1. 「バリアフリーです、とは書いてあるんですが」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「サイトには『バリアフリー対応』と書いてあるんです。入口にスロープもありますし。でも、車いすの方から『トイレは入れますか』『駐車場から入口まで段差はありますか』と、結局お電話で聞かれるんですよね」

店舗、医院、教室、事務所。人に来てもらう場所のある会社で、よく伺う話です。スロープを付けた、手すりを付けた、と工夫をしていても、サイトの一言では、その工夫が来る人に届いていないことがあります。

車いすを使う方だけの話ではありません。杖をついている方、ベビーカーを押している方、足をけがしている方、大きな荷物を持った方。段差や距離が気になる人は、思っているよりずっと多いのです。

この記事で書くこと

  • 「バリアフリー対応」の一言では、なぜ判断できないのか
  • 入口までの道と、入口の段差・スロープの書き方
  • 通路・エレベーター・トイレの書き方
  • 駐車場の台数と、入口までの距離
  • 写真の見せ方と、できないことを正直に書くこと
  • 手伝いが必要な方への、事前連絡のお願い

駅から入口までの道順の見せ方は 「アクセス」のページで、来る人を迷わせない に書きました。サイトそのものの文字の大きさや押しやすさは 年配のお客様が多い会社の、ホームページの直し方 にあります。この記事は、建物の中と外の「通れるかどうか」をどう伝えるかに絞った話です。

2. 「バリアフリー対応」の一言では、判断できない

まず、よくある書き方で何が起きているかを見ておきます。

必要なことは、人によって違う

車いすの方が知りたいのは、入口の段差、通路の幅、トイレの広さです。杖の方なら、階段の手すりと、座って待てる場所。ベビーカーの方なら、入口の扉の重さと、ベビーカーを置ける場所。

同じ「バリアフリー」でも、気にしていることが人によって違います。一言でまとめてしまうと、どれに答えているのかが分かりません。

一か所でも越えられなければ、来られない

入口のスロープは完璧でも、トイレの入口に段差がある。建物には入れても、診察室が2階でエレベーターが無い。こうした場合、その方にとっては来られない場所になります。

全部がそろっていなくても構いません。大事なのは、どこが通れて、どこが通れないかが、来る前に分かることです。

着いてから分かるのが、いちばん困る

いちばん困るのは、「対応」と書いてあったので来てみたら、入れなかったという場面です。車を出してもらい、時間をかけて来て、入口の前で引き返す。これは、書かなかった場合よりも重い失望になります。

そして、困った方の多くは、何も言わずに次から来なくなります。電話で聞くのも気が引けるという方も少なくありません。だからこそ、聞かなくても分かる形で書いておく意味があります。

3. 入口までの道と、入口の段差を書く

ここからは、書く中身です。来る人が通る順に、外から書いていきます。

駐車場や駅から、入口までの道

入口にたどり着く前に、越えなければならないものがあります。坂、砂利、細い歩道、点字ブロックの無い交差点。毎日通っている社内の人には当たり前でも、車いすやベビーカーでは大きな違いです。

「駐車場から入口までは、舗装された平らな道です」「入口の手前に、ゆるい上り坂があります」。こうした一文で十分です。

入口の段差は、有無と高さの目安を

入口に段差があるなら、あるかどうかと、だいたいの高さを書きます。メジャーで一度測っておくと、書き方に迷いません。

  • 段差なし ― 「道路から店内まで、段差はありません」
  • 小さな段差 ― たとえば「入口に、約3cmの段差があります」(数字は例です)
  • 階段 ― 「入口まで3段の階段があります。手すりは右側にあります」

「約」や「目安」をつけて書けば、多少の誤差は問題になりません。数字が無いと、読む人は「小さな段差」がどれくらいかを想像するしかありません。

スロープは、常にあるか、出すものか

スロープにも種類があります。いつも設置されているのか、声をかければ出すのかで、来る人の動き方が変わります。

置き式のスロープなら、「入口に置き式のスロープがあります。インターホンでお声がけください」と書きます。インターホンの位置が、車いすから手の届く高さかどうかも見ておいてください。

扉の種類と、入口が複数あるとき

自動ドアか、引き戸か、手前に引く開き戸か。開き戸は、車いすやベビーカーでは一人で開けにくいことがあります。扉の種類を一言書いておくだけで、手伝いが要るかどうかを判断できます。

正面の入口に階段があり、裏の入口なら段差が無い、という建物もあります。その場合は、段差の無い入口の場所を、写真と一緒にはっきり書いてください。

4. 通路・エレベーター・トイレを書く

建物に入ったあとのことです。ここが書かれていないサイトが、いちばん多いと感じます。

通路の幅は、目安で書く

車いすで通れるかどうかは、通路の幅で決まります。正確な数字でなくて構いません。いちばん狭いところを測って、目安で書きます。

「店内の通路は、いちばん狭いところで約80cmです」のように書けば、車いすの幅を知っている人は自分で判断できます。商品棚の配置で狭くなる場所があるなら、そこも書いておきます。テーブルや椅子が動かせるかどうかも、飲食店や教室では役に立つ情報です。

階段とエレベーター

2階以上を使う場合は、エレベーターがあるかどうかを書きます。ビルの共用のエレベーターなら、何階に止まるか、車いすが入る大きさかも確かめてください。

エレベーターが無い場合は、「2階までは階段のみです。手すりは左側にあります」と書きます。そのうえで、1階で対応できることがあるなら、その案内も添えます。

トイレは、行く前にいちばん聞かれること

トイレは、外出するかどうかを決めるときに、とても大事な情報です。書くのは次のようなことです。

  • 車いすで入れる広さか ― 個室の広さ、扉の種類、入口の段差
  • 手すりがあるか ― 便器の横か、両側か
  • おむつ替えの台があるか ― 小さなお子さん連れの方に役立つ
  • どこにあるか ― 何階か、建物の共用か

車いすで使えるトイレが無い場合も、そう書いてください。そのうえで、近くの公共の施設などにあるなら、場所を案内しておくと親切です。案内する前に、その施設が誰でも使えるか、何時まで使えるかを確かめておいてください。

表:来る前に知りたいことを、事実で書く(例はすべて架空)
書く項目書き方の例確かめるところ
入口までの道たとえば「駐車場から入口までは、平らな舗装の道で約10mです」坂・砂利・溝のふた。自分で歩いてみる
入口の段差たとえば「入口に約3cmの段差があります。置き式のスロープをお出しします」メジャーで高さを測る。スロープが常設か、出すものか
扉たとえば「入口は手前に引く開き戸です」扉の重さ。インターホンの高さ
通路たとえば「通路は、いちばん狭いところで約80cmです」棚や机で狭くなる場所を測る
上の階たとえば「教室は2階で、エレベーターはありません。1階でのご案内もできます」エレベーターの有無と止まる階、代わりにできること
トイレたとえば「1階に、車いすで入れるトイレがあります。手すりは両側です」個室の広さ、扉、手すり、おむつ替えの台
駐車場たとえば「建物の前に4台。うち1台は幅の広い区画で、入口の目の前です」台数、入口までの距離、屋根の有無

数字はあくまで書き方の例です。貴社の建物で実際に測った数字と、確かめた事実で埋めてください。測れない項目は「約」や「目安」をつけて書けば十分です。

5. 駐車場は、台数と入口からの距離を書く

車で来る方にとっては、駐車場が入口と同じくらい大事です。車いすの方は、乗り降りに場所を取るからです。

台数と、幅の広い区画

まず台数を書きます。そのうえで、車いすの方が乗り降りしやすい幅の広い区画があるかを書きます。区画が無くても、「建物の前の1台分は、横に余裕があります」のような事実なら書けます。

入口までの距離と、雨の日

次に、駐車場から入口までの距離と、その道の様子です。駐車場が建物の裏にある、少し離れた別の場所にある、という場合は、とくに大事です。

屋根があるかどうかも書いておくと、雨の日に来る方の助けになります。車いすの方は、雨の中で傘をさすことが難しいからです。

入口の前で、乗り降りできるか

駐車場が離れている場合でも、入口の前で一時的に車を止めて、乗り降りできるかが分かると、ずいぶん来やすくなります。ご家族が送ってくる場合にも役立ちます。止められるなら、その場所と、止めてよい時間の目安を書いておきます。

満車のときと、近くの駐車場

駐車場が満車のときの案内も書いておきます。近くの駐車場を案内する場合は、そこから入口までの道に段差や坂が無いかも確かめてください。駐車場の場所や台数そのものの書き方は、アクセスのページの記事で触れています。ここでは、車いすで来る方の目で、もう一度見直すのがポイントです。

6. 写真で見せて、できないことも正直に書く

文章で書いたことは、写真があると一度で伝わります。そして、できないことを書くことが、信頼につながります。

写真は、来る人の目の高さで

段差や通路は、文章より写真のほうが分かりやすいことがあります。載せるとよいのは、次のような写真です。

  • 入口の正面 ― 扉の種類と、段差の有無が分かるように
  • 入口の段差やスロープを寄りで ― 高さの感じが伝わるように
  • 中の通路 ― いちばん狭いところ
  • トイレの中 ― 広さと手すりの位置
  • 駐車場から入口を見た景色 ― 距離と道の様子

撮るときは、車いすに座った人の目の高さを意識すると、見る人が自分の場面を思い浮かべやすくなります。お客様が写り込まないように気をつけてください。手元の写真から選ぶ場合の考え方は 手元にある写真から、ホームページに使う写真を選ぶ にまとめました。

できないことを、先に書く

ここは少し勇気が要るところです。できないことを、そのまま書いてください。

  • 入口 ― たとえば「入口に3段の階段があり、スロープはありません」
  • 上の階 ― たとえば「建物にエレベーターは無く、教室は2階のみです」
  • トイレ ― たとえば「車いすで入れる広さのトイレはありません」

こう書くと、来られない方がいることが目に見えてしまいます。けれど、書かなければ、その方は来てから知ることになります。正直に書いてある会社のほうが、ほかの情報も信じてもらえます。

できないことの横に、できることを置く

できないことを書いたら、その横に代わりにできることを置きます。

「2階まで階段のみです。1階の打ち合わせスペースでお話を伺うこともできます」「ご来店が難しい場合は、お電話やオンラインでもご相談を受け付けています」「ご自宅へ伺うこともできます(地域によります)」。

全部を整えることはできなくても、別の道があることを書いておくだけで、来られないと思っていた方が連絡をくれることがあります。

「バリアフリー」という言葉の使い方

「バリアフリー」「車いす対応」といった言葉を使うこと自体は構いません。ただ、言葉だけで終わらせず、ここまで書いてきた事実を、その下に並べてください。

建物の基準や、特定の認証・マークを表示する場合は、それぞれに決まりがあることがあります。「〇〇の基準に適合」のような書き方をするときは、業種や建物によって扱いが違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。事実を並べて書くだけなら、こうした心配はほとんどありません。

7. 手伝いが必要な方への案内と、置く場所

最後に、事前の連絡のお願いと、この情報をサイトのどこに置くかです。

手伝いが要るなら、事前に連絡を

段差がある、扉が重い、という場合でも、スタッフが手伝えることがあるなら、それを書きます。そのうえで、「お手伝いが必要な方は、ご来店の前にお電話でお知らせください」と添えます。

事前に分かっていれば、スロープを出しておく、入口の近くの駐車場を空けておく、混む時間を避けてご案内する、といった準備ができます。連絡のときに伝えてほしいことも書いておくと、電話が短く済みます。

  • 来る日と時間 ― 準備の時間をとるため
  • どんな手伝いが要るか ― 段差、扉、席の移動など
  • 車で来るかどうか ― 駐車場を空けておくため

手伝えないことも、書いておく

一方で、手伝えないこともあります。たとえば、車いすごと抱えて階段を上がるのは、安全の面から難しいことが多いはずです。できない手伝いを先に書いておくと、来てから困る場面を減らせます。

見出しの名前は、広い言葉で

この情報をまとめる見出しは、「車いすでお越しの方へ」だけにしないほうがよいと思います。「段差・設備のご案内」「ご来店の前に」のような広い言葉にすると、ベビーカーや杖の方、足をけがしている方も、自分に関係があると気づけます。

置く場所は、アクセスとよくある質問

置く場所は、アクセスのページの中がいちばん自然です。来る前に開くページだからです。あわせて、よくある質問にも「車いすで入れますか」という問いを1つ入れておくと、探す人がたどり着きやすくなります。書き方は 「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる にあります。

初めて来る方向けの案内ページがあるなら、そこからもリンクしておきます。「初めての方へ」のページは、要るのか。要るなら何を書くか で書いた、当日の流れの中に置くと、読む人が順番に確かめられます。

改装やレイアウト変更のときに、見直す

店内の棚を動かした、駐車場の台数が変わった、トイレを直した。こうした変化があったら、この案内も同じ日に見直してください。書いてある通路の幅が、今は通れない幅になっている、ということが起こりえます。

8. 雄喜晃の伴走:建物の事実を、来る前に分かる形にします

私たち雄喜晃のホームページ制作では、「バリアフリー対応」の一言を、確かめないまま書くことはしません。入口、通路、トイレ、駐車場について、お打ち合わせで一つずつ伺い、事実として書ける形に直します。

私たちがやること

伺った内容と、貴社で測っていただいた数字をもとに、入口までの道、段差、扉、通路、上の階、トイレ、駐車場の案内を、来る順番に並べてページに組みます。できないことと、その代わりにできることも、同じ場所に書きます。アクセスのページとよくある質問の両方から、たどり着けるようにつなぎます。

写真は、貴社で撮っていただいたものをお預かりして、明るさや向き、大きさを整えて載せます。店内の配置や駐車場が変わったときは、ご連絡いただければ文章と写真を差し替えます。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、改装のたびに直す、という使い方もできます。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

先に書いておきます。私たちは、撮影や現地での計測はお受けしていません。毎日その建物を使っている貴社の方が測り、撮っていただいたものを、伝わる形に整えるのが私たちの仕事です。

また、建物が特定の基準や認証に合っているかどうかを判断することもしません。事実より広く見える書き方もしません。案内を整えることで来店が増える、検索の順位が上がる、といったお約束もいたしません。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「スロープは付けたのに、サイトでは伝えきれていない気がする」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:一言でまとめず、通れるかどうかを事実で書く

段差や駐車場、車いすでの来店をホームページで案内するときに押さえることは、5つです。

  • 一言で終わらせない ― 「バリアフリー対応」の下に、確かめた事実を並べる
  • 来る順に書く ― 入口までの道、入口の段差とスロープ、扉、通路、上の階、トイレ
  • 駐車場は台数と距離で ― 幅の広い区画、入口までの道の様子、屋根、入口前での乗り降り
  • 写真で見せ、できないことも書く ― 来る人の目の高さで撮り、できないことの横に代わりにできることを置く
  • 事前連絡のお願いと、見直し ― 手伝えることと手伝えないことを書き、改装のたびに直す

段差や距離が気になる人は、来る前に調べて、来られるかどうかを決めています。書いてあることが正確なら、来られる人は安心して来られ、来られない人も別の道を選べます。どちらにとっても、それがいちばん親切な案内です。

まず、今日できること

メジャーとスマートフォンを持って、駐車場から入口、入口からトイレまでを一度歩いてみてください。段差の高さと、いちばん狭い通路の幅を測って、紙に書き留める。その数行が、そのまま案内の下書きになります。