1. 「ダウンロードできるのに、郵送してほしいと言われる」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「会社案内もカタログも、サイトからダウンロードできるようにしてあるんです。それなのに、紙で送ってもらえませんか、という電話がときどき来て。そのたびに住所を聞いて、メモして、封筒に書いて。これ、サイトのほうで何とかならないでしょうか」
ダウンロードを用意したのに郵送を頼まれると、少し手間に感じるかもしれません。ただ、郵送を頼む方には、紙でないと困る事情があります。そして、わざわざ電話をして頼んでくれる方は、すでに貴社のことをかなり真剣に考えている方です。
この記事では、その方々にホームページの側でどう応えるかを書きます。電話を受けてから住所を聞く流れを、サイトで受け付けて、届くまでを案内する流れに置き換える話です。
この記事の役割
近いテーマの記事がいくつかあります。資料をPDFで置くかどうか、置くならどう置くかは 会社案内やカタログを、ホームページからダウンロードできるようにするか に、フォームの項目を減らす考え方は 問い合わせフォームの項目は、いくつまで減らせるか に、年配のお客様向けの読みやすさは 年配のお客様が多い会社の、ホームページの直し方 にまとめました。
この記事で扱うのは、紙の資料を郵送で受け取りたい方のための入口と、送り届けるまでの段取りです。
2. 郵送を望むのは、どんな方か
先に、郵送を望む方の事情を見ておきます。事情が分かると、フォームで何を聞けばよいかも見えてきます。
画面で資料を読むのが苦手な方
パソコンやスマートフォンで、何ページもある資料を読むのは疲れます。文字を拡大しながら読むのが面倒な方、そもそもPDFの開き方が分からない方もいます。紙なら、机に広げて、自分の速さで読めます。
こうした方は、ダウンロードのボタンを見ても押しません。押さずに電話をかけてくるか、何もせずに離れてしまいます。電話をかけてくれる方は、まだ良いほうです。
社内で回覧したい法人
法人の担当者の方は、資料を自分だけで読むわけではありません。上司に見せる、会議で配る、決裁の書類に添える。社内で回すには、紙のほうが都合のよい会社がまだあります。
PDFを印刷すれば済む、と思われるかもしれません。ただ、カラーで何十ページも印刷するのは、担当者にとっても手間です。きれいに刷られた冊子が届けば、そのまま回せます。
紙で並べて比べたい方
何社かを比べている方は、資料を並べて見比べたいと考えます。画面では、資料を切り替えながら見ることになります。紙なら、机の上に3社分を並べて、同じページを見比べられます。
住まいや介護、葬儀のように、家族と相談して決める商売では、紙を囲んで話し合うこともあります。画面を何人かでのぞき込むより、紙のほうが話しやすい場面です。
手元に置いておきたい方
すぐには決めないけれど、いずれ頼むかもしれない。そういう方は、資料を手元に取っておきたいと考えます。ダウンロードしたファイルは、どこに保存したか忘れてしまいます。紙なら、引き出しに入れておけます。
受けない、という判断もある
郵送には、印刷代、封筒代、送料、そして封入の手間がかかります。商売によっては、郵送を受けない判断もあります。その場合は、「資料の郵送は承っておりません」とページに書いておくと、電話で断る手間が減ります。代わりに、ダウンロードの案内や、来店・来社のときにお渡しできることを書き添えます。
3. 資料請求のフォームで、受け取り方を選べるようにする
郵送を受けると決めたら、まずは申し込みの入口を作ります。
受け取り方を、最初に選んでもらう
資料請求のフォームの最初に、受け取り方を選ぶ欄を置きます。
- この場でダウンロードする
- 郵送で受け取る
- どちらも希望する
選び方は、1つだけ選べる形にします。最初に受け取り方を決めてもらうと、そのあとに聞く項目を変えられます。ダウンロードを選んだ方には住所を聞かず、郵送を選んだ方にだけ住所の欄を出す、という作り方です。
郵送を選んだ方にだけ、住所を聞く
ダウンロードで済む方にまで住所の欄を見せると、「住所まで書かないといけないのか」と思われて、そこで止まる方が出ます。郵送を選んだときだけ、住所の欄が出てくるようにしてください。
選び方によって欄を出し分けるのが難しい場合は、ページを2つに分けても構いません。「ダウンロードはこちら」「郵送をご希望の方はこちら」と、入口を分けておく形です。
電話やFAXでの申し込みも、書いておく
画面での入力が苦手な方のために、電話やFAXでも申し込めることをフォームのそばに書いておきます。番号と受付時間、そして「お電話の際は『資料の郵送希望』とお伝えください」の一言があると、受ける側も話が早くなります。
ページのどこに置くか
資料請求の入口は、資料の案内があるページと、問い合わせのボタンの近くに置きます。「資料をご希望の方へ」の一行を、トップページや料金のページの下にも添えておくと、探さずに見つけてもらえます。
4. 聞く項目は、宛名・住所・部署まで
郵送のフォームは、届けるのに要るものだけを聞きます。聞きすぎると、送られる前に止まります。
届けるのに要る項目
郵送に要るのは、次の項目です。
- お名前 ― 封筒の宛名になります
- 郵便番号と住所 ― 建物名と部屋番号は、別の欄に分けると書き漏れが減ります
- 会社名と部署 ― 法人の場合だけ。部署がないと、届いても担当者の手元に回らないことがあります
- 連絡先 ― メールアドレスか電話番号のどちらか。住所の不備で届かなかったときに使います
- ほしい資料 ― 何種類かあるなら、選ぶ形にします
会社名と部署は、法人と個人の両方を相手にしている場合、任意の欄にしておきます。個人の方が「会社名」の欄で止まらないようにするためです。
| 項目 | 聞く理由 | 扱い |
|---|---|---|
| お名前 | 封筒の宛名にする | 必須 |
| 郵便番号・住所 | 送り先。たとえば建物名と部屋番号は別の欄に分ける | 必須 |
| 会社名・部署 | 法人なら、届いたあと担当者に回るように | 任意(法人だけが書く) |
| メールか電話 | 住所の不備で届かなかったときの連絡に使う | どちらか1つを必須 |
| ほしい資料 | たとえば「会社案内」「製品カタログ」から選ぶ | 選ぶ形で必須 |
| 予算・検討の時期 | 資料を送るだけなら要らない | 聞かない |
| 役職・年齢・知ったきっかけ | 送るのにも、判断するのにも使わない | 聞かない |
残す基準は、その項目が無いと送れないかどうかです。営業のために知りたいことは、資料が届いて、相手から連絡をもらってから聞けば足ります。
聞かなくてよい項目
予算、検討の時期、役職、年齢、「当社を何で知りましたか」。どれも営業の側からは知りたいことですが、資料を送るのには使いません。必須にすると、まだ何も決めていない方が手を止めます。
どうしても聞きたい場合は、任意の欄にして、一番下に置きます。空欄でも送れることが、ひと目で分かるようにしてください。
住所の入力を、楽にする
住所の欄は、入力の手間がいちばんかかるところです。郵便番号を入れると、住所の途中までが自動で入る作りにしておくと、入力がずいぶん楽になります。
宛名の欄に「様」を付けるかどうかで迷う方もいるので、「お名前(様は不要です)」のように一言添えておくと、封筒に「様様」と並ぶことも防げます。
5. 届くまでの目安と、送る中身の一覧を書く
申し込む前に、いつ・何が届くかが分かると、安心して送れます。
届くまでの目安は、発送の日で書く
届く日は、配送の事情や地域によって変わります。書くのは、貴社が発送する日の目安です。たとえば「お申し込みから〇営業日以内に発送します」のように、営業日で書きます。
あわせて、次のことも書いておきます。
- 土日祝日や年末年始の扱い ― その間の申し込みは、休み明けに発送すること
- 送り方 ― 普通郵便か、追跡のできる送り方か
- 差出人の名前 ― 封筒に何と書かれて届くか
3つ目は見落とされがちです。見覚えのない差出人の封筒は、開けられずに捨てられることがあります。「〇〇株式会社 資料係」のような名前で届きます、と書いておくと、受け取った方が貴社の封筒だと分かります。
送る中身を、一覧にして見せる
郵送のページには、封筒に何が入っているかを一覧で書きます。
- 会社案内 ― ページ数と、いつの版か
- 製品カタログ ― 何の製品が載っているか
- 価格表 ― 価格がいつ時点のものか
- 申込書や依頼書 ― 同封していれば、その旨と返送の方法
- ごあいさつの一枚 ― 担当者の名前と連絡先
中身が分かっていると、「思っていた資料と違った」ということが減ります。そして、受け取った方がどの資料から読めばよいかも分かります。可能なら、表紙の写真を小さく並べておくと、届いた封筒の中身とすぐに見比べられます。
価格表は、版と期限を入れておく
紙の資料でいちばん困るのは、刷ったあとに中身が古くなることです。とくに価格表は、届いたあともしばらく手元に残ります。表の隅に「〇年〇月現在」と入れておくと、あとで価格が変わったときに、どちらが新しいかが分かります。
紙とサイトで、価格や連絡先の書き方をそろえておく考え方は 会社案内・チラシとホームページの、役割分担 に書きました。
6. ダウンロードと郵送、両方を用意するか
郵送を受けるなら、ダウンロードはやめてもよいのか。両方を用意するのか。ここは、貴社の資料と、お客様の事情で決まります。
たとえば資料の改訂が多く、紙を刷るとすぐ古くなる商売。手間はかかりませんが、画面で読むのが苦手な方や、回覧したい法人は電話をかけてくるか、離れていきます。
たとえば冊子の作りに力を入れていて、手に取って見てほしい商売。届くまで数日待つので、すぐに中身を見たい方には遠回りになります。
たとえば法人の担当者が、先にPDFで中身を確かめ、社内で回す分を郵送で受け取る。急ぐ方も、紙がほしい方も、同じ入口から選べます。
どれが正しいかは、資料をどれくらいの頻度で直すか、お客様にどんな方が多いかで変わります。迷ったら③から始めて、郵送の申し込みがほとんど来なければ①に寄せる、という決め方もできます。
両方を用意するなら、版をそろえる
両方を用意するときにいちばん気をつけたいのは、PDFと紙の中身がずれることです。サイトのPDFは新しい版に差し替えたのに、手元に残っている紙は古い版のまま、ということが起こります。
価格や連絡先が変わったら、PDFを差し替えるのと同じ日に、紙の在庫をどうするかを決めてください。刷り直すまでの間は、訂正の一枚を同封する、という手もあります。
法人には、両方をすすめる場面が多い
法人の担当者は、まず中身を見て、社内に上げるかどうかを決めます。そのあとで、回覧用の紙がほしくなります。「まずはPDFでご覧いただき、紙が必要な場合は郵送もいたします」と書いておくと、担当者の方の進め方に合います。
7. 送ったあとの一言と、個人情報の扱い
申し込みを受けて、資料を送ったら終わり、ではありません。送ったあとにも、ひと手間あると印象が変わります。
申し込みの直後に、次に起きることを書く
フォームを送った直後の画面には、「受け付けました」「〇営業日以内に発送します」「〇〇という名前の封筒で届きます」の3つを書きます。住所の書き間違いに気づけるよう、申し込みの内容を控えのメールで送る作りにしておくと親切です。送信完了の画面の書き方は 問い合わせを送ったあとの「送信完了」の画面に、何を書くか にまとめました。
発送したら、一言知らせる
資料を送ったら、メールか電話で「本日、資料を発送しました」と一言伝えます。届くのを待っている方は、いつ届くかを気にしています。発送の連絡があると、受け取る準備ができます。
連絡の方法は、申し込みのときに選んでもらった連絡先を使います。電話を選んだ方にはメールを送らず、メールを選んだ方には電話をかけない。相手が選んだ方法で連絡することが、いちばんの気配りです。
封筒に、ひとこと添える
封筒の中には、資料と一緒にごあいさつの一枚を入れておくと、受け取った方がどこに連絡すればよいか迷いません。担当者の名前、電話番号と受付時間、問い合わせのページのURL。手書きのひとことを添えるかどうかは、貴社の商売に合わせて決めてください。
届いた頃に一度だけ、「お手元に届きましたか」と連絡するのは構いません。ただ、何度も電話をかけるのは避けてください。資料を頼んだだけで営業の電話が続くと分かると、次からは頼んでもらえなくなります。
住所や名前は、使う目的を書いて、その範囲で使う
郵送の申し込みでは、名前と住所という、大事な情報を預かります。扱いについては、ここでは一般論にとどめます。
- 何に使うかを、フォームのそばに書く ― たとえば「資料の発送と、届かなかったときのご連絡に使います」
- 書いた目的の外では使わない ― 案内を送るつもりがあるなら、そのことも先に書いておく
- 扱う人と、置き場所を決める ― 宛名を書いたメモや送り状の控えを、机に出したままにしない
- いつまで持つかを決める ― 送り終えたあと、いつまで残しておくか
同じことを、サイトのプライバシーポリシーにも書いておきます。書き方は ホームページのプライバシーポリシーに、何を書くか にまとめました。どこまで何をすればよいかは、業種や扱う情報によって違います。判断が難しいときは、所管の窓口や専門家に確認してください。
また、住所を入れるだけで物が届くフォームは、いたずらの申し込みも来やすくなります。対策は、人が操作しているかを確かめる仕組み(Turnstile や reCAPTCHA など)に寄せ、発送の前に住所と名前を一度目で見る手順を決めておくと安心です。
8. 雄喜晃の伴走:郵送の入口と、届くまでの案内を作ります
私たちがやること
私たち雄喜晃は、資料請求のページを作るとき、まず貴社が郵送を受けるかどうか、受けるならどこまで送れるかを伺うところから始めます。送る資料の種類、発送までの日数、封筒に書く差出人の名前、発送のあとに誰が連絡するか。そこが決まってから、ページとフォームを作ります。
受け取り方を選ぶ欄、郵送を選んだときだけ出てくる住所の欄、送る中身の一覧、送信完了の画面、控えのメールまで、同じ条件で書きそろえます。公開したら実際に申し込み、控えのメールが届くところまで確かめます。資料の表紙の写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、資料の版が変わったときの一覧の書き換えや、PDFの差し替えも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
郵送を受けるかどうかや、送る資料の中身を、こちらで決めることはしません。それは貴社の商売の判断だからです。私たちがやるのは、決まった条件を、申し込む方に伝わる形に書き直すことです。
資料の封入や発送の作業、申し込みで受け取った住所の管理は、お引き受けしていません。個人情報の扱いが法的に足りているかを判断することもしません。資料請求の件数や、検索の順位をお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。
「郵送の依頼が来るたびに、電話で住所を聞いている」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:紙を望む方にも、迷わない入口を
資料を郵送で受け取りたい方に、ホームページで応えるときに押さえることは5つです。
- 郵送を望む方には事情がある ― 画面で読むのが苦手、社内で回したい、紙で並べて比べたい、手元に置きたい
- 受け取り方を選べるようにする ― ダウンロードか郵送か両方かを最初に選び、郵送のときだけ住所を聞く
- 聞くのは、届けるのに要る項目だけ ― 宛名、住所、法人なら部署、届かないときの連絡先、ほしい資料
- 届くまでの目安と、中身の一覧を書く ― 発送の日を営業日で、差出人の名前、封筒に入っているもの
- 送ったあとは一言で、住所は目的の範囲で使う ― 発送の連絡は相手が選んだ方法で、何度も電話しない
郵送は、手間とお金がかかる渡し方です。それでも、紙で受け取りたいと言ってくれる方は、貴社の資料をじっくり読むつもりの方です。その方が迷わずに申し込める入口があるかどうかで、次の連絡につながるかが変わります。
まず、今日できること
この1か月に、電話やメールで「資料を送ってほしい」と頼まれた件数を、社内で一度数えてみてください。あわせて、そのとき何を聞いて、何を送ったかを書き出します。その書き出しが、そのまま郵送のフォームの項目と、送る中身の一覧になります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。紙を望むお客様の入口を、貴社の受けられる範囲で作るところから、ご一緒します。