1. 「電話のたびに、車いすのまま乗れますか、から説明していて」

介護タクシーや福祉の送迎をしている方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「お電話はいただくんです。でも毎回、車いすのまま乗れるか、玄関から手伝ってもらえるか、いくらかかるか、から説明していて。サイトには『介護タクシー』と書いてあるんですけど、それだけでは分からないみたいで」

一般のタクシーなら、乗れるかどうかを気にする人はほとんどいません。介護タクシーは違います。乗れるかどうかが、乗る人の体の状態と、車と、手伝いの範囲で変わるからです。

しかも、サイトを見ているのは乗るご本人とは限りません。離れて暮らすご家族、担当のケアマネジャー、入院先の病院の相談員。それぞれが、違うことを確かめに来ています。電話で毎回説明していることは、その人たちがサイトの中で見つけられなかった答えです。

この記事では、介護タクシーや福祉の送迎をしている事業者のホームページに、何を載せればいいかを書きます。

この記事の前提

人を乗せて運ぶ仕事には、事業の許可や届け出、表示の決まりが関わります。介護保険などの制度が使えるかどうかも、事業の形やご本人の状況によって違います。この記事では制度の中身には踏み込みません。許可や表示、保険の適用については、所管の窓口に確認してください。これが、この記事を通しての前提です。

この記事で書くこと

  • サイトを見に来る3種類の人と、それぞれが確かめていること
  • 車いすやストレッチャーのまま乗れるかを、車と機材の事実で書く方法
  • 乗り降りの手伝いを、どこからどこまでか書く方法
  • 運賃と介助料と機材の料金を、分けて書く方法
  • 予約の受け方と、前日までの連絡
  • 対応できる地域と時間、付き添いの家族、乗務員の資格

2. 見に来る人は、3種類いる

介護タクシーのサイトを開く人は、だいたい3種類に分かれます。同じページを見ていても、探しているものが違います。

図:介護タクシーのサイトを見に来る3種類の人と、確かめていること(たとえばの整理です)
① ご本人とご家族
うちの親が、この状態で乗れるか

車いすのまま乗れるか、部屋から手伝ってもらえるか、全部でいくらかかるか、家族が一緒に乗れるか。離れて暮らすご家族が、夜や休日に調べていることが多い人たちです。

料金の総額と、手伝いの範囲を探している
② ケアマネジャー
担当している方に、紹介していいか

対応できる地域と時間、定期の通院を受けているか、急な依頼に応じられるか、連絡がつきやすいか。何人もの利用者を担当しているので、紹介できる先を手元に持っておきたい人たちです。

条件と、連絡のつきやすさを探している
③ 病院の相談員
退院や転院の日に、この方を運べるか

寝たままで乗れる車があるか、長い距離や県外に行けるか、医療の機器を付けたまま乗れるか、何日前までに頼めばいいか。日にちが急に決まることが多い人たちです。

車と機材、受けられる日を探している

3者とも、最後に確かめているのは「この人を、この条件で、この日に運べるか」です。ページを3つに分ける必要はありません。1つのページの中で、それぞれが自分の探している答えを拾えるように並べます。

「ケアマネジャーや病院の方からのご依頼も」と書く

ご本人やご家族向けの言葉だけで書かれていると、ケアマネジャーや相談員は「仕事として頼んでいい先か」が分かりません。電話番号の近くに、「ケアマネジャー・病院の相談員の方からのご依頼も承ります」と一行置いてください。それだけで、紹介する側が連絡しやすくなります。

文字と電話番号は、大きく

ご本人やご家族には、年配の方も多くいます。文字の大きさ、背景と文字の色の差、電話番号の押しやすさは、ほかの業種より気を配ってください。直す場所は 年配のお客様が多い会社の、ホームページの直し方 に順に書きました。

3. 「乗れるか」を、車と機材の事実で書く

いちばん最初に確かめられるのが、ここです。そして、いちばん一言で済まされやすいところでもあります。

「車いす対応」の一言では、判断できない

「車いす対応車両あり」と書いてあっても、読む人は判断できません。車いすにもいろいろな形があり、背もたれが倒れる大きな車いすや、電動の車いすが乗るかどうかは、車によって違うからです。書いてほしいのは、次のような事実です。

  • 乗り込み方 ― 後ろからリフトで上げるのか、スロープで押して乗るのか。車ごとに違うなら車ごとに
  • 乗れる車いすの大きさ ― 背もたれが倒れる車いすや電動の車いすが乗るか。乗らない場合があるなら、そのことも
  • 寝たままで乗れるか ― ストレッチャーのまま乗れる車があるか。あるなら何台か
  • 一緒に乗れる人数 ― 車いすの方のほかに、何人まで座れるか
  • 持ち込める機器 ― 酸素の機器など、体に付けている機器のまま乗れるか。扱いに決まりがあるものは、確かめたうえで書く

貸し出しの機材を書く

ご自分の車いすを持っていない方や、病院の車いすで退院する方もいます。車いすやストレッチャーを貸し出しているか、料金はかかるかを書いてください。階段を降りるための機材を持っているなら、それも書きます。

車の写真は、扉を開けたところを

車の写真は、外から撮った1枚だけで済ませないでください。扉を開けたところ、リフトやスロープを下ろしたところ、車内の座席の並びが写っていると、読む人は乗る場面を思い浮かべられます。車いすの方が乗った状態の写真を使う場合は、写っている方の了解を取ってください。

台数が少ないなら、そのことも

車が1台か2台の事業者では、同じ時間に依頼が重なると受けられません。「車両は〇台のため、ご希望の時間にお受けできないことがあります」と書いておくと、早めに予約してもらえます。お断りするときの気まずさも減ります。

来てもらう場所の段差や車いすの案内を、一言でまとめずに事実で書く考え方は、段差や駐車場、車いすでの来店を、ホームページでどう案内するか にまとめました。乗り物の場合も、考え方は同じです。

4. 乗り降りの手伝いを、どこからどこまでか書く

「介助いたします」とだけ書いてあると、どこまで手伝ってもらえるのかが分かりません。ご家族がいちばん気にしているのは、家の中から車まで、車から病院の受付まで、誰が手を貸すのかです。

場面ごとに分けて書く

手伝いの範囲は、場面ごとに分けて書くと伝わります。

  • 部屋の中から ― ベッドから車いすへの移りを手伝うか。着替えや身支度は含むか
  • 玄関から ― 玄関の段差、家の前の坂や階段をどうするか
  • 階段 ― エレベーターのない2階や3階からの乗り降りを受けるか。受けるなら何人で、どの機材で
  • 行き先の中 ― 病院の受付まで、診察室の前まで、待合での付き添い、会計まで。どこまで一緒に行くか
  • 帰り ― 家に着いたあと、部屋の中まで、ベッドまで戻すか

場面ごとに「お手伝いします」「ご相談ください」「お受けしていません」を分けておくと、読む人は自分の家の場合に当てはめられます。

できないことを、先に書く

手伝いには、できないこともあります。体の状態に関わる医療的なケアや、薬の管理など、乗務員が行えないことがあるなら、そのことを先に書いてください。何ができて何ができないかには、資格や決まりが関わる場合があります。書き方に迷う項目は、所管の窓口に確認してください。

できないことを書くのは、断るためではありません。ご家族が当日、誰に何を頼めばいいかを前もって決められるようにするためです。「病院の中の手続きは、ご家族か病院の方にお願いしています」と書いてあれば、ご家族は付き添いを手配できます。

体の状態を、前もって聞く理由も書く

予約のときに体の状態を細かく聞くと、詮索されていると感じる方もいます。「安全に乗っていただくために、お体の状態を伺っています」と、聞く理由を一行添えてください。聞かれる側の受け取り方が変わります。

5. 料金は、運賃と介助料と機材の料金を分けて書く

料金は、ご家族とケアマネジャーの両方が見ています。そして、いちばん分かりにくいところです。

合計だけでも、運賃だけでも伝わらない

介護タクシーの料金は、いくつかの性質の違うお金が合わさってできています。走った距離や時間で決まるもの、手伝いの中身で決まるもの、借りた機材で決まるもの。これを合計の一言にすると、何で高くなったのかが分かりません。運賃だけを書くと、あとから介助料が足されて「聞いていた金額と違う」と受け取られます。

表:介護タクシーの料金を、性質ごとに分けて書く(たとえばの書き方で、金額の欄はすべて架空の〇〇です)
区分書き方の例(たとえば)添えておくこと
運賃「距離制:初乗り〇kmまで〇〇円、以降〇mごとに〇〇円」「時間制:30分ごとに〇〇円」迎えに行く料金がかかるか。待ち時間が運賃に入るか
介助料「乗り降りのお手伝い:〇〇円」「階段のお手伝い:〇〇円から」「病院内の付き添い:30分ごとに〇〇円」どの場面が運賃の中に含まれるか。人数が増えるときの扱い
機材の料金「車いすの貸し出し:〇〇円」「ストレッチャー:〇〇円」ご自分の車いすで乗る場合はかからないこと
その他「早朝・夜間:〇割増し」「有料道路・駐車場の料金:実費」キャンセルの料金がいつからかかるか

区分の分け方と金額は、貴社が実際にいただいている料金で書いてください。どの区分が、どの場面でかかるかが分かれば、読む人は自分の場合の合計を見当できます。

総額の例を、1〜3件並べる

区分を分けたうえで、よくある依頼の総額の例を並べてください。たとえば「ご自宅の玄関から車いすで乗り、〇km先の病院へ。受付までお手伝いした場合の片道の総額の例」のように、条件と一緒に書きます。

例は1件だけだと基準になりません。近所の通院、階段の手伝いがある場合、寝たままで長い距離を行く場合のように、性質の違う例を2〜3件置くと、読む人は自分に近い行を探せます。条件つきで金額を出す考え方は、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。

保険や助成が使えるかは、断定しない

ご家族からよく聞かれるのが、「介護保険は使えますか」という質問です。使えるかどうかは、事業所の形や、ご本人の状況、使う場面によって違います。サイトで「保険が使えます」と言い切ると、使えなかった方との行き違いになります。

書き方は、たとえば次のような形です。

「介護保険などの制度が使えるかどうかは、ご本人の状況によって違います。担当のケアマネジャーにご相談ください。当社でお受けしている形については、お電話でご説明します」

自治体によっては、移動の費用について独自の助成がある場合もあります。これも地域によって違うので、「お住まいの市区町村の窓口でご確認ください」と添えるにとどめてください。貴社として案内できることがあるなら、所管の窓口に確かめたうえで、確かめた時点を添えて載せます。

支払いの方法

その場で現金なのか、ほかの方法も使えるのか。ご本人が乗って、支払いはご家族という場合にどうするか。乗る人と払う人が違うことが多い業種なので、ここも書いておくと親切です。

6. 予約の受け方と、前日までの連絡

電話が中心でいい。フォームは「受付」として

介護タクシーの予約は、聞くことが多いので電話が中心になります。それで構いません。サイトにフォームを置く場合は、送った時点で予約が決まるのではなく、折り返しの連絡で決まることをはっきり書いてください。ネットで予約を受けるかどうかの判断は、予約をネットで受けるか、電話のままにするか に書きました。

予約のときに伺うことを、先に載せる

予約の電話で毎回聞いていることを、サイトに並べておきます。かける前に手元に揃えてもらえるので、電話が短くなります。

  • 乗る場所と行き先 ― 住所と、建物の名前。病院なら何階のどの科か
  • 日にちと時間 ― 病院の予約の時刻。帰りの便も要るか
  • 乗り方 ― ご自分の車いすか、貸し出しの車いすか、寝たままか
  • 家の様子 ― 何階か、エレベーターがあるか、玄関に段差があるか
  • 一緒に乗る人 ― 付き添いのご家族が何人か
  • 体の状態で気をつけること ― 座っていられる時間、付けている機器など

「何日前まで」と「当日の依頼」を書く

何日前までに予約すればいいかを書いてください。あわせて、当日の依頼を受けているか、受けているならどんな条件かも書きます。

  • 前日までの連絡 ― 前日に、こちらから確認の電話をするかどうか。時間の変更は何時まで受けるか
  • 当日の依頼 ― 空きがあればお受けする、のように条件つきで
  • 帰りの時間が読めない通院 ― 診察が長引いたときに、どう連絡を取り合うか
  • 決まった曜日の通院 ― 毎週や毎月の予約をまとめて受けているか
  • キャンセル ― いつまでなら料金がかからないか

退院の日は、病院から急に知らされることがあります。相談員の方が気にするのは、何日前に分かれば受けられるかです。短い日数でも受けられる場合があるなら、「まずはお電話でご相談ください」と添えておきます。

7. 地域と時間、付き添いの家族、乗務員の資格

対応できる地域は、市区町村の名前で

「〇〇市周辺」だけだと、隣の市が入るのかが分かりません。いつもお受けしている市区町村、条件つきでお受けする地域、遠方への長い距離の移動を分けて書いてください。営業所から遠い場所に迎えに行くときの料金があるなら、それも書きます。転院や帰省で県外まで行けるかどうかは、病院の相談員がよく確かめるところです。書き方は 「対応エリア」を、ホームページにどう書くか にまとめました。

時間は、曜日ごとに

受付の時間と、車が動いている時間が違うなら、分けて書きます。平日、土曜、日曜・祝日、年末年始のように曜日ごとに。早朝や夜間を受けているなら、何時からか、料金が変わるかも書いてください。

付き添いのご家族のこと

  • 一緒に乗れるか ― 何人まで。乗れる人数で運賃が変わるかどうか
  • 付き添いがなくても乗れるか ― 一人暮らしの方を、ご家族なしで病院まで送れるか
  • 離れて暮らすご家族への連絡 ― 到着したことや、乗り降りの様子をご家族に知らせているか
  • 行き先で合流する場合 ― ご家族が病院で待っている場合の、待ち合わせの決め方

離れて暮らすご家族は、当日その場にいられないことが多いです。到着の連絡をしているなら、それだけで依頼する理由になります。

乗務員の資格は、誰が何を持っているか

乗務員が持っている資格は、ご家族にとって安心の材料です。運転に関わる免許と、介助に関わる研修や資格。誰が、どの資格を持っているかを正確に書いてください。資格の名前だけでは意味が伝わらないので、「乗り降りのお手伝いに関わる研修を受けています」のように、お客様にとっての意味を一行添えると伝わります。載せ方は 資格・許認可・受賞歴を、ホームページにどう載せるか に書きました。

乗務員が辞めたり増えたりしたときに、ページをいつ直すかも決めておいてください。

許可や届け出の表示

事業の許可や届け出の番号など、表示を求められる項目がある場合があります。何をどこにどう書くかは、事業の形によって違います。所管の窓口に確認したうえで、会社の案内のページに載せてください。ケアマネジャーや相談員の中には、紹介する前にここを見る方もいます。

8. 雄喜晃の伴走:電話で毎回伺っていることを、ページに並べます

私たち雄喜晃は、介護タクシーのホームページを作るとき、最初に「予約の電話で毎回聞いていること」を伺うところから始めます。その質問が、そのままサイトに書くべき中身になるからです。

私たちがやること

  • 乗れる条件を、車ごとに書く ― 乗り込み方、乗れる車いす、寝たままで乗れるか、一緒に乗れる人数を伺って表にします
  • 手伝いの範囲を、場面ごとに並べる ― 部屋の中から、階段、病院の中まで。できないことも一緒に書きます
  • 料金を、区分ごとに組み直す ― 貴社がいただいている料金を伺い、運賃と介助料と機材の料金に分けて、総額の例を添えます
  • 予約のときに伺うことを、一覧にする ― 電話をかける前に揃えてもらえるように並べます
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 車の扉を開けたところやリフトの写真など、どの写真があると伝わるかはお伝えします

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、料金の改定や、年末年始の営業のお知らせ、車の入れ替えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 貴社の料金や、手伝いの範囲そのものは決めません。決まった内容を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
  • 事業の許可や表示、保険の適用についての判断はしません。所管の窓口に確認していただくようお願いしています
  • 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「予約の電話で、毎回同じ説明から始めている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:乗る日の様子を、3者が思い浮かべられるか

介護タクシーや福祉の送迎のホームページで押さえることは、5つです。

  • 見に来る3者に答える ― ご本人とご家族、ケアマネジャー、病院の相談員。それぞれが自分の探す答えを拾えるように
  • 乗れるかを、車と機材の事実で ― 乗り込み方、乗れる車いす、寝たままで乗れるか、貸し出しの機材、台数
  • 手伝いの範囲を、場面ごとに ― 部屋の中から、階段、行き先の中まで。できないことを先に
  • 料金を、区分に分けて総額の例を ― 運賃、介助料、機材の料金、その他。保険や助成は断定せず、窓口につなぐ
  • 予約と地域と人を ― 何日前までか、当日の依頼、市区町村の名前、付き添いのご家族、乗務員の資格

介護タクシーは、乗る人ごとに条件が違う仕事です。だからこそ、条件ごとの答えが先に書いてあることが、頼む先を決める理由になります。許可や表示、保険の適用に関わるところは、所管の窓口に確認してください。

まずは今月、予約の電話で聞かれたことを1つずつメモしてみてください。同じ質問が3回出てきたら、それがサイトに足りていない答えです。