1. 「会社にしたんですが、サイトはまだ屋号のままで」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「去年、個人事業から会社にしたんです。登記や税金のことで手一杯で、ホームページはまだ屋号のまま。どこから直せばいいのか、正直よく分からなくて」

会社にする時期は、手続きが重なります。登記、銀行、税務署、取引先への連絡。ホームページは後回しになりやすく、気づくと何ヶ月も個人のころの表記のまま、ということは珍しくありません。

ただ、ホームページは取引先やお客様が「この相手は誰か」を確かめに来る場所です。請求書には新しい社名が書いてあるのに、サイトは屋号のまま。振込先が変わったのに、サイトの案内は前の口座のまま。こうしたずれは、相手の確認の手間を増やします。

この記事で書くこと、書かないこと

この記事では、個人事業から会社にしたときに、ホームページとその周りで直すところを、順番と一緒にまとめます。

法人化の手続きそのもの、税金や社会保険の判断は扱いません。そちらは税理士や司法書士など、専門家にご相談ください。また、すでに会社である会社の移転・社名変更・代表交代については、移転・社名変更・代表交代のときに、サイトで直すところ に書いてあります。この記事は「個人から会社へ」に絞ります。

2. 個人から会社になると、何が変わるのか

社名変更と、個人から会社への切り替えは、似ているようで違います。社名変更は、同じ会社の名前が変わるだけです。個人から会社への切り替えは、仕事をしている主体そのものが変わります。

そのため、名前だけでなく、契約の名義やお金の流れまで変わります。サイトで直すところも、この3つに分けて考えると漏れにくくなります。

図:個人事業から会社にしたときに変わる、3つのもの(例は架空)
① 名前
屋号から、正式な会社名へ

たとえば「○○工房」から「株式会社○○」へ。ページの見出し、フッター、会社概要、ロゴの横の文字。目に見える場所なので、気づきやすい変化です。

見える場所。直し忘れは少ない
② 名義
個人の名前から、会社の名前へ

ドメイン、サーバー、メール、Googleのアカウント、SNS。登録したときの名義や支払いのカードが、個人のまま残ります。画面には出ないので、いちばん忘れられます。

見えない場所。困ってから気づく
③ お金と決まりごと
振込先・請求・番号・ポリシー

振込先の口座、請求書の発行者、インボイスの登録番号、プライバシーポリシーの事業者名。お客様が実際に使う情報なので、ずれると問い合わせが来ます。

間違えると、お客様が困る

①は目に入るので直されますが、②は画面に出ないので残りがちです。③は、切り替えの日を決めてから一斉に直します。

一人社長や家族経営のサイト全体の考え方は、一人社長・家族経営の会社の、ホームページ にまとめてあります。この記事は、そこで触れた「法人化したときに直すところ」を詳しくしたものです。

3. 社名の表記と、屋号を残すかどうか

最初に決めるのは、名前の出し方です。屋号を残すかどうかで、直す範囲が変わります。

3つの出し方

よくある形は3つです。

  • 屋号をそのまま社名にする ― 「○○工房」が「株式会社○○工房」になる形。お客様が覚えている名前が残るので、いちばん混乱が少ない
  • 社名とは別に、屋号を店名やサービス名として残す ― 会社名は「株式会社△△」、お店の看板は「○○工房」のまま。お客様向けの名前と、契約上の名前が分かれる
  • 屋号をやめて、社名に一本化する ― 呼び名が変わるので、しばらくは前の名前も添えて案内する

どれが正しいということはありません。決めるのは経営者の方です。ただ、お客様が検索するのは、覚えている名前だということは頭に置いておいてください。屋号で知られているなら、サイトのどこかに屋号が残っているほうが、探す人は迷いません。

2つの名前を並べるときの書き方

屋号を残す場合も、やめる場合も、しばらくは2つの名前をつなぐ書き方が役に立ちます。

「株式会社○○(旧:○○工房)」

「○○工房は、株式会社○○が運営しています」

前者は切り替えてからしばらくのあいだ、後者は屋号を店名として残す場合に使いやすい形です。どちらの名前で探しても、同じ相手だと分かるようにしておくのが目的です。

社名を書く場所を、全部洗い出す

社名は、思っているより多くの場所に入っています。

  • ページのタイトル ― ブラウザのタブや検索結果に出る名前
  • フッター ― すべてのページの下にある社名とコピーライトの表記
  • ロゴ ― 画像の中に屋号が入っている場合は、画像の作り直しが要る
  • 問い合わせの自動返信メール ― 送られるメールの差出人名と署名
  • SNSで共有されたときの画像 ― URLを送ったときに出る画像の中の文字

「株式会社」を前に付けるか後ろに付けるか、全角か半角か。登記した表記に合わせて、1つに決めてから直してください。表記の揃え方は ホームページと名刺・封筒で、書いてあることが違う にまとめてあります。

4. 会社概要を、会社のものにする

次は会社概要です。個人事業のころは「事業者情報」のような形で、屋号と代表者名、住所くらいしか載せていなかったかもしれません。会社になると、確かめに来る人が見る項目が増えます。

代表者と、設立日

代表者は「代表取締役 ○○ ○○」のように、肩書きと名前を書きます。個人のころの「代表」「店主」から直し忘れやすいところです。

設立日は、登記した日です。ここで気をつけたいのが、創業と設立の違いです。個人事業を始めた年は「創業」、会社を作った年は「設立」として、分けて書きます。

「創業 ○○年(個人事業として開業)/設立 ○○年(法人化)」

こう書いておけば、仕事の歴史を短く見せることにもなりませんし、登記の内容とも食い違いません。

所在地と、資本金

所在地は、登記した住所と同じ表記にします。ビル名や部屋番号の書き方も揃えてください。自宅で登記した場合に番地まで出すかどうかは、事情によって判断が分かれます。迷ったら、どこまで出すかを先に決めてから直してください。

資本金は、載せるかどうか迷う項目です。載せる決まりがあるわけではありません。ただ、取引の前に規模を確かめたい相手は、資本金を見ることがあります。載せない場合でも、従業員数や事業内容が書いてあれば、確かめる材料にはなります。

許認可の名義も、確かめる

許認可が必要な業種では、注意が要ります。個人で取った許可や登録を、そのまま会社で使えない場合があります。業種によっては、会社として取り直しが必要になります。

どうなるかは業種と制度によって違うので、所管の窓口や専門家に確認し、確認できた番号でサイトを直してください。前の番号を残したままにしないことが大事です。会社概要に載せる項目の全体は、会社概要のページに、何を載せるか にまとめてあります。

5. ドメインとメールアドレスの名義を、個人から会社へ

ここが、いちばん忘れられるところです。画面には何も出ないので、困るまで気づきません。

個人の名義で残っているもの

個人事業のころに契約したものは、たいてい個人の名前で登録されています。

  • ドメイン ― 登録者が個人名になっている
  • サーバー ― 契約者が個人名、支払いが個人のクレジットカード
  • メール ― 個人で契約したアカウントで動いている
  • Googleのアカウント ― Googleビジネスプロフィール、サーチコンソール、GA4が、個人のアドレスで登録されている
  • SNS ― 個人の電話番号やアドレスでログインしている

すぐに困ることはありません。ただ、会社の持ち物として扱えない状態が続きます。人を雇って任せるとき、会社を誰かに引き継ぐとき、契約を見直すとき。そこで初めて、名義が個人のままだと分かります。

移す順番

全部を一度に移す必要はありません。順番はこうです。

  • まず一覧にする ― 何を、誰の名義で、どこで契約しているかを書き出す
  • 支払いを会社に移す ― 個人のカードから、会社の口座やカードへ
  • 名義と管理者を会社に移す ― 会社のアドレスを管理者に加えてから、名義を変える

いきなり個人のアカウントを消すと、ログインできなくなるものが出ます。会社の側を加えてから、個人の側を外す順番を守ってください。名義を4つの立場に分けて確かめる方法は、ホームページのドメインやアカウントは、誰の名義になっているか に書きました。

メールアドレスとドメインを変えるか

独自ドメインのメールを使っているなら、アドレスを変えずに済むことが多いです。無料のメールアドレスで仕事をしていた場合は、会社にしたのを機に独自ドメインのアドレスに切り替えるのも1つの手です。

ドメインそのものを変えるかどうかは、慎重に決めてください。「co.jp」は会社でないと取れないドメインなので、法人化を機に取り直す会社もあります。ただ、ドメインを変えるとURLが全部変わります。変える場合は、前のドメインから新しいドメインへの転送を用意し、前のドメインも手放さずに持っておきます。

6. お金の案内と、決まりごとのページ

お客様が実際に使う情報です。ここがずれると、お客様が迷い、問い合わせが来ます。

振込先と、請求の案内

個人事業のころの口座は、個人名義か屋号付きの個人口座です。会社にすると、会社名義の口座に変わります。

  • 振込先の案内 ― 支払い方法のページ、よくある質問、請求に関する案内
  • 請求書の発行者 ― サイトに請求書のひな形や見本を載せている場合
  • 切り替えの日付 ― 「○月○日以降のお取引は、新しい口座へお振り込みください」

前の口座にしばらく振り込みが来ることもあります。前の口座をいつまで残すか、そこに振り込まれたらどうするかは、先に決めておいてください。サイトには、決めた内容だけを書きます。

インボイスの登録番号

インボイス制度の登録をしている場合、会社として登録し直すことになり、番号が変わる場合があります。いつから、どの番号で請求書を出すかは制度の話なので、税理士に確認してください。

サイトに番号を載せているなら、確認できた日に、新しい番号に書き換えます。前の番号を残したままにすると、取引先が間違った番号で確認してしまいます。載せ方は インボイスの登録番号を、ホームページに載せるか にまとめてあります。

プライバシーポリシーと、通信販売の表示

見落としやすいのが、決まりごとのページです。

  • プライバシーポリシー ― 事業者名、代表者名、住所、窓口の連絡先
  • 特定商取引法に基づく表記 ― ネットで物やサービスを売っている場合の、販売事業者名と代表者、所在地
  • 利用規約 ― 契約の相手として書かれている名前

個人名や屋号のまま残っていることがよくあります。これらのページは、契約や個人情報を預かる相手が誰かを示すものです。書く内容は業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認したうえで直してください。

7. Googleビジネスプロフィールと、お客様へのお知らせ

最後に、サイトの外とお客様への伝え方です。

Googleビジネスプロフィールの名前

Googleマップに出る名前も、直すところです。ここに載せる名前は、看板や実際に名乗っている名前に合わせます。屋号を店名として残すなら屋号のまま、社名に一本化するなら社名に変えます。

名前を変えると、確認の手続きを求められることがあります。何度も変えずに、決めた名前で1回で直すほうが落ち着きます。住所や電話番号も、サイトと同じ表記になっているかを見ておいてください。

サイトの外に残る、前の名前

ポータルサイト、業界団体の名簿、SNSのプロフィール、取引先のサイトの紹介欄。前の名前は、自社で直せない場所にも残ります。検索で先に出てくる場所から順に直すのが効率的です。直す場所の一覧は、移転・社名変更の記事と同じ考え方で作れます。

お客様へのお知らせ

法人化したことは、お知らせとして1本出しておくと親切です。書くことは多くありません。

「このたび、○○工房は○年○月○日より『株式会社○○』として新たにスタートいたしました。担当者・連絡先・サービス内容に変更はございません。お振込先は○月○日より変更となります」

変わることと、変わらないことを両方書くのがコツです。お客様がいちばん気にするのは、担当者や連絡先が変わるかどうかです。

図:個人事業から会社にしたときに、直す順番
① 登記の前:一覧を作る

社名を書いている場所、個人の名義の契約、振込先の案内、決まりごとのページを書き出します。

サイトはまだ直しません。登記の内容が決まる前に出すと、書き直しになります
▼
② 登記が済んだら:表記を決める

登記した社名と住所の表記に合わせて、屋号を残すかどうかと書き方を決めます。

会社概要、フッター、ページのタイトルを直します
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③ 口座と番号が決まったら:お金の案内を直す

会社の口座、インボイスの登録番号、許認可の番号を、確認できたものから書き換えます。

切り替えの日付を決めて、お知らせと同じ日にそろえます
▼
④ 切り替えの日:外とお知らせ

Googleビジネスプロフィールの名前、SNSのプロフィールを直し、お知らせを出します。

名義の移し替えは、この前後で順に進めます
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⑤ 1ヶ月後:前の名前で探す

前の屋号や個人名でサイト内と検索を探し、残っている場所を直します。

画像やPDFの中の文字は検索で出ないので、目で確かめます

サイトを直すのは、登記の内容が決まってからです。お金の案内は、確認できたものから書き換え、切り替えの日を1つに決めて、お知らせと合わせます。

8. 雄喜晃の伴走:登記の書類と照らして、表記をそろえます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、会社概要やフッターに書く社名・住所・代表者を、登記の書類や名刺と照らしてから書きます。法人化したタイミングでのご相談も、そこから始めます。

私たちがやること

  • 直す場所を一覧にする ― 社名が入っている場所、前の名前が残っている場所を、サイトの中から洗い出します
  • 表記をそろえて直す ― 会社概要、フッター、ページのタイトル、決まりごとのページの事業者名を、決めた表記で直します
  • お知らせの文面を整えて載せる ― 変わることと変わらないことを書いたお知らせを、切り替えの日に出します
  • 月額の中で直していく ― 口座や番号が決まるたびの書き換えは、月5回までの更新代行の中で行います

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれ、月5回までの更新代行も同じ月額の中です。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 法人化の手続き、税金、許認可の判断はしません。登記は司法書士、税金は税理士、許認可は所管の窓口や専門家にご確認ください。確認できた内容を、サイトに正しく書くのが私たちの役目です
  • 屋号を残すかどうかを、こちらで決めることはしません。それぞれの形で何が起きるかはお伝えしますが、決めるのは経営者の方です
  • ほかの会社が管理しているドメインやアカウントを、ログインできないまま移すことはしません。いまの契約先への伝え方を一緒に整理します

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に会社として設立しました。

「会社にしたけれど、サイトはまだ屋号のまま」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:名前・名義・お金の案内を、同じ時期に見直す

個人事業から会社にしたとき、ホームページで直すところは大きく3つです。

  • 名前 ― 屋号を残すかを決め、登記した表記で会社概要・フッター・タイトルを直す。創業と設立は分けて書く
  • 名義 ― ドメイン、サーバー、メール、Googleのアカウントを、会社の側を加えてから個人の側を外す順で移す
  • お金と決まりごと ― 振込先、インボイスの登録番号、プライバシーポリシーの事業者名を、確認できたものから書き換える

そして、Googleビジネスプロフィールの名前とお客様へのお知らせは、切り替えの日にそろえて出します。1ヶ月後に前の名前で探し直せば、残った場所も見つかります。

まず、今日できること

前の屋号で、自社のサイトの中を検索してみてください。見つかった場所が、そのまま直す場所の一覧になります。画像やPDFの中は出てこないので、ロゴと資料は目で見て足しておきます。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。会社としての名前を、サイトの隅までそろえるところからご一緒します。