです。
発売前の予約も、同じページで
新しく出る本や雑誌の発売前の予約を受けているなら、取り寄せと同じページに書いておきます。予約した本がいつ店に届くか、取り置いておける期間。数が限られた本は、予約しても入らない場合があることも先に書いておくと、行き違いが減ります。
4. 雑誌の定期購読と、配達
定期購読は、頼み方と止め方を書く
毎号決まった雑誌を取り置いたり、届けたりしている店も多いと思います。定期購読を受けていることは、書いておかないと伝わりません。次のことを書きます。
- 頼み方 ― 雑誌の名前を伝えれば、次の号から取り置くか
- 受け取り方 ― 店頭での取り置きか、配達か
- 支払い ― 受け取りのたびか、月ごとにまとめてか
- 止め方と変え方 ― 止めたいとき、雑誌を替えたいときに、いつまでに伝えればよいか
雑誌は、休刊や、号の合併で、届く時期が変わることがあります。そのときにどう知らせるかも、店の決まりとして書いておきます。
配達は、範囲と曜日で書く
配達を受けているなら、届ける範囲を町名で、届ける曜日や時間帯を書きます。留守のときの扱い、郵便受けに入れてよいかどうかも、頼む前に分かると安心です。年配の方のご家庭に届けているなら、離れて暮らすご家族が代わりに申し込めるかも書いておきます。
5. 学校・図書館・会社への納品の窓口
取引の窓口は、個人向けと分ける
学校、図書館、病院、会社などに本を納めている店は、個人向けの案内とは別の窓口を作っておきます。担当者は、個人のお客様とはまったく違うことを確かめに来ているからです。
- 受けている納品 ― 学校の図書室、公共の図書館、会社の資料、病院の待合室の雑誌など
- 担当と連絡先 ― 誰に連絡すればよいか。店の電話とは別に、担当の名前を書く
- 書類 ― 見積書、納品書、請求書。決まった書式に合わせられるか
- 支払い ― 請求書での後払い、月ごとのまとめての請求に応じられるか
- 本の準備 ― 図書館向けに、ラベル貼りやカバーかけなどの準備を受けるかどうか
- 選ぶ相談 ― 予算と目的を伺って、本を選ぶ相談を受けるか
公費で本を買う学校や図書館は、書類の形や、支払いの時期に決まりがあることが多いと思います。「各学校・団体の書式に合わせます」の一行があるだけで、担当者は問い合わせやすくなります。
続けて任せられる店か、を見られている
取引の担当者は、1回きりの買い物ではなく、何年も続けて任せられる店かを見ています。これまで納品してきた先の種類(学校、図書館、会社など)や、取引を始めてからの年数を、相手の了解を得たうえで、名前を出さずに書く方法もあります。個人と法人の両方を相手にするときのページの分け方は、個人のお客様と法人のお客様、両方を相手にする会社のホームページ にまとめました。
6. 教科書の案内と、イベント・読書会
教科書を扱うなら、時期と場所をはっきり
地域の学校の教科書を扱っている店では、毎年決まった時期に、決まった人が探しに来ます。新学期の前になると「どこで買えるのか」を調べる保護者や生徒が増えます。扱っているなら、次のことを書きます。
- どの学校の教科書か ― 学校の種類や、扱っている学校の範囲
- 販売の時期と場所 ― 店頭か、別の会場か。日時は毎年確かめて書き直す
- 持ち物 ― 学校から配られる案内や、購入する教科書の一覧が要るか
- 問い合わせ先 ― 教科書の内容は学校に、販売の日時は店に、と分けて書く
教科書の案内は、去年の日付が残っているといちばん困る情報です。毎年の更新の時期を決めておき、時期が過ぎたら「今年度の販売は終わりました。次年度の案内は〇月ごろに載せます」に書き換えます。
イベントと読書会は、決まった形で案内する
読み聞かせ、読書会、作家を招いた会、本にまつわる展示。イベントを開いているなら、毎回同じ形で案内すると、読む人が迷いません。
- 日時と場所 ― 店の中か、別の会場か
- 対象と定員 ― 子ども向けか、大人向けか。何人までか
- 申し込み ― 要るか、要らないか。どこから申し込むか
- 費用 ― 参加費や、飲み物代がかかるか
写真を載せるときは、参加した人の了解を取ってからにします。子どもが写る場合は、保護者の了解を取ります。告知ページの作り方は、説明会・セミナー・見学会の告知ページを、どう作るか の考え方がそのまま使えます。
7. 営業時間と在庫の問い合わせ方、SNSとの使い分け
営業時間は、カフェと分けて書く
カフェを兼ねている店は、本の売り場とカフェで時間が違うことがあります。カフェの最後の注文の時間、席の数、買う前の本を席に持ち込めるかどうか。ここが分かれていないと、閉まる時間を勘違いして来る人が出ます。定休日や、棚卸しなどでの臨時の休みも、決まったらすぐに載せます。書き方は 営業時間・定休日を、ホームページにどう書くか にまとめました。
在庫は「どう聞けばいいか」を書く
小さな本屋が、全部の本の在庫をサイトに出し続けるのは、現実的ではないと思います。代わりに、在庫の聞き方を書いておきます。
「在庫のお問い合わせは、お電話かフォームで承ります。書名をお知らせいただければ、在庫の有無と、無い場合の取り寄せについてお答えします(言い回しは架空の例です)」
在庫が無い場合に、そのまま取り寄せの話に進めることも一緒に書くと、問い合わせが注文につながりやすくなります。
新刊の案内はSNS、決まった情報はホームページ
入荷した新刊、今週のおすすめ、棚の入れ替え、イベントの当日の様子。流れていってよい情報です。毎日でも、週に数回でも、続けられる頻度で。
営業時間、場所、棚の特徴と選ぶ人、取り寄せと予約の受け付け、定期購読と配達、学校や図書館への納品、教科書の案内。探されたときに、いつでも同じ答えがある情報です。
取り寄せの受け方や休みのお知らせがSNSの投稿にしかないと、流れて見つからなくなります。SNSで知らせたことも、決まった情報はホームページに書いておきます。
SNSからは、ホームページの決まった情報へつなぐのが基本です。新刊の投稿の最後に「取り寄せのご案内はこちら」と添えれば、店に無い本を見た人も、そのまま頼めます。
ホームページとSNSのどちらに時間を使うかの考え方は、ホームページとSNS、どちらに時間を使うべきか に詳しく書きました。
8. 雄喜晃の伴走:店の棚と仕事を、来る前に読める形にします
私たちがやること
私たち雄喜晃は、町の本屋のホームページを作るとき、最初に「どの棚に力を入れているか」と「本を売る以外に受けている仕事」を伺うところから始めます。取り寄せ、定期購読、配達、納品、教科書。店ではいつもやっていることが、サイトでは書かれていないことが多いからです。
- 棚の特徴と選ぶ人を、言葉にします ― どの分野が厚いか、誰が担当しているかを伺って組みます
- 取り寄せと予約、定期購読の受け付けを、流れで見せます
- 学校・図書館・会社向けの窓口を、個人向けと分けて作ります
- 教科書やイベントの案内を、毎回同じ形で載せられるようにします
- 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 棚や店内の様子を、明るさや大きさをそろえて配置します
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、教科書の販売日やイベントの告知、臨時の休みも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
- 在庫をサイトに出す仕組みや、通販の仕組みの開発はしていません
- 日々の新刊の紹介を、更新代行で毎日載せることはしていません。日々変わる情報は、SNSで発信していただく形をおすすめしています
- 本の表紙の画像の扱いや、取引の書類が決まりに合っているかの判断はしません。取引先や所管の窓口、専門家に確かめていただくようお願いしています
- 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。
「店でやっている仕事が、サイトでは住所と営業時間しか伝わっていない」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:棚と、本を売る以外の仕事を書く
町の本屋のホームページで押さえることは、5つです。
- 店の個性は、棚と選ぶ人で伝える ― どの分野が厚いか、誰が選んでいるか。個別の本の紹介はSNSに
- 取り寄せと予約は、頼み方と連絡の仕方を書く ― 日数は言い切らず、変わる理由と一緒に
- 定期購読と配達は、範囲と止め方まで書く ― 休刊や合併号のときの知らせ方も
- 学校・図書館・会社の窓口は、個人向けと分ける ― 書類、支払い、本の準備、選ぶ相談
- 教科書とイベントは決まった形で、時間と在庫は聞き方を書く ― 去年の日付を残さない
町の本屋の仕事は、棚に本を並べて売ることだけではありません。取り寄せる、届ける、納める、選ぶ相談に乗る。それがサイトに書いてあれば、通販で済ませていた人や、納品先を探している担当者が、店のことを知るきっかけになります。
まず、今日できること
この1か月に受けた依頼を、店頭での販売以外から書き出してみてください。取り寄せ、定期購読、配達、学校や会社への納品、選ぶ相談。書き出した仕事のうち、サイトに書いてあるものに印をつけると、足りないページが見えてきます。