1. 「うちみたいな小さな会社に、記者向けのページなんて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「取引先のホームページを見ていたら、『報道関係者の方へ』というページがあったんです。うちも作ったほうがいいのかと思ったんですが、取材なんて受けたこともないですし。小さな会社がそんなページを作っても、大げさに見えませんか」

気持ちはよく分かります。広報の専任がいる会社ならともかく、社長と数人で回している会社に「報道関係者の方へ」は似合わない気がする。そう感じるのは自然なことです。

ただ、このページの役目を少し言い換えると、見え方が変わります。記者向けのページは、取材を呼び込むための仕掛けではありません。記者や番組の制作の担当者、地域の情報誌の編集の人が、取材するかどうかを決める前に、確かめに来る場所です。ページがあれば取材が来る、というものではありませんし、この記事でもそういうお約束はしません。

取り上げられたあとにホームページへどう載せるかは 新聞やテレビに取り上げられたら、ホームページにどう載せるか に、取材が決まってから放送や掲載までに整えることは テレビや雑誌の取材が決まったら、放送・掲載の前にホームページで整えること にまとめました。この記事は、そのさらに手前、取材の前に見に来る人に向けた準備だけを扱います。

この記事で書くこと

  • 取材する人は、連絡の前に何を確かめているか
  • 小さな会社でも作る意味があるのは、どんなときか
  • 置くもの。会社の要点・代表の経歴と写真・ロゴ・お知らせの一覧・取材の窓口
  • 写真やロゴを使ってもらうときの条件の書き方
  • 取材の申し込みの受け方と、返事が遅れないための社内の決め方
  • 作らなくてよい場合と、よくある失敗

2. 取材する人は、連絡の前に何を確かめているか

先に、このページを見に来る人の立場から考えます。取材する人の進め方は、媒体や人によってさまざまです。ここに書くのは、連絡の前に確かめたくなることの一般的な見方です。

この会社は何をしていて、話の種は本当か

取材する人は、何かのきっかけで貴社を知ります。届いたお知らせ、地域での評判、人づての紹介。そこから最初に確かめるのは、何の会社で、聞いた話が事実かどうかです。社名、所在地、何をいつから始めたか。ここが短くまとまっていると、確かめる手間が減ります。

誰に話を聞けるか

次に知りたいのは、誰が話してくれるのかです。代表なのか、担当の職人なのか。名前と肩書き、どんな経歴の人なのかが分かると、取材の組み立てを考えやすくなります。

使える写真やロゴがあるか

記事や番組には、写真やロゴが要ることがあります。撮りに行けない場合や、締め切りが近い場合は、貴社から借りられるものがあるかが気になります。どんな条件で使ってよいかも、ここで確かめたいところです。

どこへ連絡すれば、いつ返事が来るか

最後は窓口です。取材する人は締め切りを抱えていることが多く、連絡してから返事が来るまでの時間を気にします。代表のメールアドレスしか書いていない、電話は営業時間中だけ、返事がいつ来るか分からない。こうなると、問い合わせる前に迷わせてしまいます。

3. 小さな会社でも作る意味があるのは、どんなときか

記者向けのページは、どの会社にも要るものではありません。作る意味があるのは、取材する人が確かめに来る理由がありそうなときです。目安になる場面を3つ挙げます。

新しい商品やサービスを出すとき

新しい商品を出す、新しいサービスを始める。こうしたときに、地域の新聞社や情報誌にお知らせの文書(プレスリリース)を送る会社があります。送れば、受け取った人は貴社のホームページを開くかもしれません。そのときに確かめられる場所として、ページが役に立ちます。

地域の話題になりそうなことがあるとき

地域の行事に関わっている、まちの困りごとに取り組んでいる、地元の素材を使っている。地域の媒体は、こうした話を探していることがあります。貴社にとっては当たり前の活動でも、外から見ると話の種になることがあります。

人の話があるとき

代表が珍しい経歴を持っている、若い職人が技を継いでいる、家業を継いで仕事を変えた。取材は、会社より人に向くことがよくあります。話を聞ける人がいる会社は、その人の経歴と写真をそろえておくだけで、確かめる人の助けになります。

どれにも当てはまらない場合は、無理に作らなくて構いません。それは第7章で書きます。

4. 置くもの:5つで足りる

記者向けのページに置くものは、多くありません。確かめたいことにすぐ答えられる5つがそろっていれば足ります。

表:記者向けのページに置く5つと、取材する人にとっての意味(例はすべて架空)
置くもの書き方の例取材する人にとっての意味
会社の要点たとえば「神戸市内で、木の家具の修理と製作をしています。創業は〇年。職人は〇名です」と3行で何の会社かをすぐ確かめられる。詳しくは会社概要へ
代表の経歴と写真たとえば名前の読み方、生まれた地域、前の仕事、今の会社を始めた年。写真には撮った年を添える誰に話を聞けるかが分かる。取材の組み立てを考えられる
ロゴたとえば横長と正方形の2種類。背景が透明のものと、白黒のもの記事や画面に載せるときに、古いロゴや粗い画像を使われずに済む
お知らせの一覧たとえば「2026年10月 新しい修理のサービスを始めました」のように、日付と一行で並べる今の動きと、話の種の日付が分かる
取材の窓口と返事の目安たとえば「取材のご依頼は、下のフォームか広報窓口のメールへ。平日は翌営業日までにお返事します」締め切りがある人が、連絡してよいか判断できる

5つとも、すでに会社概要や代表挨拶に書いてあることが多いはずです。新しく書くより、取材する人が確かめやすい形に集め直すと考えてください。中身は、貴社の事実で書いてください。

会社の要点は、3行で

会社概要のページは、項目が並ぶ形になっています。記者向けのページでは、それを何を・どこで・いつから・どれくらいの規模で、という3行の文章にまとめます。詳しい項目は会社概要に任せて、リンクでつなぎます。会社概要そのものの中身は 会社概要のページに、何を載せるか にまとめました。

代表の経歴は、事実を順に

経歴は、飾らずに事実を並べます。生まれた地域、学んだこと、前の仕事、今の仕事を始めた年と理由。名前の読み方も書いておくと、記事や番組で間違えられにくくなります。

写真は、今の顔に近いものを選び、撮った年を添えます。顔写真を載せるかどうか、載せるならどう選ぶかは 社長の顔写真を、ホームページに載せるかどうか に書きました。載せない場合は、仕事中の手元や作業場の写真で代えることもできます。

ロゴと写真は、持ち帰れる形で

ロゴは、取材する人が画面から切り取らなくて済むように、持ち帰れるファイルとして置きます。形の違うものを2種類、背景が透明のものと白黒のものがあると、使う側が選べます。

商品や作業の写真も、何枚か置けるなら置きます。まとめて持ち帰れる形にする場合の考え方は 会社案内やカタログを、ホームページからダウンロードできるようにするか が参考になります。ファイル名と、いつの写真かが分かるようにしておくのは同じです。

お知らせの一覧は、日付と一行で

これまでに出したお知らせやプレスリリースを、新しい順に、日付と一行で並べます。本文はお知らせのページに任せ、一覧からリンクします。文書をそのまま置くより、ページで読めるほうが確かめやすくなります。

5. 写真やロゴを使ってもらうときの条件の書き方

写真やロゴを置くなら、どう使ってよいかを短く書いておきます。書いていないと、取材する人が一つずつ確かめることになりますし、思わない使われ方をすることもあります。

使ってよい範囲

いちばん大事なのは範囲です。たとえば「貴社を紹介する記事や番組の中でお使いください。広告や、ほかの目的での利用はご相談ください」のように書きます。紹介のためなら自由に使ってよい、それ以外は相談、という線を引いておくと、使う側も迷いません。

変えないでほしいこと

ロゴは、縦横の比率を変えない、色を変えない、ほかの絵と重ねない。写真は、意味が変わるほどの加工をしない。変えないでほしいことだけを、箇条書きで3つほど書いておけば足ります。

添えてほしい表記

写真に「写真提供:〇〇株式会社」のような表記を添えてほしい場合は、その書き方を具体的に書きます。添えなくてよいなら、「表記は不要です」と書いておくと親切です。

置く前に確かめること

置いてよいのは、貴社が使い方を決められる写真だけです。外の写真家に撮ってもらった写真は、取材する人に貸してよい約束になっているかを確かめます。社員やお客様が写っている写真は、写っている人の同意を取ってから置きます。権利の扱いは、業種や契約によって違います。迷うときは、所管の窓口や専門家に確認してください。

原稿の確認は、求めすぎない

「掲載の前に原稿を見せてほしい」と書きたくなることがあります。ただ、原稿を事前に見せるかどうかは、媒体によって考え方が違います。条件として書くより、「事実の確認が必要なときは、お気軽にお問い合わせください」と添えるくらいが、取材する人にとって受け取りやすい書き方です。

6. 取材の申し込みの受け方と、返事が遅れないための決め方

窓口を書いたら、申し込みを受ける形と、受けたあとの社内の動き方を決めます。窓口があっても返事が遅ければ、無いのと同じになってしまいます。

フォームの項目は、返事に要るものだけ

取材の申し込みを受けるフォームは、一般の問い合わせフォームに「取材のご依頼」という選択肢を足すだけでも構いません。専用にするなら、項目は最初の返事を書くのに要るものに絞ります。

  • 媒体や番組の名前 ― どこからの依頼かが分かる
  • お名前・ご所属・連絡先 ― メールと電話。電話は任意にしてもよい
  • 取材の内容 ― 何について、誰に話を聞きたいか
  • 希望の時期と締め切り ― 取材の希望日と、掲載や放送の予定
  • 取材の形 ― 電話、来社、撮影の有無

必須にするのは、上の3つくらいで足ります。項目を増やすほど、送る手間が増えます。考え方は 問い合わせフォームの項目は、いくつまで減らせるか にまとめました。

受ける人を、2人決めておく

申し込みが届いたときに、最初に読んで返事をする人を、2人決めておきます。1人だけだと、その人が休んでいる日や辞めたあとに止まります。届く先のメールアドレスも、個人のものではなく、2人が見られる窓口のアドレスにします。

返事の目安を決め、書いた目安を守る

ページに「翌営業日までにお返事します」と書いたら、それを守れる段取りにします。最初の返事は、受けるかどうかの答えでなくて構いません。「受け取りました。〇日までにお返事します」の一報だけでも、締め切りを抱えた人には助かります。

誰が決め、何を答えてよいかを決めておく

取材を受けるかどうかは、たいてい代表が決めます。代表がつかまらない日にどうするかも、決めておきます。そして、答えてよいことと、確かめてから答えることを分けておきます。売上や取引先の名前、お客様の話は、確かめてから答えることにしておくと安心です。

断るときも、早く

受けられない取材もあります。時期が合わない、内容が合わない。断るときほど早く返すのが、次につながる返し方です。黙っていると、相手は返事を待ったまま締め切りを迎えます。

図:取材の申し込みが届いてから、返事をするまで(日数や役割は一例です)
① 申し込みが届く

フォームか窓口のメールに届きます。通知は、決めておいた2人に届くようにしておきます。

届く先は個人のアドレスではなく、2人が見られる窓口にしておく
▼
② 受付の担当が、一報を返す(たとえば翌営業日まで)

受け取ったことと、受けるかどうかの答えをいつまでに返すかを伝えます。締め切りもここで確かめます。

「受け取りました。〇日までにお返事します」の一文だけでよい
▼
③ 代表が、受けるかどうかを決める

内容と時期を見て決めます。代表がつかまらないときに誰が決めるかも、先に決めておきます。

断るときも、ここで早く返す
▼
④ 答えてよい範囲を確かめて、日程を決める

話す人、確かめてから答えること、貸せる写真を確かめます。お客様や取引先が関わる話は、先に了解を取ります。

取材が決まったら、ここから先は放送・掲載までの準備に移る

日数や役割は、貴社の体制に合わせて決めてください。大事なのは、①から②までに止まる場所が無いことです。窓口を2人にして、一報の文面を決めておくだけで、返事の遅れは起きにくくなります。

7. 作らなくてよい場合と、よくある失敗

最後に、作らなくてよい場合と、作ったあとに起きやすい失敗を書いておきます。

作らなくてよい場合

次のような場合は、専用のページを作らなくて構いません。

  • 取材を受けるつもりがない、受けられない時期 ― 窓口を書いても返事ができなければ、かえって相手を困らせます
  • 話の種が、今のところ見当たらない ― 形だけのページは、中身が会社概要と同じになります
  • サイトが1ページだけ、または数ページの構成 ― 専用ページより、会社概要の下に1行足すほうが合います

この場合も、「取材のご依頼は、お問い合わせフォームからお願いします」という1行だけは、会社概要か問い合わせのページに置いておくと役に立ちます。取材する人が確かめに来たときに、どこへ連絡すればいいかは分かるからです。

よくある失敗:古い代表の写真

代表が替わったのに、前の代表の写真と経歴が残っている。同じ代表でも、何年も前の写真のまま。取材する人は、写真を見て、会う人の顔を思い浮かべます。会ったときに違う人に見えると、それだけで確かめ直しが要ります。写真に撮った年を添えておくと、古くなったことに気づきやすくなります。

よくある失敗:窓口の人が辞めている

窓口に担当者の名前と個人のアドレスを書いていて、その人が辞めている。届いた申し込みは、誰にも読まれません。窓口は、人の名前ではなく、役割の名前とアドレスで書きます。名前を添えるなら、替わったときに直す場所として控えておきます。

よくある失敗:止まった一覧と、古いロゴ

お知らせの一覧の最新が何年も前。ロゴを変えたのに、置いてあるファイルは前のロゴ。止まった一覧は、今も活動しているのかという疑問を生みます。新しいお知らせが無い時期は、一覧を無理に埋めず、日付の新しいものだけを残しておくほうが落ち着きます。

見直すきっかけを決めておく

代表や担当が替わったとき、ロゴを変えたとき、新しい商品を出したとき。この3つのときに、記者向けのページを開くと決めておきます。会社概要を見直す時期に合わせて、一緒に見るのも一つの方法です。

8. 雄喜晃の伴走:取材する人が確かめられるページを、事実で組みます

私たち雄喜晃がホームページを作るときは、記者向けのページを作るかどうかから、一緒に考えます。話の種がありそうか、取材の申し込みに返事ができる体制か。伺ったうえで、専用のページにするか、会社概要の1行で済ませるかを決めます。

私たちがやること

  • 置くものを整理して、ページに組む ― 会社概要や代表挨拶に書いてあることから、会社の要点の3行と、代表の経歴を一緒にまとめます
  • 写真とロゴを、持ち帰れる形で置く ― 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます。ロゴは、お預かりしたデータから、ページに置いて持ち帰れる形に整えます
  • 使用の条件と、申し込みのフォームを作る ― 使ってよい範囲と変えないでほしいことを短い文にし、フォームの項目を返事に要るものに絞ります
  • 窓口の書き方を、人が替わっても困らない形にする ― 役割の名前とアドレスで書き、替わったときに直す場所を一覧にしてお渡しします

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、お知らせの一覧への追加や、代表の写真の差し替えもこの回数の中でお受けします。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトを譲渡します。

私たちがやらないこと

  • 取材されることは、お約束しません。ページは確かめに来た人のための場所で、取材を呼び込むものではないからです
  • 記者や媒体への売り込みや、プレスリリースを送る作業はお受けしていません。送る文書の中身を、サイトのお知らせとそろえるところまでお手伝いします
  • 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでが私たちの仕事です
  • 経歴や実績を、事実より大きく書くことはしません。取材する人が確かめに来るページだからこそ、書いてあることがそのまま確かめられる形にします

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「取材の連絡が来たときに、どこを見てもらえばいいか分からない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:取材を呼ぶページではなく、確かめられるページ

記者や取材する人に向けたページで、押さえることは5つです。

  • 役目は、取材の前に確かめに来る人に答えること ― ページがあれば取材が来る、というものではない
  • 作る意味があるのは、話の種があるとき ― 新しい商品、地域の話題、人の話
  • 置くものは5つ ― 会社の要点の3行、代表の経歴と写真、ロゴ、お知らせの一覧、取材の窓口と返事の目安
  • 写真とロゴには、使ってよい範囲を短く書く ― 置いてよいのは、貴社が使い方を決められるものだけ
  • 窓口は2人と役割の名前で、返事の目安を守る ― 一報だけでも早く。断るときほど早く

作らなくてよい会社も、取材の依頼をどこへ送ればいいかの1行だけは置いておくと役に立ちます。

まず、今日できること

貴社のサイトを、初めて貴社を知った人のつもりで開いてみてください。何の会社か、誰が話してくれるか、どこへ連絡すればいいか。この3つが、トップから2回押すまでに分かるかを確かめます。分からなかったところが、最初に整えるところです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。取材する人が確かめに来たときに、迷わず答えられるページにするところからご一緒します。