1. 「回収のお知らせを、どこにどう出せばいいのか」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんなご相談を受けることがあります。
「うちの商品に不具合が見つかって、お客様に使うのをやめてもらわないといけなくなったんです。販売店には連絡しましたが、誰が買ってくれたのかは全部は分からない。ホームページにお知らせを出そうと思うんですが、何から書けばいいのか」
作っている商品に不具合が見つかる。製造の途中で異物が混じっていた。ラベルやパッケージの表示に誤りがあった。どれも、起きてほしくないことです。ただ、ものを作って売っている以上、どれだけ気をつけていても、起きる可能性はゼロにはなりません。
連絡先が分かるお客様には、電話や手紙で知らせられます。けれども、店頭やネットで買った方、贈り物で受け取った方には届く手段がありません。その人たちが「もしかして」と思って検索したときに、たどり着く場所がホームページです。
この記事で書くこと
- お知らせを見に来る人が、確かめたいこと
- 置く場所 ― トップの最初の画面と、専用のページ
- 先に書く4つ ― 対象、してほしいこと、連絡先、交換や返金
- 写真と表示の位置で、見分けられるようにする
- 更新した日付と、書き換えの決まり
- 問い合わせが増えたときの体制と、いつまで出しておくか
情報の間違いや、急な休業とは別の話です
ホームページに載せた料金や仕様の数字が間違っていた場合は、直すのはサイトの文章です。その手順は ホームページに間違った情報を載せてしまったとき にまとめました。この記事は、お客様の手元にある商品そのものに問題があった場合を扱います。商品のラベルや説明書の表示の誤りも、こちらに入ります。
急な休業の知らせ方は 台風や急な休業のとき、ホームページで何を知らせるか に書きました。最初の画面に1行で出す考え方は同じです。違うのは、出しておく期間が長く、読む人が「自分のものが対象か」を見分ける必要があるところです。
2. お知らせを見に来る人が、確かめたいこと
回収や使用中止のお知らせを読む人は、落ち着いて読んでいるわけではありません。手元の商品を片手に、少し不安な気持ちでページを開いています。確かめたいことは、ほぼ4つです。
自分の持っているものが、対象かどうか
最初に知りたいのはこれです。家にあるこの商品は、対象なのか、対象ではないのか。ここが分からないと、読む人は次に進めません。
同じ名前でも、色や作った時期で対象かどうかが分かれることがあります。読む人は、商品のどこを見れば判断できるのかを探しています。
今すぐ、何をすればいいのか
使うのをやめればいいのか、電源を抜けばいいのか。捨てていいのか、取っておくべきなのか。今この瞬間にする動作を知りたいのです。
どこに、いつ連絡すればいいのか
電話番号だけでは足りません。受付は何時までか、土日はどうか。夜に気づいた人は、今かけていいのか、明日の朝まで待つのかを知りたがっています。
交換や返金は、どうなるのか
交換か返金か、商品はどう送るのか、送料は誰が持つのか、レシートが無くても大丈夫か。ここが書かれていないと、電話でいちばん多く聞かれます。
お詫びや経緯は、そのあとで読まれる
なぜこうなったのかも読まれます。ただ、4つのことが分かって安心したあとに読まれる部分です。お詫びは冒頭に一文、詳しい経緯はページの後半に置きます。
届け出や義務のことは、別に確かめる
商品の種類によっては、所管の役所への届け出や、知らせ方の決まりがある場合があります。中身は業種や商品、起きたことによって違うので、この記事では立ち入りません。所管の窓口や専門家に、早めに確認してください。ホームページのお知らせは、その手続きの代わりにはなりません。確認と並行して、サイトの準備を進めるのが現実的です。
3. 置く場所は、トップの最初の画面と専用のページ
書く中身の前に、どこに置くかを決めます。回収のお知らせは、入口を複数用意して、1つのページに集めるのが基本の形です。
トップのいちばん上に、1行の帯を置く
トップページを開いて最初に見える画面の、いちばん上に1行の帯を置きます。たとえば次のような1行です(例は架空です)。
「【重要】〇〇(商品名)の一部について、ご使用の中止と回収のお願い ― 対象の見分け方はこちら」
スマートフォンで開いたときに、指で下に動かさなくても目に入るかを確かめてください。最初の画面の組み立て方は トップページの最初の画面に、何を置くか に書いてあります。点滅や画面を覆う窓は要りません。落ち着いた色で、文字で、1行で出します。
詳しいことは、専用のページを1つ作る
帯の先に、回収のお知らせだけを載せた専用のページを作ります。
- URLを短くして、変えない ― 店頭の掲示、販売店への文書、SNS、電話の案内で同じURLを伝えます。途中で変えると、配った文書が全部古くなります
- そのページだけで話が完結するようにする ― 別のページに飛ばないと交換の方法が分からない形は避けます
- 見出しに、商品名と「回収」「使用中止」を入れる ― 商品名で検索した人が見つけやすくなります
検索結果に出てくるまでには時間がかかることがあります。だからこそ、販売店やSNSから同じURLを渡しておきます。
お知らせ欄と、商品のページにも入口を置く
- お知らせ欄 ― 短く書いて、専用のページへつなぎます。使い方は 「お知らせ」の欄に、何を書けばいいか にまとめました
- 対象の商品のページ ― 上のほうに注記を置きます。検索から直接開かれることが多いので、トップを通らずに来た人にも気づいてもらえます
PDFや画像だけで出さない
社内でまとめた文書を、そのままPDFや画像で載せることがあります。ただ、スマートフォンでは文字が小さく、検索にも引っかかりにくくなります。本文はページに文字で書き、PDFは控えとして添える形にしてください。
4. 先に書く4つ:対象、してほしいこと、連絡先、交換や返金
専用のページに書く中身です。第2章の4つを、読む人が確かめる順に並べます。
対象 ― 商品名、型番、製造時期、見分け方
- 商品名 ― パッケージの表記のまま。社内での呼び名は使いません
- 型番・品番 ― 色違い、サイズ違いで分かれているなら、対象のものだけを
- 製造時期や製造番号 ― 「〇年〇月〜〇年〇月に製造したもの」のように範囲で
- 販売した期間と場所 ― 店頭、通販、販売店経由など、分かる範囲で
- 見分け方 ― 型番が商品のどこに書いてあるか(第5章で詳しく書きます)
あわせて、対象ではないものも書いてください。「〇年〇月以降に製造したものは対象ではありません」。この一文で、対象外の方が電話をかけずに済みます。
してほしいこと ― 動作の言葉で書く
読んだ人がそのまま動ける言葉で書きます。「ご使用をおやめください」「電源プラグを抜いてください」「捨てずに保管してください」。捨てていいのかどうかは書き忘れやすいので、どちらなのかをはっきり書いてください。
すでに使ってしまった方への案内も、多くの方が気にします。体や安全に関わる内容は、何をどう書くかを自社だけで決めず、専門家と相談してください。
連絡先と受付時間
- 電話番号 ― 専用の番号を用意するか、代表の番号で受けるか
- 受付時間と曜日 ― 「平日9時〜17時」のように。土日に受けるならそれも
- 電話以外の窓口 ― 専用のフォームやメールアドレス。夜に気づいた人がその場で連絡できます
- 返事の目安 ― 「〇営業日以内にお返事します」
急いで担当者の携帯電話の番号を載せると、回収が終わっても残ります。考え方は ホームページに、携帯電話の番号を載せるかどうか に書きました。
交換や返金の方法
- 交換か、返金か ― 決まっているのか、選べるのか
- 商品の送り方と送料 ― 着払いか、回収用の箱を送るか、店頭で受けるか
- 届く時期、振り込まれる時期 ― 目安で構いません
- レシートや箱が無い場合 ― どう扱うのか
決まっていないことは、「決まり次第、このページでお知らせします」と書いてください。空欄にしておくと、電話で聞かれます。
何の商品で、何をお願いしたいのか。お詫びは一文だけにします。
商品名、型番、製造時期の範囲、見分け方の写真。対象ではないものも書きます。
使うのをやめる、電源を抜く、捨てずに保管する。その場でできる動作の言葉で。
電話番号、受付時間と曜日、電話以外の窓口、返事の目安。
交換か返金か、送り方と送料、届く時期の目安、レシートが無い場合の扱い。
何が起きたのかを短く。対象や方法を変えたときは、いつ何を変えたかを残します。
①から⑤までで、読む人が知りたいことは終わります。経緯とお詫びの詳しい文章は、最後に置いて構いません。
5. 写真と表示の位置で、見分けられるようにする
対象かどうかを見分ける場面で、いちばん役に立つのは写真です。文字で「製造番号の頭が〇〇のもの」と書いても、その番号が商品のどこにあるのかが分からなければ、読む人は探せません。
商品の全体が分かる写真を1枚
まず、商品の全体を写した写真を1枚。パッケージがあるなら、その正面も。読む人が手元のものと見比べて「これだ」と分かることが目的です。色違いがある場合は、対象のものだけを写します。
型番や製造番号が書いてある場所を、寄って写す
印字の場所は、底の面、裏のラベル、ふたの内側、箱の横と、商品によって違います。全体の写真で「どの面か」、寄った写真で「どの文字か」を示す。この2枚を組にして、小さな文字には矢印や枠を添えてください。
対象と対象外を、並べて見せる
同じ名前で対象と対象外がある場合は、2つを左右に並べた写真が効きます。写真に写っている型番は、本文にも文字で書きます。写真は見分けるための補助、正しい情報は本文の文字です。
写真は、手元の現物を社内で撮る
倉庫に残っている現物を、社内のスマートフォンで撮れば十分です。きれいな商品写真である必要はありません。印字が読めることと、手元のものと同じに見えることが大事です。撮ったらほかの社員に見せて、型番の位置がすぐ分かるかを確かめてください。
6. 更新した日付と、書き換えの決まり
回収のお知らせは、一度出して終わりにはなりません。対象の範囲が広がる、交換の方法が決まる、受付時間が変わる。出したあとにも中身が動きます。
初めて出した日と、最後に更新した日を書く
ページの見出しのすぐ下に、2つの日付を書きます。
「〇年〇月〇日 掲載/〇年〇月〇日 更新」
読む人は、この日付で「今の情報か」を判断します。更新日が古いままだと、中身を直していても直っていないように見えます。
本文は最新に書き換え、変えたところは履歴に残す
中身が変わったら、本文を最新に書き換えます。新しいお知らせを次々に足すと、どれが今の情報か分からなくなります。そのうえで、何をいつ変えたかを、ページの後半に履歴として残します。
- 「〇月〇日:対象の製造時期に、〇年〇月製造分を追加しました」
- 「〇月〇日:交換の受付方法に、店頭での受付を追加しました」
前に読んで「対象外だ」と思った人も、履歴があれば範囲が広がったことに自分で気づけます。トップの帯にも「対象を追加しました」と入れてください。
文面の「元」を1つに決める
店頭の掲示、販売店への文書、SNS、電話。文面が少しずつ違うと、お客様は混乱します。元になる文書を1つ決めて、ほかはそこから写すようにしてください。専用のページを元にすれば、ほかの場所はURLを添えて短くできます。文面を決める人と、サイトに反映する人は、それぞれ2人ずつ決めておくと止まりません。
分からないことは、分からないと書く
原因を調べている途中なら、「現在調査中です。分かり次第、このページでお知らせします」と書いてください。分かっていることと分かっていないことを分けて書くと、文面が信用されます。
7. 問い合わせが増えたときの体制と、いつまで出しておくか
お知らせを出すと、電話が短い期間に集中することがあります。準備しないまま出すと、電話がつながらないこと自体が、次の不安を生みます。
知らせを出す前に、受ける側を整える
問い合わせが増えたときの社内の決め方は 問い合わせが増えたあと、社内で何を決めておくか にまとめました。回収のときに足しておきたいことを、下の表に並べます。
| 決めておくこと | たとえば | 決めずに出すと |
|---|---|---|
| 電話を受ける人 | たとえば総務の2人を窓口にして、ほかの社員は電話を回すだけにする | 受けた人ごとに答えが少しずつ違ってしまう |
| 答え方の元 | たとえば専用ページの文面をそのまま読める形にして、電話の横に置く | サイトと電話で言っていることが変わる |
| 受け付けた内容の記録 | たとえば名前、連絡先、型番、個数、交換か返金かを1枚の表に残す | あとで送った・送っていないが分からなくなる |
| 答えられない問い合わせの回し先 | たとえば体調や安全に関わる相談は、決めた責任者に回す | 窓口の人がその場で判断してしまう |
人数や時間は、貴社の規模と商品の数で決めてください。大事なのは、サイトに書いたことと、電話で答えることが同じになっている状態を、公開する前に作っておくことです。
何度も聞かれることは、ページに足していく
「箱を捨ててしまったけれど大丈夫か」「もらい物だけど連絡していいか」。同じ質問は、専用のページの後半に「よくあるご質問」として足していきます。足したら更新日も変えます。
いつまで出しておくか
- トップの帯 ― 問い合わせが落ち着いたら外します。ふだんのお客様の目に入り続けるからです
- 専用のページ ― 長く残します。商品は家に長く残り、譲られたり、引っ越しの荷物から出てきたりします。何年もたってから検索する人がいます
帯を外したあとも、お知らせ欄と商品のページからの入口は残します。受付をいつ終えるかは、届け出や所管の判断と関わることがあります。業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してから決めてください。
受付を終えても、URLは消さない
終えたあとも、ページは「受付は〇年〇月〇日に終了しました。お手元に対象の商品がある方は、こちらへ」のように書き換えて残します。消すと、配った文書のリンクが行き止まりになり、事情を知らない人には「なかったこと」にしたように見えてしまいます。
8. 雄喜晃の伴走:お知らせのページを、出せる形にしておきます
私たち雄喜晃がホームページを作るときは、急な知らせを出す場所を、何も起きていない日のうちに用意しておくようにしています。起きてから枠を作り始めると、出すまでに時間がかかるからです。
私たちがやること
- 専用のページの枠を、ふだんから作っておく ― 第4章の順番の枠を用意しておき、中身を入れれば出せる形にします
- トップの帯と、お知らせ欄・商品のページの注記をつなぐ ― どこから来ても同じページにたどり着くようにします
- いただいた文面を、読む順番に組み直す ― 社内の文書をそのまま貼らず、読む人が確かめる順に並べ直します
- 見分け方の写真を、ページに載せる ― 貴社で撮っていただいた写真を整えて載せ、見るところに矢印や枠を添えます
- 更新の日付と履歴を入れて、書き換える ― 対象や方法が変わったときは、本文を直し、履歴に1行足します
- 落ち着いたら、帯を外して専用のページを残す ― 受付を終えたあとの書き換えまで担当します
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、お知らせの掲載や書き換えもこの回数の中でお受けします。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 回収するかどうか、対象の範囲、交換か返金かは決めません。それは貴社の経営と品質の判断です。私たちは、決まったことを伝わる形で出すところを担当します
- 届け出や法的な扱いについての助言はしません。業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください
- お客様からの問い合わせの電話を、代わりに受けることはしません。受ける体制は貴社の側で整えていただきます
- ご連絡をいただいた瞬間に反映することは、お約束できません。だからこそ、枠をふだんから用意しておくことをおすすめしています
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「もし商品に何かあったとき、サイトのどこに何を出せばいいか決まっていない」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:対象か、何をすればいいか、どこへ連絡するか
商品の不具合や回収のお知らせを、ホームページに出すときに押さえることは5つです。
- トップの帯から、専用のページへ ― 詳しいことは、URLを変えない専用のページに集める
- 対象、してほしいこと、連絡先、交換や返金の順に書く ― お詫びは冒頭に一文、経緯は後ろへ。対象ではないものも書く
- 写真で見分けられるようにする ― 全体の写真と、型番が書いてある場所の写真を組にする
- 日付を入れて、変えたところを履歴に残す ― 本文は最新に、履歴は後半に
- 受ける側を整えてから出し、ページは長く残す ― 帯は落ち着いたら外し、専用のページは受付を終えても消さない
届け出や知らせ方の決まりは業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。ホームページでできるのは、手元に商品がある人が、迷わずに次の動作に移れるようにすることです。
まず、今日できること
貴社の主な商品を1つ手に取って、型番や製造番号、製造時期がどこに書いてあるかを確かめてみてください。すぐに見つからなければ、お客様も見つけられません。見つかったら、その場所を1枚撮っておくだけで、準備が1つ進みます。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。何も起きていない今のうちに、知らせを出せる形にしておくところからご一緒します。