1. 「うちは、個人のお客様も会社のお客様もいるんです」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「うちは、個人のお宅の仕事もあれば、会社さんからの仕事もあるんです。サイトにはどっちに向けて書けばいいのか分からなくて。結局、どっちつかずの文章になっている気がします」

工務店、清掃、印刷、仕出し、造園、設備。同じ仕事を、個人の方にも法人の方にも提供している会社は、中小企業にはとても多いです。

困るのは、1つのページで、家の水回りを直したい方と、店舗の改装を発注したい総務の方の両方に話しかけようとすることです。そうすると、どちらの人にとっても、少しずつ読みにくいページになります。

この記事では、そのずれをどう解くかを順番に書きます。結論を先に言うと、会社もサイトも1つのままでかまいません。分けるのは、入口と話し方です。

この記事で書くこと

  • 同じページで両方に話すと、何が起きるか
  • どちらが主かを、先に決める
  • トップで「個人の方/法人の方」と入口を分ける方法
  • 個人のお客様が知りたいこと、法人のお客様が知りたいこと
  • 言葉づかいの違いと、問い合わせフォームを分けるかどうか

なお、事業そのものが違う場合(たとえば本業とは別に飲食店を始めた、など)は話が変わります。サイトを分けるか1つにまとめるかの判断は 事業が増えたとき、ホームページを分けるか、1つにまとめるか に書きました。この記事は、同じ仕事を、違う種類のお客様に売っている場合の話です。

2. 同じページで両方に話すと、何が起きるか

まず、よくある状態を見ておきます。サービスのページが1枚あり、そこに個人向けの説明と法人向けの説明が混ざっている状態です。

言葉が、どっちつかずになる

個人の方に向けて書くと、やわらかい言葉になります。「お気軽にご相談ください」「小さなことでも大丈夫です」。法人の方に向けて書くと、かたい言葉になります。「対応範囲」「納期」「仕様」。

1枚のページに両方を入れると、段落ごとに温度が変わる文章になります。個人の方は途中で「これは会社向けの話だな」と感じて手が止まり、法人の方は「ここは一般家庭向けの会社かな」と感じて、比較の候補から外します。

自分に向けて書かれていない、と感じた瞬間に読む人は離れます。

探しているものが、見つからない

個人の方がいちばん探しているのは、料金と流れです。法人の方がいちばん探しているのは、実績と体制です。

混ざったページでは、料金は法人向けの見積もりの話と混ざって幅が広すぎる数字になり、実績は個人のお宅の施工例と並んで、法人の方が知りたい規模感が見えなくなります。個人の方は料金が見つからず、法人の方は実績が見つからない、ということが起きます。

問い合わせの中身が、混ざる

受け取る側でも困ることが起きます。個人の方には、まず概算と訪問の日程を返したい。法人の方には、まず仕様と納期と請求の形を確かめたい。最初に返す内容が違うのに、同じ箱に入ってくるので、一次返信が遅れたり、聞き返しが増えたりします。

3. 分ける前に、どちらが主かを決める

入口を分ける前に、1つだけ決めておくことがあります。貴社にとって、どちらのお客様が主なのかです。

主のほうを、先に見せる

両方のお客様が大事なのは当然です。それでも、サイトの上のほうに置けるのは1つです。トップの最初の画面、メニューの並び、事例の順番。どれも、どちらかを先にしないと並べられません。

決めるときは、今の売上の大きさだけでなく、これから増やしたいほうも考えてください。個人の仕事は紹介で回っていて、ホームページから来てほしいのは法人だけ、という会社もあります。

同じ人が、両方の顔を持つことがある

もう1つ、頭に置いておくことがあります。個人と法人の境目は、思ったよりあいまいです。

一人で商売をしている方は、個人としても事業としても依頼してきます。会社の社長が、自宅の工事を頼んでくることもあります。

ですから、入口を分けるといっても、きっちり2つに仕分ける必要はありません。読む人が「自分はこっちに近い」と選べれば十分です。どちらか分からない人の逃げ道も、あとで書きます。

会社の情報は、1つのまま

分けるのは、お客様ごとに知りたいことが違う部分だけです。会社概要、代表挨拶、アクセス、採用。こうした会社そのものの情報は、共通で1つにします。

ここまで分けると、更新のたびに2か所を直すことになり、どちらかが古いまま残ります。

4. トップで「個人の方/法人の方」と入口を分ける

ここからが本題です。入口の分け方を、トップページから順に書きます。

最初の画面に、2つの入口を並べる

トップページの最初の画面で、何の会社かを一文で伝えたら、そのすぐ下に「個人のお客様」「法人のお客様」の2つの入口を並べます。ボタンでも、2枚のカードでもかまいません。

それぞれの入口には、ひとことの説明を添えます。

  • 個人のお客様 ― たとえば「ご自宅の修理・リフォーム、1か所からご相談ください」
  • 法人のお客様 ― たとえば「店舗・事務所・施設の改修、継続のお取引もお受けします」

説明があると、読む人は自分がどちらに近いかを判断しやすくなります。入口の名前だけだと、迷う人が出ます。

図:入口の作り方で、読む人の動きが変わる(例は架空)
① 入口が1つ
1枚のサービスページに、個人向けと法人向けが混ざっている

読む人は、自分に関係のある段落を探しながら読みます。料金と実績が混ざって見つけにくく、途中で「自分向けではない」と感じて離れやすくなります。

どちらにも、少しずつ届かない
② トップで分ける
最初の画面に「個人のお客様」「法人のお客様」の入口を並べる

選んだ先のページは、その人だけに向けて書けます。会社概要や採用は共通のまま。サイトは1つで、話し方だけが2つになります。

多くの会社は、ここから始めれば足ります
③ サイトを分ける
個人向けと法人向けで、別のサイトを持つ

完全に書き分けられますが、更新の手間は2倍になります。会社の情報がずれやすく、片方だけ古くなることがよくあります。

事業そのものが違うときに考える形

同じ仕事を2種類のお客様に売っているなら、②で十分なことがほとんどです。③を考えるのは、扱う商品やお客様の種類が大きく違い、1つのサイトに並べると逆に分かりにくくなる場合です。

入口の名前は、お客様の言葉で

入口の名前は、社内の呼び方ではなく、読む人が自分のことだと分かる言葉にします。

「BtoC」「BtoB」は社内の言葉です。「個人のお客様」「法人・事業者のお客様」のように対になる言葉にすると、選びやすくなります。業種によっては、もっと具体的な言葉のほうが伝わります。工務店なら「ご自宅の工事」「店舗・事務所の工事」。仕出しなら「ご家庭の法事・お祝い」「会社の会議・行事」。何を頼む人なのかで分けると、迷いが減ります。

メニューにも、入口を残す

検索から事例のページに直接来る人もいます。そういう人のために、上のメニューにも2つの入口を残します。

メニューの項目が増えすぎるなら、「サービス」の中に2つを並べる形でもかまいません。メニューの数と並べ方の考え方は ホームページのメニューに、何をどの順で並べるか にまとめてあります。

どちらか分からない人の、逃げ道

先ほど書いたとおり、個人と法人の境目はあいまいです。「自分はどっちだろう」と迷う人のために、どちらの入口からでも問い合わせできるようにしておきます。

入口の近くに「個人事業主の方は、どちらからでもかまいません」と一文を添えるだけで、迷って帰る人が減ります。

5. 個人のお客様が知りたいこと:料金・流れ・不安

入口を分けたら、それぞれの先のページに何を書くかです。まず個人のお客様から。個人の方が確かめたいことは、大きく3つです。

料金は、幅と条件で

個人の方は初めて頼む人が多く、まず「自分の依頼はいくらくらいか」を知りたがります。「お見積もりは無料です」だけでは判断ができません。「一般的なご依頼で〇万〜〇万円」のように幅を出し、高くなる条件と安くなる条件を添えてください。金額そのものより、自分がどのあたりにいるかが分かることが大事です。

あわせて、見積もりや出張にお金がかかるかどうかも書きます。個人の方は「来てもらったら断れないのでは」と心配しています。「見積もりのあとにお断りいただいても、費用はかかりません」と書けるなら、それだけで連絡のハードルが下がります。

流れは、お客様がすることで書く

次に知りたいのは、頼んだら何が起きるかです。ここは社内の工程ではなく、お客様がすることと、待つことで書きます。

  • 連絡 ― 電話かフォームで、困っていることを伝える
  • 現地の確認 ― 日程を決めて、担当者が伺う。立ち会いの時間の目安も書く
  • 見積もり ― いつまでに、どんな形で届くか
  • 作業 ― 当日、お客様が家にいる必要があるか
  • 支払い ― いつ、どの方法で払うか

各段に「どれくらいの期間か」「誰が来るか」を添えると、個人の方は自分の予定に当てはめて考えられます。サービスページの段の組み立て方は サービス紹介のページは、どの順番で書けばいいか に詳しく書きました。

不安に、先に答える

個人の方は、仕事の中身よりも人と、お金と、断れるかどうかを心配しています。よく出てくるのはこのあたりです。

  • どんな人が家に来るのか
  • 作業のあとで、追加の料金を言われないか
  • 見積もりを見て、断ってもいいのか
  • 近所に迷惑がかからないか
  • 支払いはどの方法が使えるのか

答えは「ご安心ください」ではなく、何をするかの約束で書きます。「追加の作業が必要になった場合は、作業の前に金額をお伝えし、ご了承をいただいてから進めます」。こう書いてあれば、読む人は場面を想像できます。

6. 法人のお客様が知りたいこと:実績・体制・請求や支払い

次に法人のお客様です。法人の方は、ご自身のお金ではなく、会社のお金で発注します。そして、社内でほかの人に説明する立場にいます。ここが、個人の方といちばん違うところです。

実績は、業種と規模で並べる

法人の担当者がまず確かめるのは、自社と同じような相手と仕事をしたことがあるかです。

実績は、業種と規模と内容で並べます。「飲食店/客席30席/厨房の改修」「事務所/ワンフロア/内装の入れ替え」のような形です。取引先の社名は出さなくてかまいません。業種と規模が分かれば、担当者は社内で「同じような案件をやっている会社です」と説明できます。

個人のお宅の施工例と同じ並びに置くと、法人の方には規模感が伝わりません。法人向けの実績は、法人向けの入口の先にまとめて置きます。

体制:何人で、どこまで受けられるか

法人の仕事では、途中で止まらないかが大きな関心事です。

  • 人数と窓口 ― 何人の会社で、案件ごとに誰が窓口になるか
  • 受けられる量 ― どの規模まで、同時に何件くらい受けられるか
  • 対応できる時間 ― 休日や夜間の作業、急ぎの対応ができるか
  • 協力会社と保険 ― 自社でやる範囲、加入している保険や必要な許可

聞かれたら答えられることは、先に書いておくほうが話が早く進みます。

請求と支払いの形

法人の場合は、請求書を出して、取引先の締め日と支払日に合わせて入金される形が一般的です。担当者は、この形で取引できるかを確かめています。

  • 請求書払いに対応しているか
  • 締め日と支払日を、取引先に合わせられるか
  • 見積書・発注書・納品書・請求書を、どの形で出せるか
  • 継続の取引で、月ごとにまとめて請求できるか

請求書に載せる項目や、税の扱いについて取引先から確認されることもあります。ここは会社の状況や業種によって違うので、具体的な扱いは税理士などの専門家に確認したうえで、書ける範囲を書いてください。

社内を通すための材料

新しい取引先として登録するとき、会社概要や所在地、代表者を確かめる会社もあります。このあたりの考え方は、下請けの仕事が中心の会社について書いた 下請けの仕事が中心の会社に、ホームページは効くのか と共通しています。法人のお客様にとって、ホームページは社内向けの説明資料でもあります。

表:個人のお客様と法人のお客様で、書き分けるところ(例は架空)
項目個人のお客様法人のお客様
まず確かめること自分の依頼がいくらくらいか、頼んだら何が起きるか同じような相手と仕事をしたことがあるか、途中で止まらないか
料金の見せ方たとえば「一般的なご依頼で〇万〜〇万円」と幅で。見積もりや出張の費用の有無も金額より、見積もりの出し方と、請求書払い・締め日への対応
実績の並べ方たとえば「戸建て/浴室の入れ替え」。写真と、かかった日数たとえば「飲食店/客席30席/厨房の改修」。業種と規模を先に
答えておく不安どんな人が来るか、追加料金、断ってもいいか窓口は誰か、急ぎや休日に対応できるか、協力会社の範囲
言葉の温度専門用語を見た目の言葉に直す。「お気軽に」も効く仕様・納期・範囲の言葉で。くだけすぎない
問い合わせで聞くこと困っていること、場所、希望の時期会社名、案件の規模、納期、継続かどうか

どちらも同じ会社の同じ仕事です。変わるのは、読む人が先に確かめたいことと、その順番です。中身は、貴社の実際の仕事に合わせて書いてください。

7. 言葉づかいと、問い合わせフォーム

最後に、文章の書き分けと、問い合わせの受け方です。

個人向けは、見た目の言葉に直す

「養生」「コーキング」「版下」。社内で毎日使う言葉でも、個人の方には伝わらないことがあります。個人向けのページでは、専門用語を、見た目や手順の言葉に直します。「養生」なら「家具や床に傷がつかないよう、シートで覆うこと」です。

法人向けは、仕様と条件の言葉で

法人の方には、逆のことが言えます。やわらかすぎる言葉は、かえって判断しにくくなることがあります。

「どんなことでもお気軽に」より、「対応できる範囲」「標準の納期」「最小のご依頼単位」のほうが、担当者は社内で説明しやすくなります。

同じ会社の文章なので、敬語の基本は揃えてください。変えるのは温度と、使う言葉の種類だけです。どちらのページを読んでも、同じ会社が書いていると分かることが大事です。

フォームを分けるか、1つにするか

問い合わせフォームは、聞く項目が大きく違うなら分け、ほとんど同じなら1つにして最初に選んでもらう、が目安です。

  • 分けたほうがいい場合 ― 法人向けでは会社名・部署・案件の規模・納期・継続の有無を聞きたいが、個人の方にそれを見せると重くなる場合
  • 1つでいい場合 ― どちらも「名前・連絡先・ご相談内容」で一次返信が書ける場合。最初に「個人のお客様/法人のお客様」を選んでもらうだけで、受け取る側で仕分けられます

1つにする場合も、会社名を必須にしないでください。個人の方が送れなくなります。

項目の数そのものの考え方は、一次返信から逆算するのが基本です。見積もりの依頼を受ける業種なら、見積もり依頼のフォームは、何をどこまで聞けばいいか もあわせて読んでみてください。

電話の受け方も、揃えておく

電話は1本のままで問題ありません。ただ、電話に出た人が最初に「個人のお客様ですか、会社のご依頼ですか」と確かめることを、社内で決めておくと話が早くなります。

手を付ける順番

一度に全部を変える必要はありません。順番はこうです。

  • 今月 ― 最近の問い合わせを、個人と法人に分けて並べる。それぞれ、最初に何を聞かれたかを書き出す
  • 翌月 ― トップに2つの入口を置き、それぞれの先のページを1枚ずつ作る。料金と流れ、実績と体制を書き分ける
  • その後 ― 問い合わせの中身を見て、フォームを分けるかどうかを決める

8. 雄喜晃の伴走:お客様が2種類いる前提で、入口から組み立てます

私たちがやること

私たち雄喜晃は、ホームページを作るとき、最初にどんなお客様から、どんな依頼が来ているかを伺います。個人と法人の両方がいる会社なら、どちらが主か、これから増やしたいのはどちらかを一緒に整理します。

そのうえで、トップの入口、それぞれの先のページの順番、言葉の書き分けを組み立てます。個人向けには料金の幅と流れを、法人向けには実績と体制と請求の形を、貴社の実際の仕事の話から言葉にしていきます。問い合わせフォームを分けるか1つにするかも、受け取ったあとの返し方を伺ってから決めます。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。入口を2つに分けて、それぞれの先にページを持たせたい場合は、6ページ構成のほうが組みやすいと思います。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、法人向けの実績を足したいときや、個人向けの料金を書き換えたいときも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

貴社の料金や取引条件そのものを、私たちが決めることはしません。請求書払いに対応するか、締め日をどうするかは経営の判断です。私たちがやるのは、決まった条件を読む人に伝わる形にすることです。税や契約の扱いについても、私たちから判断をお伝えすることはしません。専門家に確認された内容を、ページに書き起こすところを担当します。

また、実際にお受けしていない規模の実績を書いたり、作文したお客様の声を載せたりすることもいたしません。問い合わせの件数や検索の順位をお約束することもしません。

「個人のお客様にも法人のお客様にも、うまく伝わっていない気がする」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:会社は1つのまま、入口と話し方を分ける

個人のお客様と法人のお客様の両方を相手にする会社のホームページで、押さえることは5つです。

  • どちらが主かを先に決める ― 今の売上だけでなく、これから増やしたいほうも考える
  • トップで入口を2つに分ける ― 何を頼む人なのかが分かる名前と、ひとことの説明を添える
  • 個人向けは、料金・流れ・不安 ― 幅のある金額、お客様がすること、断ってもいいかに先に答える
  • 法人向けは、実績・体制・請求や支払い ― 業種と規模で並べた実績、途中で止まらない体制、請求書払いへの対応
  • 言葉の温度を変え、フォームは聞く項目で決める ― 項目が大きく違うなら分け、同じなら最初に選んでもらう

分けるのは、お客様ごとに知りたいことが違う部分だけです。そうすれば、更新の手間を増やさずに、両方のお客様に向けて書けます。

今日できることを1つだけ挙げます。最近の問い合わせを10件ほど、個人と法人に分けて並べてみてください。それぞれが最初に何を聞いてきたかを見れば、入口の先のページに何を書くべきかが見えてきます。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の2種類のお客様に、それぞれ届く入口を作るところからご一緒します。