1. 「整体のお店と同じように書いては、いけないんですか」

鍼灸院を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「近所の整体のお店のサイトは、症状の名前がずらっと並んでいて、にぎやかなんです。うちは国家資格でやっているのに、サイトは地味で。同じように書いたほうがいいんでしょうか」

気持ちはよく分かります。ただ、鍼灸院には、整体の店とは違う事情が2つあります。

1つ目は、はり・きゅうの施術は、国家資格を持った人が行う仕事だということです。資格があること自体が、初めての人にとって安心の材料になります。

2つ目は、広告で書ける内容に、決まりがあるということです。整体やもみほぐしの店にも書き方の注意はありますが、鍼灸院は資格に関わる決まりがあるぶん、書ける範囲が狭いと言われます。同業のにぎやかなサイトをそのまま真似ると、かえって決まりに触れるおそれがあります。

整体やもみほぐしの店については、整体やもみほぐしの店のホームページに、何を載せるか に書きました。共通するところも多いので、あわせて読んでください。この記事では、鍼灸院ならではのところを中心に書きます。

この記事で書くこと

  • 痛み・衛生・道具の扱いという、初めての人の不安への答え方
  • 施術の流れと、時間の目安
  • 料金の見せ方と、予約・キャンセルの決まり
  • 保険が使える場合の話と、訪問の施術
  • 施術者の紹介と、資格の書き方
  • 広告の決まりに気をつけたい書き方

なお、私たちは法律の専門家ではないので、どの表現が許されるかの個別の判断は書きません。決まりの中身は、所管の窓口や専門家に確認してください。

2. 初めての人の不安は、痛み・衛生・道具の扱い

鍼灸院に初めて行こうとする人が、最初に気にしているのは「はりは痛くないのか」です。次に「清潔なのか」、そして「どんな道具を使うのか」。この3つに答えが書いてあるかどうかで、予約するかどうかが分かれます。

痛みは、言い切らずに、調整できることを書く

「痛くありません」と書きたくなりますが、感じ方は人によって違います。言い切ると、少しでも痛みを感じた人を裏切ることになります。

代わりに書けるのは、こうしたことです。

  • 感じ方の説明 ― 「感じ方には個人差があります。チクッとすることもあれば、ほとんど分からないこともあります」
  • 伝えてよいこと ― 「気になるときは、施術の途中でもいつでもお伝えください」
  • 調整できること ― 刺激の強さや、はりの本数、使う場所を変えられるなら、そう書く
  • はりを使わない選び方 ― お灸だけ、刺さないはりだけ、といった選び方を用意しているなら、それも

お灸についても同じです。熱さをどう調整しているか、熱いと感じたらどうすればいいか。跡が残ることがあるかどうかなど、施術の前に説明していることがあれば、サイトにも書いておきます。

衛生は、やっていることを順に書く

「衛生管理を徹底しています」の一行では、読む人には何をしているのか分かりません。実際にやっていることを、順に書いてください。

  • はりは使い捨てのものを使っているか。使っているなら、1人ごとに新しく開けているか
  • 施術の前に、手や施術する場所をどう消毒しているか
  • タオルやシーツは、お客様ごとに替えているか
  • 使い終わったはりを、どう処分しているか

書くのは、貴社が実際にやっていることだけです。やっていないことを書くと、来た人が見て気づきます。

道具は、写真と言葉で見せる

はりやお灸は、見たことがない人にとっては想像しにくい道具です。実物の写真を1枚載せるだけで、不安がかなり小さくなります。

写真には、どのくらいの細さか、お灸ならどんな形かを、初めての人が思い浮かべられる普段の言葉で添えてください。

3. 施術の流れと、時間の目安

初めての人は、中に入ってから何が起きるのかが分からないことを不安に思っています。来院から帰るまでを、段に分けて書いておきます。

図:初めての方が、来院してから帰るまでの流れ(たとえばの例で、時間は架空です)
① 受付で、用紙に記入する

名前と連絡先、今日気になっている体の場所、はりやお灸を受けたことがあるかを書いていただきます。たとえば10分ほどです。

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② お話を伺い、今日の施術を決める

用紙を見ながら、どこを中心にするか、刺激の強さの好み、はりを使うかお灸だけにするかを伺います。使う道具も、ここで見ていただけます。

通院中の方や、体調に不安のある方は、ここでお知らせいただく
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③ 着替えて、施術

着替えの場所と、用意している服を案内します。施術の途中でも、強さや熱さの希望はいつでも伝えられます。たとえば40分ほどです。

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④ 施術のあとの説明と、支払い

施術中に気づいたことと、帰ってから気をつけてほしいことをお伝えします。次の予約は、ご希望の方だけお受けします。

次の予約や回数券を、こちらから強くお勧めしない、と書けるなら書いておく

流れを書くときは、どの段で何を聞かれ、どこで自分の希望を伝えられるかが分かるようにします。中身と時間は、貴社の実際のやり方で書いてください。用紙の呼び名や説明の言葉に、医療と紛らわしい言葉を使ってよいかどうかは、所管の窓口や専門家に確かめてください。

時間は、施術の時間とお店にいる時間を分ける

時間の目安は、施術そのものの時間と、着替えやお話を含めた院にいる時間を分けて書きます。「施術は40分、着替えとお話を含めて1時間ほど」のように書いてあると、仕事の合間や、子どもの迎えの前に来たい人が予定を立てられます。

来る前にお願いすること

  • 着替えを持ってくる必要があるか、院で用意しているか
  • 食事のすぐあとや、お酒を飲んだあとの来院を避けてほしいか
  • 予約の時間の何分前に来てほしいか
  • 駐車場があるか、近くの駐車場を使うか

こうした内容は、「初めての方へ」のページにまとめておくと探しやすくなります。何をどこまで書くかは、「初めての方へ」のページは、要るのか。要るなら何を書くか に詳しく書きました。

4. 料金の見せ方と、予約・キャンセル

料金は、初回と2回目からを並べる

鍼灸院の料金は、初回の料金、2回目からの料金、施術の内容による違いの3つを並べると、読む人が全体を見渡せます。たとえば、次のような並べ方です(金額はすべて架空の例です)。

  • 初回 ― たとえば〇,〇〇〇円(お話を伺う時間を含む、1時間ほど)
  • 2回目から ― たとえば〇,〇〇〇円(施術40分ほど)
  • お灸だけの場合 ― たとえば〇,〇〇〇円

初回の料金だけを大きく出すと、2回目からいくらになるのかが分からず、続けて通えるか判断できません。通常の料金を同じ表に並べてください。税込か税別かも、表の中でそろえます。

回数券や、通う頻度に合わせた料金があるなら、使える期限と、途中でやめたときの扱いも一緒に書きます。「通常〇円のところ」のように元の料金と比べて見せる書き方や、割引の見せ方そのものが、広告の決まりに関わる場合もあります。載せる前に、所管の窓口や専門家に確かめてください。

予約は、施術中に電話に出られないことを前提に

はりやお灸の施術中は、電話に出られないことが多い仕事です。

  • 電話 ― 電話がつながりやすい時間を書いておきます。出られなかったときに折り返すかどうかも
  • ネットの予約 ― 空いている時間が見えると、夜に調べた人がそのまま予約できます
  • 当日の予約 ― 当日でも受けるのか、予約のみか

ネットで受けるかどうか、受けるならどう受けるかは、枠の作り方で変わります。考え方は 予約をネットで受けるか、電話のままにするか にまとめました。

キャンセルの決まりは、予約の入口の近くに

予約制の院にとって、当日のキャンセルや遅刻はそのまま空き時間になります。キャンセルの決まりは、予約の入口のすぐ近くに書いておきます。

  • いつまでに連絡すれば、費用がかからないか
  • 当日のキャンセルや、連絡のないキャンセルの扱い
  • 遅れて来たとき、施術の時間を短くするのか、延ばせるのか
  • 連絡の方法(電話のほかに、メールやフォームでもよいか)

体調が悪くなって休むときに、気がねなく連絡してもらえる書き方にしておくことも大事です。区切り方や言い方の温度は、キャンセルや日程変更の決まりを、ホームページにどう書くか に詳しく書きました。

5. 保険が使える場合の話と、訪問の施術

保険は「使えます」と言い切らない

はり・きゅうの施術は、条件によっては健康保険を使って受けられる場合があると言われます。ただし、対象になるかどうかは、症状や、医師の同意、加入している保険者の判断などによって変わり、院の側だけで決められることではありません。

ですから、サイトでは「保険が使えます」と大きく書くのは避けたほうが無難です。書けるのは、たとえば次のようなことです。

  • 取り扱いの有無 ― 貴社として、保険を使った施術の取り扱いをしているかどうか
  • 相談の入口 ― 「保険を使いたい方は、ご予約の前にお電話でご相談ください。条件をご説明します」
  • 流れの概略 ― 相談から、書類の用意、施術を始めるまでの順番
  • 支払いの違い ― 保険を使う場合と使わない場合で、支払いの方法が変わるなら、そのこと

自己負担の金額は条件で変わるので、金額を言い切らずに「ご相談のときにご説明します」とするほうが、あとで食い違いが起きません。症状の名前を並べて「この症状なら保険が使えます」と書く形も避けてください。細かい条件は、所管の窓口や、加入している保険者に確認してください。

訪問の施術は、誰に、どこまで行くかを書く

通院が難しい方のために、自宅や施設へ伺う施術をしている院もあります。訪問をしているなら、来てもらえるかどうかを、問い合わせる前に判断できるように書いておきます。

  • 対象 ― 通院が難しい方、ご家族からの相談も受けるか
  • 伺う範囲 ― 市町村の名前で。範囲の外はどうするか
  • 曜日と時間 ― 訪問の日を決めているか、院の施術の合間か
  • 費用 ― 施術の料金とは別に、交通費や訪問の費用がかかるか。たとえば「〇〇市内は〇〇〇円」のように(金額は貴社の実際のもので)
  • 立ち会い ― ご家族や施設の方に立ち会っていただくか
  • 最初の相談 ― いきなり予約ではなく、まず電話で様子を伺うのか

訪問の施術を保険で受ける場合にも、条件があると言われます。ここも言い切らずに、「ご相談のときにご説明します」と書き、条件は所管の窓口や保険者に確かめてください。訪問の相談はご家族から来ることもあるので、家族が読んでも分かる言葉で書いてください。

6. 施術者の紹介と、資格の書き方

鍼灸院は、誰に施術してもらうかで選ばれる仕事です。施術者の紹介は、料金と同じくらい読まれます。

紹介に書くこと

  • 名前と、施術の経験年数 ― 何年この仕事をしているか。数えられる事実だけを書きます
  • 持っている資格 ― はり師・きゅう師のように、正式な名前で書く
  • 得意な施術のやり方 ― 「細いはりを少ない本数で使う」「お灸を中心にする」のように、やり方で書く
  • どんな人か ― 話しながら進めるのか、静かに施術するのか
  • 男女と、施術の曜日 ― 施術者を選べるかどうかに関わるので、書けるなら書いておく

資格は、正式な名前で、誰が持っているかと一緒に

国家資格を持っていることは、この業種のいちばんの安心の材料です。ただし、書き方には気をつけたいところがあります。

  • 正式な名前で書く ― 略した呼び方や、独自の肩書きにしない
  • 誰が持っているかを書く ― 院として持っているのではなく、人が持っている資格です。施術者が複数いるなら、それぞれに
  • 民間の講座や団体の認定と分ける ― 国家資格と、民間の講座の修了や認定は、並べると読む人には見分けがつきにくくなります。分けて書いてください

施術者の経歴をどこまで書けるかにも、広告の決まりが関わる場合があります。出身の学校や、研修を受けた先、所属している団体を書きたいときは、載せる前に所管の窓口や専門家に確認してください。

顔写真を載せるかどうか、施術者が辞めたときにどうするかの考え方は、社員紹介ページは、本当に要るのか にまとめてあります。

7. 広告の決まりに、気をつけたい書き方

最後に、冒頭で触れた広告の決まりの話です。ここに書くのは一般論です。何が書けて何が書けないか、ホームページがどう扱われるかは、所管の窓口や専門家に確認してください。どの業種でも気をつけたい書き方は、業種によっては、ホームページに書けないことがある にまとめてあります。

言い切りと、病名の一覧は避ける

同業のサイトでよく見る書き方のうち、鍼灸院で特に気をつけたいのは、次の2つです。

  • 効く・治るなどの言い切り ― 「〇〇が治る」「〇〇に効く」「改善します」のように、結果を約束する書き方
  • 病名や症状の名前を並べる書き方 ― 「こんな症状の方へ」として病名を一覧にし、それに対応すると読める作り方

ほかの業種では当たり前に見える書き方でも、鍼灸院は書ける範囲が限られていると言われる業種です。真似る前に確かめてください。

表:載せたいものと、気をつけたいこと(例はすべて架空です)
載せたいもの気をつけたいこと書き方の例(たとえば)
施術でよくなること効く・治るの言い切りは避けるたとえば「はりとお灸を使い、40分ほど施術します」のように、何をどれくらいするかを書く
対応できる症状病名や症状の名前を並べないたとえば「通院中の方や、体調に不安のある方は、ご予約の前にご相談ください」
お客様の声体験談そのものの扱いに決まりが関わる場合がある載せるかどうかから、所管の窓口や専門家に確かめる
料金と割引割引や比べた見せ方は確かめてからたとえば初回と2回目からの料金を、同じ表に並べる
施術者の資格国家資格は正式な名前でたとえば「はり師・きゅう師 〇〇〇〇」と、人ごとに書く
保険「使えます」と言い切らないたとえば「保険を使いたい方は、ご予約の前にご相談ください」

右の列は、決まりに合っていると保証する書き方ではありません。結果を約束せずに、やっていることと相談の入口を書くという考え方の例です。実際に載せる言葉は、所管の窓口や専門家に確かめてから決めてください。

確かめるときは、載せたい文章を持っていく

確かめるときは、載せたい文章を実際に書いてから持っていくほうが、どの言葉が気になるかを具体的に指してもらえて、話が早く進みます。

制作会社に頼むなら、原稿の段階で「確かめてから載せたい言葉」を伝えておくと、公開後に直す手間が減ります。

書けることが少なくても、選ばれる材料はある

書ける範囲が狭いと聞くと、選ばれる材料がなくなるように感じるかもしれません。ですが、この記事で見てきたことの多くは、効き目ではなく、行ったら何が起きるかの話です。初めての人が知りたいことは、言い切りの言葉がなくても書けます。

8. 雄喜晃の伴走:効き目の言葉より、来院前の不安への答えを書きます

私たち雄喜晃は、鍼灸院のホームページを作るとき、最初に「初めての方に、電話や受付でよく聞かれること」を伺うところから始めます。そこに出てくる不安が、そのままサイトに書くべき中身になるからです。

私たちがやること

  • 痛み・衛生・道具の扱いを、実際のやり方で書く ― 貴社でしていることを伺い、初めての人が読める言葉にします
  • 施術の流れを、段に分けて書く ― 時間の目安と、来る前にお願いすることも添えます
  • 料金とキャンセルの決まりを、表にする ― スマートフォンでも読める形にし、予約の入口の近くに置きます
  • 施術者の紹介を、お話を伺って書く ― 経験年数や資格は、貴社に確かめていただいた事実だけを載せます
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 明るさや向きをそろえ、写り込みに気づいた点はお伝えします

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、料金の改定や休診のお知らせ、施術者の入れ替わりも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 効く・治るを言い切る文章や、病名を並べる文章は書きません
  • 表現が決まりに合っているかどうかの判断はしません。広告の決まりや保険の扱いは、所管の窓口・保険者・専門家に確認していただくようお願いしています。判断がつかない表現は、「確認をお願いします」とお伝えします
  • お客様の声を作文することはしません
  • 撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 予約の仕組みそのものの開発はしていません。検索順位や予約の増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「書けることが少なくて、何を載せればいいか分からない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:効き目を約束するより、来院前の不安に答える

鍼灸院のホームページで押さえることは、5つです。

  • 整体の店との違いを知っておく ― 国家資格の施術であること、広告で書ける内容に決まりがあること。決まりは所管の窓口や専門家に確認する
  • 痛み・衛生・道具に、先に答える ― 痛みは言い切らずに調整できることを、衛生はやっていることを順に書く
  • 流れと時間、料金、キャンセルを並べる ― 初回と2回目からの料金を同じ表に。キャンセルの決まりは予約の入口の近くに
  • 保険と訪問は、相談の入口として書く ― 「使えます」と言い切らず、条件は保険者や所管の窓口に確かめる
  • 施術者は、事実で紹介する ― 資格は正式な名前で、誰が持っているかと一緒に

初めて鍼灸院を探す人は、「よく効きそうか」より先に、「痛くないか」「清潔か」「行っても困らないか」を確かめています。言い切りの言葉がなくても、そこに答えは書けます。

まずは今月、初めての方に電話や受付で聞かれたことを、1つずつ書き留めてみてください。同じ質問が何度も出てきたら、それがサイトに足りていない答えです。