1. 「見積もりの依頼なのに、何も分からない」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「フォームから見積もりの依頼は来るんです。でも『見積もりお願いします』の一行だけで、場所も大きさも分からない。こちらから聞き返して、写真を送ってもらって、やっと金額が出せる。そのあいだに、ほかの会社に決まっていることもあって」
工事や修理、製作、清掃のように、現場や物を見て金額が決まる商売では、この話がよく出ます。問い合わせは来ているのに、見積もりを出すまでに何往復もかかっている状態です。
原因の多くは、フォームの側にあります。一般の問い合わせと同じフォームに、「ご相談内容」の欄が1つあるだけ。依頼する人は何を書けばいいか分からず、短く書いて送ります。
問い合わせフォームの項目は、基本的には減らしたほうが送られやすくなります。考え方は 問い合わせフォームの項目は、いくつまで減らせるか にまとめました。ただ、見積もりの依頼は少し事情が違います。聞くべきことを聞いておかないと、送られたあとに止まるからです。
この記事で書くこと
- 一般の問い合わせフォームと、分けるかどうか
- 見積もりに必要な情報を、どこまで聞くか
- 分からない人でも答えられる選択肢の作り方
- 写真の添付の受け方と、容量の決め方
- 送信したあとに何が起きるかの書き方
- 現地調査が要る場合の書き方と、スパム対策
2. 一般の問い合わせフォームと、分けるか
最初に決めるのは、見積もり専用のフォームを作るかどうかです。
分けたほうがいい会社
次のどれかに当てはまるなら、分けることをおすすめします。
- 問い合わせの多くが見積もりの依頼 ― 一般のフォームのまま項目を足すと、質問だけしたい人まで長いフォームを書くことになります
- 写真があると、話が早く進む ― 写真の添付欄は、見積もり以外の問い合わせには要りません
- 現地調査の日程を決める必要がある ― 希望日や立ち会いの可否は、見積もりの依頼のときだけ聞けば足ります
分けなくていい会社
見積もりの依頼が少なく、内容もほぼ決まった形なら、分けなくても構いません。一般のフォームの「ご用件」に「見積もりの依頼」を入れておけば足ります。
用件によって項目を出し分ける作り方もありますが、作りが複雑になり、壊れやすくなります。迷ったら、フォームを2枚に分けるほうが単純です。
入口で、どちらに進むかを選ばせる
分けたら、入口のボタンも2つに分けます。「見積もりを依頼する」と「質問・相談する」。押す前に、自分がどちらか分かる言葉にしておくと、迷わずに進めます。
相談の側に「金額の目安だけ知りたい方も、こちらへ」と添えておくと親切です。ボタンの言葉と置き場所の決め方は 「お問い合わせはこちら」のボタンを、何と書き、どこに置くか に書きました。
3. 聞く項目は「一次返信で、幅のある金額を出せるか」で決める
見積もりフォームの項目を決める基準は、1つです。このフォームの内容だけで、最初の返信に「だいたいこのくらい」と書けるか。
正確な見積もりは、現地を見てからで構いません。最初の返信で幅のある数字を出せると、相手は話を進めるかどうかをその場で決められます。
見積もりに要るのは、だいたい5つ
業種によって細かい違いはありますが、見積もりに要る情報は、だいたい次の5つに収まります。
- 場所 ― 対応できるエリアか、移動にどれくらいかかるか
- 大きさ ― 面積、長さ、部屋の数、物の寸法
- 数量 ― 何か所、何台、何個、何部屋
- 希望時期 ― 急ぎか、いつまでに終わればいいか
- 写真 ― 上の4つを、言葉で説明しなくても伝えられるもの
これに名前と連絡先を足したものが基本です。ここから業種に合わせて足し引きします。
必須にするのは、少なく
5つ全部を必須にすると、分からない人がそこで止まります。必須にするのは、無いと返信が書けないものだけです。
多くの場合、必須は「場所(市区町村まで)」と「連絡先」で足ります。大きさや数量は写真で分かることも多いので、任意にします。
予算の欄は、置くとしても任意にしてください。聞かれると、相手は「書いた金額に合わせて見積もられるのでは」と身構えます。金額の目安は、料金のページで先に見せておくほうが話が早く進みます。書き方は ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめました。
| 項目 | 聞き方の例 | 分からない人のための選択肢 | 必須にするか |
|---|---|---|---|
| 場所 | たとえば「作業する場所の市区町村」 | 番地は聞かない。市区町村の入力だけで足りる | 必須。対応エリアかどうかがここで決まる |
| 大きさ | たとえば「お部屋の広さ」「物のおおよその大きさ」 | 「6畳くらい」「軽トラックの荷台くらい」など身近なもので選べる形と、「分からない(写真を送る)」 | 任意。写真で分かることが多い |
| 数量 | たとえば「何か所・何台くらいですか」 | 「1つ」「2〜3」「4以上」「まだ数えていない」 | 任意 |
| 希望時期 | たとえば「いつ頃までに終わればよいですか」 | 「できるだけ早く」「1か月以内」「2〜3か月先」「特に決まっていない」 | 必須にしてもよい。「決まっていない」があれば止まらない |
| 写真 | たとえば「全体と、気になるところの写真」 | 「あとで送る」「写真は無い」を選べるようにする | 必須にしない。添付できない人がそこで止まる |
| 予算 | 置くなら「ご予算の目安があれば」 | 「まだ決めていない」を先頭に置く | 必須にしない。料金のページで目安を先に見せる |
どの項目にも「分からない」「あとで」を選べる道を残しておくのが要点です。必須にするのは、無いと最初の返信が書けないものだけにします。項目の言葉は、貴社の業種に合わせて置き換えてください。
4. 分からない人が答えられる選択肢を作る
見積もりを頼む人の多くは、その分野の素人です。「何平米ですか」と聞かれても、答えられない人がほとんどだと考えてください。答えられない欄があると、人はそこで手を止めます。
「分からない」を、必ず選択肢に入れる
選択式の項目には、「分からない」を入れてください。これを入れないと、分からない人は適当な選択肢を選ぶか、フォームを閉じます。どちらも困ります。適当に選ばれた答えは、見積もりを狂わせるからです。
分からないことが分かるのも、大事な情報です。写真や現地で確かめればいいのです。
単位ではなく、身近なもので聞く
大きさや量は、専門の単位で聞くと答えられません。身近なものに置き換えます。
- 面積 ― 「〇平米」ではなく「6畳くらい」「一軒家の1階くらい」
- 量 ― 「〇立方メートル」ではなく「段ボール10箱くらい」「軽トラック1台分くらい」
正確でなくて構いません。桁が分かれば、幅のある金額は出せます。正確な数字は、現地で測ればいいのです。
専門用語を、見た目の言葉に直す
「外壁材の種類」「配管の材質」のような項目は、多くの人が答えられません。聞きたいなら、見た目で選べる形にします。「壁の見た目に近いものを選んでください」と書いて、写真やイラストを並べる方法です。
それも難しいなら、項目ごと削って写真で見せてもらうほうが確かです。社内の言葉が選択肢に残っていないか、業界の外の人に読んでもらうと分かります。
「その他」には、記入欄をつける
「その他」を置くなら、横に短い記入欄をつけます。記入欄が無いと、少し違う依頼が全部「その他」に入り、中身が分かりません。最後に、自由に書ける「ご相談内容」の欄を任意で1つ残しておきます。
5. 写真の添付を、どう受けるか
見積もりフォームでいちばん役に立つのが、写真の添付です。言葉で説明するのが難しいことも、写真なら一目で分かります。ただ、受け方を決めずに欄だけ置くと、うまく働きません。
何を撮ってほしいかを、例で書く
「写真を添付してください」とだけ書くと、気になるところのアップだけが送られてきがちです。それだと、場所の状況や大きさが分かりません。欄のそばに、撮ってほしいものを具体的に書いておきます。
- 全体 ― 少し離れて、作業する場所の全体が入るように
- 近く ― 傷みや不具合など、気になるところを近くから
- 周り ― 搬入する通路、車を停める場所、階段の様子など
業種によっては「型番のシールが分かる写真」のように、決まって必要な1枚があるはずです。それも例に入れておきます。
枚数と容量の上限を、先に決める
スマートフォンで撮った写真は、そのままだと1枚でもかなり大きくなります。何枚も添付すると、送信に時間がかかったり、途中で失敗したりします。
そこで、枚数と1枚あたりの大きさの上限を決めて、添付欄のすぐそばに書きます。たとえば「5枚まで、1枚10MBまで」のような書き方です(数字は例です。貴社のフォームの仕組みに合わせて決めてください)。上限を書いておくと、送る人が自分で枚数を絞れます。
機種によっては、写真が一般的ではない形式で保存されることもあります。受け取った側で開けるかを、事前に試しておいてください。
送れなかったときに、画面で分かるようにする
いちばん避けたいのは、写真が大きすぎて送信に失敗したのに、本人が気づかないことです。失敗したら、画面にその理由が出るようにしてください。「写真が大きすぎます。枚数を減らすか、小さくしてもう一度お試しください」と出れば、送る人は直せます。
写真をメールに添付して届ける仕組みだと、メールの容量の上限で届かないこともあります。どう受け取るかは、フォームを作った会社に確かめておいてください。
添付できない人の、逃げ道を用意する
添付欄は必須にせず、「写真はあとから送っていただいても構いません」と書いておきます。返信のメールに写真を付けて送ってもらう、電話のあとに送ってもらうなど、別の道があれば止まりません。
写り込みに、一言触れておく
写真には、表札や車のナンバーが写り込みます。「表札やナンバーは写らなくて構いません」と一言添えておくと、送る人の気持ちが軽くなります。住所や写真は、個人情報として扱うことになります。受け取ったあとの保管や扱いは、プライバシーポリシーにも書いておきます。書き方の考え方は ホームページのプライバシーポリシーに、何を書くか にまとめました。どこまで何を書くべきかは業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。
6. 送信したあとに何が起きるかを書く
見積もりを頼む人がいちばん気にしているのは、送ったあとに何が起きるかです。いつ連絡が来るのか。電話がかかってくるのか。見積もりにお金はかかるのか。断ってもいいのか。
これが分からないと、送信ボタンの前で手が止まります。ボタンの近く、送信後の画面、自動の受付メールの3か所に書いておきます。
書いておくこと
- いつまでに、誰から、どの手段で連絡するか ― 「翌営業日までに、担当者からメールでご連絡します」
- 次に何が起きるか ― 写真で概算をお伝えするのか、現地調査の日程を決めるのか
- 見積もりにお金がかかるか ― 無料なら無料と書く。有料の場合があるなら、どんなときかを書く
- 見積もりのあとに断ってもいいか ― 「お見積もりのあと、お断りいただいても構いません」
- 連絡が来なかったときにどうするか ― 迷惑メールのフォルダの確認と、電話番号
最後の項目は見落とされがちです。返信が迷惑メールに入り、相手は「返事が来ない」と思っている。こういうことが起きます。
送信が終わった画面に、受け付けたことと、次に何が起きるかを書きます。写真が送れなかった場合は、ここでそう分かるようにしておきます。
送った内容の控えと、連絡の目安の時間を載せます。届かない場合の確認先として、電話番号も入れておきます。
フォームと写真の内容から、幅のある金額と、現地調査が要るかどうかをお伝えします。要らない場合は、ここで見積書に進みます。
日程、かかる時間、立ち会いが要るかを先に伝えます。調査が無料か有料かも、ここまでに書いておきます。
見積書を出したあとに、断ってもいいことを改めて伝えます。こちらから契約を急かす連絡をしないなら、それも書いておきます。
この流れを送信ボタンの近く、送信後の画面、自動の受付メールの3か所に書いておきます。送る前に流れが見えているだけで、「送ったら電話で営業されるのでは」という不安が減ります。
返す時間は、守れる時間を書く
「すぐにご連絡します」と書くと、相手は数分から数時間を想像します。守れる時間を書いてください。「翌営業日まで」でも、守れるほうが大事です。
どのくらいで返すのがよいか、すぐ答えられないときの一次返信の書き方は 問い合わせが来たあと、何時間以内に返すべきか にまとめてあります。
7. 現地調査が要る場合と、スパム対策
「現地を見ないと分かりません」だけにしない
サイトに「お見積もりは現地調査のうえで」とだけ書くと、読む人は身構えます。家に来られたら断りにくいと感じるからです。
そこで、現地調査について次のことを書いておきます。
- 費用 ― 無料か有料か。有料なら、どんな場合に、いくらかかるか
- かかる時間 ― 「30分ほど」「1時間ほど」の目安
- 立ち会い ― 必要か。外回りだけなら不要、などの条件
- 日程の決め方 ― フォームで希望日を聞くのか、連絡のときに決めるのか
- 調査のあとに断ってもいいか ― ここがいちばん大事です
- 来てもらえる範囲 ― 対応エリアの外なら、調査そのものができないこと
写真でどこまで分かるかも書いておくと親切です。「写真をお送りいただければ、現地調査の前に幅のある金額をお伝えできます」。これで、まず写真で相談し、合いそうなら調査を頼む、という順番を相手が選べます。
フォームで希望日を聞くなら
第1から第3希望までを、日付と時間帯で選べるようにします。「この日でなくても構わない」も選べると、予定が未定の人も送れます。確定と思われないように、「ご希望を伺ったうえで、こちらから日程をご連絡します」と書き添えてください。
スパム対策は、人間かどうかを判定する仕組みで
スパム対策を入れるなら、Turnstile や reCAPTCHA のような、人間かどうかを判定する仕組みに寄せてください。判定に失敗したときに、送る人の画面でそう分かるからです。
人には見えない入力欄を置いて判定する方法は、おすすめしません。ブラウザの自動入力がその欄を埋めてしまい、正しい依頼まで黙って捨てられることがあるからです。詳しくは 問い合わせフォームで、人はどこで手を止めるのか に書きました。
公開したら、自分で送ってみる
フォームを公開したら、スマートフォンから、写真を付けて、実際に送ってみてください。自動の受付メールが届くか。迷惑メールに入っていないか。写真は開けるか。受け取る担当者に通知が届くか。
公開したときだけでなく、季節に1回くらい繰り返します。フォームは、ある日突然届かなくなることがあるからです。
8. 雄喜晃の伴走:見積もりフォームは、最初の返信から逆算して作ります
私たちがやること
私たち雄喜晃は、見積もりフォームを作るとき、最初の返信の文面から逆算して項目を決めます。貴社が見積もりを出すときに、何を見て、何を聞き返しているのか。そこを伺ってから、聞く項目と、分からない人のための選択肢を一緒に決めます。
写真の例、送信後の画面と受付メールの文面、現地調査の説明も、貴社の流れに合わせて書きます。公開したら、スマートフォンから写真付きで送って、届くところまで確かめます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、使ってみて「この選択肢が分かりにくい」と分かったときの直しも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
貴社の見積もりの金額や、見積もりの出し方そのものを決めることはしません。それは貴社の商売の判断だからです。私たちがやるのは、決まった出し方に合わせて、必要な情報が一度で届く形を作ることです。
また、スパム対策として、見えない入力欄で判定する作り方はしません。問い合わせの件数や検索の順位をお約束することもいたしません。
「見積もりの依頼は来るのに、聞き返しばかりで話が進まない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
9. まとめ:見積もりフォームは、聞き返しを減らすためにある
見積もり依頼のフォームを作るときに押さえることは、5つです。
- 依頼が多いなら、一般のフォームと分ける ― 入口のボタンで、どちらに進むかを選ばせる
- 項目は、最初の返信で幅のある金額を出せるかで決める ― 場所・大きさ・数量・希望時期・写真。必須は少なく
- どの項目にも「分からない」の道を残す ― 単位ではなく身近なもので聞き、専門用語を見た目の言葉に直す
- 写真は、撮ってほしいものと上限を書く ― 失敗したら画面で分かるように。あとから送る道も用意する
- 送ったあとの流れと、現地調査の条件を先に見せる ― 断ってもいいことを、はっきり書く
見積もりフォームの役目は、聞き返しの往復を減らして、最初の返信で話を前に進めることです。
今日できることを1つだけ挙げます。直近で受けた見積もりの依頼を3件思い出して、金額を出す前に、相手に何を聞き返したかを書き出してみてください。その聞き返した内容が、フォームに足すべき項目です。