1. 「取引先の名前を並べたら、信用されると思うんです」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「うち、名前を聞けば分かる会社とも取引があるんですよ。トップページにロゴをずらっと並べたら、それだけで信用されると思うんです。向こうのサイトからロゴを持ってきて、並べてもらえませんか」

お気持ちはよく分かります。取引先の名前が並んでいると、読む人は「この会社は、こういう相手と仕事をしているのか」と受け取ります。説明を何行も書くより早く、会社の立ち位置が伝わることがあります。

ただ、ここで一度立ち止まってください。取引先の名前もロゴも、相手の会社のものです。貴社が取引をしていることは事実でも、それを外に出してよいかどうかは、相手にも決める権利があります。了解を取らずに載せると、信用を得るつもりが、取引先との関係を傷つけることになりかねません。

この記事の役割

雄喜晃メディアには、1件ずつの仕事を事例として書く 実績ページに何を書くと、次の依頼につながるか があります。あちらは1件の仕事を、読む人の判断材料になるように書く話です。

この記事は、その手前にある「一覧」の話です。会社概要の「主要取引先」の欄、トップページの「導入企業」のロゴの帯、会社案内の取引先一覧。名前を並べるときに、何を確かめ、どう書けばよいかをまとめます。会社概要全体の項目は 会社概要のページに、何を載せるか に書いてあります。

この記事で書くこと

  • 取引先の名前が、なぜ信用につながるのか
  • 載せる前に了解を取る理由と、頼み方
  • ロゴを使うときの決まり
  • 名前を出せないときの書き方
  • 取引が終わった会社を外す段取り
  • 「主要」「導入企業」と書いてよい範囲

2. 取引先の名前は、なぜ信用につながるのか

先に、載せる意味を整理しておきます。意味が分かっていると、どこまで載せるかを決めやすくなります。

読む人は「どんな相手と仕事をしているか」を見ている

初めて貴社のサイトを開いた人は、貴社のことを知りません。そのとき手がかりにするのが、貴社が誰と仕事をしているかです。

同じ業界の会社の名前があれば、「業界の中で認められている会社だ」と受け取ります。自分と似た規模の会社の名前があれば、「うちも頼めそうだ」と思います。取引先の名前は、貴社が自分で書く説明とは別の、外から見た裏付けとして読まれます。

取引の審査や社内の稟議でも見られる

新しく取引を始める前に、相手の担当者が貴社のサイトを確かめることがあります。担当者は貴社と会っていても、社内で決裁する人は貴社に会っていないことが多いからです。

そのとき、どんな会社と継続して取引があるかは、会社の安定を見る材料の1つになります。下請けの仕事が中心の会社で、サイトがどう見られるかは 下請けの仕事が中心の会社に、ホームページは効くのか に、金融機関の目線は 融資や取引の審査で、ホームページのどこが見られているか に書きました。

名前が効くのは、読む人が知っている相手のとき

1つ、誤解されやすいところがあります。社名が効くのは、読む人がその名前を知っているときだけです。

業界の外の人にとっては、知らない社名が10社並んでいても判断のしようがありません。その場合は、社名より「どんな業種の、どのくらいの会社と取引しているか」のほうが伝わります。名前を出せないときの書き方が、名前を出す書き方に劣るとは限りません。

大きな名前ばかり並べると、引かれることもある

もう1つ。大手の名前ばかり並べると、規模の小さい会社の経営者は「うちのような小さい相手は、受けてもらえないのでは」と感じることがあります。

誰に連絡してきてほしいのかで、並べ方は変わります。大きな名前を並べる前に、貴社に来てほしいお客様がその一覧を見てどう感じるかを考えてみてください。

3. 載せる前に、相手の了解を取る

ここがこの記事でいちばん大事なところです。社名を載せる前に、相手の了解を取ってください。ロゴだけでなく、社名の文字だけでも同じです。

取引していることは、相手の情報でもある

取引の事実は、貴社の情報であると同時に、相手の情報でもあります。相手には相手の事情があります。

  • まだ公表していない仕事 ― 新しい商品や事業の準備で、外に知られたくない段階のことがあります
  • 取引先を公表しない方針 ― 会社として、仕入れ先や外注先を外に出さないと決めていることがあります
  • 競合に知られたくない ― どこに何を頼んでいるかが分かると、手の内が見えてしまう業種もあります

貴社から見ると何の問題もない一行でも、相手から見ると困る一行かもしれません。困るかどうかを決めるのは、相手のほうです。

契約で「取引の事実を出さない」約束がある場合

取引を始めるときに、秘密を守る約束を交わしていることがあります。その中に、取引をしていること自体を秘密として扱うという内容が入っている場合があります。

この場合、社名を載せることそのものが約束に反するおそれがあります。載せる前に、まず取引のときに交わした契約書や覚書を読み返してください。どう読めばよいか迷うときは、自社で判断せずに専門家に確認してください。契約の中身は会社ごと、取引ごとに違うので、ほかの会社がどうしているかは参考になりません。

頼み方は、何をどこにどう載せるかを書く

了解をお願いするときは、窓口の担当者の方に、文面で送るのがおすすめです。口頭だと、相手が社内で確かめるときに伝わり方がずれます。

「弊社ホームページの会社概要に、主要なお取引先として貴社名を掲載させていただけないかと考えております。表記は『株式会社〇〇様』の社名のみで、ロゴは使用いたしません。ご社内でのご確認が必要でしたら、お手数ですがお知らせください」

ポイントは3つです。どのページに載せるのか、社名だけかロゴも使うのか、どんな表記にするのかを、文面の中で決めて書くことです。範囲がはっきりしていると、相手も社内で確かめやすくなります。

返事が来ないことは、了解ではない

お願いを送って返事が来ないとき、「断られなかったから大丈夫」と受け取らないでください。返事が無いのは、了解ではありません。担当者が忙しくて止まっているだけのこともありますし、社内で確かめた結果、言いにくくて返事が遅れていることもあります。

返事が無いあいだは載せない。これを決まりにしておくと、迷わずに済みます。

了解は、記録に残す

了解をもらったら、そのメールを保存し、誰から、いつ、どの範囲で了解をもらったかを一覧にしておきます。担当者が異動したあと、相手の会社から「掲載の件は聞いていない」と言われたときに、記録があれば落ち着いて話ができます。

いただいたお客様の言葉を載せるときの了解の取り方は 「お客様の声」を、どう集めて、どう載せるか にも書きました。考え方は同じです。

4. ロゴは、相手の決まりに従う

社名の文字より、ロゴのほうが目を引きます。そのぶん、気をつけることも増えます。

ロゴには、使い方の決まりがある

多くの会社は、自社のロゴの使い方を決めています。色、まわりに空ける余白、いちばん小さくしてよい大きさ、変形してはいけないこと。社外で使うときは、申請や確認が要ると決めている会社もあります。

ロゴは、その会社の看板そのものです。社名の掲載には了解が出ても、ロゴは別の扱い、ということも珍しくありません。了解をお願いするときに、社名とロゴを分けて聞くと、相手も答えやすくなります。

相手のサイトから、ロゴの画像を拾わない

冒頭の言葉にあった「向こうのサイトからロゴを持ってくる」は、避けてください。了解の問題に加えて、実務の上でも困ることがあります。

  • 画質が足りない ― サイトに載っている画像は、並べて使う大きさに合っていないことが多いです
  • 正式な色や形と違うことがある ― サイト用に手を加えたものや、古い版のロゴが残っていることがあります
  • 背景が付いている ― 切り抜こうとして形を崩すと、それ自体が決まりに反するおそれがあります

ロゴを使ってよいと言われたら、相手から正式なデータをもらってください。写真や画像の権利の考え方は ホームページの写真と文章、権利はどうなっているか にまとめてあります。

並べ方で、やりがちなこと

ロゴを横一列に並べるとき、見た目を揃えたくなります。色をすべて灰色にする、白黒にする、同じ高さに揃えるために縦横の比を変える。どれも、相手の決まりに反することがあります。

揃えたいときは、どう扱うかを先に伝えて、了解をもらってからにしてください。了解の範囲が「正式な色のまま」なら、色が不揃いでもそのまま並べるのが筋です。

表:取引先の載せ方は4段階ある(例はすべて架空)
載せ方書き方の例了解の取りやすさ読む人に伝わること
① ロゴを並べるたとえば、相手からもらった正式なロゴのデータを、決まりどおりの色と余白で並べる社名とは別の確認が要ることが多く、いちばん時間がかかる知っている相手なら、ひと目で伝わる
② 社名の文字だけたとえば「株式会社〇〇様」「△△工業株式会社様」と文字で並べるロゴよりは了解をもらいやすい業界の人には十分に伝わる
③ 業種と地域で書くたとえば「県内の食品メーカー様」「阪神間の工務店様」相手が特定されない書き方なら、載せやすいどんな相手と仕事をしているかの傾向が伝わる
④ 載せない取引先の欄を作らず、事業の中身と実績で伝える了解は要らない取引の範囲は、別の書き方で補う

上から順に強く伝わりますが、そのぶん相手の了解も重くなります。1つの一覧の中で、①〜③を混ぜて構いません。了解の取れた相手だけ社名で、残りは業種と地域で書く、という形がいちばん無理がありません。

5. 名前を出せないときの書き方

了解が取れない、あるいは最初から出せないと分かっている。そういう取引先のほうが多い会社もあります。その場合でも、書けることはあります。

業種と地域で書く

たとえば、こう書きます。

  • 「県内の食品メーカー様」
  • 「阪神間の工務店様」
  • 「関西の住宅設備メーカー様」

業種と地域が分かれば、読む人は取引の傾向をつかめます。相手が特定されないかどうかは、業種と地域の組み合わせで変わります。その地域にその業種の会社が1社しかなければ、業種で書いても名前を書いたのと同じになります。そういうときは、地域の範囲を広げてください。

「など」で濁しすぎない

名前を出せないからといって、「大手企業様など多数」とだけ書くのは、もったいない書き方です。何も書いていないのと、ほとんど変わりません。

数を書くなら、実際に数えた数だけにしてください。数えていないのに「多数」「数百社」と書くと、読む人は確かめようがなく、かえって疑われます。数が出せないなら、業種の並びで書くほうが伝わります。「食品、化粧品、医薬品の各業界のお客様とお取引があります」。これなら、盛っていない事実として読まれます。

社名を出していないことを、隠さない

業種で書いているときは、そのことを一行添えておくと自然です。

「お取引先のご意向により、社名は掲載しておりません」

この一行があると、読む人は「出せない理由がある」と受け取ります。書いていないと、「本当に取引があるのか」と思われることがあります。伏せていることを伏せないほうが、信用されます。

一覧と事例を、つなげる

業種で書いた取引先のうち、事例として書ける仕事があれば、そちらにつなげます。「県内の食品メーカー様」の一行から、その仕事の事例のページへ。一覧は傾向を、事例は中身を伝えると役割を分けると、両方が生きます。事例の書き方は、先ほどの実績ページの記事にあります。

6. 取引が終わった会社を外す

取引先の一覧は、載せた日から古くなり始めます。ここが、いちばん抜けやすいところです。

終わった取引先が残っていると、何が起きるか

取引が終わった会社の名前が、何年もそのまま残っている。これは珍しくありません。残っていると、こんなことが起きます。

  • 相手の会社から指摘される ― 今は取引していないのに、と言われます。了解をもらったのは、取引が続いている前提だったはずです
  • 読む人が、相手に確かめることがある ― 取引の審査で、載っている取引先に問い合わせが行くこともあります。そこで「今は取引がない」と言われれば、一覧全体が疑われます
  • 今の取引先が埋もれる ― 古い名前に混ざって、今いちばん大事にしている取引先が目立たなくなります

終わった取引を載せたままにしておくのは、事実と違うことを書いているのと同じです。悪気がなくても、読む人からは区別がつきません。

外すタイミングを決めておく

外すタイミングは、2つ決めておくと漏れにくくなります。

  • 取引が終わったとき ― 最後の請求を出したときに、一覧から外すかを決める
  • 年に1回の見直し ― 決算の時期などに、一覧の1社ずつについて、今も取引があるかを確かめる

1つ目だけだと、取引が自然に途切れた相手が残ります。2つ目だけだと、外すまでに最大1年かかります。両方を決めておくのがおすすめです。

外す場所は、サイトの中だけではない

取引先の名前が載っている場所は、サイトの中だけではありません。

  • 会社案内やサービス資料のPDF
  • 営業で使う資料
  • 展示会のパネルや、看板
  • ロゴを1枚の画像にまとめて貼ったもの

とくに最後の、ロゴを1枚の画像にまとめたものは、1社外すだけでも画像を作り直すことになります。これから作るなら、1社ずつ別の画像で並べておくと、外すときに手間がかかりません。

7. 「主要」「導入企業」と書いてよい範囲

最後に、言葉の選び方です。同じ一覧でも、見出しの言葉で意味が変わります。

一度だけの取引を「主要」と書かない

「主要取引先」と書けば、読む人は今も続いていて、取引の中で大きな割合を占めている相手だと受け取ります。一度だけ仕事を受けた相手を、ここに入れるのは避けてください。

一度だけの取引でも、名前を出す了解があり、その仕事が貴社にとって大事なものなら、載せること自体は構いません。その場合は見出しを変えます。

言葉を、実態に合わせる

見出しの言葉は、いくつか使い分けられます。

  • 主要取引先 ― 今も続いていて、継続して仕事をしている相手
  • お取引実績 ― 過去に一度でも仕事をした相手。今の取引かどうかは問わない
  • 導入企業 ― 製品やサービスを使っている会社。使っている会社に限る

どの言葉を使うかで、読む人の受け取り方が変わります。迷ったら、実態より弱い言葉を選んでください。弱い言葉で書いて困ることはありませんが、強い言葉で書いて事実と違えば信用を落とします。

直接の取引ではない相手を、取引先と書かない

下請けの仕事をしている会社で起きやすいのが、これです。元請けの会社の、さらに先にいる発注者の名前を、取引先として書いてしまう。

貴社が直接取引しているのは元請けの会社です。その先の会社は、貴社の取引先ではありません。どうしても書きたいときは、「〇〇様の案件に、協力会社として参加しました」のように関わり方を正確に書きます。この場合も、元請けの会社と、名前を出す相手の両方の了解が要ります。

誇張と受け取られる書き方は避ける

取引先の一覧に限らず、実態より大きく見せる書き方は、表示についてのルールの上で問題になることがあります。どこからが問題になるかは業種や書き方によって違うので、気になる表現があるときは、所管の窓口や専門家に確認してください。実態どおりに書いておけば、こうした心配はほとんど要りません。

8. 雄喜晃の伴走:載せる一覧を、一緒に整えます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、取引先の欄を作るとき、どの会社を、どの載せ方で並べるかを最初に一緒に決めます。

私たちがやること

  • 一覧表の形をお渡しする ― 社名、載せ方(ロゴ・社名・業種)、了解をくださった方と日付、取引の状況を並べる表の形を用意します
  • 了解をお願いする文面のひな形を作る ― 何をどこにどう載せるかが伝わる文面を、貴社の言葉に合わせて整えます
  • 業種と地域の書き方に直す ― 社名を出せない取引先を、相手が特定されない範囲で、伝わる表記に直します
  • ロゴは、相手からいただいた正式なデータで載せる ― 1社ずつ別の画像で並べ、あとから外しやすい形にします
  • 取引が終わったときの削除 ― 一覧から外す作業は、月5回までの更新代行の中で反映します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も、同じ月額の中です。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

取引先への了解のお願いを、私たちが代わりに送ることはしません。取引の関係は貴社と相手の会社のものなので、お願いは貴社から送っていただくのがいちばん角が立ちません。

また、了解の取れていない社名やロゴは、サイトに載せません。相手のサイトからロゴの画像を拾って使うこともしません。秘密を守る約束の中身や、契約書の読み方についての判断も、私たちの仕事ではありません。専門家にご確認ください。取引先の数を盛った書き方や、実態より強い見出しで飾ることもいたしません。

「会社概要の取引先の欄を、何年も前に書いたまま見直していない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

9. まとめ:並べる前に、了解と「今」を確かめる

取引先の名前やロゴをホームページに載せるときに押さえることは、5つです。

  • 名前もロゴも、相手のもの ― 取引の事実は相手の情報でもある。載せる前に了解を取り、記録に残す
  • 契約を読み返す ― 取引の事実そのものを出さない約束がある場合がある。迷ったら専門家に確かめる
  • ロゴは相手の決まりに従う ― サイトから拾わず、正式なデータをもらう。色や形を勝手に揃えない
  • 出せないときは業種と地域で ― 「県内の食品メーカー様」。伏せていることは一行添えて伏せない
  • 終わった取引は外し、言葉は実態に合わせる ― 一度だけの取引を「主要」と書かない。迷ったら弱い言葉を選ぶ

取引先の一覧は、作るときより、作ったあとに放っておかれることのほうが問題になりやすいものです。載せた日から古くなり始める、と思っておくと、見直しの習慣がつきます。

今日できることを1つだけ挙げます。会社概要の取引先の欄を開いて、1社ずつ「今も取引があるか」「了解をもらったか」の2つに印をつけてみてください。印がつかない行が、最初に手を付ける行です。

どの載せ方にすればいいか迷っている、という方は、一度ご相談ください。