1. 「どれを選べばいいか分からない、と言われるんです」

自家焙煎のコーヒー豆の店を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「店頭なら、好みを聞いて選んであげられるんです。でも通販のページを見た人からは、どれを買えばいいか分からない、と言われてしまって。豆の名前と値段は全部載せているんですけどね」

豆の名前と値段が並んでいても、初めての人には、その中から自分に合う1つを選ぶ手がかりがありません。店頭では、店の人が好みを聞き、少し飲ませて、挽き方を確かめてから渡しています。サイトでは、その会話がまるごと抜け落ちています。

もう1つ、豆の店には特有の事情があります。売り方が何通りもあることです。店頭での販売、喫茶の併設、通販、定期便、飲食店やオフィスへの卸。サイトを見に来る人によって、確かめたいことが違います。

この記事で書くこと

  • 見に来る人ごとの入口
  • 豆の情報の載せ方:産地・焙煎の度合い・味の言葉、定番と入れ替わる豆
  • 初めての人への選び方の案内
  • 挽き方と量の注文、焙煎日と鮮度の伝え方
  • 通販と定期便の条件
  • 卸の条件、喫茶の営業時間とメニュー、教室やイベント

2. 見に来る人ごとに、入口を分ける

豆の店のサイトを見に来る人は、大きく分けると次のようになります。

  • 店頭で豆を買う人 ― 今日開いているか、どんな豆があるか、量り売りで少しだけ買えるか
  • 喫茶に来る人 ― 何時まで開いているか、何が飲めるか、食べるものはあるか
  • 通販や定期便を考える人 ― どれを選べばいいか、送料はいくらか、いつ届くか、やめるときはどうするか
  • 卸を考える飲食店やオフィス ― どのくらいの量から、どのくらいの頻度で、どこまで届けてくれるか

飲食店やオフィスの担当の人は、仕入れ先として続けて頼めるかを見ています。個人のお客様とは、確かめることがまったく違います。トップページの最初のあたりに、「豆を選ぶ」「喫茶のご案内」「通販・定期便」「業務用のご相談」のような入口を並べ、自分に合う入口から入れるようにします。

個人と法人の両方を相手にするサイトの組み方は、個人のお客様と法人のお客様、両方を相手にする会社のホームページ にまとめました。

3. 豆の情報の載せ方

定番と、入れ替わる豆を分ける

自家焙煎の店では、一年を通して置いている定番の豆と、仕入れの時期によって入れ替わる豆があると思います。これを同じ一覧に混ぜると、先月あった豆が今はないことが、読む人には分かりません。

  • 定番の豆 ― 店の味の基本になる豆やブレンド。いつ来てもある、と書いておく
  • 入れ替わる豆 ― 季節や入荷によって替わる豆。「入荷の状況で入れ替わります」と添え、今ある豆だけを載せる
  • 終わった豆 ― 一覧からは外す。好評だった豆は「また入荷したらお知らせします」と一言残す方法もある

入れ替わる豆の欄は、入れ替えるたびに直す場所を1か所に決めておくと、直し忘れが減ります。売り切れた豆が何ヶ月も載っているのは、何も書いていないより困ります。

1つの豆に書くこと

豆ごとの欄には、次のことをそろえて書きます。項目がそろっていると、読む人は豆どうしを比べられます。

表:豆ごとの欄に書いておくこと(言い回しや数字はすべて架空のたとえばです)
項目たとえばの書き方書いておく理由
産地国の名前と、分かる範囲で地域や農園。ブレンドなら、何をどう組み合わせた考えか詳しい人は、産地で好みを探している
焙煎の度合い「浅め・中くらい・深め」など店で決めた段階のどこか。段階の図を一覧の上に1つ置く店ごとに呼び方が違うので、言葉だけだと比べられない
味の言葉「苦みは控えめで、柑橘のような酸味。冷めても飲みやすい」と、店の人の言葉で産地を知らない人でも、自分の好みと照らせる
合う飲み方「ミルクを入れても味が負けません」「アイスにも向きます」飲む場面が浮かぶと、選ぶ理由になる
量と値段「〇〇g 〇,〇〇〇円/〇〇g 〇,〇〇〇円」。税込か税別かを一覧の頭に1回書く量ごとの値段がないと、注文の前に電話で聞くことになる
あるかどうか「定番」「入荷の状況で入れ替わります」「店頭のみ」の印通販で買えない豆を、買えると思わせない

焙煎の度合いは、店によって段階の数も呼び方も違います。店の中で段階を決め、すべての豆を同じ物差しで書くのがいちばん大事です。物差しがそろっていれば、読む人は「前に買った豆より少し深め」と選べます。

項目をそろえて表にする考え方は、部品や資材の仕様の載せ方と同じです。スマートフォンでも読める表の作り方は 製品の仕様や寸法を、ホームページにどこまで載せるか に書きました。

味の言葉は、店の人が飲んだときの言葉で

味の説明を、どこかで見たような言葉で埋めると、どの豆も同じに見えます。いちばん伝わるのは、焙煎している人が自分で飲んだときの言葉です。「朝の一杯目に飲みたくなる」「甘いお菓子と一緒だと、苦みがちょうどいい」。店頭でお客様に話している言葉を、そのまま書き留めてください。

4. 初めての人への選び方の案内

豆の一覧の前に、選び方を置く

豆の一覧だけを見せられても、初めての人は選べません。一覧の前に、店頭で聞いている質問をそのまま並べると、読む人は自分で答えながら選べます。

図:初めての人に、店頭と同じ順で聞く3つの質問(豆の選び方はすべて架空の例です)
質問① 好み
苦いのと、酸っぱいのと、どちらが苦手か

たとえば「酸味が苦手なら、深めの豆から。苦みが苦手なら、浅めの豆から」。好きなものより、苦手なものを聞くほうが答えやすい人が多いと思います。

焙煎の度合いの見当がつく
質問② 飲み方
何も入れないか、ミルクや砂糖を入れるか

たとえば「ミルクを入れるなら、しっかりした味の豆を」。ふだんの飲み方が分かると、候補が2つか3つに絞れます。

候補の豆が絞れる
質問③ 道具
家で、何を使って淹れるか

たとえば「ペーパーで淹れる」「コーヒーメーカーを使う」「ミルを持っていない」。道具が分かれば、挽き方と量が決まります。

挽き方と量が決まる

3つに答えると、豆の候補と、挽き方と、量がそろいます。どうしても決められない人には、「迷ったら、まずはこの豆を」と店のおすすめを1つだけ示し、少量で試せる量や飲み比べのセットがあれば、ここで案内します。

「初めての方へ」を作るか

喫茶を併設していて、初めて来る人が多い店なら、豆の選び方とあわせて、喫茶の頼み方や、豆を買うときの流れを短くまとめたページも役に立ちます。量り売りの頼み方、試飲ができるか、店の人に相談してよいか。初めての人が当日の自分を思い浮かべられるかで考えます。作るかどうかの判断は 「初めての方へ」のページは、要るのか。要るなら何を書くか にまとめました。

5. 挽き方と量、焙煎日と鮮度

挽き方は、道具の名前で選べるようにする

通販で豆を頼む人の多くは、挽き方の言葉が分からずに止まります。「細挽き」「中挽き」と書くより、淹れる道具の名前で選べるようにしておくと迷いません。

  • 豆のまま ― ミルを持っている方向け。挽いてから淹れるまでの話を一言添える
  • ペーパーやネルで淹れる ― 店のふだんの挽き方
  • コーヒーメーカー ― 家庭用の機器で淹れる方向け
  • そのほかの道具 ― 店で受けている挽き方があれば。受けていない挽き方は、受けていないと書く

量は、何杯分かの目安を添える

「〇〇g」だけでは、どのくらい持つのかが分かりません。店の淹れ方で何杯分くらいになるかの目安を添えると、量を選びやすくなります。一杯に使う量は人によって違うので、「店の淹れ方で、〇杯分ほど」のように、基準を書いたうえで目安として示します。

焙煎日を、いつの日付として書くか

自家焙煎の店の値打ちの1つは、焙煎してからの日数が分かることだと思います。ここはどの日付を書くかを決めておきます。

  • 袋に書く日付 ― 焙煎した日を書くのか、それとも賞味の期限を書くのか。両方書くのか
  • 通販で発送するまで ― 注文を受けてから焙煎するのか、焙煎した豆を在庫から送るのか。発送までの日数
  • おいしく飲める目安 ― 「焙煎から〇週間ほどを目安に」と、店の考えとして書く
  • 保存の仕方 ― 袋の閉じ方、置く場所。店の人がすすめる方法を短く

食品の期限の表示については、売り方や包装の仕方によって求められることが違う場合があります。何をどう表示するかは、所管の窓口や専門家に確認してください。サイトには、袋の表示と食い違わない書き方で、店の考えとしての目安を載せます。

6. 通販と定期便の条件

通販は、送料と届くまでの日数を先に書く

通販のページでは、豆を選ぶ前に送料と届くまでの日数が目に入るようにしておきます。

  • 送料 ― 「どこへ・何袋・いくら以上で無料か」で書く。ポストに届く形で送れる量があれば、その条件も
  • 届くまで ― 焙煎の日が決まっているなら、「〇曜日までのご注文を、〇曜日に焙煎して発送します」
  • 支払い ― 選べる支払いの方法と、代金を払うタイミング
  • 交換や返品 ― 食品なので、受ける場合と受けない場合を分けて書く

送料と返品の書き方の全体は 送料や返品の決まりを、ホームページにどう書くか に、自社のサイトに注文の仕組みを付けるかどうかの判断は ホームページに、ネットショップを付けるかどうか にまとめました。

定期便は、やめ方まで同じページに書く

定期便を出しているなら、申し込む前の人が知りたいのは、何が、いつ、いくらで届き、どうすればやめられるかです。

  • 届く頻度 ― 月に1回、2週に1回など。選べるか
  • 届く豆 ― 店のお任せか、自分で選べるか。同じ豆が続くことがあるか
  • 量と挽き方 ― 何gずつか。途中で挽き方を変えられるか
  • 料金と支払い ― 1回ごとの金額と送料、引き落としの日
  • 休む・変える・やめる ― 次の発送の何日前までに、どこから連絡すればよいか。最低の回数があるか

いちばん書き忘れやすいのが、最後の項目です。やめるときの条件は、始めるかどうかの判断の材料になります。やめ方が見つからない定期便は、申し込む手前で敬遠されます。月額で続けるものの「やめるとき」の書き方は、ホームページの月額契約を例に 月額制のホームページを解約したら、サイトはどうなるのか に書きました。

通信販売や、定期で届ける売り方には、申し込みの画面や表示について守るべき決まりがある場合があります。何が求められるかは売り方によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。

7. 卸の条件、喫茶、教室とイベント

卸は、量・頻度・地域・相談の流れを書く

飲食店やオフィス、小売店から、業務用の豆の相談が来ることがあると思います。「業務用もご相談ください」の一行だけでは、自分の店が対象になるかが分かりません。

  • 量 ― 1回にどのくらいから受けるか。少ない量でも相談できるか
  • 頻度 ― 週ごと、月ごとなど。焙煎の予定とどう合わせるか
  • 地域 ― 届けに行ける地域と、送る場合の扱い
  • 豆の決め方 ― 店の定番から選ぶのか、店に合わせた配合の相談を受けるのか
  • 相談の流れ ― 連絡をもらう、話を聞く、試してもらう豆を用意する、量と頻度を決める、初回のお届け
  • 支払い ― 締め日と支払いの期日

最初に教えてほしいことも書いておきます。店の業態と所在地、1ヶ月に使うおおよその量、今使っている豆の傾向、淹れている道具。これが分かれば話が始められる、と書いてあれば、担当の人は確かめてから連絡してきます。

喫茶の営業時間は、豆の販売と分けて書く

喫茶を併設している店では、豆の販売と喫茶で、時間が違うことがあります。喫茶のラストオーダー、豆の販売だけなら何時まで、焙煎の日は喫茶を休むかどうか。分けて書いておくと、閉店間際に来て飲めなかった、ということが減ります。

メニューは、飲み物の名前と値段を文字で書きます。その日の豆によって中身が替わる飲み物があるなら、「豆は日によって替わります」と添えます。食べ物を出しているなら、何時から何時まで頼めるかも書きます。席の数や、一人で入りやすいかどうかも、初めての人には大事な情報です。

教室やイベントは、1回ごとに告知する

淹れ方の教室、豆の飲み比べ、焙煎の体験。催しをしているなら、内容、日時、人数、料金、持ち物、予約の方法と締め切りを1回ごとに告知のページにまとめます。終わった回の様子は、短い文と写真で残しておくと、次の回の案内になります。参加した方が写っている写真は、載せる前に了解を取ってください。

体に良い、という言い切りは避ける

豆の説明や読み物の中で、体に良い、眠気が取れる、といった効き目をうたう書き方は避けてください。食品の広告や表示には、書いてよいことに決まりがある場合があります。カフェインを抑えた豆を扱うなら、どの程度抑えたものかは、仕入れ先の資料に基づいて書きます。何をどこまで書いてよいかは、所管の窓口や専門家に確認してください。

8. 雄喜晃の伴走:店頭の会話を、サイトの選び方にします

私たちがやること

私たち雄喜晃は、自家焙煎の豆の店のホームページを作るとき、最初に「店頭で、初めてのお客様に何を聞いているか」を伺うところから始めます。その質問の順番が、そのままサイトの選び方の案内になります。

  • 入口を分けて、ページを組みます ― 豆を選ぶ、喫茶のご案内、通販・定期便、業務用のご相談
  • 豆の欄の項目をそろえます ― 産地、焙煎の度合い、味の言葉、量と値段を同じ形で書き、焙煎の段階の物差しを一緒に決めます
  • 初めての人への選び方の案内を作ります ― 店頭で聞いている質問を、答えながら選べる形にします
  • 挽き方、焙煎日、通販と定期便の条件を、注文の前に読める場所に置きます
  • 卸の条件と相談の流れ、喫茶の営業時間とメニュー、教室の告知のページを作ります
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 豆や店内、焙煎の様子の写真を、明るさや大きさをそろえて配置します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、入れ替わる豆の欄の直しや、教室の告知、喫茶の営業時間の変更も、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 豆の値段や、定期便・卸の条件そのものは決めません。決まった内容を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
  • 注文や定期便の決済、在庫を管理する仕組みの開発や、発送の代行はしていません
  • 食品の表示や、通信販売の表示が決まりに合っているかの判断はしません。所管の窓口や専門家で確かめていただくようお願いしています
  • 検索順位や注文の増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「店頭なら選んであげられるのに、サイトでは豆の名前を並べているだけ」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:豆の名前の前に、選び方と届くまでの決まりを書く

自家焙煎のコーヒー豆の店のホームページで押さえることは、5つです。

  • 見に来る人ごとに入口を分ける ― 店頭、喫茶、通販・定期便、業務用。確かめることが違います
  • 豆の欄は、同じ物差しでそろえる ― 産地、焙煎の度合い、味の言葉、量と値段。定番と入れ替わる豆は分ける
  • 初めての人には、店頭と同じ質問で選んでもらう ― 苦手な味、飲み方、淹れる道具
  • 挽き方は道具の名前で、焙煎日はどの日付かを決めて ― 鮮度の目安は店の考えとして書く
  • 通販・定期便・卸は条件で書く ― 定期便はやめ方まで、卸は量・頻度・地域・相談の流れまで。表示のことは所管の窓口や専門家に確認を

どれも、店頭では毎日のように口で答えていることです。店の人が好みを聞いて選んでいる会話を、そのままサイトの順番にする。それだけで、まだ店に来たことのない人にも、自分に合う豆を選んでもらえるようになります。

まず、今日できること

次に初めてのお客様が来たとき、豆を決めるまでに何を聞いたかを、順番どおりに書き留めてみてください。3つか4つの質問が並ぶはずです。それが、そのまま「豆の選び方」のページの中身になります。