1. 「地図は載せてあるんですけどね」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「お客さんから、駅に着いたんですけど、どっちに行けばいいですかって電話がよくかかってくるんです。地図はちゃんと載せてあるんですけどね」
この電話、来店や来社を受けている会社では本当によく起きています。そして、電話をかけてくる人はまだ良いほうです。電話をせずに迷い続けて、約束の時間に遅れて、気まずい思いで入ってくる人がいます。中には、そのまま帰ってしまう人もいます。
私が現場で見てきた限り、アクセスのページで起きている問題は、ほとんどが同じ形です。地図は貼ってある。でも、地図だけでは着かない。来る人が迷っているのは、駅から建物の近くまでではなく、そこから先の最後の100メートルです。
この記事では、アクセスのページに何をどの順番で載せれば、初めて来る人が迷わずに入口までたどり着けるかを整理します。どこまで伺うか、どの地域から来てもらうかの書き方は 「対応エリア」を、ホームページにどう書くか にまとめてあります。この記事は、来てもらうときの案内だけを深く掘ったものです。
2. 地図を貼っただけのページで、何が起きているのか
地図の埋め込みは便利です。住所を入れれば、ページの中に地図が出て、ピンが立ちます。ただ、そのピンが指しているのは「住所の場所」であって、「入口の場所」ではありません。
アクセスのページでつまずく形は、だいたい次の4つに分かれます。
- ピンの位置が入口とずれている ― 大きな敷地や角地だと、ピンが建物の裏側や隣の建物に立っていることがある
- ビルの何階か分からない ― 地図は平面なので、3階なのか地下なのかは表せない。ビルの前まで来て、案内板を探すことになる
- 表口と裏口がある ― 地図の案内どおりに歩くと、搬入口や通用口の前に着いてしまう
- 建物の名前が地図と現地で違う ― ビルの名前が変わった、看板が小さい、テナント名しか出ていない
どれも、地図を見ている側には気づけないのが共通点です。作った人は場所を知っているので、地図を見ても迷いません。迷うのは、その場所に初めて来る人だけです。
迷った人は、問い合わせの数字に残らない
迷った人が電話をかけてくれれば、まだ気づけます。問題は、迷ったことを誰にも言わずに来て、そのまま印象だけが残る場合です。「分かりにくい場所だった」という感想は、初回の商談や来店の空気を少しだけ重くします。
そしてもう1つ、来る前に「行けるかな」と不安になって、来ること自体をやめる人もいます。アクセスのページは、来た人を案内するだけでなく、来る前の人を安心させるページでもあります。
3. 最後の100メートルを、写真で見せる
この記事でいちばんお伝えしたいのは、ここです。地図で「近くまで」を、写真で「入口まで」を見せる。この役割分担をすると、迷う人がはっきり減ります。
並べる写真は、歩く順に3〜5枚
写真は多ければ良いわけではありません。来る人が歩く順番に、曲がる場所と目印だけを撮るのがコツです。
- 最寄り駅の出口、または大きな道 ― 「ここから歩き始めます」という起点。出口の番号や看板が写るように
- 曲がり角 ― 「この店の角を右へ」と言える目印。コンビニ、信号、看板など、変わりにくいものを入れる
- 建物の外観 ― 正面から、少し引いて。看板と建物の色が分かるように
- 入口 ― 自動ドアなのか、階段なのか、どの扉なのか。表口と裏口がある場合はここが肝心
- エレベーターや受付 ― ビルの場合は、エレベーターの位置と押す階。受付の電話がある場合はその場所
ここで大事なのは、写真の下に一文を添えることです。「3番出口を出て、右手にこの看板が見えます」「この角を左に曲がり、20メートル先です」。写真だけでは、どちらに進めばいいかが伝わりません。
撮るのは、来る人の目の高さで
写真は、歩いている人の目線で撮ってください。上から見下ろした写真や、反対側の歩道から撮った写真では、現地で同じ景色が見えません。来る人が立つ場所に立って、その人が見る方向を撮る。これだけで、写真と現地の景色が一致します。
もう1つ、季節や時間帯で見え方が変わる場所があります。夏は街路樹で看板が隠れる、夜は入口が暗くて見えない。来客が多い時間帯の明るさで撮っておくと、現地とのずれが減ります。
撮り方そのものは、特別な機材がなくても十分です。社内のスマートフォンで撮る手順は ホームページの写真を、社内のスマートフォンで撮る に書きました。アクセスの写真は、きれいさより、現地と同じに見えることが先です。
ここから歩き始める、という場所です。駅なら出口の番号、車なら大きな交差点の名前が分かるように撮ります。地図の役割はここまでです。
迷う人の多くは、ここで反対に曲がります。信号やコンビニなど、変わりにくい目印を入れて、どちらへ曲がるかを書きます。
正面から少し引いて、看板と建物の色が入るように撮ります。ビル名が小さい場合は、隣の建物まで入れると見つけやすくなります。
どの扉から入るのかを見せます。表口と裏口、店舗入口と事務所入口が分かれている場合、いちばん迷うのがこの段です。
ビルなら、エレベーターの位置と押す階を書きます。受付に電話がある、インターホンを押す、といった最後の動作もここに添えます。
読み方は上から順です。①までは地図で足ります。迷う人が出るのは②から⑤、つまり地図が表せない最後の100メートルです。全部で3〜5枚、それぞれに一文を添えるだけで、案内の電話はかなり減ります。
4. 交通手段ごとに、書く中身を分ける
アクセスのページでよく見るのは、電車の人も車の人も同じ文章で案内している形です。「〇〇駅から徒歩5分、駐車場あり」。これでは、どちらの人にも足りません。
電車で来る人と車で来る人では、気にしていることがまったく違います。電車の人は出口と歩く道を、車の人は止める場所を知りたい。バスや徒歩の人も、それぞれ別のことで迷います。見出しを分けて、それぞれに必要なことだけを書いてください。
電車で来る人に書くこと
- 何番出口か ― 大きな駅ほど、出口を間違えると10分以上遠回りになる
- 徒歩何分か ― 実際に歩いて測った時間を書く。地図アプリの計算は、信号や坂を含まないことがある
- 雨の日の目印や道 ― 地下道や屋根のある道があるなら、それも書いておく。濡れずに来られる道は、それだけで喜ばれる
- 乗り換えが分かりにくい駅の場合 ― 何線のどの改札が近いか
徒歩の時間は、少し多めに書くくらいでちょうどいいと私は考えています。「徒歩5分」と書いて実際は8分かかると、遅刻した人が「5分って書いてあったのに」と感じます。逆に、「徒歩8分」と書いて6分で着けば、何も問題は起きません。
バスや徒歩で来る人に書くこと
バスで来る人がいる地域なら、停留所の名前と、どちら向きのバスかを書きます。同じ名前の停留所が道路の両側にあると、反対方向のバスに乗ってしまうことがあります。
近所から歩いて来る人が多い商売なら、近くの目印からの道順のほうが役に立つことがあります。「〇〇小学校の正門から、坂を下って2本目の角」。駅を使わない人には、駅からの案内は届きません。
車で来る人には、止める場所を先に書く
車で来る人が知りたいのは、行き方より先に、止められるかどうかです。ここが書かれていないと、来る前から不安になります。駐車場について書くことは、次の4つです。
- 駐車場の場所 ― 建物の前なのか、裏なのか、少し離れた別の場所なのか。離れているなら、そこからの歩き方も
- 台数 ― 「3台」のように具体的に。「駐車場あり」だけでは、止められるかどうか分からない
- 入口の向き ― 一方通行の道や、右折で入れない入口がある場合は、どちらから来ればいいか
- 大型車が入れるか ― 車高制限、道の幅、切り返しの余裕。ワゴン車やトラックで来る取引先がいる会社では必ず書く
駐車場の写真も、1枚あると安心されます。入口の写真と、止める区画の写真。「来客用」と書かれた区画があるなら、そこが写っていると迷いません。
満車のときの案内まで書いておく
台数が少ない駐車場は、時間帯によって埋まります。そのとき、来た人はどこに止めればいいのか分からずに、周りをぐるぐる回ることになります。
満車のときに使える近くのコインパーキングを、1〜2か所書いておいてください。名前や場所と、建物までの歩く時間だけで構いません。駐車料金を負担するかどうかを決めている会社なら、それも書いておくと、来る人が迷わずに止められます。
カーナビに入れる住所と電話番号
車で来る人の多くは、カーナビか地図アプリに目的地を入れます。ここで起きるのが、住所を入れると建物の裏側や隣の番地に案内されるという形です。
- カーナビに入れると正しく案内される住所や電話番号 ― 実際に入れて確かめたものを書く
- 案内がずれる場合の注意 ― 「住所で検索すると裏の道に案内されます。〇〇通り側から入ってください」
- 近くの目印になる施設 ― ずれたときに、目的地として入れ直せるもの
電話番号で目的地を探せるカーナビもあります。ただ、番号が古い登録のまま別の場所が出ることもあるので、一度ご自身の車で試してみてください。
5. スマートフォンで、そのまま案内を始められるようにする
アクセスのページを見ている人の多くは、スマートフォンです。しかも、出かける直前や、移動している途中に見ています。ここで手間をかけさせない工夫が効きます。
「Googleマップで開く」ボタンを置く
ページの中に地図を埋め込むだけでなく、地図アプリで目的地を開くボタンを置いてください。スマートフォンでボタンを押すと地図アプリが開き、そのまま現在地からの案内が始められます。
埋め込みの地図は、小さな画面では操作しにくく、指で動かそうとするとページ全体がスクロールしてしまうことがあります。「見る地図」と「歩くための地図」は分けて考えると、ボタンを置く理由が分かりやすいはずです。
ボタンを押したときに開く場所は、住所ではなく入口の位置に合わせておくのが理想です。ピンがずれている場合は、ここで直せます。
住所と電話番号は、文字で書く
住所や電話番号を画像で載せているサイトがありますが、これは避けてください。文字であれば、タップして地図を開いたり、電話をかけたりできます。画像だと、それができません。電話番号のタップについては 「ホームページから電話が鳴らない」を、電話の側から直す でも触れています。
営業時間と休業日を、アクセスの近くにも書く
アクセスのページを見ている人は、これから行こうとしている人です。その人が次に気にするのは、「今日は開いているか」です。
営業時間と休業日は、会社概要やトップにだけ書いてあることが多いのですが、アクセスのページにも同じものを置いてください。行き方を確かめた人が、別のページに戻って営業時間を探す手間がなくなります。昼休みに閉める時間がある、受付は何時までといった細かい決まりも、ここに書いておくと親切です。
臨時休業や年末年始のお休みも、アクセスのページに一行出せる場所を用意しておくと、来てから閉まっていたという事態を防げます。
6. 来客を受けない会社でも、書いておくこと
「うちは来客を受けないから、アクセスのページは要らない」というお話も聞きます。ただ、来客を受けない会社でも、所在地を見て来る人はいます。取引先の担当者、配送業者、面接を受けに来る人。その人たちのために、書いておくことがあります。
来社の扱いを一文で書く
「ご来社の際は、事前にご連絡ください」の一文があるだけで、突然の来訪はかなり減ります。工場や倉庫で事務所に人がいない時間がある会社、在宅勤務が中心の会社なら、なおさらです。
あわせて、連絡先と、何日前までに連絡してほしいかを書いておくと、来る側も予定が立てやすくなります。
郵送先と荷物の受け取りを書く
所在地と郵送先が違う会社は、ここを分けて書いてください。
- 郵便物の送り先 ― 本社と別の場所で受けている場合、書類が届かずに戻ってくることがある
- 荷物の受け取り ― 宅配便を受けられる時間、受け取れない曜日、搬入口の場所
- 大きな荷物や納品 ― トラックが入れるか、事前の連絡が要るか
こうした情報は、電話で何度も聞かれていることを、ページに書いておくだけのことです。書いておけば、聞かれる回数が減ります。
建物の名前や入口が変わったら、すぐ直す
アクセスのページで、とくに起きやすいのが直し忘れです。ビルの名前が変わった、入口が工事で移った、駐車場の契約をやめた。こうした変化は、会社の側では「大きな変更」と感じないので、サイトに反映されないまま残ります。
そして、直し忘れはたいてい、来た人が迷って初めて分かります。移転や社名変更のときに直す場所は 移転・社名変更・代表交代のときに、サイトで直すところ にまとめました。アクセスの写真も、その一覧に入れておいてください。写真の中の看板や建物の名前は、文字で検索しても見つかりません。
外国語で案内が要る場合
外国からのお客様が来る商売なら、アクセスの案内だけでも外国語で用意しておく価値があります。駅の出口番号や曲がり角の写真は、言葉が通じなくても伝わる部分が多いので、写真を先に整えておくと、翻訳の量を小さくできます。どこまで外国語に対応するかの考え方は ホームページの多言語対応は、本当に必要か に書きました。
7. 直す順番 ― まず自分で歩いてみる
ここまでの話を、手を付ける順番に並べます。費用はほとんどかかりません。
Step 1:初めて来た人のつもりで、駅から歩いてみる
まず、ご自身のサイトのアクセスページだけを見て、駅から歩いてみてください。知っている道でも、ページに書いてあることだけを頼りにします。迷いそうになった場所、書いていないのに判断した場所を、メモに残します。
社内の人より、一度も来たことがない家族や知人に歩いてもらうと、もっとはっきり分かります。
Step 2:迷った場所を写真に撮って、一文を添える
Step 1でメモした場所が、写真を撮るべき場所です。曲がり角、建物の外観、入口、エレベーター。歩く順に3〜5枚撮って、それぞれに一文を添えます。
Step 3:交通手段ごとに見出しを分け、駐車場と時間を書き足す
電車・車・バス・徒歩で見出しを分け、それぞれに必要なことを書きます。車の人向けには、台数と満車のときの案内、カーナビに入れる住所。最後に、営業時間と休業日、地図アプリで開くボタンを置きます。
Step 4:何か変わったら、アクセスのページから直す
建物や入口、駐車場に変化があったら、まずアクセスのページを開いてください。年に一度、季節の変わり目に一度歩き直すと決めておくと、直し忘れが溜まりません。
8. 雄喜晃の伴走:最後の100メートルを、一緒に確かめます
私たち雄喜晃がお作りするサイトでは、アクセスのページを、地図を貼って終わりにはしていません。どこから来る人が多いかをお聞きして、交通手段ごとに見出しを分け、最後の100メートルに必要な写真を一緒に決めます。地図アプリで開くボタンも、入口の位置に合わせて置きます。
写真は、貴社で撮っていただいたものをお預かりして、容量を落としてから並べます。公開後に入口や駐車場が変わったときも、月5回までの更新代行の中で、写真と文章の差し替えをお受けしています。制作費は0円で、月額8,800円(税別)にサーバー・独自ドメイン・SSL・保守までを含めています。
一方で、私たちがやらないことも書いておきます。現地に伺っての撮影代行はしていません。来る人の目線で歩けるのは、毎日その道を通っている貴社の方です。私たちは、撮る場所と順番を一緒に決め、撮っていただいた写真を使える形に整える役に回ります。また、来店につながるかどうかを約束するような書き方もしません。迷わず着けるようにすることと、来てもらえるかどうかは、別の話だからです。
「地図は載せているのに、行き方の電話が減らない」という会社は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績 に、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:地図で近くまで、写真で入口まで
アクセスのページで来る人を迷わせないために必要なことは、3つです。
- 最後の100メートルを写真で見せる ― 駅の出口、曲がり角、外観、入口、エレベーター。歩く順に3〜5枚、それぞれに一文を
- 交通手段ごとに分けて書く ― 電車の人には出口と歩く時間、車の人には駐車場の台数と満車のときの案内、カーナビの住所
- スマートフォンで、そのまま動けるようにする ― 地図アプリで開くボタン、文字で書いた住所と電話番号、すぐ近くに営業時間
来客を受けない会社でも、来社の扱いと郵送先、荷物の受け取りは書いておく価値があります。聞かれていることを書いておく。アクセスのページの役割は、それに尽きます。
まずは一度、ご自身のサイトのアクセスページだけを見て、駅から歩いてみてください。迷いそうになった場所が、最初に写真を撮る場所です。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。初めて来る人の目線で、最後の100メートルを一緒に歩くところからご一緒します。