1. 「登録番号を教えてください、と何度も聞かれて」
「新しく取引が始まるたびに、先方の経理の方から『インボイスの登録番号を教えてください』とメールが来るんです。そのたびに書類を探して、番号を打ち込んで返して。ホームページに載せておけば済むんでしょうか。載せていいものなのかも、よく分からなくて」
中小企業の経営者の方から、こうしたご相談を伺うことがあります。
インボイス制度の登録番号、正式には適格請求書発行事業者の登録番号です。請求書に書くために取得した会社が多いと思いますが、ホームページに載せるかどうかは、決めないまま来ていることが多い項目です。
この記事では、この番号をホームページに載せるかどうか、載せるならどこに、どう書くかを、取引先とのやり取りの手間という面から整理します。
この記事で書かないこと
先にお断りしておきます。インボイス制度の中身、登録の義務があるかどうか、登録したほうが得かどうか、請求書の書き方といった制度や税務の判断は扱いません。
これらは事業の形や取引先によって答えが変わります。税理士や、税務署・国税庁などの公的な案内で確認してください。この記事が扱うのは、すでに登録している会社が、その番号をホームページでどう扱うか、という一点です。
この記事で書くこと
- 手間の話 ― 載せると、取引先の確認の手間が減る場面と、変わらない場面
- 載せる場所 ― 会社概要の1行と、その書き方
- 間違いと直し忘れ ― 書き間違いと、登録を取り消したときの残り方
- 個人事業主の注意 ― 載せる前に確かめておくこと
2. 載せる義務の話ではなく、確認の手間の話
まず、この番号をホームページに載せる話が、どういう種類の話なのかを整理しておきます。
取引先は、番号を確かめたい
新しく取引を始めるとき、取引先の経理や購買の担当者は、相手の会社の情報を社内に登録します。社名、所在地、振込先、そして登録番号です。
番号が分からなければ、担当者はメールか電話で聞きます。聞かれた側は、書類を探して返します。1社につき1往復。取引先が増えるたびに、これが繰り返されます。
会社概要に書いてあれば、担当者がそこから写せる
番号が会社概要に書いてあれば、担当者はそこから写して、社内の登録を進められます。聞く手間も、答える手間もなくなります。
取引の相手を確かめるときに、担当者がホームページの会社概要を開くことは珍しくありません。融資や取引の審査でどこが見られているかは 融資や取引の審査で、ホームページのどこが見られているか に書きましたが、会社概要は「確かめに来る人」が読むページです。登録番号も、その確かめる項目の1つになります。
載せるかどうかは、手間で決めていい
ここで強調しておきたいのは、ホームページに載せるかどうかは、手間が減るかどうかで決めていいということです。この記事では、載せなければいけない、載せてはいけない、という話としては扱いません。
制度の上で、どこに何を示す必要があるかは、先に書いたとおり税理士や公的な案内で確認してください。ホームページの話としては、載せると誰の何が楽になるかで考えます。
3. 載せると手間が減る場面、変わらない場面
載せると助かる会社と、載せてもあまり変わらない会社があります。分かれ目は、取引の相手が誰かです。
手間が減る場面
- 法人との取引が中心 ― 取引先の経理が番号を確かめる場面が多い
- 新しい取引先が、年に何社も増える ― 聞かれる回数が、そのまま減る
- 取引先の担当者がよく替わる ― 担当が替わるたびに聞き直されることがある
- 発注の前に、相手先を確かめる会社と取引がある ― 見積もりの段階で番号を見に来る
あまり変わらない場面
- 個人のお客様との取引がほとんど ― 番号を聞かれる場面そのものが少ない
- 取引先が決まっていて、増えない ― 一度伝えれば、聞かれることはほとんどない
変わらない会社が、無理に載せる必要はありません。逆に、聞かれることが多い会社にとっては、会社概要に1行足すだけなので、手間に比べて得るものがあります。
新しい取引先ができるたびに、経理の担当者から番号を聞かれます。会社概要に1行あれば、担当者がそこから写して、聞く手間も答える手間もなくなります。
番号を聞かれる場面そのものが少ない会社です。載せて困ることは少ないものの、載せなくても手間は増えません。優先は低めで構いません。
番号から、公表されている情報にたどり着けます。何が公表されているかを自分で確かめてから、載せるかどうかを決めます。載せずに、聞かれたら個別に伝える方法もあります。
どれに当てはまるかは、取引の相手が誰かで決まります。登録するかどうか、制度の上で何が必要かは、この図の外の話です。税理士や公的な案内で確認してください。
4. 載せる場所は、会社概要の1行
載せると決めたら、置き場所は迷わなくて大丈夫です。会社概要の表の中に、1行足すのがいちばん収まります。
会社概要に置く理由
取引先の担当者が番号を探すとき、まず開くのが会社概要です。社名、所在地、代表者と並んで確かめる項目なので、同じ表の中にあるのが自然です。
会社概要にどんな項目を並べるかは 会社概要のページに、何を載せるか にまとめました。その表の、許認可や登録番号の行の近くに置くと、確かめる人が探しやすくなります。
項目名は、省略しない
「登録番号」だけだと、何の番号か分かりません。許可番号や、ほかの登録番号と並ぶと、なおさら紛れます。
- 項目名 ― 「適格請求書発行事業者 登録番号」と正式に書く。分かりにくければ「インボイス登録番号」と添える
- 番号 ― 請求書に印字しているのと同じ表記で書く
- 時点 ― 必要なら「〇年〇月時点」を添える
ほかの番号と並べるときは、取り違えないように
会社概要には、許可番号や、会社に割り当てられたほかの番号を載せていることもあります。番号が2つ、3つと並ぶと、写す側がどれを写せばいいか迷います。
1行に1つの番号だけを書き、行ごとに項目名を付けてください。「許可番号・登録番号」のように1行にまとめて並べると、隣の番号を写される原因になります。似た長さの番号が並ぶときほど、項目名で区別します。
画像にしない。文字で書く
番号は、画像ではなく文字で書いてください。担当者は番号を写して、自社の仕組みに入力します。文字であれば、そのまま写せます。画像だと、1文字ずつ目で見て打ち直すことになり、写し間違いが起きます。
スマートフォンで見たときに、長い番号が途中で折り返されて読みにくくならないかも、確かめておいてください。
すべてのページの下に置かなくていい
ページの一番下に、社名や住所と一緒に番号を載せている会社もあります。悪いことではありませんが、必要なのは確かめに来る人だけなので、会社概要の1か所で足ります。
置く場所を増やすほど、あとで直す場所も増えます。これは6章の直し忘れの話につながります。
よくある質問から、会社概要へつなぐ
番号をよく聞かれる会社は、「よくある質問」に一問足しておくのも手です。
「インボイスの登録番号を教えてください」→「会社概要に記載しております」
答えの中に番号そのものを書かず、会社概要へのリンクにしておくと、番号を書く場所が1か所のままで済みます。
5. 書き間違いと、表記のズレを防ぐ
番号を載せるときにいちばん起きやすいのは、単純な写し間違いです。番号は、1文字違うだけで別の番号になります。
間違った番号は、載せないより困る
番号が書いていなければ、担当者は聞いてきます。ところが、間違った番号が書いてあると、担当者はそれを正しいと思って使います。
照らし合わせて合わないと気づいてもらえれば、まだいいほうです。気づかれないまま、間違った番号で取引先の社内に登録されることもありえます。載せるなら、正しさの確認は、載せない場合よりも大事になります。
確かめ方は、元の書類と2人で
番号を書いたら、登録のときに受け取った元の書類と、1文字ずつ照らし合わせてください。
- 元の書類から写す ― 自社の請求書から写すと、請求書が間違っていた場合に、間違いがそのまま広がる
- 2人で読み合わせる ― 1人が書類を読み上げ、もう1人がサイトの表記を指で追う
- 公表されている情報とも見比べる ― 取引先が照らし合わせるのと同じ情報で、自分でも確かめる
請求書・名刺・サイトで、同じ表記に
もう1つは、表記のズレです。請求書には区切りなしで書いているのに、サイトでは途中に記号を入れている。名刺には書いていて、サイトには書いていない。こうしたズレは、取引先の担当者を迷わせます。
社名や住所の書き方を、名刺・封筒・サイトで揃える考え方は ホームページと名刺・封筒で、書いてあることが違う に書きました。登録番号も、その表記ルールの紙に1行足しておくと、どこに書くときも同じ表記で済みます。
番号を確かめに来る人は、社名も一緒に見ています。番号の名義と、サイトの社名の表記が大きく違うと、同じ会社かどうか迷われます。株式会社が前か後ろか、といった揺れも、このときに揃えておくと安心です。
6. 登録をやめたとき、変わったときの直し忘れ
載せたあとにいちばん困るのは、状況が変わったのに、サイトの番号がそのまま残っていることです。
取り消したのに、番号が残っている
事情があって登録を取り消した。それなのに、会社概要には番号が載ったまま、ということが起こりえます。
取引先の担当者は、サイトの番号を見て、まだ登録している会社だと受け取るかもしれません。事実と違う表示は、信用だけの問題では済まないことがあります。取引先の手続きに関わる可能性があるからです。取引先へどう伝えるかは税理士に確認し、サイトの側はその日のうちに直します。
会社の形が変わったとき
個人事業から会社にした、会社を合併した、事業を譲った。こうした変化のときには、番号の扱いも変わることがあります。どう変わるかは制度の話なので、その時点で税理士に確認し、確認できた内容でサイトを直す、という順番にしてください。
社名や所在地が変わったときにサイトで直すところは、移転・社名変更・代表交代のときに、サイトで直すところ にまとめてあります。そのリストに「登録番号」の1行を足しておくと、直し忘れが減ります。
番号を書いた場所を、1枚の表にする
直し忘れを防ぐ方法は、許認可や資格の番号と同じです。番号を書いた場所を、すべて1枚の表にしておく。期限と担当を表にする考え方は 資格・許認可・受賞歴を、ホームページにどう載せるか に書きました。登録番号も、同じ表に入れてしまうのがいちばん楽です。
| 書いている場所 | 直し忘れやすさ | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 会社概要のページ | 気づきやすい | 最初に直す場所。元の書類と1文字ずつ照らし合わせる |
| よくある質問の答え | 残りやすい | 番号を書かず、会社概要へのリンクにしておけば直す必要がない |
| サイトに置いた会社案内のPDF | 残りやすい | サイト内の検索では見つからないことがある。PDFの一覧を作って1つずつ開く |
| 請求書・見積書のひな形 | 残りやすい | 経理の担当と一緒に、ひな形の元のファイルを直す |
| 名刺・封筒 | 刷り直しまで残る | 次に刷るときのために、表記ルールの紙を直しておく |
| 取引先に出した登録の書類 | こちらでは直せない | 変わったことを取引先へ伝える。伝え方は税理士に確認する |
書いている場所が少ないほど、直すのは楽になります。サイトの中は会社概要の1か所だけにして、ほかのページからはそこへつなぐ形にしておくと、変わったときに直すのは1行で済みます。
年に1回、決算のときに見直す
番号は、普段は変わりません。だからこそ、変わったときに忘れます。決算の時期に、会社概要のほかの項目と一緒に見直すと決めておくと、取りこぼしが減ります。資本金や従業員数を直すついでに、番号の行も1度読む。それで十分です。
7. 個人事業主が載せるときの注意
ここまでは会社を想定して書いてきました。個人事業主の方が番号を載せるときは、もう1つ考えることがあります。
番号から、公表されている情報にたどり着ける
登録番号は、取引先が確かめられるように、公表されている情報と結びついています。つまり、番号をサイトに載せると、それを見た誰でも、公表されている情報にたどり着けるということです。
会社であれば、もともと社名も所在地もサイトに書いているので、大きな違いはありません。個人事業主の場合は、事情が違うことがあります。
屋号で仕事をしている場合
屋号で仕事をしていて、サイトにも屋号しか書いていない、という方もいると思います。番号を載せると、屋号と、公表されている氏名などの情報が結びつくことがあります。
それが困るかどうかは、方によって違います。困らないなら載せて構いませんし、困るなら載せない選択もあります。
何が公表されているかを、先に自分で見る
載せる前に、自分の番号で、どんな情報が公表されているかを、取引先と同じ方法で見てみてください。何が公表されるかは、登録のときの届け出の内容によって違うことがあります。
見てみて、サイトの読者に結びつけられたくない情報が出ているなら、載せないほうが落ち着きます。公表の内容を変えられるかどうかは制度の話なので、税務署や税理士に確認してください。
載せないなら、聞かれたときの答えを用意する
載せない場合でも、聞かれたときの手間は減らせます。
- 答えの文面を用意しておく ― 番号と一言を、メールの下書きに保存しておく
- 見積書や請求書に入れておく ― 取引が始まれば、書類の上で相手に伝わる
- サイトに一文だけ書く ― 「お取引に必要な情報は、ご依頼の際にお伝えします」とあれば、聞いていいのだと分かる
自宅兼事務所の方は、住所の判断と一緒に
自宅で仕事をしている方は、サイトに住所をどこまで書くかを、すでに決めているはずです。登録番号の判断は、その住所の判断と一緒にしてください。住所は市区町村までにしているのに、番号から自宅の住所までたどれる、という状態は、住所の判断と食い違います。
8. 雄喜晃の伴走:会社概要の1行を、元の書類と照らして書きます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、会社概要を作るときに、登録番号を載せるかどうかも、ほかの項目と一緒に伺います。取引の相手が誰か、どれくらい番号を聞かれるかを伺ったうえで、載せるかどうかは貴社に決めていただきます。
私たちがやること
- 会社概要への1行の追加 ― 項目名を省略せず、許認可の行の近くに、文字で載せます
- 元の書類との照らし合わせ ― お預かりした書類の写しと、1文字ずつ見比べます
- 表記の統一 ― 請求書や名刺と同じ表記になるよう、確認をご一緒します
- よくある質問からのリンク ― 番号を書く場所を、会社概要の1か所にまとめます
- 変わったときの書き換え ― 登録の状況が変わったときは、ご連絡をいただければ反映します
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、番号の書き換えや、決算のときの会社概要の見直しも、その範囲でお受けします。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
登録するかどうか、取り消すかどうかの判断や、税務のご相談はお受けしていません。請求書の書き方についての助言もいたしません。私たちは税の専門家ではないからです。これらは、税理士や公的な窓口にご確認ください。私たちが扱うのは、確認が済んだ内容を、ホームページの上で正しく見せるところまでです。
また、番号を載せることで取引が増える、といったお約束もしません。
「取引先から、何度も同じことを聞かれている」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:載せるなら1か所に、変わったらその日に
インボイスの登録番号をホームページでどう扱うかについて、押さえることは5つです。
- 制度の話と、サイトの話を分ける ― 登録や義務の判断は、税理士や公的な案内で確認する
- 載せるかどうかは、確認の手間で決める ― 法人との取引が多いなら、1行足すだけで聞かれる回数が減る
- 会社概要に、文字で1行 ― 項目名を省略せず、請求書と同じ表記で。置く場所は1か所に
- 元の書類と照らし合わせる ― 間違った番号は、載せないより困る
- 変わったら、その日に直す ― 書いた場所を1枚の表にして、決算のときにも見直す
個人事業主の方は、ここに1つ足してください。載せる前に、公表されている内容を自分の目で見る。そのうえで、載せるかどうかを決めます。
今日できることを1つだけ挙げます。この1年で、登録番号を聞かれた回数を思い出してみてください。何度も思い当たるなら、会社概要に1行足す価値があります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の会社概要を、確かめに来た人が確かめられる形にするところから、ご一緒します。