1. 「キャンセルの決まりは、聞かれたら答えているんですが」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「キャンセルの決まりは一応あるんです。前日までなら無料、とか。ただサイトには書いていなくて、聞かれたら電話で答えています。当日に取り消されて、そのとき初めて費用の話をすると、気まずくなるんですよね」

よく伺う話です。決まりはある。でも、お客様の目に入るのは、取り消したあとです。決まりが無いのではなく、決まりが届くのが遅すぎる状態です。

キャンセルの決まりは、揉めたときのためだけのものではありません。読んだお客様が「この日までに連絡すればいい」と分かれば、連絡は早く来ます。早く連絡が来れば、空いた枠に別の方を入れられますし、仕入れや段取りも止められます。決まりを書くのは、お客様を縛るためではなく、連絡をもらいやすくするためです。

利用規約の記事との分け方

サイトに利用規約そのものを置くかどうか、置くなら何を考えるかは、ホームページに「利用規約」は要るのか にまとめました。この記事はその中の一項目、キャンセルと日程変更の決まりだけを取り出して、予約の前に読まれる形にする方法を書きます。規約に全文を置く場合でも、要点はこの記事の形で、予約の近くに出しておくことをおすすめします。

先にお断りしておくこと

キャンセル料をいくらにするか、その決め方が妥当かどうかは、業種や取引の形によって考え方が違います。一般のお客様との取引では、事業者に一方的に有利な決め方が認められない場合もあるとされています。金額や決め方の判断は、業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。この記事で出す日数や金額は、すべて書き方を説明するための「たとえば」です。

この記事で書くこと

  • 決まりが書かれていないと、何が起きるか
  • 書く項目は5つ
  • 表にして、一目で分かるようにする
  • 業種ごとに、区切り方の軸が違う
  • 予約の前に目に入る場所に置く
  • 言い方の温度と、現場の運用

2. 決まりが書かれていないと、何が起きるか

先に、書いていないときに起きていることを並べます。どれも、決まりを作った側からは見えにくいことです。

連絡が遅れる

取り消したいと思った人は、まず「今から連絡して、費用がかかるだろうか」と考えます。答えが分からないと、連絡そのものを先延ばしにします。言い出しにくいからです。

その結果、連絡が来るのは前日の夜や当日の朝になります。決まりが書いてあれば、「3日前までなら無料」と分かった人は、その前に連絡してきます。早い連絡は、書いてあるかどうかで変わります。

答えが、人によって変わる

電話で聞かれたときに、出た人によって答えが違う。これもよく起きます。社長は「前日までなら」と言い、現場の人は「当日でも大丈夫ですよ」と言う。決まりが紙やサイトに書かれていないと、社内の記憶で答えることになります。

お客様から見ると、前回と言われたことが違う、という経験になります。どちらの答えが正しいかより、答えが揃っていないことのほうが、信用を削ります。

費用が、言われていなかったものに見える

当日に取り消した人に、初めて費用の話をする。決まりとしては正当でも、相手には聞いていなかった費用に見えます。金額の大小ではなく、後から出てきたことに引っかかります。

連絡しないまま、来なくなる

いちばん困るのがこれです。費用を言われるのが気まずくて、連絡しないまま来ない。連絡をもらえていれば別の方を入れられた枠が、そのまま空くことになります。

3. 書く項目は5つ

キャンセルと日程変更の決まりで書く項目は、次の5つです。どれか1つが抜けると、そこで電話が鳴ります。

いつまでなら、無料で取り消せるか

「前日まで」「3日前まで」のように、日で書きます。そして、何時までかも書いてください。「前日まで」は、前日の営業終了までなのか、前日の23時59分までなのか、読む人によって受け取り方が違います。「前日の18時まで」と書けば、迷いません。

いつから、どれだけ費用がかかるか

無料の期限を過ぎたら、何がかかるかを書きます。段階がある場合は、段階ごとに書きます。たとえば「前日は料金の半額、当日は全額」のような形です。

費用の代わりに、次回への振り替えで扱う業種もあります。その場合は、振り替えられる期間と回数まで書いておきます。

日程の変更は、取り消しと同じ扱いか

ここが書かれていないことが多いです。日程を変えたいだけの人は、取り消しの決まりを読んで「変更も費用がかかるのか」と迷います。取り消しと変更を、別の行で書いてください。変更は前日まで無料、のように扱いを分けている会社なら、それを書くだけで連絡のハードルが下がります。

連絡の方法と、受付時間

どこに連絡すればいいかを書きます。電話か、フォームか、予約の画面か。そして、受付時間の外に届いた連絡を、いつ受け付けた扱いにするかを書きます。

夜の22時にフォームで送った取り消しが、その日の受付になるのか、翌朝の受付になるのか。ここが曖昧だと、期限ぎりぎりの連絡で揉めます。「18時以降に届いたご連絡は、翌営業日の受付となります」と一行あれば足ります。受付時間そのものの書き方は 営業時間・定休日を、ホームページにどう書くか に書きました。

天候・急病・こちらの都合のとき

台風や大雪、急な発熱や身内の不幸。こうした事情のときの扱いを書きます。費用をいただかないのか、事情を伺って相談するのか。

そして、貴社の都合で取り消すときのことも書いてください。担当者の急病、設備の故障、資材の遅れ。そのとき、こちらから何をするかです。お客様にだけ決まりを課して、自分の側の決まりが無いと、読む人には一方的に見えます。

4. 表にして、一目で分かるようにする

5つの項目を文章で書くと、長くなります。長い文章のキャンセル規定は、読まれません。表にすると、自分がどの行に当てはまるかを、読む人が自分で探せます。

縦は時期、横は取り消しと変更

表の形はこうです。縦に時期を並べ、横に「取り消し」と「日程の変更」を並べます。いちばん下に、天候や急病のとき、貴社の都合のときの行を足します。

表:キャンセルと日程変更の決まりを、時期で並べる(たとえば出張でお伺いする作業の場合。日数・金額はすべて架空)
ご連絡の時期取り消し日程の変更
3日前の18時まで無料無料
前日の18時までたとえば作業料金の半額無料(1回まで)
前日の18時以降・当日たとえば作業料金の全額たとえば作業料金の半額
ご連絡がないままたとえば作業料金の全額―
台風・大雪・急病など事前にご連絡をいただければ無料無料
こちらの都合のとき費用はいただきませんこちらから代わりの日をご提案します

表の下には、連絡の方法と受付時間を一行で添えます。たとえば「お電話は9時〜18時。フォームは24時間受け付けますが、18時以降に届いたものは翌営業日の受付です」。日数と金額は、貴社の実際の決まりで書いてください。妥当かどうかの判断は、業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認を。

「何日前」は、何を起点に数えるか

表の中の「3日前」は、予約日の3日前です。当たり前に見えますが、数え方が人によって違うことがあります。予約日を含めて数えるのか、含めないのか。土日や定休日を数えるのか。

迷いが出そうなら、日数ではなく曜日や日付の例を添えます。「たとえば土曜日のご予約なら、水曜日の18時まで」。1行の例があるだけで、数え間違いが消えます。

金額は、割合より具体的に

料金が決まっている業種なら、金額で書いたほうが伝わります。割合で書く場合は「何の料金の半額か」をはっきりさせます。作業料金だけか、材料費や出張費も含むのか。

表は、文字で作る

表を画像にして貼ると、スマートフォンでは小さくて読めません。表は文字で作り、スマートフォンでは縦に並ぶ形にしてください。上の表も、狭い画面では1行ずつ縦に並びます。

5. 業種ごとに、区切り方の軸が違う

キャンセルの決まりは、業種によって「何を基準に区切るか」が違います。他社の決まりを写すと合わないのは、ここが違うからです。

  • 予約制の店(美容・整体など) ― 軸は「枠を空けて待つ時間」です。前日と当日で区切るのが分かりやすく、日程の変更を取り消しより軽く扱うと、連絡が早く来ます
  • 工事・リフォーム ― 軸は「資材の発注と職人の手配」です。日数より、発注の前か後かで区切ると実態に合います。「資材の発注後は、発注した資材の費用をいただきます」のように書きます
  • 教室・スクール ― 軸は「1回ごとか、月ごとか」です。月謝制なら、休んだ回の振り替えができるか、何回まで、いつまでかを書きます。体験や単発の講座は、別の表にします
  • 飲食(コース・貸切・団体) ― 軸は「仕込み」です。席だけの予約と、コースや貸切の予約で決まりを分けます。人数が減るときの扱いも、取り消しとは別の行で書きます
  • 出張サービス ― 軸は「移動と、その日の段取り」です。上の表のように前日で区切るほか、到着してから作業できなかった場合の扱いも書いておきます

説明会や見学会のようなイベントでは、申し込みの取り消しと、主催する側の中止の知らせ方を分けて書きます。告知ページ全体の作り方は 説明会・セミナー・見学会の告知ページを、どう作るか にまとめました。

サービスが複数あるなら、表も分ける

1つの会社で、予約制の施術と、物販と、出張をやっていることもあります。1つの表に全部を詰めると、自分がどれに当てはまるかが分からなくなります。サービスごとに表を分け、それぞれのサービスのページに置いてください。

6. 予約の前に目に入る場所に置く

表ができたら、置く場所を決めます。ここがいちばん大事です。サイトのいちばん下の「利用規約」のリンクの先にだけある決まりは、取り消すときまで読まれません。

お客様の流れに沿って、5か所

置く場所は、予約するお客様が通る順番で考えます。全文を置くのは1か所で構いません。残りの場所には、要点の一行と、全文へのリンクを置きます。

図:予約するお客様が通る順番に、決まりを置く5つの場所(文面の例は架空)
① サービス・料金のページ

料金のすぐ下に、表をそのまま置きます。料金を見て予約を決める人が、同じ画面で決まりも読めるようにします。全文を置くのは、ここか、別の1ページです。

たとえば料金表の下に「キャンセル・日程変更について」の見出しと表
▼
② 予約ボタンのすぐ近く

ボタンの上か下に、一行だけ書きます。表まで読んでいない人にも、無料の期限だけは目に入るようにします。

たとえば「3日前の18時までは、取り消し・変更とも無料です(詳しくはこちら)」
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③ 予約フォームの送信ボタンの前

送る直前に、表の要点と連絡先をもう一度出します。利用規約への同意をもらう形なら、そのチェック欄と並べます。

たとえば「前日・当日の取り消しには費用がかかります」と表へのリンク
▼
④ 送信完了の画面と、確認のメール

予約した内容と一緒に、決まりの表と、取り消し・変更の連絡先を入れます。取り消したくなったとき、人はこのメールを探します。

たとえば確認メールの末尾に、表の文字版と電話番号・受付時間
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⑤ 前日のご案内

前日に連絡を送っているなら、そこにも変更の連絡先を一行入れます。変更したい人が、その場で連絡できます。

ここで連絡をもらえれば、空いた枠に別の方を入れる時間が残ります

5か所に同じ全文を置く必要はありません。全文は1か所、ほかの場所には要点の一行とリンクにすると、直すときに直し漏れが出にくくなります。

確認のメールが、いちばん読まれる

5か所のうち、あとから読み返されるのは④の確認のメールです。取り消したいと思った人は、サイトを開き直すより先に、届いたメールを探します。確認のメールに決まりと連絡先が入っていれば、そこから連絡が来ます。

送信完了の画面に何を書くかは 問い合わせを送ったあとの「送信完了」の画面に、何を書くか に書きました。予約の場合も、考え方は同じです。

よくある質問にも、一問だけ

「キャンセルや日程の変更はできますか」は、どの業種でも聞かれる質問です。よくある質問のページにも一問置き、答えは結論の一行と、表へのリンクにします。答えの中に別の日数を書くと、表と食い違ったときに困ります。質問の選び方と答えの書き方は 「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる にまとめました。

ネットで予約を受けるかどうかをまだ決めていない場合は、予約をネットで受けるか、電話のままにするか を先に読んでいただくと、話がつながりやすいと思います。

7. 言い方の温度と、現場の運用

内容と場所が決まったら、最後は言い方と、書いたあとの運用です。ここを外すと、決まりを書いたことが逆に働きます。

きつく書くと、連絡が来なくなる

「いかなる理由があっても、当日のキャンセルは全額を申し受けます」。こう書くと、読んだ人は身構えます。そして、事情があって取り消したい人ほど、気まずくて連絡をしなくなります。決まりを書く目的は、連絡をもらうことでした。その連絡が来なくなるのでは、逆です。

同じ内容でも、言い方で受け取られ方が変わります。

「当日のお取り消しは、作業料金の全額をいただいております。前日までにご連絡いただければ、日程の変更は無料です。ご都合が変わったときは、分かった時点でお気軽にご連絡ください」

決まりは同じです。変えたのは、無料でできることを先に書き、連絡を歓迎する一文を足したことだけです。

理由を、一言だけ添える

費用がかかる理由を一言添えると、決まりが納得されやすくなります。「前日には資材と人の手配を済ませているため」「お席とお料理をご用意してお待ちしているため」。長い説明は要りません。何のための決まりかが分かると、一方的な決まりに見えにくくなります。

「一切」「いかなる」を避ける

「一切お受けできません」「いかなる場合も」は、例外を認めないという宣言です。急病や災害のときに例外を認めているなら、例外を書いてください。書いていない例外を現場で認めると、次の問題が起きます。

書いたら、現場もその通りに運用する

ここがいちばん抜けやすいところです。サイトに「当日は全額」と書いてあるのに、現場では毎回いただいていない。あるいは、書いていない費用を、その場で請求している。どちらも、書いた決まりの信用を落とします。

前者は、いただいたお客様といただかなかったお客様の間で不公平が生まれます。後者は、言われていなかった費用になります。決まりを書いたら、次のことを社内で揃えてください。

  • 電話に出る人全員が、表を見て答える ― 電話の横に、サイトと同じ表を1枚置いておく
  • 例外を認める場面を決める ― 急病・災害など。誰が判断するかも決めておく
  • 例外を認めたら、記録する ― いつ、誰に、どんな理由で認めたか。同じ事情の次のお客様にも同じ答えができるように

決まりを変えたら、全部の場所を直す

決まりを変えると、表を置いた場所を全部直す必要があります。料金のページ、予約ボタンの近く、予約フォーム、確認のメールの文面、よくある質問、紙のチラシや店頭の掲示。確認のメールの文面は、サイトの画面と別の場所で管理されていることが多く、直し忘れがいちばん起きます。

変えた日も書いておきます。「この決まりは、たとえば○年○月○日以降のご予約に適用します」。変える前に予約していたお客様には、前の決まりで対応するのが無難です。ここも、扱いに迷うときは専門家に確認してください。

8. 雄喜晃の伴走:決まりを、予約の前に読まれる場所に置きます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、キャンセルや日程変更の決まりを、表にして、予約するお客様の通り道に置くところまでお手伝いします。

私たちがやること

最初に、今の決まりを伺います。いつまで無料か、いつから費用がかかるか、変更はどう扱っているか、急病や天候のときはどうしているか。電話で答えている内容も含めて伺い、抜けている項目があれば、その場でお伝えします。

伺った内容を、時期ごとの表に整えます。料金のページ、予約ボタンの近く、予約フォーム、送信完了の画面、よくある質問に、全文と要点の一行を分けて配置します。サイトから送る確認のメールにも、同じ表と連絡先を入れます。決まりが変わったときの書き換えは、月5回までの更新代行の中でお受けしています。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

先に書いておきます。キャンセル料の金額や日数を、私たちが決めることはしません。それは貴社の経営の判断です。また、決まりが法律の面で妥当かどうかを判断することもいたしません。業種によって違い、所管の窓口や専門家が答える話だからです。

他社の決まりを写して埋めることもしません。決まりを書くことで予約が増える、検索の順位が上がるとお約束することもありません。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「決まりはあるのに、お客様に伝わるのはいつも取り消したあと」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:厳しく書くより、早く届くように書く

キャンセルや日程変更の決まりをホームページに書くときに押さえることは、5つです。

  • 5つの項目を書く ― 無料の期限(何時まで)、費用がかかる段階、日程の変更の扱い、連絡の方法と受付時間、天候・急病・こちらの都合のとき
  • 表にする ― 縦に時期、横に取り消しと変更。文字で作り、日数の数え方には曜日の例を添える
  • 予約の前に目に入る場所に置く ― 料金のページ、予約ボタンの近く、フォーム、確認のメール。全文は1か所、ほかは要点の一行
  • きつくしすぎない ― 無料でできることを先に書き、理由を一言添え、連絡を歓迎する
  • 書いた通りに運用する ― 電話の横に同じ表を置き、例外の扱いを決め、変えたら全部の場所を直す

キャンセルの決まりは、お客様を縛るためのものではありません。連絡を早くもらうために、先に知らせておくものです。早く届けば、空いた枠も段取りも、まだ取り戻せます。

まず、今日できること

この半年で、キャンセルや日程変更の電話で「その場で答えを考えた」ことを3つ書き出してみてください。当日の取り消し、人数の変更、雨の日の扱い。その3つが、表に最初に入れる行です。書き出したら、社内の何人かに「この場合はどう答えますか」と聞いてみてください。答えが揃わなければ、そこから決めるところです。