1. 「お酒はどこでも買えるのに、うちのサイトに何を書けばいいのか」
地域で酒屋を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「お酒はスーパーでもネットでも買える時代なので、ホームページに何を書けばいいのか分からなくて。お店の住所と電話番号は載せているんですが。飲食店さんへの配達が売上の柱なのに、そっちのことは何も書いていないんです」
確かに、同じ銘柄なら、ほかでも買えることがあります。ただ、地域の酒屋がお客様から選ばれている理由は、品物そのものより、選んでくれる人と、届けてくれる仕組みにあることが多いと思います。何を仕入れるかを決める目、料理や好みに合わせて勧める言葉、決まった曜日に店まで届ける段取り。
これは、店頭やお得意様とのやり取りの中では伝わっています。ところが、まだ取引のない人には、サイトに書いていなければ伝わりません。
この記事で書くこと
- 店頭のお客様、飲食店、贈り物を探す人の3つの入口
- 扱う酒の選び方と、店の人の目利きの伝え方
- 店の人のおすすめの書き方
- 飲食店向けの配達の地域・頻度・注文の締め切り
- 贈答品の包装と配送
- 試飲会などの催しの告知と、お酒ならではの決まりの考え方
2. 3つの入口を分ける
見に来る人で、確かめることが違う
酒屋のサイトを見に来る人は、大きく3つに分かれます。
- 店頭で買う人 ― 今日開いているか、どんな酒を置いているか、相談に乗ってもらえるか
- 飲食店の人 ― 配達してもらえる地域か、どのくらいの頻度で、何時までに頼めばいいか、支払いはどうするか
- 贈り物を探す人 ― のしや包装に対応しているか、遠くへ送れるか、予算に合うものがあるか
飲食店の人は、仕入れ先として長く付き合えるかを見ています。店頭のお客様とは、確かめることがまったく違います。同じページに混ぜて書くと、どちらにとっても読みにくくなります。
トップには、入口を並べる
トップページの最初のあたりに、「店頭のご案内」「飲食店さまへ」「贈り物・お届け」のような入口を並べます。自分がどれに当たるかを選べば、そのまま必要なページに入れます。
個人のお客様と法人のお客様の両方を相手にするサイトの組み方は、個人のお客様と法人のお客様、両方を相手にする会社のホームページ にまとめました。酒屋は、その典型のような商売です。
3. 扱う酒の選び方と、目利きを伝える
銘柄を並べるより、選び方を書く
酒屋のサイトで、扱っている銘柄をずらりと並べているのを見かけます。ただ、品ぞろえは入荷や季節で入れ替わります。全部を最新に保つのは、小さなお店には難しいはずです。サイトに書くのは、銘柄の一覧より先に、どういう考えで選んでいるかです。
- どこの酒を多く扱っているか ― 地元の酒蔵の酒、ある地域の酒、小さな蔵の酒など
- どうやって選んでいるか ― 自分で飲んで決めているか、蔵の人と話して決めているか
- どう保管しているか ― 冷蔵で保管する酒の扱い、光や温度への気配り
- どの種類を扱うか ― 日本酒、焼酎、ワイン、ビール、果実酒など。得意な分野
この4つが書いてあれば、銘柄の名前を知らない人でも、どんな店なのかが分かります。お酒に詳しい人は、選び方を読んで、自分と好みが合いそうかを判断します。
地酒の取り扱いは、蔵との関わりを書く
地元の酒蔵の酒を扱っているなら、それは地域の酒屋ならではの強みです。どの地域の蔵の酒を、どんな関わり方で扱っているかを書きます。蔵へ足を運んでいる、季節ごとに蔵の人と話している、地元でしか出回らない酒を置いている。貴社の事実を、そのまま書いてください。
酒蔵の名前を出すときは、相手の了解を取ってからにします。蔵の写真や説明を載せる場合も同じです。
季節の酒は、例年の時期を書く
新酒の時期、夏向けの酒、秋に出回る酒。季節ごとに入ってくる酒があると思います。例年いつごろ入ってくるかを書いておくと、それを待っている人が予定を立てられます。
「秋の酒は、例年〇月ごろから順に入荷します。数に限りがあるものは、お取り置きも承ります」
入荷の時期は年によって前後します。「その年の様子を見てお知らせします」と一行添えておけば、目安として読まれます。
在庫は、確かめ方を書く
「在庫は日々変わります」とだけ書いて終わると、読む人は電話していいのかどうかが分かりません。「お目当ての酒がある方は、お電話でお確かめください。お取り置きもできます」のように、確かめ方と、取り置きができるかを書きます。
4. 店の人のおすすめの書き方
「辛口でおすすめ」だけでは、伝わらない
酒屋のサイトで、いちばん読まれるのは店の人のおすすめだと思います。ただ、「辛口ですっきり、おすすめです」のような一行だけでは、ほかの酒と見分けがつきません。読む人が知りたいのは、自分に合うかどうかです。
嘘ではありませんが、どの酒にも当てはまります。読む人は、ほかの酒と比べる材料を受け取れません。
たとえば「香りは控えめで、冷やしても燗にしても味が崩れにくい酒です。冷蔵庫から出して少し置いたくらいが、いちばん好きです」。
たとえば「煮魚や、甘めの味付けの家庭料理に合わせやすいです」。料理の名前があると、食卓の場面が浮かびます。
たとえば「日本酒を飲み始めたばかりの方や、香りの強い酒が苦手な方に」。自分のことだと思った人が、手に取ります。
3つの言葉のうち、いちばん効くのは「どんな方に」です。味の言葉は人によって受け取り方が違いますが、「こういう方に」は読む人が自分に当てはめられます。値段の帯も、あわせて書いておいてください。
書いた人の名前を添える
おすすめの文には、書いた人の名前を添えます。「店主より」「〇〇(店の人の名前)が選びました」。誰が勧めているかが分かると、言葉に重みが出ます。何度か読むうちに、「この人の勧める酒なら」と思ってもらえるようになります。
店の人の紹介も、短くていいので載せておきます。どんなお酒が好きか、どんな相談なら得意か。紹介のページを作るかどうかの考え方は 社員紹介ページは、本当に要るのか にまとめました。
おすすめは、入れ替える前提で書く
おすすめの酒は、季節や入荷で替わります。おすすめの欄は数本に絞り、入れ替える時期を決めておきます。売り切れて手に入らない酒が、何ヶ月もおすすめに残っているのは困ります。入れ替えたら、前のおすすめは「これまでのおすすめ」として残しておく方法もあります。店の人の好みの記録になります。
体に良い、のような書き方は避ける
おすすめを書くときに、健康への効き目をうたう書き方は避けてください。お酒について何をどこまで書いてよいかは、表示や広告の決まりが関わる場合があります。気になる表現があるときは、所管の窓口や専門家に確認してください。業種によって書けないことがある、という話は 業種によっては、ホームページに書けないことがある に書きました。
5. 飲食店向けの配達を、条件で書く
飲食店の人は、条件で比べている
飲食店の人が酒屋を探すのは、店を開くとき、今の仕入れ先に不満があるとき、品ぞろえを変えたいときです。そのとき見ているのは、配達の条件です。「飲食店さまへの配達も承ります」の一行だけでは、自分の店が対象になるのかが分かりません。
| 項目 | たとえばの書き方 | 書いておく理由 |
|---|---|---|
| 配達の地域 | 「〇〇市と△△区。それ以外の地域はご相談ください」 | 市区町村の名前があると、自分の店が入るかすぐ分かる |
| 配達の頻度 | 「〇〇地区は月・木、△△地区は火・金に回っています」 | 曜日が決まっていると、仕入れの段取りを組みやすい |
| 注文の締め切り | 「配達日の前日〇時までのご注文で、翌日にお届けします」 | 締め切りが無いと、いつ頼めば間に合うかで迷う |
| 急ぎの注文 | 「営業中の急な不足は、お電話でご相談ください」 | 受けられるかどうかが、飲食店にとっては大きな分かれ目になる |
| 最低の注文 | 「1回〇本から、または〇,〇〇〇円から」 | 小さな店が頼んでいいかを判断できる |
| 支払い | 「月末締め、翌月〇日までにお振り込み」 | 締め日と期日が分かると、経理の確認がそこで済む |
| 空き瓶・容器 | 「配達のときに、空き瓶やケースをお引き取りします」 | 回収の有無で、店の裏の置き場所が変わる |
曜日や時刻、金額は、貴社の配達の回り方から決めてください。条件に合わない店からの問い合わせが減るのは、損ではありません。合う店は、条件を読んだうえで連絡してきます。
お酒の品書き作りの相談を受けるか
飲食店の人が酒屋に期待していることの1つに、店で出すお酒の選び方の相談があります。料理に合う酒を一緒に選んでくれる、季節ごとに入れ替えを提案してくれる、品書きに載せる説明の言葉を出してくれる。こうした相談を受けているなら、配達の条件と並べて書いておきます。値段だけで仕入れ先を決めない飲食店にとって、ここが決め手になることがあります。
取引を始める流れを書く
最後に、取引を始めるまでの流れを書きます。まず連絡をもらう、店に伺って話を聞く、扱う酒と配達の曜日を決める、初回の配達。何を準備しておけば話が早いかも書いておくと、担当の人は確かめてから連絡してきます。店の業態、席の数、今扱っている酒の種類、配達してほしい曜日。これが分かれば話が始められる、と書いておきます。
6. 贈答品の包装と、配送
包装は、選べるものと料金を並べる
酒屋は、贈り物を探す人がよく使うお店です。お中元やお歳暮、お祝い、手土産、父の日。選べる包装と、料金がかかるかどうかを並べておきます。
- 箱と包装 ― 化粧箱、包装紙、手提げ袋。それぞれ有料か無料か
- のし ― 付けられるか、表書きはどこまで対応するか、名入れはできるか
- 詰め合わせ ― 何本入りの箱があるか、組み合わせを選べるか
- メッセージ ― カードを付けられるか
- 予算の相談 ― 「〇,〇〇〇円くらいで」と伝えてもらえば選ぶことを書く
贈り物に慣れていない人ほど、のしの書き方や、何を選べばいいかで迷っています。「迷ったら、予算と贈る相手を教えてください」と書いておくと、相談のきっかけになります。
配送は、送れる地域と温度を書く
遠くへ送る場合は、次のことを書きます。
- 送れる地域 ― 国内のどこまで送れるか。送れない地域があるか
- 温度 ― 冷蔵で送る必要がある酒の扱い。冷蔵で送る場合の追加の料金
- 送料 ― 「どこへ・何本・いくら以上」で書く
- 届くまでの日数 ― 日付の指定ができるか。繁忙期は日数が延びること
- 割れたとき ― 届いたときに瓶が割れていた場合の連絡先と扱い
送料や返品の書き方の全体は、送料や返品の決まりを、ホームページにどう書くか にまとめてあります。
繁忙期の受付は、締め切りを書く
お中元やお歳暮、年末年始の時期は、注文が集まります。受付の始まりと締め切り、届け日の指定ができる最後の日を、その時期だけの案内として出します。時期が過ぎたら、案内を下げてふだんの表示に戻します。
ネットで注文を受けるかどうか
サイトから注文と支払いまで受けるかどうかは、慎重に決めてください。手間が増えるだけでなく、お酒の通信販売には、店頭での販売とは別の決まりや手続きが関わる場合があります。何が必要かは、扱う酒や売り方によって違うので、所管の税務署などの窓口や専門家に確認してください。
注文はお電話や店頭で受け、サイトには贈り物の案内だけを載せる、という形もあります。ネットショップを付けるかどうかの考え方は、ホームページに、ネットショップを付けるかどうか に書きました。
7. 試飲会などの催しと、お酒ならではの決まり
試飲会は、告知のページを1つ作る
試飲会、蔵の人を招いた会、季節の酒を飲み比べる会。催しをしているなら、1回ごとに告知のページを作り、終わったら記録として残す形が使いやすいです。
- 日時と場所 ― 店内か、別の会場か。途中から参加できるか
- 参加費と内容 ― 何種類くらいを試せるか、料理やおつまみが付くか
- 定員と申し込み ― 予約が要るか、当日参加できるか、締め切り
- 来るときのお願い ― 車やバイク、自転車での来場はご遠慮ください、の一行
- 年齢 ― 20歳未満の方は参加できないこと。年齢の確認をお願いする場合があること
告知のページの作り方は、説明会・セミナー・見学会の告知ページを、どう作るか に書きました。終わった会の様子を写真と短い文で残しておくと、次の会の案内になります。参加した方が写っている写真は、載せる前に了解を取ってください。
20歳未満への配慮を、サイトにも書く
お酒を扱う以上、20歳未満の方にはお酒を販売しないことを、サイトにも書いておきます。店頭、配達、配送のそれぞれで、どう確かめているかを書いておくと、お店の姿勢が伝わります。
- 店頭 ― 年齢を確かめる場合があること
- 配達・配送 ― 受け取りの際に、年齢を確かめる場合があること
- 注文の入口 ― 電話やフォームで注文を受けるとき、年齢を確かめる項目を置くか
- 贈り物 ― 贈り先が20歳以上の方であることを確かめてもらう一言
表示の決まりは、窓口で確かめる
お酒の販売には、店頭やチラシ、サイトでの表示について、守るべき決まりがある場合があります。通信販売をするなら、さらに表示が求められることがあります。何が求められるかは、売り方や扱う酒によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。この記事では、どの決まりに何が書かれているかまでは扱いません。
サイトを作るときは、決まりを確かめた結果を、確かめた日と一緒に社内で控えておくと、次に直すときに迷わずに済みます。
8. 雄喜晃の伴走:店頭と配達と贈り物の答えを、分けて置きます
私たちがやること
私たち雄喜晃は、地域の酒屋のホームページを作るとき、最初に「お客様の種類ごとに、よく聞かれること」を伺うところから始めます。店頭のお客様、飲食店の人、贈り物を探す人。それぞれの質問が、それぞれのページの中身になります。
- 3つの入口を分けて、ページを組みます ― 店頭のご案内、飲食店さまへ、贈り物・お届け
- 扱う酒の選び方と目利きを、伺って文章にします ― 銘柄の一覧より先に、選び方と保管の考えを書きます
- おすすめの欄の形を一緒に決めます ― 味と飲み方、合う料理、どんな方に、の3つで書ける形にします
- 飲食店向けの配達の条件を、表にします ― 地域、曜日、締め切り、支払いを、実際の回り方から組みます
- 贈答品の包装と配送、試飲会の告知のページを作ります
- 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 店内や棚、催しの様子の写真を、明るさや大きさをそろえて配置します
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、おすすめの入れ替えや、試飲会の告知、お歳暮の受付の案内を出す・下げるといった直しも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
- お酒の値段や、扱う酒そのものは決めません。決まった内容を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
- 注文や支払い、在庫を管理する仕組みの開発はしていません
- お酒の販売や通信販売の表示が、決まりに合っているかの判断はしません。所管の窓口や専門家で確かめていただくようお願いしています
- 検索順位や取引の増加をお約束することもしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「飲食店への配達が商売の柱なのに、サイトにはそのことを何も書いていない」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:品物より先に、選ぶ人と届ける仕組みを書く
地域の酒屋のホームページで押さえることは、5つです。
- 3つの入口を分ける ― 店頭のお客様、飲食店の人、贈り物を探す人。確かめることが違います
- 銘柄の一覧より、選び方を書く ― どこの酒を、どう選び、どう保管しているか。季節の酒は例年の時期を
- おすすめは、味と料理と「どんな方に」で書く ― 書いた人の名前を添え、入れ替える前提で
- 飲食店への配達は、条件で書く ― 地域、曜日、締め切り、最低の注文、支払い
- 贈答と催しは、決まりと一緒に書く ― 20歳未満への配慮を書き、表示のことは所管の窓口や専門家に確認を
お酒そのものは、ほかでも買えることがあります。選んでくれる人と、届けてくれる仕組みは、貴社にしかありません。そこを書いておけば、まだ取引のない人にも、お店の値打ちが伝わります。
まず、今日できること
飲食店のお得意様の配達の曜日と、注文の締め切りを、紙に書き出してみてください。ふだんは頭の中にある決まりが、そのまま「飲食店さまへ」のページの中身になります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。店頭や配達先でいつも話していることを、まだ会っていない人に届く形にするところから、ご一緒します。