1. 「取引先の登録で、何度もメールが行き来して」

法人のお客様と取引をしている経営者の方から、こんな話を伺うことがあります。

「新しい会社から仕事をもらえそうになったんです。そうしたら先方の総務の方から、正式な社名と住所、代表者、振込先、インボイスの番号、それに会社案内と登記の写しを送ってほしいと。こちらも探しながら返すので、メールが何往復もして、発注までずいぶん時間がかかりました」

はじめての取引では、よくある場面です。現場の担当者が「この会社に頼みたい」と思っても、購買や総務、経理の担当者が手続きを通さないと、発注にはなりません。そして、その担当者は、貴社のことを確かめるためにホームページを開きます。

この記事では、はじめて取引する会社の担当者がホームページで探していることを、手続きの順に並べます。そのうえで、聞かれる前にサイトで答えておく方法と、それをまとめる小さな案内ページの置き方を書きます。

この記事で書くこと

融資や取引の審査でサイトのどこが見られているかは 融資や取引の審査で、ホームページのどこが見られているか に、会社概要の項目そのものは 会社概要のページに、何を載せるか にまとめました。この記事は、はじめての取引を進める担当者の側から、確かめたいことを1か所に集める話です。

なお、取引先を登録するときの手順や、求められる書類、審査の基準は、会社ごとに違います。法律や税に関わることもあります。細かい判断は、業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。この記事で書くのは、確かめに来た人が迷わないようにサイトを整える方法です。

2. はじめての取引で、誰が何を確かめているのか

頼みたい人と、手続きをする人は別

法人の取引では、貴社と話している人と、手続きをする人が違うことがよくあります。

  • 現場の担当者 ― 仕事の中身を見て、頼みたいと思っている人
  • 購買の担当者 ― 見積もりを比べ、発注の手続きをする人
  • 総務の担当者 ― 取引先として登録し、書類をそろえる人
  • 経理の担当者 ― 請求書を受け取り、支払いをする人

1人が全部を兼ねている会社もあります。いずれにしても、手続きをする人は、貴社と会っていないことが多いと考えてください。その人が頼れるのは、受け取った書類と、貴社のホームページです。

担当者が確かめたいのは、実在と手続き

手続きをする担当者が知りたいことは、大きく2つに分かれます。

1つは、この会社が本当にあるかです。正式な社名、所在地、代表者、いつからある会社か。社内の書類に書き写せる形で知りたいと考えています。

もう1つは、この会社と取引を始めるには、何をすればいいかです。どんな書類を出してもらえるか、支払いの条件は自社の決まりに合うか、請求書はどう届くか、誰に連絡すればいいか。

聞かれる前に答えておくと、往復が減る

この2つが、サイトの上で分かれば、担当者は貴社に問い合わせる前に社内の準備を進められます。答えがサイトに無いと、1つずつメールで聞くことになります。冒頭の話のように、往復が増えるほど、発注までの時間が延びます。

図:はじめての取引が始まるまでの流れと、サイトで答えておくこと(たとえばの流れです。順番や中身は会社ごとに違います)
① 見積もりを頼む先を探す

現場や購買の担当者が、何社かのサイトを見て、見積もりを頼む先を決めます。

見積もりの依頼先と、出せるまでの目安が分かるか
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② 社内で比べて、稟議を出す

見積もりを並べ、会ったことのない上司に向けて、どんな会社かを書類にまとめます。

会社概要を、そのまま書き写せるか
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③ 取引先として登録する

総務の担当者が、登録に要る書類を集めます。先方の様式に記入を頼まれることもあります。

出せる書類と、頼み先が分かるか
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④ 発注と、納品

注文書や契約書を取り交わし、仕事が始まります。

ここまで来れば、あとは現場同士のやり取りです
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⑤ 請求と、支払い

経理の担当者が、請求書を受け取り、締め日に合わせて支払います。

締め日、請求書の出し方、登録番号が分かるか

右側に書いたことのうち、①②③⑤はサイトで先に答えておけます。担当者が手を止めるのは、たいていこの4か所のどこかです。

3. 会社概要:正式名称・所在地・代表者・設立

担当者が最初に開くのは、会社概要のページです。ここは、読むためより、書き写すために開かれると考えてください。

正式名称は、登記と同じ字で

社名は、登記と一字一句同じにします。「株式会社」が前か後ろか、「㈱」と略していないか、英字や旧字体の表記はどうか。担当者は、サイトに書いてある社名をそのまま社内の書類に写します。そこが登記と違っていると、あとで請求書や契約書の宛名と食い違います。

屋号やブランド名で知られている会社は、社名とブランド名を並べて書いておくと、担当者が迷いません。

所在地は、本店と実際の事業所を分けて

登記上の本店と、実際に仕事をしている事業所が違う会社は少なくありません。本店、事業所、書類の送り先を分けて書いてください。請求書や契約書の原本をどこに送ればいいかが分かると、担当者の手間が1つ減ります。

住所は、ビル名や部屋番号まで省略せずに書きます。郵便番号も入れておきます。

代表者は、肩書きと名前を

代表者の肩書きと名前を、登記と同じ表記で書きます。「代表取締役」か「代表社員」か、名前の字は合っているか。代表者が交代したら、その日のうちに直すくらいの気持ちでいてください。古い代表者の名前が残っていると、担当者は確かめる電話をかけることになります。

設立と、資本金・従業員数

資本金や従業員数は、取引の規模に見合う相手かを見るために使われます。「〇年〇月時点」と添えて書いておきます。

コピーできる文字で書く

会社概要を画像で作っているサイトを見かけますが、担当者は書き写すために開いています。文字で書いてあれば、そのまま選んで写せます。画像だと、一字ずつ打ち直すことになり、そこで写し間違いも起きます。

4. 取引を始めるときに、出せる書類を書いておく

会社の実在が分かったら、担当者は次に書類をそろえます。ここでいちばん往復が増えます。

求められることの多い書類(一般的な例)

取引先として登録するときに求められる書類は、会社ごとに違います。たとえば、次のようなものを求められることがあります。

  • 会社案内 ― 事業の中身と、会社の概要が分かるもの
  • 登記の写し ― 登記の内容を証明する書類。発行から一定の期間内のものを求められることがある
  • 取引先登録の申請書 ― 先方の様式に、社名や振込先などを記入するもの
  • 振込先口座の届け出 ― 先方の様式で出すことが多い
  • インボイスの登録番号が分かるもの
  • 許認可の写し ― 許可が要る仕事の場合
  • 反社会的勢力ではないことの確認書や覚書 ― 先方の様式に記名や押印を求められることがある

これは一般的な例で、全部を求められるとは限りませんし、ここに無いものを求められることもあります。何が要るかは、取引先の決まりで決まります。

「出せます」と書いておくだけでいい

サイトに書類そのものを置く必要はありません。どの書類を出せるか、どこに頼めば出てくるかを書いておけば十分です。

「新規のお取引にあたり、会社案内、登記の写し、インボイスの登録番号のご案内、各社様の様式による取引先登録の書類をご用意できます。ご依頼は、下記の窓口までご連絡ください」

この一文があれば、担当者は最初のメールで要る書類をまとめて頼めます。往復が減ります。

サイトに置かないもの

登記の写し、印鑑の証明、口座番号、決算の書類は、サイトに置かないでください。誰でも取れる場所に置くと、なりすましや悪用の材料になりかねません。求められたときに、相手を確かめてから個別に送ります。

会社案内は、ダウンロードできるようにしてもいい

一方で、会社案内のように誰に見られても困らない資料は、サイトから持ち帰れるようにしておくと便利です。担当者が稟議の書類に添付できます。置き方と差し替えの注意は 会社案内やカタログを、ホームページからダウンロードできるようにするか にまとめました。

出すまでの目安は、守れる範囲で

目安を書くなら、守れる日数だけを書いてください。登記の写しのように、取り寄せに時間がかかる書類もあります。

5. 支払い条件・請求書・インボイスの登録番号

書類の次に担当者が気にするのは、お金の流れです。とくに経理の担当者は、自社の支払いの決まりに合うかどうかを先に確かめたいと考えています。

締め日と、支払いの期日

「月末締め・翌月末払い」のように、締め日と期日を書きます。取引先の締め日に合わせられるなら、それも書いておきます。前払いや着手金が要る場合は、とくにはっきり書いてください。後払いが前提の会社では、前払いに別の手続きが要ることがあるからです。書き方の全体は 支払い方法を、ホームページにどう書くか にまとめました。

請求書の出し方

請求書を郵送で送るか、PDFで送るか。宛名を部署名や担当者名にできるか。取引先の指定する様式や送り先に合わせられるか。ここが分かると、経理の担当者は受け取り方を先に決められます。

振込先は、サイトに書かない

振込先の口座は、サイトには書かず、請求書や先方の様式で案内します。サイトに書いた口座は、誰でも書き換えた偽の請求に使えてしまいます。サイトには「振込先は、請求書にてご案内します」と書いておけば足ります。

インボイスの登録番号は、会社概要の1行に

インボイスの登録番号を載せるなら、会社概要の中に1行で書きます。担当者は、請求書を受け取る前に番号を確かめたいことがあるからです。載せるかどうかの考え方と、書き間違いを防ぐ方法は インボイスの登録番号を、ホームページに載せるか に書きました。税の扱いの判断は、税理士などの専門家に確認してください。

6. 見積もりの依頼先と、担当窓口

手続きの入口は、たいてい見積もりの依頼です。そして、手続きのあいだずっと使われるのが、担当窓口です。

見積もりの依頼先を、問い合わせと分けて書く

見積もりを頼みたい担当者が、一般の問い合わせフォームしか見つけられないと、何を書けば見積もりになるのかで迷います。見積もりの依頼先を分けておくか、問い合わせの入口で「見積もりの依頼」を選べるようにしておきます。フォームで何を聞くかは 見積もり依頼のフォームは、何をどこまで聞けばいいか にまとめました。

相見積もりで要ることに答える

法人の担当者は、見積もりを社内で並べて比べます。そのときに要ることを、先に書いておくと喜ばれます。

  • 見積書の宛名 ― 会社名だけか、部署や担当者名まで入れられるか
  • 有効期限 ― 見積もりの金額がいつまで有効か
  • 内訳 ― 項目ごとに分けて出せるか
  • 出せるまでの目安 ― 守れる日数で

どれも、見積書を出すときには決まっていることです。サイトに書いておくと、担当者は比べる前の準備ができます。

担当窓口は、部署と役割で

窓口は、仕事の相談と、書類や請求の相談を分けて書くと伝わります。たとえば「お見積もり・ご相談は営業の窓口へ」「書類・ご請求に関することは管理の窓口へ」のようにです。個人の名前は載せなくても構いません。担当者が辞めたり異動したりしても、窓口の名前は変わらずに済みます。

窓口が1つしかない会社は、書類や請求の相談も同じ窓口で受けると書いておけば足ります。

返事の目安と、受け付けの時間

窓口ごとに、受け付けの時間と、返事をするまでの目安を書きます。経理の担当者は、締め日の前に急いで確かめたいことがあります。返事が来るまでの目安が分かれば、その前提で社内の段取りを組めます。

7. 「新規のお取引をご検討の方へ」という小さな案内を置く

ここまでの情報は、会社概要、支払いのページ、問い合わせのページに散らばっています。それを担当者が1つずつ探すのは手間です。そこで、はじめての取引に要ることを1か所にまとめた、小さな案内を置きます。

新しいことを書く場所ではなく、案内板

この案内は、新しい情報を書く場所ではありません。会社概要や支払いのページへつなぐ、案内板です。中身を二重に書くと、片方だけ直して食い違いが起きます。案内には要点を短く書き、詳しいことは元のページへリンクします。

置く場所

ページを1つ作ってもいいですし、会社概要のページの下に見出しを1つ足すだけでも構いません。会社概要の下か、問い合わせのページの上が、担当者の目に入りやすい場所です。ページの一番下の欄に「新規のお取引をご検討の方へ」と小さくリンクを置いておくと、どのページからでもたどれます。

中に入れる項目

表:「新規のお取引をご検討の方へ」に入れておく項目(書き方の例はすべて架空です)
担当者が確かめたいこと案内に書くこと(たとえば)詳しく書く場所
会社の実在正式名称、本店所在地、代表者、設立年月を1行ずつ会社概要のページ
出せる書類「会社案内、登記の写し、各社様の様式による登録書類をご用意できます」頼み先は、下の窓口へ
支払いの条件「月末締め・翌月末払い。前払いが必要な場合は、お見積もりの際にお知らせします」支払い方法のページ
請求書の出し方「PDFをメールでお送りします。郵送や貴社指定の様式にも対応します」支払い方法のページ
登録番号インボイスの登録番号を1行で会社概要のページ
見積もり依頼先、宛名と内訳の出し方、出せるまでの目安見積もり依頼のフォーム
担当窓口ご相談の窓口と、書類・ご請求の窓口。受付時間と返事の目安お問い合わせのページ
振込先・登記の写し書かない。「ご依頼に応じて個別にお送りします」とだけ書く個別に送る

全部を埋めなくても構いません。貴社が実際に聞かれていることから埋めてください。最後の行のように、書かないと決めたものも「どう渡すか」だけは書いておくと、担当者は迷いません。

書かないこと

案内には、相手の審査に通るかどうかを推し量るようなことは書かないでください。「どなたとでもお取引できます」「審査は不要です」のような書き方も避けます。審査をするのは相手の会社で、その基準は外からは分かりません。貴社が書けるのは、手続きを進めるために貴社が用意できることだけです。

実際の手続きと、合わせておく

書いた中身が、実際の手続きと違っていると、かえって手間が増えます。案内を作ったら、ふだん書類や請求を担当している人に読んでもらってください。「この書類は出していない」「この様式には合わせていない」といった食い違いは、その人がいちばんよく知っています。

決算のときに、一緒に見直す

会社概要の数字、代表者、窓口、支払いの条件は、気づかないうちに古くなります。決算のたびに、会社概要と一緒にこの案内も見直すと決めておくと、直し忘れが減ります。

8. 雄喜晃の伴走:はじめての取引先が、手続きを進められる形にします

私たち雄喜晃のホームページ制作では、会社概要を作るとき、はじめての取引先からふだん何を聞かれているかを先に伺います。聞かれていることが、そのままサイトに書くべきことだからです。

私たちがやること

登記の書類を手元に置いていただき、社名、所在地、代表者、設立年月を1行ずつ照らし合わせて、会社概要を文字で書きます。そのうえで、出せる書類、支払いの条件、請求書の出し方、見積もりの依頼先、担当窓口を伺い、「新規のお取引をご検討の方へ」の案内にまとめます。案内から各ページへのリンクもつなぎます。

所在地の確かめに外観の写真が役に立つこともありますが、撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます。

代表者や窓口、支払いの条件が変わったときは、ご連絡いただければこちらで直します。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、決算のあとの見直しも同じ月額の中で対応します。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

登記の写しの取り寄せや、取引先の様式への記入といった、書類の作成そのものは承っていません。取引先の審査に通るための書き方をご提案することも、審査の結果をお約束することもしません。支払いの条件やインボイスの扱いが法律や税の上で足りているかの判断も、私たちの立場ではお答えできないので、所管の窓口や専門家にご確認ください。事実と違うことや、確かめられないことは、会社概要に載せません。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「はじめての取引先から、毎回同じことを聞かれている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:聞かれる前に、1か所で答えておく

はじめて取引する会社の担当者に向けて、ホームページで押さえることは、5つです。

  • 会社概要は、書き写せる形で ― 正式名称、所在地、代表者、設立を、登記と同じ表記で、文字で書く
  • 出せる書類を書いておく ― 書類そのものは置かず、何を出せるかと頼み先だけを書く
  • お金の流れを先に見せる ― 締め日と期日、請求書の出し方、登録番号。振込先はサイトに書かない
  • 見積もりと窓口を分かりやすく ― 依頼先、宛名や内訳の出し方、相談と書類の窓口、返事の目安
  • 小さな案内で1か所にまとめる ― 「新規のお取引をご検討の方へ」から各ページへつなぎ、決算のたびに見直す

取引先の担当者は、貴社と会っていなくても、貴社のことを社内に説明しなければなりません。その人が迷わずに手続きを進められることが、はじめての取引を早く始めるいちばんの近道です。

まず、今日できること

ここ最近、はじめての取引先から届いたメールを読み返してみてください。何を聞かれ、何を送ったか。その一覧が、そのまま「新規のお取引をご検討の方へ」の中身になります。