1. 「月謝は載せているのに、面談で毎回『全部でいくらですか』と聞かれて」
塾を経営されている方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「サイトには学年ごとの月謝を載せているんです。でも面談に来た保護者の方に、『夏期講習はいくらですか』『教材費は別ですか』『1年でだいたいどれくらいかかりますか』と毎回聞かれて。結局、紙に書いて一から説明しているんですよね」
月謝を載せているのは、それだけで大事なことです。ただ、学習塾には、ほかの仕事にはない事情があります。サイトを見ている人が2人いるということです。
通わせるかどうかを決めるのは保護者で、続けるかどうかを左右するのは生徒本人です。保護者は費用の全体と安全を、生徒は授業の雰囲気と先生を見ています。面談で毎回聞かれていることは、サイトに書いていない答えそのものです。
以前、習い事やスクールを含めた「教室」について、業種別に載せるものを整理した記事(クリニック/美容/小売/教室) を書きました。この記事では、その中から地域の学習塾と個別指導塾に絞って、ホームページに何を載せるかを順に書きます。習い事とは、費用の数え方も、合格実績という項目も違うからです。
この記事で書くこと
- 保護者と生徒が、それぞれ確かめていること
- 対象の学年と、教え方(集団・個別)の書き方
- 授業料・教材費・季節講習まで、費用の全体の並べ方
- 体験授業から入塾までの流れ
- 講師の紹介と、自習室・送り迎え・安全の取り組み
- 合格実績の数え方と、生徒の写真や名前の扱い
2. 保護者と生徒は、別々のことを確かめている
塾のサイトは、保護者と生徒が別々に見ていることが多いです。同じサイトを見ていても、探している答えが違います。
保護者が確かめていること
- 費用の全体 ― 月謝だけでなく、1年でいくらかかるか
- うちの子に合うか ― 学年、今の成績、目的(定期テストか受験か)に合った教え方か
- 誰が教えるか ― 先生は社会人か学生か、担当は変わるか
- 安全 ― 夜の帰り道、送り迎えの車をどこに停めるか、塾に着いたことが分かるか
- やめるとき ― 休塾や退塾の決まり、途中でやめたときの費用
生徒が確かめていること
- 授業の雰囲気 ― 教室の様子、何人くらいで受けるのか
- 先生 ― どんな人が教えてくれるのか、質問しやすいか
- 通いやすさ ― 学校や家から近いか、部活のあとに間に合う時間か
- 自習室 ― 授業のない日も使えるか
生徒の側は、保護者ほど細かく読みません。教室の写真と、先生の人柄が分かる一文があるかどうかで、「ここなら行ってもいい」と思えるかが決まります。どちらか片方だけに向けて作ると、もう片方が離れます。
最初の画面に、学年と教え方を
トップページの最初の画面には、何年生を、どんな形で教えている塾かを一文で置きます。「小学4年生から中学3年生までの、先生1人に生徒2人の個別指導」「中学生の集団授業と、高校生の個別指導」のように。学年と形が分かれば、合う人だけがその先を読みます。
3. 対象の学年と、教え方を書き分ける
保護者が知りたいのは、うちの子がどの形で、何を習うのかです。
教え方の形を、人数で書く
「個別指導」と書くだけでは足りません。先生1人に生徒1人なのか、2人なのか、3人なのかで、授業の受け方が変わります。集団授業も、1クラスの人数で雰囲気が違います。
- 集団授業 ― 1クラスの人数の上限、学力や志望校でクラスを分けているか
- 個別指導 ― 先生1人に生徒何人か、1回の授業の長さ
- 自分で進める形 ― 教材や映像で進め、先生が見回る形なら、そのことを
- 組み合わせ ― 主要科目は集団、苦手科目だけ個別、のような形
人数は、上限を書くのが基本です。「少人数」という言葉だけだと、保護者は何人を思い浮かべればいいか分かりません。
学年と科目と目的
対象の学年、教えている科目、そして何のための塾かを書きます。学校の授業の補習が中心なのか、定期テストの点を上げるのが中心なのか、高校や中学の受験に向けた塾なのか。
全部に対応しているなら、学年ごとにコースを分けて書いてください。授業の曜日と時間も学年ごとの表にしておくと、部活や習い事と重ならないかを家庭で確かめられます。
受けていない対象も書く
「どんな子でも受け入れます」とは書かないほうが、読む側には親切です。受けていない学年や科目、対応していない受験を書いておくと、面談の前に相手が判断できます。
たとえば、高校生は受けていない、理科と社会は扱っていない。先に書いておくと、合わない面談が減ります。学習に特別な配慮が要るお子さんへの対応も、実際にできる範囲だけを書いてください。受験前の時期に新しい生徒を受け付けていないなら、そのことも書いておきます。
4. 費用は、1年の全体で並べる
塾の費用でいちばん多い行き違いは、月謝は分かっていたのに、ほかの費用が思っていたより多かったということです。季節講習、教材、模試、受験前の特別授業が別にかかることを、入塾したあとで知る保護者もいます。
かかるものを、全部並べる
月謝のほかにかかるものを、項目として全部並べます。金額を出すかどうかは貴社の判断ですが、項目があることだけは書いておくのが基本です。
| 項目 | かかる時期と金額(たとえば) | 添えておくこと |
|---|---|---|
| 入塾金 | 入塾のときに1回、〇〇,〇〇〇円 | 兄弟姉妹で通う場合や、時期によって扱いが変わるなら、その条件 |
| 授業料(月謝) | 学年と週の回数ごとに、月〇〇,〇〇〇円 | 学年が上がると変わること。税込か税別かも書く |
| 教材費 | 年に〇回、〇,〇〇〇円ほど | 学年や科目で変わる。購入が要るのか、学校の教材で進められるのか |
| 施設費・管理費 | 毎月〇,〇〇〇円、または半年ごと | 何に使う費用か(自習室の運営、冷暖房など)を一言 |
| 季節講習(春・夏・冬) | 学年と受ける時間数で〇〇,〇〇〇円から | 参加が前提か、選べるか。受けないと授業が進まないならそのこと |
| 模試・テスト代 | 1回〇,〇〇〇円、年〇回ほど | 塾の中で受けるものか、外部のものか |
| 受験前の特別授業 | 受験学年の秋以降に〇〇,〇〇〇円 | 対象の学年と、いつ金額が分かるか |
項目と金額は、貴社が実際に受け取っている費用で書いてください。金額を出せない項目も、「かかる」と書いておくだけで、入塾後の行き違いが減ります。年間の例を1つ添えると、保護者は家計の中で考えられます。
年間の例を、1つだけ出す
項目を並べたうえで、年間でいくらになるかの例を1つ添えます。たとえば「中学2年生・週2回・夏と冬の講習を受けた場合の、1年間の例」のように、条件を書いた例です。
例は1つか2つで十分です。受験学年は費用が増えることが多いので、受験学年の例を別に1つ置くと、先の見通しが立ちます。料金をどこまで出すかの考え方そのものは、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。
休塾・退塾と、途中の費用
やめるときの決まりも、費用の近くに書いておきます。何日前までに連絡すればいいか、月の途中でやめたら月謝はどうなるか、前払いした講習費はどうなるか。部活の大会前などに一時休むときの扱いも添えます。書いてあることで「この塾は隠さない」と受け取られます。
5. 体験授業から、入塾までの流れ
塾を選ぶ家庭の多くは、体験授業を受けてから決めます。体験の申し込みから入塾までに何が起きるのかを、段に分けて書いておきます。
電話かフォームで、学年、希望の科目、来られる曜日を伝えます。フォームの項目は、この3つと連絡先で足ります。
今の成績や、学校の進み方、部活の予定、保護者の心配ごとを伺います。最近のテストの答案や通知表があれば持ってきてもらいます。
普段の授業と同じ形で、たとえば〇回受けてもらいます。費用がかかるかどうか、何を持ってくるかもここに書きます。
申込書の提出、授業の曜日と時間の決定、教材の準備。最初の月の費用がいつ、どう支払われるかを伝えます。
流れを書くときは、どの段で何を聞かれ、どの段でお金がかかるかが分かるようにします。中身は貴社の実際のやり方で書いてください。体験のあとに電話で入塾を勧めることをしていないなら、そのことも一行添えると申し込みやすくなります。
体験の中身を、具体的に
「無料体験授業あり」の一行だけでは、何が起きるのか分かりません。何回受けられるか、1回は何分か、普段の授業と同じ形か、保護者も見学できるかを書きます。
生徒の側は、知らない場所に一人で行くことに緊張しています。「筆記用具だけ持ってきてください」のように、当日の自分を思い浮かべられる一文があると、行きやすくなります。初めての人向けのページの組み方は、「初めての方へ」のページは、要るのか。要るなら何を書くか に書きました。
体験のあとの連絡を、正直に書く
保護者がいちばん身構えるのは、体験を受けたら入塾を強く勧められるのではないかということです。体験のあとにどんな連絡をするのかを、実際のやり方で書いておきます。
「体験のあと、こちらからお電話で入塾をお勧めすることはしていません。ご家庭で話し合っていただき、ご入塾を決められたらご連絡ください」
このように書けるなら、書いてください。体験のあとに一度は連絡を入れているなら、そのことを書きます。書いたことと違う対応をすると、それだけで信用を失います。
6. 講師の紹介と、自習室・送り迎え・安全の取り組み
講師は、誰が教えるかを事実で
保護者が気にするのは、誰が子どもを教えるのかです。講師の紹介では、次のことを事実で書きます。
- 講師の構成 ― 社会人の講師か、学生の講師か、両方か
- 担当の決め方 ― 担当は固定か、曜日で変わるか、変えてほしいときはどうするか
- 教えている科目と経歴 ― 指導してきた年数、担当している学年
- 人柄の分かる一文 ― どんなふうに教えているか
出身の学校や顔写真を出すかどうかは、本人の了解を取ったうえで決めてください。名前と担当科目だけでも構いません。学生の講師は入れ替わりが多いので、辞めた講師が載ったままにならないよう、直す段取りも決めておきます。
自習室は、使える条件まで
自習室があるなら、開いている曜日と時間、使える人、使うときの決まりを書きます。塾生なら誰でも使えるのか、予約が要るのか、先生に質問できる時間はあるのか。
教室や自習室の写真を載せるなら、生徒が写っていない時間に撮った写真を使うのが安心です。
送り迎えと、夜の帰り道
授業が夜まである塾では、保護者は帰り道を心配しています。実際にしていることを書きます。
- 送り迎えの車 ― どこに停めてもらうか。停めてほしくない場所があるなら、それも
- 授業が終わる時刻 ― 終わりの時刻を正確に。延びることがあるなら、そのことも
- 入退室の連絡 ― 塾に着いたとき、帰るときに保護者に知らせる仕組みがあるなら、その中身
ここで気をつけたいのは、していないことを書かないことです。帰り道まで先生が付き添っていないのに、「安心の送迎体制」とは書きません。保護者は、書いてあることを頼りに子どもの帰り方を決めています。書いてあることとしていることが違えば、子どもの安全に関わります。
急な休講と、災害のとき
台風や大雪、地震のときに授業をどうするかも書いておきます。休講を決める基準と、どうやって知らせるか。知らせる手段を1つに決めて書いておくと、保護者は迷いません。
授業中に災害が起きたとき、生徒をどう帰すのか。決まっていなければ、サイトに書く前に、まず塾の中で決めてください。
7. 合格実績は数え方と年度を添える。生徒の写真と名前は保護者の了解で
学習塾のサイトで、いちばん目立つ場所に置かれやすいのが合格実績です。そして、いちばん慎重に書くべき項目でもあります。
何を1人と数えるかを決める
合格実績の数字は、数え方で大きく変わります。書く前に、次のことを塾の中で決めてください。
- 誰を数えるか ― 通年で在籍していた生徒だけか、季節講習だけ受けた生徒も入れるか
- 人数か、件数か ― 1人が3校に合格したら、1と数えるか3と数えるか
- どの年度か ― 今年度だけか、過去の累計か
- どの教室か ― 複数の教室があるなら、どの教室の生徒か
決めた数え方は、数字のすぐ近くに書いておきます。「〇〇年度入試・通年の在籍生のみ・合格者の実人数」のように。数え方が書いてあると、数字が小さくても信用されます。
盛らない、混ぜない
延べ件数を人数のように見せない、講習だけの生徒を通年の生徒と同じように数えない、何年分かを足して今年の数字のように見せない。どれも、聞かれたときに説明できない書き方です。
数字が小さいことは、恥ずかしいことではありません。少人数の塾なら当然です。人数より、どんな目標の生徒が、どこを目指して、どう取り組んだかを書いたほうが、同じ立場の保護者には伝わります。数字の書き方全般は、「創業○年」「施工実績○件」などの数字を、ホームページにどう書くか にまとめてあります。
成績が上がった例も同じです。「〇点アップ」と書くなら、どのテストの、いつからいつまでの話かを添え、一部の生徒の例だと分かるように書きます。実績の見せ方には表示に関するルールが関わる場合もあるので、書き方に迷うときは専門家に確認してください。
合格体験記と、生徒の写真・名前
合格した生徒の体験記は、同じ学校を目指す家庭に役立つ情報です。ただし、書いているのは子どもです。載せる前に、本人と保護者の両方の了解を取ってください。
- 名前の出し方 ― フルネームか、名字だけか、イニシャルか、名前を出さないか。本人と保護者に選んでもらう
- 一緒に出さない情報 ― 学校名と学年と名前を同時に出すと、本人が特定されます。どこまで組み合わせて出すかを決める
- 写真 ― 顔が分からない写真にするか、了解を得て顔を出すか。ほかの生徒の写り込みも見る
- 期間 ― いつまで載せるか。外してほしいと言われたら外すことも書いておく
子どもの写真をどう扱うかは、教室やイベントで子どもが写った写真を、ホームページに載せるとき に、了解の取り方から外し方まで詳しく書きました。体験記は塾の側で作文せず、聞き取った言葉を本人に確かめてもらって載せます。進め方は、「お客様の声」を、どう集めて、どう載せるか に書いてあります。お礼の品や割引と引き換えに書いてもらうことも、しないでください。
8. 雄喜晃の伴走:面談で毎回話していることを、ページの言葉にします
私たち雄喜晃は、学習塾のホームページを作るとき、最初に「面談で毎回説明していること」を伺うところから始めます。紙で説明している費用の話や体験のあとの流れが、そのままサイトに書くべき中身になるからです。
私たちがやること
- 学年と教え方を、最初の画面の一文にする ― 何年生を、何人の形で教えているかを伺い、トップに置きます
- 費用の全体を、1つの表に組む ― 貴社が実際に受け取っている費用を伺い、スマートフォンでも読める表にします
- 体験授業から入塾までの流れを、段に分けて書く ― 体験のあとの連絡も、実際のやり方で書きます
- 合格実績は、数え方と年度を添えて載せる ― 数え方を一緒に決め、数字の近くに書きます
- 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 生徒が写っている写真は、了解の範囲を確かめたものだけを使い、写り込みに気づいた点はお伝えします
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、季節講習の案内や、空いている学年の更新、新しい年度の合格実績も、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
- 授業料や入塾の条件そのものは決めません。決まった内容を、保護者と生徒に伝わる形に組むところを担当します
- 合格実績の数字を、大きく見せる書き方はしません。体験記や生徒の声を作文することもしません
- 表示のルールに合っているかの判断はしません。迷う表現は、専門家に確認していただくようお願いしています
- 検索順位や入塾の増加をお約束することもしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「月謝は載せているのに、面談で毎回、費用の全体から説明している」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:保護者と生徒、2人の確かめたいことに答える
学習塾・個別指導塾のホームページで押さえることは、5つです。
- 学年と教え方を最初に ― 何年生を、何人の形で、何のために教えているか。受けていない対象も書く
- 費用は1年の全体で ― 月謝のほか、教材費、季節講習、模試まで項目を並べ、年間の例を1つ添える
- 体験から入塾までを流れで ― 体験の中身と、そのあとの連絡を、実際のやり方で書く
- 講師と安全は事実で ― 誰が教えるか、自習室、送り迎え、休講の知らせ方。していないことは書かない
- 合格実績は数え方と年度を添えて ― 盛らない、混ぜない。生徒の名前や写真は、本人と保護者の了解を取ってから
学習塾は、保護者が子どもを預け、子どもが自分の足で通う場所です。費用と同じくらい、どんな先生がどう見守ってくれるかが分かることが、選ぶ決め手になります。
まずは今月、面談で保護者に聞かれたことを1つずつメモしてみてください。同じ質問が3回出てきたら、それがサイトに足りていない答えです。