1. 「見積もりの電話で、毎回同じ説明をしているんです」

引越しの会社を経営されている方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「サイトには『単身〇万円から』と載せているんです。でも電話では『3階でエレベーターがないんですが』『土曜日だと高くなりますか』と、毎回同じことを聞かれて。結局、電話で一から説明しているんですよね」

引越しは、多くの人にとって数年に一度の出来事です。前回と今回では、条件がまるで違うことがほとんどです。だから、料金の数字が1つ載っていても、自分の場合に当てはまるのかが分かりません。

電話で毎回聞かれていることは、サイトに書いていない条件そのものです。金額の前に、何で金額が決まるのかを書いておくと、電話の中身が変わります。

この記事の役割

業種ごとに載せるものを整理した記事は、これまで士業・工務店・飲食・運送などについて書いてきました。運送の項では、法人の荷物を運ぶ会社を中心に、運べるものや車両、対応エリアの書き方に触れています。

この記事では、個人のお客様の引越しに絞ります。単身、家族、近距離の引越しを中心に、小さな事務所の引越しにも最後に少し触れます。

この記事で書くこと

  • 引越しを探している人が、問い合わせの前に確かめていること
  • 荷物の量・距離・日時・建物の条件で決まる料金の書き方
  • 見積もりの取り方を、お客様が選べるようにする
  • 繁忙期の受付の出し方と、当日の流れ
  • 梱包・不用品・エアコンなどの付帯作業
  • 破損したときの対応と、許可の表示の考え方

2. 引越しを探している人が、問い合わせの前に確かめていること

電話や問い合わせで聞かれることは、だいたい次の5つに収まるはずです。

  • 自分の引越しは、いくらくらいか ― 正確な見積もりでなくても、桁と幅が知りたい
  • 希望の日に来てもらえるか ― 年度替わりや週末は、とくに気になる
  • 見積もりはどう取るのか ― 家に来てもらう必要があるのか、電話や写真で済むのか
  • どこまでやってもらえるか ― 箱詰め、エアコン、要らない家具の処分まで頼めるのか
  • 壊れたらどうなるか ― 家具や家電、建物の壁や床に傷がついたときの対応

単身・家族・事務所で、重さが違う

単身の方は、金額と日程を気にします。ほかの会社と比べやすいからです。家族の引越しでは、どこまで手伝ってもらえるかと、当日の段取りが気になります。事務所の引越しでは、休日や夜に作業できるかが先に来ます。

トップページの最初の画面には、「単身・ご家族の近距離のお引越し」のように、いちばん多い依頼を置きます。何でも運びます、と書くより、主な依頼を1つ書いたほうが届きます。ほかの依頼は、その下に入口を並べれば足ります。

3. 料金が決まる4つの条件を、金額と一緒に書く

引越しの料金は、1つの数字で言い切れません。出すのは金額そのものより、何で金額が決まるかです。多くの会社では、おおむね次の4つで決まっているはずです。

  • 荷物の量 ― 何トンの車を何台使うか、作業員が何人要るか
  • 距離 ― 同じ市内か、隣の市か、県をまたぐか
  • 日時 ― 平日か週末か、午前か午後か、時間を指定するか、繁忙期か
  • 建物の条件 ― 階段で運ぶ階数、エレベーターの有無、トラックを停められる場所までの距離

この4つを、料金表の上に書いておきます。そのうえで、よくあるご依頼の例を、条件と一緒に並べます。

表:料金が決まる条件と、書き方の例(金額と条件は、たとえばの架空の例です)
決まるもの書き方の例読む人が分かること
荷物の量たとえば「単身でベッド・冷蔵庫・洗濯機と段ボール〇箱ほどなら、軽トラックか小さめのトラック1台」自分の荷物が、どの大きさに近いかを自分で測れる
距離たとえば「〇〇市内と隣の市までは基本の料金。それより遠い場合は距離で加算」市や町の名前で、自分がどちらに入るかが分かる
日時たとえば「平日と週末で料金が違います。時間をおまかせいただける場合は下がります」日を動かせる人が、安くする方法を自分で見つけられる
建物の条件たとえば「エレベーターのない3階以上、トラックを停める場所から玄関まで遠い場合は、作業員を1名増やします」自分の家が高くなる条件に入るかどうかが分かる
よくある例たとえば「2LDK・同じ市内・平日・作業員3名で、〇万〜〇万円が多いご依頼です」下限だけでなく、実際に多い幅が分かる

表の金額と条件は、貴社が実際にお受けしている内容で書いてください。大事なのは金額の大きさではなく、条件が金額の前に置かれていることです。高くなる条件に当てはまる方は、その前提で連絡してきます。

「単身〇万円から」だけにしない

いちばん多いのが、いちばん安い条件の金額だけを大きく出す形です。見積もりがその倍になると、お客様の中では「書いてあった金額と違う」という記憶が残ります。

下限を書くなら、実際に多い金額の幅も一緒に書いてください。条件つきの数字の出し方や、高くなる条件と安くなる条件の並べ方は、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。

安くなる条件も、同じ分量で書く

高くなる条件だけを並べると、脅しのように読まれます。下がる条件も、同じ分量で書いてください。

  • 日や時間をおまかせいただける場合
  • 箱詰めや荷ほどきを、ご自身でしていただく場合
  • 要らない家具を、引越しの前に処分しておいていただける場合

読む人が、自分で安くする方法を探せるようになります。

4. 見積もりの取り方を、お客様が選べるようにする

金額の目安が分かったら、次は見積もりです。家に来てもらうのは気が重い、でも電話だけで決まった金額が当日に変わるのも困る。この2つの間で迷っています。

見積もりの方法を、並べて書く

受けている方法を並べ、どんな方に向いているかを添えます。

  • お宅に伺っての見積もり ― 家族の引越しや、荷物の量が分からない方に。所要時間の目安も書く
  • ビデオ通話での見積もり ― 受けているなら。スマートフォンで部屋を映してもらう形
  • 写真と荷物の一覧での見積もり ― 単身の方や、近距離で荷物が少ない方に
  • 電話での概算 ― 正式な見積もりの前に、幅だけ知りたい方に

どの方法でも、何を伝えてもらえば見積もりが出せるかを書いておくと、問い合わせの前に準備してもらえます。今の住まいと新しい住まいの住所、建物の階数とエレベーターの有無、大きな家具と家電の一覧、希望の日。フォームで何をどこまで聞くかは、見積もり依頼のフォームは、何をどこまで聞けばいいか に整理しました。

見積もりのあとに、金額が変わる条件

お客様の心配の中心は、ここです。見積もりの金額から変わることがあるなら、どんなときに変わるのかを先に書いておきます。

  • 見積もりのときに伝えていなかった荷物が、当日に増えた
  • 新しい住まいの条件が、聞いていたものと違った(階段の幅、トラックを停める場所など)
  • お客様のご都合で、日時や作業の内容を変えた

あわせて、変わらないものも書いてください。「お見積もりのときに確かめた荷物と条件のままであれば、当日に金額は増えません」。この一文が、いちばん効きます。変わる場合は作業の前に伝え、ご了解をいただいてから作業する、という手順も添えます。こうした質問は、「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる の手順で、料金のページの下にまとめておきます。

見積もりの有効期限と、取り消しの扱い

見積もりの金額が、いつまで有効かも書きます。取り消しや日程の変更で費用がかかるなら、いつから、どのくらいかかるのかを書いておきます。見積もりだけで費用がかからないなら、そう書きます。

見積もりや取り消しの扱いには、業界で使われている約款のような決まりが関わる場合があります。サイトの書き方と、お客様に渡す書面の内容をそろえてください。細かい扱いは、所管の窓口や業界団体に確認してから書きます。

5. 繁忙期の受付と、当日の流れ

繁忙期は、受付の状況を出す

引越しは、年度替わりの時期や月末、週末に依頼が集まりやすい仕事です。この時期にサイトを見る方が、まず知りたいのは今からでも頼めるのかです。

  • 受付の状況 ― 「〇月の週末は、残りわずかです」のように、分かる範囲で
  • 受付の締め ― 繁忙期の依頼は、いつまでに連絡がほしいか
  • 繁忙期の料金 ― 通常の時期と料金が違うなら、そのことを書く
  • 日を動かせる方へ ― 繁忙期を少し外すと、選べる日や料金がどう変わるか

受付の状況は、古いままにしないことがいちばん大事です。埋まっているのに「受付中」、受けられるのに「満了」のままでは、お互いの時間を使います。繁忙期の前に何を出し、終わったらどう戻すかの段取りは、季節で忙しさが変わる商売の、ホームページの回し方 にまとめてあります。

当日の流れを、段に分けて書く

初めて頼む方は、当日何が起きるのかが分かりません。何時に来て、何時間くらいかかり、自分は何をしていればいいのか。これが分からないと、仕事を休むべきか、子どもを預けるべきかが決められません。

図:引越しの当日の流れと、お客様にお願いすること(時間や手順は、たとえばの架空の例です)
① 前日まで

箱詰めを済ませていただき、冷蔵庫の中を空にしていただきます。たとえば洗濯機の水抜きなど、前日にお願いすることを一覧でお渡しします。

お客様がすること:新しい住まいの鍵と、駐車できる場所を確かめておく
▼
② 到着と作業前の確認

到着の前にご連絡します。運ぶものと、残すものを一緒に確かめます。お見積もりとの違いがあれば、ここで金額をお伝えします。

金額が変わるのは、この段で確かめたときだけ。ご了解のない作業はしません
▼
③ 養生と運び出し

廊下や玄関、共用の通路を覆ってから運び出します。たとえば2LDKなら、作業の時間の目安を書いておきます。

お客様がすること:貴重品と、当日すぐ使うものは手元に分けておく
▼
④ 運び入れと配置

新しい住まいでも養生をしてから運び入れます。大きな家具は、ご希望の場所に置きます。

お客様がすること:家具を置く場所を、間取り図などで決めておく
▼
⑤ 確認とお支払い

運んだものに傷や不足がないかを一緒に確かめます。お支払いの方法と時期も、ここで改めてお伝えします。

お支払い:その場か後日か、使える支払い方法を書いておく

各段の中身は、貴社の実際の進め方で書いてください。金額を確かめるのが②の1回だけだと分かれば、「当日に増えないか」という心配はかなり小さくなります。

6. 梱包・不用品・エアコンなどの付帯作業

運ぶこと以外の作業を一緒に頼みたい方は多いです。何を受けていて、何が料金に含まれ、何が別かを、作業ごとに書いておきます。

梱包と荷ほどきは、範囲で分けて書く

  • 全部おまかせ ― 箱詰めから荷ほどきまで
  • 一部だけ ― 食器や割れものだけ、キッチンだけ
  • 資材だけ ― 段ボールやテープを届けるだけ。何箱まで含まれるか、追加はいくらか

使い終わった段ボールを引き取るかどうかも、聞かれることが多いところです。

不用品は、扱える範囲を確かめてから書く

引越しでは、要らない家具や家電も出ます。家庭から出る不用品を引き取って処分するには、許可や、決まった手続きが関わります。家電の中には、決まったリサイクルの手続きと費用が要るものもあります。貴社がどこまで扱えるかは、持っている許可や提携先によって違うので、所管の窓口に確認したうえで書いてください。

自社で扱わない場合は、「不用品の回収は、許可を持つ提携先にお取り次ぎします」「自治体の回収をご利用ください」のように、行き先を書いておくと、お客様が困りません。回収の会社が何を載せているかは、不用品回収やリサイクルの会社のホームページに、何を載せるか にまとめてあります。

エアコン・照明・大きなものは、誰が作業するかを書く

エアコンの取り外しと取り付けは、引越しのたびに聞かれる作業です。作業の内容によっては、電気の工事に当たる部分が含まれ、資格が関わることがあります。

  • 自社で行うか、提携先が行うか ― どちらなのかを書く
  • 料金 ― 1台あたりの基本の料金と、配管を新しくする場合などの追加の条件
  • 日程 ― 引越しの当日にできるか、別の日になることがあるか

照明やテレビの取り付け、ピアノや金庫のような重いもの、大型の家具の分解と組み立ても同じです。受けている作業と受けていない作業を一覧にして、受けていないものは「ご相談ください」か「お受けしていません」かをはっきり書きます。どの作業に資格が要るかは作業の中身で違うので、所管の窓口や業界団体、専門家に確認してください。

7. 破損したときの対応と、許可の表示

破損の対応は、やっていることだけを書く

傷がついたときの対応は、頼む前にいちばん気になることの1つです。書くのは、実際にやっていることだけです。

  • 作業前の確認 ― もともとある傷や、動きの悪い家電を、作業の前に一緒に確かめるか
  • 気づいたときの連絡 ― 当日その場で伝えてほしいのか、後日いつまでに、どこへ連絡すればいいのか
  • 保険 ― 運送中の事故や、作業中に物を壊した場合に備えた保険に加入しているなら、その事実を書く
  • お預かりできないもの ― 現金や貴重品、危ないものなど、お客様ご自身で運んでいただくもの

保険について気をつけたいのは、補償される範囲を、実際より広く見せないことです。「万一の場合も安心」の一言で済ませず、「運送中や作業中の事故に備えて、保険に加入しています」と事実を書きます。細かい条件は、保険の契約内容と照らし合わせてから載せてください。

連絡の期限や窓口、対象にならない場合の書き方は、保証やアフターサービスを、ホームページにどう書くか に、契約書や書面とそろえる手順も含めてまとめてあります。

許可は、確かめたうえで正確に書く

引越しの事業には、運送に関わる許可や届出が関わります。どの許可が要るか、ホームページや書面にどう表示するかは、事業の形によって違います。

この記事では、どの事業にどの許可が要るかは書きません。所管の窓口や業界団体に確認してください。そのうえで、持っている許可は、許可証に書いてある名称と番号、出した行政庁を、略さずにそのまま書きます。更新して番号や日付が変わったら、サイトも直してください。

「業界最安」「どこよりも丁寧」のような、根拠を示せない言い切りは避けます。

事務所の引越しは、入口を分ける

小さな事務所やお店の引越しも受けているなら、個人向けとは入口を分けます。休日や夜に作業できるか、建物の搬出入の決まりに合わせられるか、請求書での支払いに対応するか。確かめられることが違うからです。

8. 雄喜晃の伴走:料金の条件と、当日の流れを一緒に整理します

私たち雄喜晃は、引越しの会社のホームページを作るとき、最初に「見積もりの電話で毎回聞かれること」を伺うところから始めます。その質問が、そのままサイトに書く中身になるからです。

私たちがやること

  • 料金が決まる条件を、表にする ― 荷物の量・距離・日時・建物の条件で金額がどう変わるかを伺い、よくあるご依頼の例と一緒に並べます
  • 見積もりの方法と、金額が変わる条件を書く ― 受けている見積もりの方法、伝えてほしいこと、変わる場合と変わらない場合を文章にします
  • 当日の流れと、お客様にお願いすることを段に分ける ― 前日までの準備から支払いまでを、スマートフォンでも読める形にします
  • 付帯作業を一覧にする ― 受けている作業、別料金のもの、受けていないものを分けて書きます
  • 写真を整えて載せる ― トラックや作業の様子の写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、繁忙期の受付の状況や、料金の改定、許可の更新で番号が変わったときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 写真の撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 貴社の料金そのものは決めません。価格は経営の判断なので、決まった料金と条件を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
  • 許可や約款、保険の補償範囲についての判断はしません。所管の窓口や業界団体、保険の契約内容で確認していただくようお願いしています
  • 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「料金は載せているのに、見積もりの電話で毎回同じ説明をしている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:金額の前に、何で決まるかを書く

引越しの会社のホームページで押さえることは、5つです。

  • 料金は、4つの条件と一緒に書く ― 荷物の量・距離・日時・建物の条件。下限だけでなく、よくあるご依頼の幅も
  • 見積もりの取り方を選べるようにする ― 伺う、ビデオ通話、写真、電話。金額が変わる条件と、変わらない条件も
  • 繁忙期の受付の状況を、今の状態にしておく ― 埋まり具合、受付の締め、日を動かせる方への案内
  • 当日の流れと付帯作業を、段と一覧で見せる ― お客様にお願いすることと、誰が作業するかも
  • 破損の対応と許可は、事実だけを書く ― 保険は範囲を広く見せない。許可は所管の窓口や業界団体に確かめてから

引越しは、数年に一度しか頼まないので、頼む側が条件を知らない仕事です。金額の数字より先に、何で決まり、いつ変わるのかが分かることが、問い合わせる決め手になります。

まず、今日できること

この1ヶ月の見積もりの電話で聞かれたことを、思い出せる範囲で書き出してみてください。その答えが、貴社のサイトのどこかに書いてあるかを探します。見つからなかった質問が、最初に足す場所です。