1. 「利用規約って、うちのサイトにも要るんですか」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「よその会社のサイトを見ると、下のほうに『利用規約』って書いてあるんですよ。うちには無いんですが、無いとまずいんでしょうか。作るとしたら、何を書けばいいのか見当がつかなくて」

よくいただく質問です。プライバシーポリシーは置いてあるけれど、利用規約は無い。あるいは、どこかのひな形を貼ったまま、中身を読んだことがない。どちらもよくある状態です。

先にお答えすると、すべてのホームページに利用規約が要るわけではありません。会社の紹介と問い合わせ窓口だけのサイトなら、無くても困らないことが多いです。一方で、サイトの上で予約や申し込み、購入を受けているなら、話が変わります。分かれ目は、サイトの上で、お客様との約束ごとが生まれるかどうかです。

先にお断りしておくこと

この記事は、ホームページを作る側から見た一般的な整理です。法律の助言ではありません。

利用規約に何を書くべきか、どう書けば有効かは、業種や取引の形によって大きく違います。消費者を相手にする取引では、事業者に一方的に有利な決め方が認められない場合もあるとされています。実際の文面は、業種によって違うので、所管の窓口や弁護士などの専門家に確認してください。この記事では、専門家に相談する前に、社内で整理しておくことを中心に書きます。

この記事で書くこと

  • 利用規約と「ご利用にあたって」は、何のためのものか
  • 要る場面と、ほとんど要らない場面
  • 書く項目の考え方(キャンセル・免責・禁止事項・変更の手続き)
  • ひな形をそのまま使わない理由
  • プライバシーポリシーとの違いと、同意の取り方

2. 利用規約は、約束ごとを先に書いておく場所

要るかどうかを判断する前に、利用規約が何のためにあるのかを押さえておきます。

揉めたときに、あとから決めないために

利用規約は、お客様と貴社のあいだの約束ごとを、先に書いておく場所です。予約を取り消したらどうなるか。届いた商品に傷があったらどうするか。サービスを使っていて、してはいけないことは何か。

こうしたことを決めていないと、何か起きたときに、その場で話し合って決めることになります。お客様ごとに対応が変わり、どちらにとっても納得のいかない結果になりがちです。先に書いておけば、起きたときに「書いてあるとおりにします」と言えます。

名前は、いくつかある

似たページには、いくつか呼び名があります。

  • 利用規約 ― 予約・会員・購入など、サービスを使うときの約束ごと
  • ご利用にあたって/サイトのご利用について ― サイトを見るときの注意書き。リンクや著作権、掲載情報の扱いなど
  • ご予約について/ご購入について ― 特定の手続きに絞った案内。キャンセルや支払いの決まりを書く

名前に決まりはありません。大事なのは名前より中身です。この記事では、サービスの約束ごとを「利用規約」、サイトを見るときの注意書きを「ご利用にあたって」と呼び分けて書きます。

プライバシーポリシーとは、別のもの

よく混ざるのがプライバシーポリシーです。プライバシーポリシーは、お客様からお預かりした個人情報をどう扱うかを書くものです。利用規約は、サービスを使うときに、お互いが何を守るかを書くものです。違いは第7章で詳しく書きます。プライバシーポリシーそのものの書き方は ホームページのプライバシーポリシーに、何を書くか にまとめてあります。

3. 要る場面 ― サイトの上で、取引が始まるとき

利用規約が要るのは、ホームページが「見るだけの場所」から「取引が始まる場所」に変わるときです。代表的な場面を4つ挙げます。

ネットで予約を受けている

予約をサイトで受けているなら、まず要る側です。いちばん揉めやすいのはキャンセルです。何日前まで無料か、当日の取り消しはどうなるか、連絡が無いまま来られなかったときはどうするか。

予約を受ける仕組みをどう選ぶかは 予約をネットで受けるか、電話のままにするか に書きました。ネット予約を始めるときは、仕組みと同時に、この約束ごとも決めておくと後が楽です。

会員登録やログインがある

会員登録を受けている、ログインして使うページがある、という場合も要ります。アカウントを人に貸してはいけない、退会したらどうなる、長く使われていない登録はどうする。会員という関係そのものの決まりを書いておく必要があります。

ネットで物を売っている

ネットショップを付けているなら、返品・交換、届くまでの日数、支払いの方法などの約束ごとが生まれます。通信販売には、利用規約とは別に、事業者の情報や返品の条件などを表示する決まりもあります。この表示と利用規約は役割が違うので、両方を用意することになります。ショップを付けるかどうかの判断は ホームページに、ネットショップを付けるかどうか で整理しています。

オンライン講座や、動画・資料を提供している

オンラインの講座、会員向けの動画、ダウンロードできる資料を提供しているなら、中身の扱いについての約束ごとが要ります。録画して人に配らない、資料を自社のものとして使わない、ログインの情報を共有しない、などです。

4. ほとんど要らない場面 ― 会社の紹介だけのサイト

逆に、利用規約がほとんど要らないサイトもあります。

見るだけのサイトに、約束ごとは生まれにくい

会社の紹介、事業の説明、実績、会社概要、問い合わせフォーム。この構成のサイトでは、サイトの上で取引が始まりません。問い合わせのあとの話は、見積もりや契約書の中で決まります。

この場合、長い利用規約を置いても、読む人はほとんどいません。それより、問い合わせフォームで受け取る情報の扱いを書いたプライバシーポリシーが、実態に合っているかを先に確かめてください。

置くなら、短い「ご利用にあたって」

会社の紹介だけのサイトでも、短い「ご利用にあたって」を置いておく意味はあります。書くのは、たとえば次のようなことです。

  • 掲載内容の扱い ― 掲載している情報は公開時点のもので、変わることがある
  • 写真や文章の権利 ― サイトの写真や文章を、無断で使わないでほしい
  • リンク ― 外部のサイトへのリンク先の内容は、貴社が管理していない

これくらいで足ります。数行から十数行の、読める長さで十分です。

置いたのに実態と違うほうが、困る

注意したいのは、無いことより、実態と違うことのほうが困るという点です。会社の紹介だけのサイトに、どこかのひな形の利用規約を貼ると、存在しない会員制度やポイントの話が書かれていたりします。読んだ人は、この会社は自分のサイトの中身を見ていないのだな、と受け取ります。

表:サイトの形ごとの、利用規約の要否の目安
サイトの形利用規約の目安特に決めておきたいこと
会社の紹介と問い合わせだけほとんど要らない。短い「ご利用にあたって」で足りることが多いプライバシーポリシーが実態に合っているか
ネットで予約を受ける要る。少なくとも予約の決まりのページキャンセルの期限と扱い、遅刻、無断のキャンセル
会員登録・ログインがある要るアカウントの扱い、退会、禁止事項、変更の手続き
ネットで物を売る要る。通信販売の表示とは別に用意する返品・交換、届く日数、支払い、品切れのとき
オンライン講座・動画・資料要る録画や転載の禁止、振り替えと返金、提供をやめるとき

あくまで目安です。業種や取引の形によって必要なことは違います。サイトの上で取引が始まるなら要る、見るだけなら短くてよい、というのが考え方の出発点です。実際の文面は、専門家に確認してください。

5. 書く項目の考え方

ここからは、要る側のサイトで、何を書くかの考え方です。文面そのものではなく、何を決めておくかを4つに分けて書きます。

キャンセル ― 期限と、こちら側の都合も

キャンセルの項目では、少なくとも次のことを決めておきます。

  • いつまでなら、無料で取り消せるか ― 「前日まで」なのか「〇日前まで」なのか。何時までかも書く
  • それを過ぎたら、どうなるか ― 費用がかかるのか、次回の予約に振り替えられるのか
  • 取り消しの連絡方法 ― 電話か、予約の画面か、メールか。営業時間外の連絡はいつ受け付けた扱いになるか
  • 貴社の都合で取り消すとき ― 天候、担当者の急病、設備の故障など。そのときお客様に何をするか

4つ目を書いていない規約がよくあります。お客様にだけ決まりを課して、自分の側の決まりが無いと、読んだ人には一方的に見えます。こちら側の約束も書くと、規約全体が信用されます。

免責 ― 何について、どこまでか

免責は、貴社が責任を負わない場面を書く項目です。ここは、広く書きすぎないことが大事です。

「当社は一切の責任を負いません」のように、何でも免責にする書き方を見かけます。ただ、消費者を相手にする取引では、こうした書き方がそのままでは通らない場合もあるとされています。どこまで書けるかは、取引の形によって違います。

社内で整理しておくのは、どんな場面で、何について責任を負えないのかを具体的に書き出すことです。たとえば「お客様が入力した連絡先の誤りで、ご連絡が届かなかった場合」のように場面を絞っておくと、専門家に相談するときにも話が早くなります。

禁止事項 ― 起きたこと、起きそうなことから

禁止事項は、一般的な項目を並べるより、貴社の仕事で実際に起きたこと、起きそうなことから書くほうが役に立ちます。

講座の資料を同業者に配られた。同じ人が名前を変えて何度も予約を入れた。会員のアカウントを家族で使い回している。こうした困りごとを書き出して、それを禁止事項に直します。思いつく限りの禁止を並べた長い一覧は、読まれないうえに、肝心のことが埋もれます。

変更の手続き ― いつ、どう知らせるか

利用規約は、一度作ったら終わりではありません。料金やキャンセルの決まりが変われば、書き直します。そのとき、どう変えて、どう知らせるかを先に決めておきます。

  • いつから変わるか ― 公開した日から変わるのか、少し先の日付から変わるのか
  • どこで知らせるか ― サイトのお知らせ、会員へのメール、予約の確認画面
  • すでに予約や申し込みをしている人 ― 変更前の決まりで扱うのか、変更後の決まりで扱うのか
  • 制定日と改定日 ― 規約の末尾に、いつ作り、いつ直したかを書く

変更のしかたにも、取引の形によって守るべき決まりがあるとされています。大きく変えるときは、専門家に一度見てもらってください。

6. ひな形を、そのまま使わない

利用規約を作ろうとすると、ひな形を探すことになると思います。ひな形を参考にするのは悪いことではありません。ただし、そのまま貼るのは避けてください。

実態とずれる

ひな形は、多くの業種に当てはまるように作られています。そのため、貴社には無いサービスや制度が書かれていることがよくあります。会員制度が無いのに会員の条文がある。ポイントを出していないのにポイントの扱いが書いてある。

逆に、貴社にとって大事なことが抜けていることもあります。出張の仕事なのに、伺えなかったときの扱いが無い。食品を扱うのに、アレルギーの申告の話が無い。ひな形に無いことほど、貴社の仕事では揉めやすいことがあります。

他社の規約を写さない

同業他社の利用規約を、社名だけ変えて使うのも避けてください。文章にも書いた人の権利がありますし、その会社の事情に合わせて書かれた文面は、貴社の実態とは合いません。写したつもりが、他社の社名やサービス名が残っていた、という話も珍しくありません。

長すぎて、誰も読まない

ひな形は、網羅しようとして長くなりがちです。長い規約は、読まれないまま「同意する」が押されます。いちばん伝えたいこと(たとえばキャンセルの決まり)は、規約の本文とは別に、予約の画面の近くに短く書いておくと、読まれる場所に要点が届きます。

図:利用規約を、ひな形に頼らず作る順番
① 困りごとを書き出す

これまでに起きたこと、起きそうなことを、現場の方にも聞いて書き出します。たとえば「当日の取り消しが続いた」「資料を人に配られた」など。

材料:過去のやりとり、断った件、説明に時間がかかった件
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② 項目に分ける

書き出したことを、キャンセル・免責・禁止事項・変更の手続きなどに振り分けます。貴社の側の約束もここで書きます。

確かめること:お客様にだけ決まりを課していないか
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③ ひな形と見比べる

ひな形は、抜けている項目を見つけるために使います。貴社に無い制度の条文は削り、足りないことは足します。

ひな形をそのまま貼ると、実態とのずれが残ります
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④ 専門家に確認する

整理した案を持って、弁護士などの専門家に相談します。業種によって守るべき決まりが違うので、ここは省かないでください。

持っていくもの:①の困りごとの一覧と、②③でまとめた案
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⑤ 置き場所を決めて公開する

規約のページに加えて、予約や申し込みの画面の近くに要点を書き、制定日を入れて公開します。

あとで:料金や決まりが変わったら、改定日を入れて直す

①と②を社内で済ませておくと、専門家への相談が短く済みます。ひな形は出発点ではなく、抜けを見つけるための見比べに使うのが、実態とずれない作り方です。

7. プライバシーポリシーとの違いと、同意の取り方

最後に、よく聞かれる2つのことを書きます。プライバシーポリシーとどう違うのか。そして、どうやって同意をもらうのか。

2つは、書く対象が違う

プライバシーポリシーは、個人情報の扱いについて書くものです。何を受け取り、何に使い、誰に預けているか。利用規約は、サービスを使うときの約束ごとについて書くものです。予約の取り消し、禁止事項、変更の手続き。

2つを1つのページに混ぜると、どちらも読みにくくなります。ページを分けて、それぞれに制定日と改定日を書いてください。会員登録や予約のように、両方に関わる場面では、両方へのリンクを並べて置きます。

同意は、申し込みのボタンの近くで

利用規約は、置いてあるだけでは、お客様が読んだかどうか分かりません。予約や購入、会員登録のように取引が始まる場面では、申し込みのボタンの近くで同意をもらう形にします。

  • 規約へのリンクを、ボタンのすぐ上に置く ― サイトのいちばん下にあるだけでは、申し込む人の目に入らない
  • 同意のチェック欄を設ける ― 「利用規約とプライバシーポリシーに同意します」にチェックを入れてから申し込む形にする
  • 大事なことは、その場に短く書く ― キャンセルの期限など、揉めやすい1〜2点は、規約を開かなくても読めるように
  • 確認のメールにも書く ― 予約や購入の確認メールに、キャンセルの決まりと規約のリンクを入れておく

どの形で同意をもらえば足りるかは、取引の内容によって違います。ここも、専門家に一度確かめてください。

いつの規約に同意したかを、残しておく

規約を直したあとに揉めごとが起きると、そのお客様がどの時点の規約に同意したのかが問題になることがあります。古い版を消さずに日付つきで手元に残しておく、申し込みの記録に日時が残るようにしておく、といった準備をしておくと安心です。

規約は、契約書の代わりにはならない

サイトの利用規約は、多くの人に同じ条件で提供するサービスのためのものです。相手によって条件が変わる法人との取引は、個別の契約書で決めます。契約書を読む側の立場で気をつけるところは ホームページ制作の契約書で、サインする前に読むところ にまとめました。読む人がどこで引っかかるかの参考になると思います。

8. 雄喜晃の伴走:規約を、読まれる場所に置きます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、利用規約やご利用にあたってを、サイトのどこに、どう置くかをお手伝いします。

私たちがやること

最初に、貴社のサイトで何が起きるのかを伺います。見るだけなのか、予約を受けるのか、会員や販売があるのか。そのうえで、利用規約が要るかどうか、要るならどのページの近くに何を置くかを一緒に整理します。

貴社で用意した文面、または専門家に確認していただいた文面を、読みやすい見出しと段落に整えて載せます。予約や申し込みの画面には、規約とプライバシーポリシーへのリンク、同意のチェック欄、キャンセルの要点を配置します。料金や決まりが変わったときの書き換えと改定日の更新は、月5回までの更新代行の中でお受けしています。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

先に書いておきます。利用規約の文面を作成して、法律の面で問題がないと判断することはしません。それは弁護士などの専門家の領分です。私たちが担当するのは、確定した文面をサイトに載せることと、読まれる場所に要点を置くことです。

また、他社の規約を写して文面を埋めることも、ひな形をそのまま貼って済ませることもいたしません。規約を置くことで検索の順位が上がる、問い合わせが増えるとお約束することもありません。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「ネット予約を始めたいが、キャンセルの決まりをどこにどう書けばいいか決められずにいる」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:要るかどうかは、約束ごとが生まれるかで決まる

ホームページに利用規約を置くかどうか、置くなら何を考えるかで押さえることは、5つです。

  • 見るだけのサイトには、ほとんど要らない ― 置くなら短い「ご利用にあたって」で足りることが多い
  • 予約・会員・販売・講座があるなら要る ― サイトの上で取引が始まると、約束ごとが生まれる
  • 書く項目は、困りごとから決める ― キャンセル・免責・禁止事項・変更の手続き。貴社の側の約束も書く
  • ひな形は、抜けを見つけるために使う ― そのまま貼ると実態とずれる。文面は専門家に確認する
  • 同意は、申し込みのボタンの近くで ― プライバシーポリシーとは分けて置き、両方へのリンクを並べる

利用規約は、難しい文章を並べるためのものではありません。何か起きたときに、その場で決めずに済むように、先に書いておくものです。だからこそ、中身は貴社の仕事の実態から作ります。

まず、今日できること

この1年で、お客様とのあいだで「決めていなかったので、その場で話し合った」ことを3つ書き出してみてください。当日の取り消し、届いた物の傷、振り替えの希望。その3つが、貴社の利用規約にまず書くべき項目です。