1. 「仕様は、聞いてもらえれば答えるんですが」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「うちの製品は種類が多いし、寸法も細かいんです。全部載せたら読めないでしょうし、変わるたびに直すのも大変で。仕様は問い合わせてもらえれば、すぐに答えるんですけどね」
お気持ちはよく分かります。部品、資材、設備、機器。BtoBの製品は、型番も寸法の組み合わせも多く、全部をページにするのは現実的ではありません。
ただ、ここには落とし穴があります。仕様を探している人は、問い合わせる前に候補を絞っています。寸法や材質が書いていない会社は、聞いてもらう段階に進む前に、候補から外れていることが多いのです。
一方で、全部を載せれば済むわけでもありません。数字が並びすぎたページは読まれませんし、更新が追いつかずに古い数字が残ると、かえって信用を落とします。
この記事では、載せないことと、全部載せることの間をどう決めるかを、順に書きます。
この記事で書くこと
- 仕様を載せないと、何が起きるか
- まず載せる5つの項目
- スマートフォンでも読める表の作り方
- 型番ごとのページにするか、一覧にするか
- 図面やカタログを、PDFで添える方法
- 「記載以外もご相談ください」の置き方と、仕様が変わったときの直し方
2. 仕様を載せないと、比較の候補に入らない
探している人は、すでに条件を持っている
部品や資材を探している設計の担当者や購買の担当者は、たいてい条件を手に持った状態で検索しています。この寸法に収まるもの、この材質のもの、この数量で受けてくれるところ。
その人がサイトを開いて最初に確かめるのは、会社の理念ではなく、自分の条件に合うかどうかです。合うかどうかが分からないサイトは、後回しにされます。そして、後回しにされたまま、条件が書いてある別の会社と話が進みます。
「お問い合わせください」は、候補を外れる理由になる
「詳しい仕様はお問い合わせください」とだけ書いてあると、探している人には手間が一つ増えます。問い合わせて、返事を待って、ようやく合うかどうかが分かる。候補が何社もあるとき、この手間は後回しにされる理由になります。
これは、料金を載せないときに起きることとよく似ています。比べる段階で落ちた会社は、落ちたことに気づけません。問い合わせが来なかった、という事実だけが残ります。
社内で回す資料としても使われる
BtoBの製品は、見つけた担当者が一人で決めることはあまりありません。上司や、設計、品質の担当に「こういう会社がある」と回します。そのとき、ページのURLを送れば仕様が伝わる状態になっていると、社内の説明が楽になります。
下請けの仕事が中心の会社でも、取引先の担当者がホームページを社内の説明に使う場面があります。その話は 下請けの仕事が中心の会社に、ホームページは効くのか にまとめました。
全部載せると、読めない・追いつかない
では全部載せればいいかというと、そうでもありません。型番ごとの細かい数字を全部並べると、読む人は自分に要る数字を探せなくなります。そして、製品の改良や仕入れ先の変更のたびに、何十か所も直すことになります。
直しが追いつかずに古い数字が残ると、問い合わせのあとに「サイトと違う」と言われます。載せないより、こちらのほうが信用を損ねることもあります。
3. まず載せる5つの項目
全部ではなく、候補に入れるかどうかを判断するのに要る項目から載せます。目安は、次の5つです。
用途:何に使うものか
最初に書くのは、何に使う製品かです。型番や製品名だけでは、探している人は自分の用途に合うかを判断できません。
用途は、業界の言葉と、使う人の言葉の両方で書くと届きやすくなります。たとえば専門用語の製品名に、「〇〇の固定に使う部品です」のような一文を添える。言葉の選び方は 専門用語の多い仕事を、ホームページでどう説明するか に書いたとおりで、専門用語は消さずに、言い換えを添えるのが基本です。
主な寸法:比べるときに見る数字だけ
寸法は、相手が条件として持っている数字から載せます。部品なら外径や長さ、資材なら厚みや幅、機器なら設置に要る大きさと重さ。細かい公差や、全部の部位の寸法は、図面に任せて構いません。
数字には、単位を添えてください。読む人が単位を取り違えると、合わないものを合うと思い込んでしまいます。
材質:何でできているか
材質は、用途と並んで条件になりやすい項目です。選べる材質がいくつかあるなら、一覧で書きます。表面の処理や色の選択肢があるなら、それも並べておきます。
対応できる範囲:どこまでなら受けられるか
標準品の数字だけでなく、寸法や材質をどこまで変えられるかを書きます。「長さは〇mmから〇mmまで、ご指定の寸法で作れます」のような書き方です。
この項目があると、標準品が合わなかった人も、候補から外れずに残ります。むしろ、受注生産や加工の会社では、標準品の数字よりこちらのほうが大事なこともあります。
ロット:いくつから受けられるか
最後に、最小の数量と、まとまった数量への対応を書きます。1個から受けられるのか、最小ロットがあるのか。BtoBの問い合わせで、早い段階で聞かれやすいことの一つです。
ここが書いていないと、少量で頼みたい人は「どうせ無理だろう」と問い合わせを諦めます。大量に頼みたい人は、「この会社で量を受けられるのか」と迷います。
載せなくていいもの
一方で、次のものは最初から載せなくて構いません。
- 細かい公差や全部位の寸法 ― 図面のPDFに任せます
- 社内でしか使わない品番やコード ― 読む人には意味がありません
- 取引先ごとに違う条件 ― 個別の見積もりの中で伝えます
4. 表の作り方:スマートフォンでも読めるように
仕様は、文章より表のほうが読みやすくなります。ただし、表の作り方を間違えると、スマートフォンで崩れて読めなくなります。
列は、比べる項目だけにする
表の列は、第3章の5つのうち、型番ごとに違うものだけにします。全部の型番で同じ値の項目は、表の外に一行で書けば足ります。列が多いほど、スマートフォンでは読めなくなるからです。
単位は見出しに、数字の書き方はそろえる
「外径(mm)」のように、単位は列の見出しに入れて、中の数字は数字だけにします。同じ表の中で、小数点の桁や、範囲の書き方(「〜」か「から」か)がばらばらだと、読む人が迷います。書き方を一つに決めてください。
スマートフォンでは、型番ごとに縦に並べる
横に長い表は、スマートフォンの幅では収まりません。横に動かして読ませる作りもありますが、どの列を見ているか分からなくなりがちです。スマートフォンでは、型番ごとに項目を縦に並べる形に切り替わるようにしておくと読みやすくなります。下の表は、その形を前提にした例です。
| 型番 | 主な用途 | 外径×長さ(mm) | 材質 | 最小ロット |
|---|---|---|---|---|
| たとえば A-10 | 配管の固定 | 10×40 | ステンレス/真鍮 | 100個から |
| たとえば A-20 | 配管の固定(屋外向け) | 20×60 | ステンレス | 100個から |
| たとえば B-15 | 治具の位置決め | 15×30 | 鉄(表面処理あり) | 1個から |
| 特注 | ご相談ください | たとえば外径5〜50の範囲でご指定 | 上記のほか、ご相談 | 1個から試作可 |
列は、型番ごとに違う項目だけにしています。単位は見出しに入れ、数字は数字だけ。最後の行に「特注で受けられる範囲」を置くと、標準品が合わない人も候補から外れません。数字はすべて説明のための架空の例です。
表を画像にしない
仕様表を画像で作って貼ると、スマートフォンでは拡大しないと読めず、検索エンジンにも中身が伝わりにくくなります。数字の一つを直すにも、画像を作り直すことになります。表は、ページの文字で作ってください。
なお、自社の製品同士を比べる表と、他社と比べる表は、考え方が違います。他社と比べる表を作りたくなったときは、ホームページに「比較表」を載せるかどうか を先に読んでいただくと、避けたほうがいい理由が分かると思います。
5. 型番ごとのページにするか、一覧にするか
表ができたら、次はページの分け方です。型番の数と、どう探されるかで決めます。
型番が少ないなら、一覧の1ページで足りる
型番が少なく、表1つに収まるなら、一覧の表を載せた1ページで足ります。読む人は、表を上から見て、合う型番を探せます。ページを分けると、行ったり来たりさせるだけになります。
型番で検索される製品は、型番ごとのページにする
取引先が型番で検索してくる製品や、1つの型番に書くことが多い製品は、型番ごとにページを分けるほうが合います。型番ごとのページなら、用途の説明、寸法の詳しい表、図面のPDF、使われている場面の写真を、そのページにまとめられます。
その場合も、一覧のページは残してください。一覧から型番のページへ、型番のページから一覧へ。両方向にたどれるようにしておきます。
間をとって、シリーズごとのページにする
型番が多いけれど、型番ごとのページを全部作るのは重い。そういう場合は、シリーズや用途ごとにページを分けて、その中に表を置く形が収まりやすくなります。
分け方は、用途で分けるか、形状で分けるか、材質で分けるか。一つの基準に決めて、混ぜないことが大事です。分け方の考え方は 扱う商品やサービスが多い会社の、載せ方 にまとめています。
たとえば、用途の近い部品が数点だけの会社。表を上から見れば合う型番が探せるので、ページを分けると行き来が増えるだけです。
たとえば、同じ形で寸法違いが並ぶ資材の会社。用途や形状でページを分け、その中に表を置きます。分ける基準は1つに決めます。
たとえば、設置の条件や図面が型番ごとに違う機器の会社。用途、詳しい表、図面のPDF、相談の案内を、そのページにまとめます。
どの形でも、一覧のページは残し、一覧と個別のページを両方向にたどれるようにしておきます。最初は①や②で始めて、よく聞かれる型番から③に分けていく進め方もあります。
一覧から、型番のページへのつなぎ方
一覧の表から型番のページへ送るときは、型番そのものをリンクにするのが分かりやすい形です。「詳しくはこちら」のボタンを行ごとに並べるより、表がすっきりします。型番のページの上部には、「〇〇シリーズの一覧へ戻る」を置いておきます。検索から型番のページに直接来た人も、ほかの型番と比べられるようになります。
6. 図面やカタログは、PDFで添える
ページには、比べるのに要る数字を載せます。細かい寸法や公差は、図面やカタログのPDFに任せます。読むものはページに、持ち帰るものはPDFにという分け方です。
PDFだけにしない
仕様をPDFのカタログにだけ載せて、ページには「カタログをご覧ください」と書く。よく見かける形ですが、スマートフォンでは拡大しないと読めず、検索でも中身が拾われにくくなります。
第3章の5つの項目は、ページの文字で書いてください。PDFは、その先の細かい情報を確かめたい人のための添え物です。PDFのままになっている情報をページに起こす手順は 料金表やお知らせを、PDFのままホームページに載せている に書きました。
リンクの文字に、何のファイルかを書く
PDFへのリンクは、「こちら」ではなく、何の資料で、いつ時点のものかが分かるように書きます。たとえば「A-10シリーズ 外形図(PDF・〇年〇月版)」。開く前に中身が分かれば、要らない人は開かずに済みます。
図面のデータを置くか、渡すか
設計の担当者からは、PDFではなく図面のデータそのものを求められることがあります。誰でも取れるように置くか、申し込みのあとに渡すかは、貴社の方針で決めてください。
社外に出したくない図面なら、フォームから申し込んでもらってから渡す形が合います。資料を入力のあとに渡すか、そのまま渡すかの判断は 会社案内やカタログを、ホームページからダウンロードできるようにするか にまとめてあります。
7. 「記載以外もご相談ください」の置き方と、仕様が変わったときの直し方
一文だけ置くと、何も伝わらない
仕様表の下に「記載以外もご相談ください」とだけ書いてあるページは多いです。気持ちは伝わりますが、何をどこまで相談できるのかが分からないので、読む人は動けません。
一文で済ませず、相談できることを具体的に書きます。
- 寸法 ― たとえば「表にない長さも、〇mmの範囲でご指定いただけます」
- 材質 ― たとえば「表にない材質は、材料の手配ができればお受けします」
- 数量 ― たとえば「試作の1個から、継続のご発注まで対応します」
- 受けられないこと ― たとえば「〇〇の加工は、当社では行っていません」
最後の項目が大事です。受けられないことも書いてあると、残りの「相談できます」が信じてもらえます。
置く場所は、表のすぐ下と、問い合わせの前
この相談の案内は、仕様表のすぐ下に置きます。表を見て「合うものがない」と思った人が、その場で次の道を見つけられるからです。問い合わせのボタンの直前にも、短く繰り返しておきます。フォームでは、型番や寸法を書く欄を用意しておくと、最初の返信で話が進みます。
仕様が変わったときに、直す場所を洗い出す
仕様を載せると、改良や仕入れ先の変更のたびに直すことになります。ここで取りこぼしが出やすいのは、数字がいくつもの場所に書かれているからです。
- 一覧の表 ― 一覧のページと、シリーズごとのページ
- 型番のページ ― 表だけでなく、説明の文章の中の数字も
- PDF ― 図面やカタログ。古い版が別の名前で残っていないか
- 記事やお知らせ ― 製品を紹介した本文の中。ここがいちばん残ります
- 紙のもの ― 紙のカタログ、展示会の資料
仕様を書いた場所を1枚の表にまとめておくと、変わったときにそれを見て直せます。数字は、できるだけ一か所にまとめて書くことも効きます。記事の本文では型番のページへリンクするだけにして、数字を書き写さない。こうしておくと、直す場所が減ります。
「いつ時点の仕様か」を書く
表の近くに、最終の更新日を書いておきます。読む人は、その数字がいつ時点のものかを確かめられます。PDFの表紙や隅にも、版の日付を入れておきます。
廃番は、ページを消さずに後継品へ案内する
製品をやめたときに、ページをすぐ消すと、型番で検索してきた人や、昔のリンクから来た人が行き止まりになります。「この型番は〇年〇月で販売を終えました。後継品はこちらです」と書いて、しばらく残しておくほうが親切です。後継品がないなら、相談の窓口へ案内します。やめた製品のページの段取りは、販売や提供をやめた商品・サービスのページを、どうするか にまとめました。
誰が直すかを決めておく
最後に、直す人を決めます。仕様を一番よく知っているのは、製造や品質の担当です。仕様が変わったら、誰がホームページの担当に知らせるか。この連絡の流れが決まっていないと、サイトだけが古いまま残ります。
8. 雄喜晃の伴走:載せる項目を決めて、表に起こすところまで
私たちがやること
私たち雄喜晃は、製品の仕様をホームページに載せるとき、まず取引先からよく聞かれることを伺うところから始めます。何の寸法を聞かれるか、ロットは聞かれるか、どこで比べられているか。そこから、載せる項目と、表の列を一緒に決めます。
決まった項目を、スマートフォンでも縦に読める表に起こします。一覧のページにするか、型番やシリーズごとのページにするかも、型番の数と探され方を伺って決めます。図面やカタログのPDFは、リンクの書き方と版の日付を整えて添えます。製品の写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、仕様が変わったときの表の書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
製品の仕様や数値を、こちらで決めたり、推測で埋めたりすることはしません。載せる数字は、貴社の図面やカタログ、担当の方の確認をもとにします。分からない数字は、分からないまま空けてご確認をお願いします。
他社の製品と比べる表を作ることもしません。問い合わせの件数や、検索の順位をお約束することもいたしません。
「仕様は聞かれれば答えるが、サイトには何も書いていない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
9. まとめ:比べるのに要る数字を、直せる形で載せる
製品の仕様や寸法をホームページに載せるときに押さえることは、5つです。
- 載せないと、比べる段階で候補から外れる ― 探している人は、条件を持ってサイトを開いている
- まず載せるのは5つ ― 用途・主な寸法・材質・対応できる範囲・ロット。細かい公差は図面に任せる
- 表は、比べる列だけで、スマートフォンでは縦に ― 単位は見出しに。表を画像にしない
- 型番の数と探され方で、ページを分ける ― 少なければ一覧、型番で探されるなら型番ごと、間ならシリーズごと
- 相談できる範囲を具体的に書き、直す場所を決めておく ― 更新日を書き、廃番は後継品へ案内する
仕様を載せる目的は、全部を見せることではありません。探している人が、自分の条件に合うかどうかを、問い合わせる前に判断できるようにすることです。
まず、今日できること
直近で取引先から受けた問い合わせを、3件ほど思い出してみてください。最初に何の数字を聞かれたかを書き出すと、それがそのまま、表の列に入れるべき項目です。