1. 「送料はいくらですか、と毎回電話で聞かれるんです」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「うちはネットショップというほどのものはなくて、電話やメールで注文をもらって送っているんです。送料はいくらか、いつ届くか、合わなかったら返せるか。毎回同じことを聞かれて、そのたびに答えています。サイトに書いたほうがいいんでしょうか」

よく伺う話です。決まりはある。けれど、お客様の目に入るのは電話で聞いたときだけ。決まりが無いのではなく、注文の前に届いていない状態です。

送料と返品の決まりは、ネットショップだけの話ではありません。電話やメールで注文を受けて発送する会社、お取り寄せを受けている店、取引先へ製品を出荷している会社。物を送る仕事なら、どこにも関わる話です。

近い記事との分け方

ネットショップを付けるかどうかは ホームページに、ネットショップを付けるかどうか にまとめました。予約や工事の取り消しの決まりは キャンセルや日程変更の決まりを、ホームページにどう書くか に、支払いの方法は 支払い方法を、ホームページにどう書くか に書いています。

この記事は、その間に残る「送るときの決まり」と「戻すときの決まり」を、注文の前に読まれる形にする方法を書きます。

先にお断りしておくこと

ネットや電話、カタログなどで注文を受けて物を送る取引は、通信販売にあたる場合があります。通信販売では、送料や返品の扱いなどをサイトに表示することが求められる場合があり、返品を受けない場合も、受けないことを表示しておく必要があるとされています。法人との取引では扱いが違うこともあります。

何をどこまで書けばよいかは、売るものや取引の形によって違います。業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。この記事に出てくる金額や日数は、すべて書き方を説明するための「たとえば」で、架空のものです。

この記事で書くこと

  • 書いていないと、何が起きるか
  • 送料を、地域と条件で書く
  • 届くまでの目安を、発送と到着に分けて書く
  • 返品・交換を受ける条件と、受けないもの
  • 不良品や違う商品が届いたときの連絡方法
  • 注文の前に目に入る場所と、変わったときに直す場所

2. 書いていないと、何が起きるか

先に、書いていないときに起きていることを並べます。どれも、送る側からは見えにくいことです。

注文の前に、電話が鳴る

送料が分からない人は、注文の前に確かめようとします。電話で聞いてくれる人はまだいいほうで、電話をせずに、送料が書いてある別の店で買う人もいます。こちらからは気づけません。

届いた請求が、思っていた金額と違う

商品の値段だけを見て注文した人に、送料を足した金額を伝える。正当な決まりでも、相手にはあとから出てきた費用に見えます。

返品の電話で、その場で答えを考える

「サイズが合わなかった」「開けたけれど使っていない」。こうした電話に、出た人がその場で答えを考えます。同じ事情なのに、前回と今回で答えが違うことが起きます。

法人の担当者が、社内に説明できない

発注する担当者は、社内に「送料はどちらが持つのか」「不良のときはどうなるのか」を説明する必要があります。書かれていないと、確認の電話が先に要り、発注が後回しになります。

3. 送料は「どこへ・いくつ・いくら以上」で書く

よくあるのが「送料は別途」の一行です。これでは、いくら払うのかが分かりません。送料は、どこへ送るか、いくつ送るか、いくら以上買うかの3つで決まることが多いので、その3つで書きます。

地域ごとの送料は、表にする

地域で送料が変わるなら、表にします。運賃の区分に合わせて、地方ごとにまとめれば十分です。自分の住所がどの行に入るかを、読む人が探せることが大事です。

表は画像にせず、文字で作ってください。画像の表はスマートフォンでは小さくて読めません。

「いくら以上で無料」は、条件まで書く

「○円以上で送料無料」は分かりやすい一行ですが、条件が抜けていると揉めます。次の点を書き添えてください。

  • 税込か、税別か ― どちらかで判断が変わります。書き方の考え方は ホームページの料金は、「税込」と「税別」のどちらで書くか にまとめました
  • 1回の注文で、か ― 別の日の注文を合わせてよいのか
  • 同じ届け先へ、か ― 贈答で届け先が分かれる場合はどうなるのか
  • 無料にならない地域や商品 ― 離島、冷蔵・冷凍、大きなものは別、のように

離島や一部の地域

離島や一部の地域は、送料が別になったり、日数が延びたりします。「別途お見積もり」だけで済ませず、どこが対象で、どう連絡するかを書いてください。

対象を並べきれないときは、「ご住所によっては、ご注文のあとに送料をお知らせし、ご確認いただいてから発送します」と、確認してから送ることを書いておくと安心してもらえます。荷物の大きさや冷蔵・冷凍で送料が変わるなら、その区分も同じ表に入れます。

法人への出荷は、取引の条件として書く

会社への出荷では、送料を単価に含めるのか、元払いか着払いか、一定の数量以上はこちら持ちか、と決まりが個人向けと違うことがよくあります。個人向けの表とは分けて、「法人のお取引について」として書いてください。取引ごとに違うなら、「標準の条件」と「お見積もりで決めるもの」を分けるだけでも、担当者の手間が減ります。

表:送料の決まりを、地域と条件で並べる(たとえば常温の食品を送る場合。地域の区分・金額はすべて架空)
お届け先通常の送料無料になる条件・注意
近畿たとえば1箱800円たとえば1回のご注文が税込6,000円以上で無料
中国・四国・中部たとえば1箱900円同じ条件で無料
関東・九州たとえば1箱1,100円同じ条件で無料
北海道・沖縄たとえば1箱1,600円たとえば無料の対象外
離島・一部の地域ご注文のあとにお知らせ金額をご確認いただいてから発送。お届けに日数がかかります
冷蔵・冷凍の商品たとえば上の送料に1箱300円を追加常温の商品とは別の箱でお届けします

表の下には、「届け先が複数のときは、届け先ごとに送料がかかります」のような一行を添えます。区分と金額は、貴社が実際に使っている運賃で書いてください。

4. 届くまでの目安を、発送と到着に分けて書く

送料の次に聞かれるのが、「いつ届きますか」です。ここは発送するまでの日数と、発送してから届くまでの日数を分けて書くと、読む人が自分で計算できます。

「発送まで」と「到着まで」は、別の数字

「ご注文から3日でお届け」のように1つの数字で書くと、地域による差が入りません。「ご注文から2営業日以内に発送します。発送から到着までは、地域によって1〜3日です」のように分けて書けば、遠い地域の人も自分の場合を考えられます。

「営業日」と書くなら、発送しない曜日や長い休みも目立つ場所に出しておきます。日数の書き方そのものは 納期や「何日かかるか」を、ホームページにどう書くか に詳しく書きました。

締めの時刻を書く

「当日発送」をうたうなら、何時までの注文が当日の発送になるかを書きます。たとえば「午後2時までのご注文は当日発送、それ以降は翌営業日」の一行です。メールの注文は、届いた時刻で数えるのかも決めておきます。

お届け日や時間帯の指定

贈答品では、届く日を指定したい人が多くいます。指定できるか、できるなら何日先までかを書いてください。「指定日の何日前までに注文を」という決まりがあれば、それも書きます。

受注生産やお取り寄せは、別の行にする

在庫品と、注文を受けてから作るもの、取り寄せるものでは、日数がまったく違います。1つの目安に混ぜず、商品の種類ごとに行を分けてください。商品ページにも、どの種類かを一行で書いておきます。

5. 返品・交換を受ける条件と、受けないもの

「返品できると書くと、返品が増えるのでは」という心配をよく伺います。ただ、書いていないと、受けるかどうかの話を毎回その場ですることになります。

お客様の都合と、こちらの不備を分ける

最初にやることは、返品の理由を2つに分けることです。

  • お客様のご都合 ― サイズや色が合わなかった、イメージと違った、注文を間違えた
  • こちらの不備 ― 不良品、壊れて届いた、注文と違う商品が届いた、数が足りない

ご都合の返品は、受けるかどうか、条件は何かを貴社が決めます。こちらの不備は交換や返金が基本で、次の章の連絡方法が中心です。2つを1つの文章に混ぜると、どちらが自分に当てはまるのか分からなくなります。

ご都合の返品を受けるなら、4つを書く

ご都合の返品を受けるなら、次の4つを書きます。

  • 期限 ― 「商品の到着から○日以内にご連絡ください」。起点は注文日ではなく到着日にしておくと、遠い地域の人も不利になりません。連絡の期限なのか、商品が戻ってくる期限なのかも分けて書きます
  • 状態 ― 未開封に限るのか、未使用ならよいのか。箱や付属品、タグはそろっている必要があるのか
  • 返送の送料 ― 戻すときの送料はどちらが持つのか。交換の場合、新しい商品を送る送料はどうなるのか
  • 返金の方法と時期 ― 商品が戻ってきてから何日以内に、どの方法で返すのか。支払いの方法によって返し方が違うなら、それも書きます

受けないものを、はっきり書く

返品を受けないものがあるなら、それもはっきり書いてください。たとえば次のようなものです。

  • 食品・生もの・植物 ― 品質が変わるため、ご都合での返品は受けない
  • オーダー品・名入れ・寸法を合わせて作ったもの ― ほかの方にお渡しできないため
  • 開封した消耗品 ― 衛生上の理由で
  • 取り寄せた商品 ― 仕入れ先に戻せないため

理由を一言添えると、一方的に見えにくくなります。そして、こちらの不備は別に対応することを書き添えます。「ご都合での返品はお受けしていませんが、傷みや注文と違う商品が届いた場合は、交換または返金いたします」。この一文があるだけで、受けないことの印象が変わります。

言い方の温度

「いかなる理由があっても返品には応じません」と書くと、読んだ人は身構えます。受けることを先に書き、受けないものと理由を後に書く。順番を変えるだけで、同じ決まりの読まれ方が変わります。

6. 不良品や違う商品が届いたときの連絡方法

こちらの不備のときの決まりは、お客様が困っている場面で読まれます。読んだ人が、すぐに連絡できる形にしておくことが何より大事です。

連絡先と、受付時間

どこに連絡すればいいかを書きます。電話か、メールか、フォームか。そして受付時間と、受付時間の外に届いた連絡をいつ受け付けた扱いにするかを書きます。注文を受けた窓口と、不良品の窓口が違うなら、そのことをはっきり書いてください。

届いてから、何日以内に連絡してほしいか

「到着から○日以内にご連絡ください」と期限を書き、届いたらすぐ中身を確かめていただくお願いを添えます。法人への出荷なら、検品の期限として取引の条件にも書いておきます。

連絡のときに伝えてほしいこと

やり取りが1回で済むように、伝えてほしいことを先に書きます。

  • 注文の番号か、注文した日と名前 ― どの注文かを探すため
  • 届いた日 ― 運送中か発送前かを考えるため
  • 状態の写真 ― 箱の外側と中の商品。メールやフォームで送れるように
  • 交換と返金のどちらを希望するか ― 在庫がない場合の扱いも添える

こちらが何をするかを書く

交換の品をいつ送るのか、返金はいつか、届いた商品は戻してもらうのか。そしてこの場合の送料は貴社が持つと書いておくと、連絡をためらう人が減ります。

図:不良品や違う商品が届いたときの流れを、お客様の側から並べる(文面と日数の例は架空)
① 届いたら、中身を確かめる

同梱の案内に、すぐ確かめていただくお願いを書きます。

たとえば「お届けから7日以内に、中身と数をお確かめください」
▼
② 連絡する

窓口と受付時間、伝えてほしいことを一か所にまとめます。

たとえば「注文番号・届いた日・箱と商品の写真を添えて、メールかフォームでご連絡ください」
▼
③ こちらから返事をする

交換か返金か、商品を戻していただくかをお伝えします。

たとえば「1営業日以内にお返事します。戻していただく場合の送料は、こちらで負担します」
▼
④ 交換の品を送る、または返金する

いつまでに送るか、返金するかを書きます。

この流れが注文の前から読めると、困ったときの連絡が早く来ます

同じ流れを、同梱の案内の紙にも載せます。困ったときに人が探すのは、手元の箱の中の紙だからです。日数と窓口は、貴社が守れるもので書いてください。

運送中の破損

箱がつぶれていた、中身が割れていた。運送中の破損でも、お客様に運送会社とのやり取りをお願いしないのが基本です。連絡は貴社に、運送会社とのやり取りは貴社が引き取る、と書いておくと迷いません。

7. 注文の前に目に入る場所に置き、変わったら直す

ページのいちばん下のリンクの先にだけある決まりは、困ったときまで読まれません。

全文は1か所、ほかは要点の一行

全文は「送料・お届け・返品について」のような1つのページにまとめます。ほかの場所には、要点の一行と、そのページへのリンクを置きます。同じ決まりを何か所にも全文で書くと、直すときに直し漏れが出ます。

お客様の流れに沿って置く

要点を置く場所は、注文するお客様が通る順番で考えます。

  • 商品や料金のページ ― 値段のすぐ下に、送料の考え方と、無料になる条件を一行
  • 注文の方法を書いたページ ― 電話・メール・FAXで注文を受けているなら、その案内の中に送料と届くまでの目安を
  • 注文フォームの送信ボタンの前 ― 返品を受けないものがあるなら、ここでもう一度
  • 注文確認のメールと、同梱の案内 ― 不良品の連絡先と期限を。困ったときに探されるのはここです
  • よくある質問 ― 「送料はいくらですか」「返品できますか」に、結論の一行と全文へのリンクで答えます。質問の選び方は 「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる にまとめました

変わったら、直す場所を全部直す

送料を変えたときに直す場所は、サイトの中だけではありません。

  • サイトの中 ― 全文のページ、商品や料金のページ、よくある質問、お知らせの過去の記事
  • メールの文面 ― 注文確認のメールや、見積もりの返信のひな形。サイトとは別の場所で管理されていることが多く、直し忘れがいちばん起きます
  • 紙とPDF ― 同梱の案内、FAXの注文用紙、カタログ、法人向けの取引条件の書類

決まりを書いた場所を、1枚の表にして残しておくと、変えるたびにその表を見れば済みます。変える日は先にお知らせに出し、「○月○日のご注文分から」と書いておきます。

書いた通りに、現場も動く

注文を受ける人の手元に、サイトと同じ表を置いておきます。例外を認める場面と、誰が判断するかも決めておきます。サイトの決まりと電話で言われたことが違う状態が、いちばん信用を削ります。

8. 雄喜晃の伴走:送る決まりと戻す決まりを、注文の前に読める形にします

私たち雄喜晃のホームページ制作では、送料と返品の決まりを、表と流れに整えて、注文するお客様の通り道に置くところまでお手伝いします。

私たちがやること

最初に、今の決まりを伺います。どの地域にいくらで送っているか、無料になる条件は何か、届くまで何日か、返品はどう受けているか、不良品の連絡はどこで受けているか。電話で答えている内容も含めて伺い、書かれていない項目があれば、その場でお伝えします。

伺った内容を、送料の表、届くまでの目安、返品を受けるものと受けないもの、不良品のときの流れに整えます。全文のページを1つ作り、商品や料金のページ、よくある質問に要点の一行とリンクを配置します。運賃が変わったときの書き換えは、月5回までの更新代行の中でお受けしています。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

先に書いておきます。送料の金額や、返品を受けるかどうかを、私たちが決めることはしません。それは貴社の商売の判断です。また、書いた決まりが通信販売の表示として足りているかどうか、法律の面で妥当かどうかを判断することもいたしません。業種によって違い、所管の窓口や専門家が答える話だからです。

他社の決まりを写して埋めることもしません。決まりを書くことで注文が増える、検索の順位が上がるとお約束することもありません。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「送料や返品のことは、いつも電話で聞かれてから答えている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:聞かれる前に、届くように書く

送料や返品の決まりをホームページに書くときに押さえることは、5つです。

  • 送料は、地域と条件で表にする ― 無料になる条件は、税込か税別か、1回の注文か、届け先ごとかまで。離島や冷蔵・冷凍、法人への出荷は別の行に
  • 届くまでの目安は、発送と到着に分ける ― 締めの時刻、お届け日の指定、受注生産やお取り寄せの日数も
  • 返品は、ご都合とこちらの不備を分ける ― ご都合の返品は期限・状態・送料・返金を書き、受けないものは理由と一緒にはっきり書く
  • 不良品の連絡は、すぐ動ける形に ― 窓口、期限、伝えてほしいこと、こちらがすること。送料はこちらが持つと書く
  • 注文の前に置き、変わったら全部直す ― 全文は1か所、ほかは要点の一行。メールの文面と紙を忘れずに

送料と返品の決まりは、お客様を縛るためのものではありません。注文する前に、安心して決めてもらうための材料です。聞かれる前に届いていれば、電話の本数も、あとからの気まずさも減っていきます。

まず、今日できること

この1ヶ月で、送料や返品について電話やメールで答えた内容を3つ書き出してみてください。遠い地域への送料、届く日の指定、開けてしまった商品の返品。その3つが、表に最初に入れる行です。注文を受けている人にも「この場合はどう答えていますか」と聞いてみてください。答えが揃わなければ、そこから決めるところです。