1. 「近所でもやってますよ、と言えたら話が早いんです」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「問い合わせの電話で、最初に『うちのあたりも来てもらえるんですか』と聞かれるんです。同じ町内で何軒もやっているんですけどね。それがサイトで分かれば、話が早いと思うんですが」
これは、とても大事な気づきです。お客様が知りたいのは、対応できるかどうかだけではありません。自分の家の近くで、実際に仕事をしたことがあるかどうかです。「この地域でもやっている」が伝わると、近くのお客様はそれだけで安心します。
その見せ方として、地図に印を並べる方法があります。見た目に分かりやすく、広がりが一目で伝わります。ただし、出し方を間違えると、お客様のお宅の場所が、誰にでも分かる状態になってしまいます。見せたいのは貴社の仕事の広がりであって、お客様の住所ではありません。
この記事で書くこと
- 「近くでやっている」が、なぜ安心につながるのか
- 地図に印を置く方法と、地域名の一覧で見せる方法の違い
- 個人宅は、番地まで出さず、町名や区までにとどめる
- お客様の了解の取り方
- 件数を盛らないこと、古い実績の扱い
- 対応エリアのページとのつなぎ方
どこまで行けるかを書く「対応エリア」の書き方は 「対応エリア」を、ホームページにどう書くか に、1件ずつの実績の書き方は 実績ページに何を書くと、次の依頼につながるか にまとめました。この記事は、その間にある「どの地域で、どれくらい仕事をしてきたか」を、まとめて見せる方法に絞って書きます。
2. 「近くでやっている」が、安心につながる理由
先に、なぜ地域の実績がお客様の安心につながるのかを整理しておきます。理由が分かると、何をどこまで見せればいいかが決めやすくなります。
来てもらえるかどうかが、聞く前に分かる
お客様の最初の心配は、そもそも自分の家まで来てもらえるのかです。対応エリアに市の名前が書いてあっても、端のほうの町だと「うちは入っているのかな」と迷います。
同じ町や隣の町での実績が見えれば、迷いは消えます。電話で最初に聞く必要がなくなり、いきなり中身の相談から始められます。
地域の事情を知っていると想像できる
地域によって、家や建物の事情は違います。坂が多い、海が近い、古い家が多い、道が狭くて車が入りにくい。その地域で何度も仕事をしている会社なら、こうした事情を知っているだろうとお客様は考えます。
実際に知っているかどうかは、実績の数だけでは分かりません。ただ、近くで仕事をしてきたという事実は、その想像の入口になります。
何かあったときに、すぐ来てくれそうに見える
工事や設備の仕事は、終わったあとに不具合が出ることもあります。そのとき、近くでよく仕事をしている会社なら、呼べばすぐ来てくれそうだと感じます。遠くの会社より、頼んだあとの安心が大きいのです。
宣言より、記録のほうが信じられる
対応エリアの一覧は「行けます」という宣言です。地域の実績は「実際に行きました」という記録です。読む人は、宣言より記録を信じます。だからこそ、記録の見せ方は丁寧に考える必要があります。
3. 地図に印を置くか、地域名の一覧で見せるか
地域の実績を見せる方法は、大きく分けると2つです。地図の上に印を置く方法と、地域名を文字で並べる方法です。それぞれに向き不向きがあります。
地図に印を置く方法
Googleマップなどの地図の上に、仕事をした場所の印を置く方法です。
いちばんの良さは、広がりが一目で伝わることです。印が集まっている地域を見れば、どこを中心に動いている会社かがすぐ分かります。自分の家の近くに印があれば、それだけで安心できます。
一方で、気をつけることも多い方法です。
- 印の位置が、お宅の場所を示してしまう ― 地図は拡大できます。印が実際の住所に置かれていると、どの家かが分かります
- スマートフォンでは見づらい ― 小さな画面に印が重なると、どこに何があるのか分かりません
- 中の地名が、文字として伝わりにくい ― 地図に書かれた地名は、検索エンジンにも、画面の読み上げを使う人にも伝わりにくくなります
- 増やすほど、手間と重さが増える ― 仕事のたびに印を足す手間がかかり、地図を表示するぶんページも重くなります
地域名の一覧で見せる方法
もう1つは、地域名を文字で並べる方法です。たとえば「神戸市北区(〇件)」「三田市(〇件)」のように、市や区ごとに件数を添えます。
文字なので、探しやすく、伝わりやすいのが良さです。自分の住んでいる区の名前を探せば、すぐ見つかります。検索エンジンにも地名がそのまま伝わります。仕事が増えたときに直すのも、数字を1つ書き換えるだけです。
弱みは、広がりが目では分かりにくいことです。地名を知らない人には、どのあたりなのかが伝わりません。
いちばん無理が少ないのは、組み合わせ
おすすめは、市や区を色で塗り分けた簡単な図と、その下に文字の一覧を置く形です。図で広がりを見せ、一覧で正確な地名と件数を伝えます。印を1軒ずつ置かないので、お宅の場所も出ません。
広がりは一目で伝わります。ただ、地図を拡大すると、どの家か分かってしまいます。スマートフォンでは印が重なり、地名も文字として伝わりにくくなります。
自分の区を探しやすく、検索エンジンにも地名が伝わります。直すのも数字1つです。ただ、地名を知らない人には、どのあたりかが伝わりません。
図で広がりを見せ、一覧で正確な地名を伝えます。1軒ずつの印を置かないので、お宅の場所は出ません。対応エリアのページとも同じ図を使えます。
件数がまだ少ないうちは、②の一覧だけで十分です。地図は目で見せる補助で、主役は文字の地名だと考えてください。①を選ぶ場合も、印は住所ではなく町や区の単位に置き、拡大しても家が分からないようにします。
件数が少ないうちは、一覧から始める
実績がまだ少ないうちに地図を作ると、印がまばらで、かえって少なく見えます。まずは地域名の一覧から始めて、件数が増えてきたら図を足す順番のほうが無理がありません。一覧なら、1件目から載せられます。
4. 個人宅は、番地まで出さない
地域の実績でいちばん気をつけたいのが、個人のお客様のお宅です。ここは、迷ったら出さない側に倒してください。
出すのは、町名や区まで
個人宅の実績は、町名や区までにとどめ、番地や建物名は出さないのが基本です。「神戸市北区〇〇町」まであれば、近くの人には「うちの近所だ」と十分に伝わります。それ以上細かく書いても、読む人の安心はほとんど増えません。増えるのは、お客様の困りごとのほうです。
小さな町や、家の少ない地域では、町名まででも家が絞られることがあります。その場合は、区や市までにとどめます。その地域に何軒くらい家があるかを思い浮かべて、決めてください。
写真と組み合わせると、分かってしまう
気をつけたいのは、地名と写真を一緒に出すときです。町名と外観の写真が並んでいると、近所の人ならどの家か分かることがあります。
- 外観の写真 ― 個人宅は、町名と並べるなら外観の写真を避けるか、区までにとどめます
- 写り込み ― 表札、車のナンバー、隣の家、特徴のある看板や建物は、写真から外します
- 工事の時期 ― 「〇月に足場を組んでいた家」と近所の人が覚えていることもあります
写真の撮り方と写り込みの確かめ方は 施工前と施工後の写真を、比べられる形で撮る にまとめました。
法人や店舗のお客様は、了解の範囲次第
お客様が会社や店舗の場合は、もともと場所が公開されているので、社名や店名を出せることもあります。ただ、それはお客様が了解した場合に限ります。取引の事実を外に出したくない会社もあります。場所が公開されているかどうかと、実績として載せてよいかどうかは、別の話です。
| 書く範囲 | 個人宅のお客様 | 法人・店舗のお客様 |
|---|---|---|
| 市や区まで (たとえば「神戸市北区」) | 基本はここまで。家の少ない地域でも、お宅は分からない | 社名を出せないときの書き方として使える |
| 町名まで (たとえば「〇〇町」) | お客様の了解があれば。家が少ない町や、外観の写真と並べるときは避ける | 了解があれば書ける |
| 番地・建物名まで | 出さない。地図の印を住所に置くのも同じ | 店舗など、来てもらう場所として了解を得た場合だけ |
| 社名・店名 | 出さない(お名前も同じ) | 了解を得た場合だけ。取引を出したくない会社もある |
どの行でも、先にお客様の了解を取ることが前提です。了解の範囲が「市や区まで」なら、それより細かくは書きません。迷ったら、1つ上の広い範囲にとどめてください。
ちなみに、貴社自身の住所をどこまで出すかも、同じような考え方で決められます。自宅で開業している場合の考え方は 自宅やバーチャルオフィスで開業している会社は、住所をどう載せるか に書きました。
5. お客様の了解を取る
地域の実績を載せるときは、町名や区までであっても、お客様の了解を取ってから載せてください。
区までなら要らない、とは考えない
「区の名前だけなら、誰のことか分からないから大丈夫」と考えたくなります。ただ、お客様の側から見ると、自分の家の仕事がどこかに載っていること自体を気にする方もいます。分かるかどうかではなく、お客様がどう感じるかで考えてください。
それに、了解を取っておけば、あとで迷いません。「この件は載せていいんだったか」を思い出す手間がなくなります。
聞くのは、終わったときに、範囲を分けて
了解は、仕事が終わったときに聞くのがいちばん自然です。お礼の連絡や引き渡しのときに、一言添えます。聞くときは、範囲を分けて聞いてください。
- 地域名と仕事の種類だけ ― たとえば「北区で、外壁の塗り替え」
- 写真も載せてよいか ― 外観か、室内や部分だけか
- 社名や店名も出してよいか ― 法人・店舗のお客様の場合
範囲を分けると、「全部はちょっと」という方でも、地域名だけなら了解してくださることがあります。全部か無しかで聞くと、無しになりやすくなります。
記録に残し、取り消されたら外す
了解は、いつ・誰に・どの範囲まで、と記録に残してください。仕事の台帳の1列に書いておくだけで足ります。そして、あとから「やっぱり外してほしい」と言われたら、すぐに外します。地図や一覧の件数も、あわせて直します。
個人の情報の扱いについての決まりは、業種や仕事の中身によって違うことがあります。気になる点があるときは、所管の窓口や専門家に確認してください。
6. 件数を盛らない、古い実績をどう扱うか
地域の実績は、数字が目に入りやすいぶん、数え方と時点がはっきりしていないと崩れます。
何を1件と数えるか、先に決める
まず、何を1件と数えるかを決めます。同じお宅の2回目の工事は1件か2件か。1回のお届けで複数の品を納めたら何件か。見積もりだけで終わったお宅は入れるのか。数え方が決まっていないと、地域ごとの件数がばらつきます。
見積もりだけの家や、下見だけで終わった家は、実績には入れないでください。数え方の決め方は 「創業○年」「施工実績○件」などの数字を、ホームページにどう書くか に詳しくまとめてあります。
印や件数を、多く見せたくなるとき
地図の印がまばらだと、増やして見せたくなります。ただ、次のような足し方はやめてください。
- 見積もりや下見だけの家を、印に含める ― 仕事をしていない場所の記録になります
- 下請けで入った現場を、自社の実績として並べる ― 元請けの会社との約束で、出せないこともあります
- 近くの別の地域の件数を、まとめて1つの地域に寄せる ― その地域の人が見たとき、話が合わなくなります
地域の実績は、近くのお客様が実際に確かめられる数字です。「うちの町で何件もやっていると書いてあるけど、聞いたことがない」と思われると、ほかの数字まで疑われます。少ない地域は、少ないまま書いて構いません。1件でも、実際にやった1件のほうが伝わります。
時点を添える
件数には、いつ時点の数字かを添えてください。「〇年〇月時点」と一行あれば、読む人は古い数字かどうかを判断できます。更新が止まったときも、書いてある数字が嘘になりません。
古い実績は、消さずにまとめる
何年も前の実績を、どう扱うかも決めておきます。地図に古い印まで並べていると、今どこで動いているのかが分かりにくくなります。
たとえば、地図や塗り分けの図には直近の数年分だけを出し、それより前は一覧の中で「〇年より前」としてまとめるやり方があります。古い実績は、長く続けてきたことの記録なので、消してしまう必要はありません。見せる場所を分けるだけです。
今は行っていない地域の実績は、外すか、「現在は対応していません」と添えてください。実績を見て問い合わせてきた方を、断ることになるからです。
7. 対応エリアのページとつなぐ
地域の実績は、それだけで置いておくより、対応エリアのページとつないだほうが役に立ちます。
対応エリアの地名から、実績へ移れるようにする
対応エリアのページで「神戸市北区」と書いてあるなら、その地名から、北区の実績の一覧へ移れるようにしてください。「行けます」と書いた横で、「実際に行きました」を確かめられます。反対に、実績の一覧からも、対応エリアのページへ戻れるようにしておくと、条件や日数も一緒に確かめられます。
地名の書き方を揃える
つなぐときに崩れやすいのが、地名の書き方です。対応エリアでは「神戸市北区」、実績では「北区」、お知らせでは「鈴蘭台」。同じ場所を指しているのに、書き方が違うと、同じ地域だと伝わりません。
正式な地名を1つの書き方に揃え、地元での呼び方は添える形にしてください。揃え方は 地名や駅名を、ホームページにどう書くか に書きました。
食い違いを、そのままにしない
対応エリアと実績を並べると、食い違いが見えてくることがあります。
- 実績はあるが、今は対応していない地域 ― 実績の側に「現在は対応していません」と添える
- 対応エリアなのに、実績がまだ無い地域 ― それで構いません。無理に作らず、仕事ができたら足す
- 実績が多いのに、対応エリアに書いていない地域 ― 対応エリアの書き方を見直すきっかけになります
3つ目は意外と多いです。仕事の記録を地域ごとに数えてみると、思っていた範囲と実際に動いている範囲が違うことに気づきます。Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)に登録している地域とも、あわせて見比べてください。
仕事が終わった日に、1行足す
最後に、更新の段取りです。地域の実績は、まとめて作ろうとすると止まります。仕事が終わった日に、台帳に「時期・地域・仕事の種類・了解の範囲」を1行足す。月に一度、その台帳からサイトの件数を書き換える。この2つを決めておけば、手間はわずかです。
8. 雄喜晃の伴走:仕事の記録から、地域の実績を一緒に起こします
私たち雄喜晃のホームページ制作では、地域の実績を、見栄えのする地図から作り始めることはしません。先に、これまでの仕事の記録を伺い、どの地域で、どんな仕事を、どれくらいしてきたかを一緒に数えるところから始めます。
私たちがやること
お預かりした仕事の台帳や記録をもとに、地域ごとの件数を数え、何を1件と数えるかを一緒に決めます。そのうえで、地域名の一覧を作り、件数が十分にある場合は市や区を塗り分けた図を添えます。個人のお客様のお宅は、了解の範囲に合わせて町名や区までにとどめます。
対応エリアのページとのつなぎ方も、地名の書き方を揃えながら組みます。写真を添える場合は、貴社で撮っていただいたものをお預かりし、表札や車のナンバーなどの写り込みを確かめて整えたうえで載せます。
公開後に実績が増えたら、ご連絡いただければ件数や地域を書き換えます。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、月に一度の書き換えにも使えます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
先に書いておきます。個人のお客様のお宅の場所が分かる形で、地図に印を置くことはしません。了解の取れていない実績を載せることも、見積もりだけの家や下請けの現場を足して件数を多く見せることもいたしません。
撮影もお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでが私たちの仕事です。また、地域の実績を載せることで、その地域名での検索の順位が上がる、問い合わせが増えるとお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。私たち自身も、神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「同じ町で何軒もやっているのに、それがサイトで伝わっていない」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:見せるのは仕事の広がりで、お宅の場所ではない
施工やお届けの実績を、地図や地域名で見せるときに押さえることは、5つです。
- 「近くでやっている」は、記録で伝える ― 対応エリアは宣言、地域の実績は記録。読む人は記録を信じる
- 主役は文字の地名、地図は補助 ― 件数が少ないうちは地域名の一覧から。増えたら塗り分けた図を足す
- 個人宅は、町名や区まで ― 番地や建物名は出さず、地図の印も住所に置かない。写真との組み合わせにも気をつける
- 了解を取り、件数を盛らない ― 範囲を分けて聞き、記録に残す。見積もりだけの家は数えない。時点を添える
- 対応エリアのページとつなぐ ― 地名の書き方を揃え、食い違いがあれば直す
地域の実績は、近くのお客様にとって、いちばん身近な判断材料です。だからこそ、正確に、そしてお客様のお宅に迷惑がかからない形で見せてください。広く大きく見せるより、近くの人が確かめられる形で見せるほうが、安心は伝わります。
まず、今日できること
去年1年分の仕事の台帳を開いて、仕事をした地域を市や区ごとに数えてみてください。地図を作るのは、その数を並べてからで十分です。数えてみると、思っていた範囲と、実際に動いている範囲の違いも見えてきます。