1. 「最短で書いたら、それが普通だと思われて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「サイトに『最短3日』と書いたんです。嘘ではないんですよ、条件がそろえば本当に3日でできる。でも、問い合わせてくる方がみんな3日のつもりで来るんです。1週間ですと言うと、がっかりされてしまって」

工事、修理、製作、印刷、加工など、日数で仕事を受ける商売でよく伺う話です。書いた数字は事実です。それでも、読む人は一番短い数字を、自分の数字だと受け取ります。

かといって、日数を書かなければよいわけでもありません。書いていなければ電話で聞かれますし、聞く手間を嫌う人は、日数が書いてある会社へ移ります。

この記事で書くこと

  • 「最短○日」だけを書くと、何が起きるか
  • ふつうの目安と、早くなる条件・遅くなる条件の書き分け
  • いつから数えるか(注文日・入金日・図面確定日)の書き方
  • 「お急ぎの方はご相談を」の置き方
  • 繁忙期に目安を書き換える手順

季節で忙しさが変わる商売の、サイト全体の回し方は 季節で忙しさが変わる商売の、ホームページの回し方 に書きました。この記事は、「日数の一行」をどう書くかに絞った話です。

2. 「最短○日」だけを書くと、何が起きるか

まず、よく見る書き方で何が起きているかを見ておきます。

最短は、条件が全部そろったときの数字

「最短○日」は、材料がある、図面が決まっている、日程が空いている、天気がいい、確認がすぐ返ってくる。こうした条件が全部そろったときの数字です。社内の人はそれを分かって書いています。

ところが、読む人にはその条件が見えていません。条件が書かれていなければ、「最短」という言葉は読み飛ばされ、数字だけが残ります。書いた側はいちばん良い場合のつもりで書いた数字が、読む側では標準になっているわけです。

約束として記憶される

ホームページに書いた日数は、約束として記憶されます。ふつうの日数で仕上げたのに、「サイトには3日と書いてあったのに」と言われる。仕事の出来とは関係なく、最初に見せた数字との差で起きる不満です。料金の下限だけを書く危うさは ホームページに料金を載せるか、載せないか でも書きました。日数でも、同じことが起きます。

書かないと、比べる段階で外れる

何社かを見比べている人は、日数が書いてある会社から先に連絡しがちです。書かないと比べる段階で外れ、最短だけを書くと商談の段階で崩れます。抜け道は、数字を1つではなく、目安と条件の組み合わせで書くことです。

3. ふつうの目安を、先に書く

最初に書くのは、最短ではなくふつうの目安です。

「ふつう」は、直近の案件から出す

ふつうの日数は、記憶ではなく記録から出してください。直近で受けた案件を10件ほど、受けた日と終わった日で並べます。見積書、作業日報、発送の控え、カレンダー。手元にあるもので構いません。

並べると、真ん中あたりに集まっている日数が、貴社のふつうです。両端の案件には、なぜ早かったか、なぜ遅かったかを1行ずつメモしておきます。そのメモが、次の節の「条件」になります。

記録がほとんど無い場合は、現場の担当者に「いつもだいたい何日か」を聞いて少し長めに書き、これからの案件で日数を記録し始めてください。

1つの数字より、幅で書く

目安は、1つの数字より幅で書くほうが、あとでもめません。

たとえば(架空の例です)「ご注文から発送まで、ふつうは5〜7営業日です」

幅があると、読む人は「早ければ5日、遅くても1週間ほど」と受け取ります。1つの数字だと、その日を過ぎた瞬間に遅れたことになります。

幅が広くなりすぎる場合は、仕事の種類ごとに分けて書くのが先です。

工程ごとに分けて書く

日数がかかる仕事ほど、「全部で何日」より工程ごとの日数のほうが伝わります。

  • お見積もりまで ― ご依頼から、金額をお出しするまで
  • 着手まで ― ご契約から、作業を始めるまで
  • 作業の日数 ― 実際に手を動かしている期間
  • お届け・お引き渡しまで ― 仕上がってから、お手元に届くまで

分けて書くと、どこで時間がかかるのかが読む人に見えます。それだけで、遅くなったときの納得の度合いが変わります。

「日」か「営業日」かを、はっきり書く

細かいようですが、土日祝を数えるかどうかは書いてください。「5日」と「5営業日」では、間に週末が入ると違ってきます。営業日で数えるなら、「営業日(土日祝・年末年始を除く)」のように、何を除くかまで書きます。

4. 早くなる条件と、遅くなる条件を分けて書く

ここがいちばん効くところです。目安の下に、日数が動く条件を並べます。

遅くなる条件

遅くなった案件のメモと照らすと、たいてい次のどれかに入ります。

  • 繁忙期 ― 依頼が重なる時期は、着手までの待ちが延びます。何月ごろかを書いておくと、読む人が自分の時期と照らせます
  • 部品や材料の取り寄せ ― 在庫が無いもの、特注のものは、届くまでの日数が加わります。仕入れ先の都合で動くことも一言添えます
  • 天候 ― 屋外の作業や、乾燥に時間がかかる作業は、雨や気温で日程がずれます
  • 確認の往復 ― 図面、色、原稿、仕様の確認が何度か行き来すると、そのたびに日数が延びます
  • 現地調査や打ち合わせの日程 ― 先に伺う必要がある仕事は、その日程が決まるまでが待ちになります

早くなる条件

同じ分量で、早くなる条件も書きます。遅くなる条件だけだと、言い訳を先に並べているように読まれます。

  • 在庫があるもの ― 取り寄せが要らないので、そのぶん早く着手できます
  • 図面や仕様が決まっている ― 確認の往復が少なくて済みます
  • 確認を一度でまとめて返していただける ― 窓口の方を1人に決めていただくと、往復が減ります
  • 日程をこちらに任せていただける ― 空いている日に組み込めるので、待ちが短くなります

早くなる条件を書くと、読む人が自分で早くする方法を見つけます。「図面はもう決まっています」と書いて連絡してくる人が出てきます。

「最短」は、条件と一緒に書く

最短の日数を書きたい場合は、書いて構いません。ただし、最短になる条件と、同じ行に書きます。

たとえば(架空の例です)「在庫のある部品で、平日の午前中にご注文いただいた場合は、最短で翌営業日に発送します」

こう書けば、最短はふつうではなく、条件つきの例外として読まれます。下の表に、書き分けの例をまとめました。

表:日数の書き方を、目安と条件に分ける(日数はすべて架空の例です)
書くこと書き方の例読む人が分かること
ふつうの目安たとえば「ご注文から発送まで、ふつうは5〜7営業日です」自分の案件がだいたい何日か。幅があるので、1日過ぎただけで遅れにならない
いつから数えるかたとえば「日数は、お支払いを確認した日の翌営業日から数えます」自分が何をすれば時計が動き出すか
遅くなる条件たとえば「取り寄せの部品は、届くまでの日数が加わります」「屋外の作業は、雨の日は延期します」自分が当てはまるか。当てはまる人は延びる前提で連絡してくる
早くなる条件たとえば「図面が決まっている場合は、確認の分だけ早まります」自分で早くする方法。段取りの話が先に進む
最短たとえば「在庫品を平日の午前中にご注文の場合、最短で翌営業日に発送」最短は条件つきの例外だと分かる。条件なしで書くと、これがふつうに見える

上から順に、サービスのページの「日数」の欄にそのまま並べられる形にしてあります。最短だけを書くのをやめ、ふつうの目安を先に、条件を後ろに置くのが要点です。日数そのものは、貴社の記録から出してください。

条件は、思いつくだけ並べると読まれません。記録で何度も出てきた理由を3〜5つ残し、めったに起きないことは、起きたときに個別にお伝えすれば足ります。

5. いつから数えるかを書く

日数を書いても、いつから数えるのかが抜けていると、読む人と貴社とで数え方がずれます。ここは見落とされやすいところです。

起点になりうる日は、いくつもある

読む人はたいてい自分が連絡した日から数えます。一方、社内では別の日から数えていることがよくあります。

  • ご注文日 ― フォームや電話で注文を受けた日
  • ご入金を確認した日 ― 前払いの場合。振込の日と確認の日がずれることがあります
  • 図面や仕様が確定した日 ― 製作や工事。確認の往復が終わった日です
  • 現地調査の日 ― 伺って、寸法や状態を確かめた日
  • 材料が届いた日 ― 取り寄せが要る仕事

どの日から数えているかを1行書くだけで、「もう1週間たったのに」という行き違いは減ります。

図:日数を「どこから数えるか」を、ご依頼から順に並べる(流れはたとえばの例です)
① ご依頼・お問い合わせ

読む人の多くは、ここから数えています。まだ金額も仕様も決まっていません。

ここから数えると思われていることを、社内は前提にしておく
▼
② お見積もり・ご注文

金額と内容が決まり、正式に注文を受けた日です。

起点の候補:ご注文日
▼
③ ご入金・図面や仕様の確定

前払いなら入金の確認、製作や工事なら図面の確定です。確認の往復が多いほど、ここまでが延びます。

起点の候補:ご入金を確認した日/図面が確定した日
▼
④ 着手・作業

材料がそろい、手を動かす期間です。天候や取り寄せで動くのは主にここです。

▼
⑤ 発送・お引き渡し

発送した日か、お手元に届く日か、お引き渡しの日か。終わりの日も決めておきます。

終わりの日も一言:「発送まで」か「お届けまで」か

読む人が数え始めるのは①、社内が数え始めるのは②か③であることが多いです。この差を、サイトの一行で埋めておくのが目的です。起点を決めたら、サイト、見積書、自動返信で同じ書き方にそろえます。

終わりの日も、決めて書く

起点と同じくらいずれやすいのが終わりの日です。「5日で発送」と「5日でお届け」は、配送の日数ぶん違います。読む人が知りたいのは、たいてい「いつ手元に届くか」です。社内の数え方が発送日までなら、お届けまでの日数は地域によって加わることを添えてください。

年末年始やお盆の休みをまたぐ時期は、「○月○日以降のご注文は、○月○日以降の発送になります」のように、日付で書くのがいちばん伝わります。

通信販売の形で受けている場合は、お届けの時期の表示について決まりがあることがあります。業種や売り方によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。

6. 「お急ぎの方はご相談を」の置き方

何を相談できるのかを書く

「お急ぎの方はご相談ください」とだけでは、相談したら何が起きるのかが分かりません。書くのは、相談したあとの動きです。

たとえば「ご希望の日付がある方は、お問い合わせの際にお書きください。間に合うかどうかを、先にお返事します」

間に合わない場合も、早く分かれば他を当たれます。早く断ることも、急いでいる人への親切です。急ぎの対応に追加の費用がかかるなら、それも書きます。金額が決まっていなければ「日程を組み替えるため、別途お見積もりになります」で構いません。

置く場所は、目安のすぐ下

急ぎの案内は、日数の目安のすぐ下に置きます。目安を読んで「間に合わない」と思った人が、その場で次の行動を見つけられるようにするためです。サービスのページの中で日数をどの位置に書くかは、サービス紹介のページは、どの順番で書けばいいか の順番に沿うと迷いません。

フォームに「ご希望の日付」の欄を足す

急ぎの相談を受けるなら、問い合わせや見積もりのフォームにご希望の日付の欄を1つ足してください。

  • ご希望の日付 ― 「○月○日まで」「時期は相談したい」「特になし」を選べるように
  • その日付の理由 ― 任意で。行事、引っ越し、開店日など

理由の欄は、思った以上に役に立ちます。「開店日に間に合わせたい」と分かれば、先に必要な分だけ仕上げる提案ができます。見積もりのフォームに何をどこまで聞くかは、見積もり依頼のフォームは、何をどこまで聞けばいいか にまとめてあります。

「即日対応」「当日伺います」と書く場合は、受付の締め時刻と、対応できる範囲を同じ行に書いてください。締め時刻が無いと夕方に連絡した人も、範囲が無いと遠い地域の人も、当日を期待します。

7. 書く場所をそろえ、繁忙期に書き換える

日数が書かれている場所

まず、今のサイトとその周りで、日数が書かれている場所を書き出してください。

  • サービスのページ ― 目安と条件の本体
  • 料金のページ ― 急ぎの費用や、時期で変わる条件
  • よくある質問 ― 「どのくらいかかりますか」の答え
  • 見積もり・問い合わせのフォーム ― ご希望の日付の欄の近く
  • 自動返信のメール ― 「○日以内にご連絡します」の一文
  • 見積書やチラシ、PDFの案内 ― サイトの外に残りやすい

よくある質問に「何日かかりますか」があるなら、答えはサービスのページと同じ文にしてください。2か所で日数が違うと、読む人は短いほうを信じます。よくある質問の作り方は 「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる に書きました。

正本を1か所に決める

日数の正本を1か所に決め、ほかの場所はそこと同じ文を写します。書き出した場所は1枚の表にして残し、日数を変えるときはその表を上から順に直します。

繁忙期は、目安の数字だけを差し替える

忙しい時期は、ふつうの目安が合わなくなります。ページ全体を書き直す必要はありません。目安の数字と、日付だけを差し替えます。

たとえば(架空の例です)「○月○日時点:ご依頼が重なっているため、ご注文から発送まで、ただいま10〜14営業日ほどいただいています」

日付の無い「ただいま混み合っています」は、季節が過ぎても残りがちで、閑散期の問い合わせまで遠ざけます。

受付状況の段階をどう出すか(受付中、混み合っている、受付を止めている、など)は、季節で忙しさが変わる商売の、ホームページの回し方 に段階ごとの文面をまとめてあります。こちらの記事では、その中の日数の数字を、記録に合わせて書き換えるところだけを押さえておいてください。

戻すのを忘れない

差し替えた目安は、忙しい時期が終わったらふつうの目安に戻します。延ばしたまま残すと、早く対応できる時期に「そんなにかかるなら」と離れる人が出ます。戻す日を、差し替えた日にカレンダーへ入れておき、自動返信の一文も同じ日に戻します。

目安を書いても、遅れることはあります。遅れそうだと分かった時点で、新しい見込みの日と理由を1行で伝える。誰が連絡するかを決めておくだけで、不満は小さくなります。そして年に一度、第3節と同じ手順で、書いた目安が今の記録と合っているかを見比べてください。

8. 雄喜晃の伴走:日数の一行を、記録から一緒に書きます

私たち雄喜晃は、サービスのページを作るとき、日数の欄を「最短○日」の一行で埋めることはしません。直近の案件の記録を見せていただき、ふつうの目安と、日数が動く条件を一緒に言葉にするところから始めます。

私たちがやること

  • ふつうの目安を、記録から一緒に出す ― 見積書や日報など、手元にあるものから日数を並べます
  • 早くなる条件と遅くなる条件を、言葉にする ― 遅くなった案件のメモから絞って書きます
  • いつから数えるかを、サイトと自動返信でそろえる ― 起点と終わりの日を決め、同じ書き方にします
  • フォームに「ご希望の日付」の欄を足す ― 急ぎの相談を、最初の返信で受け止められる形にします
  • 繁忙期の差し替えと、戻しを引き受ける ― ご連絡いただいた日数に、正本と写しをまとめて直します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、繁忙期の目安の差し替えと、終わったあとの戻しも、この回数の中で回せます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 貴社の納期そのものを決めることはしません。何日で受けるかは、現場と経営の判断です。私たちは、決まった日数を読む人に伝わる形で書くところを担当します
  • 守れない短い日数を、目立たせるために書くことはしません。最短を書く場合は、条件と同じ行に置きます
  • 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません。日数を整えるのは、来た人が迷わず判断できるようにするためです

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「最短の日数を書いたら、それが普通だと思われて困っている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:一番短い数字ではなく、ふつうの目安と条件を書く

納期や「何日かかるか」をホームページに書くときに、押さえることは5つです。

  • ふつうの目安を先に書く ― 直近の案件を並べ、真ん中あたりの日数を幅で書く
  • 早くなる条件と遅くなる条件を分けて書く ― 繁忙期、取り寄せ、天候、確認の往復。早くなる条件も同じ分量で
  • いつから数えるかを書く ― 注文日か、入金日か、図面確定日か。終わりの日も「発送」か「お届け」かまで
  • 急ぎの案内は、目安のすぐ下に置く ― 相談したら何が起きるかを書き、フォームに「ご希望の日付」を足す
  • 繁忙期は数字と日付だけを差し替え、終わったら戻す ― 正本を1か所に決めておく

「最短○日」は、書いた側にとってはいちばん良い場合で、読む側にとっては標準です。このずれを、一行の書き方で埋めておくだけで、商談の最初の空気が変わります。

まず、今日できること

直近で受けた案件を10件、受けた日と終わった日で並べてみてください。早かった案件と遅かった案件に、理由を1行ずつ書き添えます。その表が、そのまま日数の欄の中身になります。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の日数の一行を、記録から書き直すところからご一緒します。