1. 「『うちでも頼めますか』という問い合わせから、話がなかなか進まないんです」
食品の製造を請け負っている会社の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「問い合わせはそれなりに来るんです。でも最初のやり取りで、いくつから作れるのか、何が作れて何が作れないのか、いくらぐらいかかるのか、を毎回一から説明していて。条件が合わないと分かるのが、何度もやり取りしたあとなんですよね」
食品の受託製造は、頼む側の多くが、製造を外に頼むのは初めてという商売です。自分の店の味を瓶詰めにしたい飲食店の方、自社の名前で菓子を出したい小売店の方、地域の産品で返礼品を作りたい事業者の方。どの人も、何を聞けばいいのかがまだ分かっていません。
だからこそ、聞かれる前に、条件を書いておくことが効きます。書いてあれば、合う人は条件を読んだうえで連絡してきます。
この記事の役割
下請けの仕事が中心の会社が、取引先に向けてサイトをどう使うかは、下請けの仕事が中心の会社に、ホームページは効くのか にまとめました。この記事は、その中でも食品の製造を請け負う会社、とくに小さな量から受ける会社に絞って、サイトに何を置くかを書きます。
この記事で書くこと
- 頼む人ごとに、知りたいことがどう違うか
- 作れるものと、作れないものの一覧
- 最小の注文の量(ロット)と、費用が決まる条件
- 相談から試作・量産・納品までの流れと、期間の目安
- レシピや情報の扱い、衛生管理や認証、表示の作成、見学の受け入れ
2. 頼む人ごとに、知りたいことが違う
先に、どんな人がサイトを見に来るかを並べておきます。同じ「製造を頼みたい」でも、立場によって知りたいことがかなり違います。
| 頼む人 | 知りたいこと | つまずきやすいところ |
|---|---|---|
| 自社の商品を作りたい飲食店 | 店の味をそのまま再現できるか/少ない数から作れるか/レシピを預けて大丈夫か | 最小の量が分からず、自分の店の規模で頼んでいいのか迷う |
| 自社の名前で売りたい小売店 | すでにある品に自社の名前を付けられるか/中身から作るといくらか/包装を選べるか | 中身から作る話と、名前を替える話の違いが書いていない |
| ふるさと納税の返礼品を考える事業者 | 地域の原料を使えるか/返礼品の時期に間に合うか/直接発送できるか | 返礼品には自治体ごとの決まりがあり、作る側だけでは判断できない |
| 食品会社の商品開発の担当者 | 設備と作れる量/衛生管理と認証/試作の進め方/秘密を守る約束 | 社内の稟議に使える書類や事実がそろっているか |
上の2行と下の2行で、知りたいことの細かさが違います。初めて頼む人には「頼めるかどうか」の手がかりを、開発の担当者には判断に使える事実を。同じページで両方に答えようとすると、どちらにも足りなくなります。
入口を、初めての方と開発の担当者で分ける
トップページには、「初めて製造をご依頼される方へ」と「商品開発ご担当の方へ」の2つの入口を置くと、読む人が自分の道を選べます。
初めての方の入口では、「OEM」「ロット」「仕様書」といった言葉を、使うならすぐ後ろで言い直します。開発の担当者の入口では、設備や作れる量、衛生管理、出せる書類を、比べやすい形で並べます。はじめて取引する会社の担当者が確かめたい書類や手続きは、はじめて取引する会社の担当者が、ホームページで確かめたいこと にまとめてあります。
ふるさと納税の返礼品については、「返礼品にできるかどうかは、自治体の決まりによります。自治体の窓口にご確認ください」と添えておきます。作る側が「返礼品にできます」と言い切らないほうが、あとで行き違いになりません。
3. 作れるものと、作れないものの一覧
頼む人がまず確かめるのは、自分の作りたいものが、この会社で作れるかどうかです。ここが一覧になっていないと、問い合わせの最初の数回がその確認に使われます。
作れるものは、品目・形・温度帯で並べる
「食品全般の製造を承ります」と書くと、読む人は自分の品が入っているか分かりません。品目と、詰める形と、温度帯の3つで並べると、探しやすくなります。
- 品目 ― たとえば、たれ・ソース・ドレッシング、焼き菓子、惣菜、漬物や佃煮などの加工品
- 詰める形 ― 瓶、袋、カップ、箱詰め、個包装。容器を選べるか、持ち込みができるか
- 温度帯 ― 常温、冷蔵、冷凍のどれで作れて、どれで出荷できるか
- 工程 ― 加熱、殺菌、充填、包装、ラベル貼り。どこまでを社内で受けるか
それぞれに、これまでに作ったことのある品の例を添えると、読む人は自分の品に近いものを探せます。例は、取引先の名前を出さずに、品の種類だけで書いてください。
作れないものを書くと、問い合わせの中身が変わる
作れないものの一覧は、書くのをためらう会社が多いところです。ただ、作れないものが書いてあると、作れるものの一覧が信用されます。
- 扱わない原料 ― 工場で扱っていない原料があれば、その名前を
- 受けない工程 ― たとえば、揚げる工程は受けていない、冷凍の出荷はしていない、など
- 受けない形 ― 原料の持ち込みだけ、詰め替えだけ、といった依頼を受けるかどうか
- 受けない量 ― 上限があるなら、その目安
設備の一覧を載せるなら、設備の名前を並べるだけでなく、その設備で何がどれくらい作れるかの言葉に直します。書き方は 保有している車両や設備の一覧を、ホームページに載せるかどうか にまとめました。
4. 最小の注文の量(ロット)と、費用が決まる条件
小さな量から受けることを売りにしている会社ほど、ここが大事になります。「小ロット対応」と書くだけでは、どれくらい小さいのかが分かりません。
ロットは、品目ごとに、決まる理由と一緒に書く
最小の量は、品目や詰める形によって違うことが多いと思います。品目ごとに分けて、たとえば「〇個から」「〇kgから」のように書きます。
あわせて、なぜその量になるのかを一言添えます。
- 仕込みの単位 ― 1回に炊く・焼く量で、最小が決まる
- 容器や包材の単位 ― 容器や袋の仕入れが、まとまった数でしかできない
- ラベルの印刷 ― 名前入りのラベルを作るとき、印刷の単位がある
理由が書いてあると、読む人は「容器を既製のものにすれば、もっと少なくできるのか」と自分で考えられます。
費用は、決まる条件を並べる
食品の受託製造の費用は、案件ごとに大きく違うので、金額を書きにくいと思います。その場合でも、何で費用が決まるかは書けます。
- 原料 ― 使う原料の種類と量。地域の特産品や、指定の原料を使う場合
- 容器と包材 ― 既製のものか、新しく作るものか
- 作る量 ― 1回あたりの量と、続けて作るかどうか
- 工程の手間 ― 手作業の工程が多いか、詰め合わせがあるか
- 試作 ― 試作の回数と、試作に費用がかかるかどうか
- 保管と発送 ― 出来上がった品を預かるか、各地へ直接送るか
そのうえで、条件つきの例を1つ出せるなら出します。たとえば(架空の例です)「たれを瓶で〇本、既製の瓶とラベルを使う場合で、1本あたり〇円ほどから」のような形です。載せるときは貴社の実際の数字で、条件と一緒に書いてください。
見積もりの依頼で聞くこと
費用の条件を並べたら、見積もりの依頼のフォームで、その条件を聞きます。作りたい品、作りたい量、容器の希望、時期、試作が要るか。分からない人でも選べる選択肢にしておくと、初めての方も送りやすくなります。聞く項目の決め方は、見積もり依頼のフォームは、何をどこまで聞けばいいか にまとめてあります。
5. 相談から試作・量産・納品までの流れと、期間の目安
初めて頼む人がいちばん想像できないのが、相談してから品が届くまでに何が起きて、どれくらいかかるかです。ここを図にしておくと、問い合わせの段階で予定の話ができるようになります。
作りたい品、量、時期、予算の考え方を伺います。作れるかどうか、どの形なら作れるかをお返事します。秘密を守る約束が要る場合は、この段で結びます。
レシピや見本をもとに試作し、味や形を確かめていただきます。直しが要る場合は、もう一度試作します。試作の回数と費用の決まりを、この段の前にお伝えします。
配合、容器、包装、作る量を決めます。ラベルや表示の中身もここで固めます。容器や包材を新しく作る場合は、その手配の時間がかかります。
決まった仕様で製造します。初回は立ち会いができるかどうかも、ここでお伝えします。
貴社へまとめて納める、指定の倉庫へ送る、お客様へ直接送る、のどれに対応するかを書きます。2回目以降の注文の締め切りも、ここで決めます。
期間は、品目や時期で大きく変わります。全体の合計を1つの数字で書くより、段ごとの目安と、延びやすい段を書くほうが、頼む人が自分の予定に当てはめられます。返礼品や季節の商品のように締め切りがある依頼は、その日から逆算して相談してほしいと書いておきます。
試作の申し込みは、条件を書いてから受ける
試作は、受ける側にとっては手間と原料がかかる仕事です。試作が無料か有料か、何回までか、何を用意してもらうかを先に書いておきます。
- 費用 ― 試作は有料か。量産を頼んだ場合に差し引くかどうか
- 回数 ― 何回まで直せるか。それを超える場合の扱い
- 用意してもらうもの ― レシピ、見本の品、使いたい原料、目標の味の説明
- 受けない場合 ― 量産の予定がない試作だけの依頼を受けるかどうか
サンプルやお試しの申し込みをサイトで受けるときの考え方は、サンプルやお試しの申し込みを、ホームページで受けるか にまとめてあります。
6. レシピや情報の扱い:秘密を守る約束の書き方
飲食店の方がいちばん気にするのは、大事なレシピを預けて、ほかの店に同じものを作られないかだと思います。
何を約束しているかを、平たく書く
秘密を守る約束をしているなら、その中身を、契約の言葉ではなく普段の言葉で書いておきます。
- いつ結ぶか ― たとえば「レシピをお預かりする前に、秘密を守る約束の書面を交わします」
- 誰が見るか ― レシピを見るのは、製造に関わる担当者だけか
- ほかの依頼への使い方 ― お預かりしたレシピを、ほかの依頼に使わないこと
- 取引が終わったとき ― 預かった書類や見本をどうするか
書くのは、会社として実際に守っている決まりだけにしてください。
レシピの権利と、契約の中身は専門家に
レシピや配合を誰のものとするか、一緒に直した配合はどうなるか、といったことは、契約で決めることが多いと思います。ここは取引の形によって違うので、契約の中身は専門家に確認してください。サイトでは、「レシピや配合の扱いは、ご契約の前にご説明し、書面で取り決めます」と書いておけば足ります。
実績の載せ方にも、同じ配慮を
受託製造の会社は、実績を載せにくい商売です。取引先の名前や商品名は、相手の了解がない限り載せないのが基本です。了解が得られない場合は、「飲食店のたれ」「地域の焼き菓子」のように、品の種類と量の規模だけで書きます。
7. 衛生管理・認証・表示の作成と、見学の受け入れ
衛生管理は、行動で書く
「徹底した衛生管理」と書いても、何をしているかは伝わりません。実際にしていることを、行動で書きます。
- 作業に入る前のこと ― 着替え、手洗い、持ち込まないものの決まり
- 記録 ― 温度や工程を記録しているか、どれくらいの期間残しているか
- 検査 ― 出荷の前に何を確かめているか。外部に検査を頼んでいるか
- 原料の扱い ― 原料の受け入れのときに何を確かめているか
食品の衛生管理や営業の許可には決まりがあり、何が求められるかは品目や工場によって違います。業種や品目によって違うので、所管の窓口・専門家に確認してください。サイトには、実際に受けている許可と、していることだけを書きます。
認証は、範囲と期限を添える
第三者の認証を受けているなら、名前だけでなく、どの工場の、どの品目が対象かを書きます。認証は工場や工程ごとに受けることがあり、全部の品に当てはまるとは限らないからです。有効期限があるものは、期限が切れたときに直し忘れないよう、更新の時期を社内のカレンダーに入れておきます。書き方は 資格・許認可・受賞歴を、ホームページにどう載せるか にまとめてあります。
表示の作成を手伝うかどうか
食品には、原材料やアレルゲン、保存の方法などの表示が要ります。受託製造では、この表示を誰が作るかが、頼む人にとって大きな心配ごとです。
サイトには、貴社がどこまで手伝うかを書きます。
- 配合から、表示の案を出すか ― 原材料の並びやアレルゲンの一覧の案を作るか
- 最終の確認は誰がするか ― 案を出すとしても、最終の確認は依頼者の側でしていただくのか
- 手伝わない場合 ― 表示は依頼者の側で作っていただく、と書く
表示の中身に誰が責任を持つかは、売り方や契約の形によって変わります。所管の窓口や専門家に確認してくださいと添えておきます。あわせて、依頼者が「体によい」のような効き目をうたう言葉を表示や宣伝に使いたいときは、決まりがあるので確かめてから、と一言書いておくと、行き違いを防げます。
見学の受け入れは、条件を先に書く
工場を見てから決めたい、という依頼者は多いと思います。見学を受けるなら、条件を先に書いておきます。
- 受けられる時期 ― 製造のない日だけか、製造中も見られるか
- 入れる範囲 ― 衛生上、入れない場所があるか。窓越しの見学になるか
- 人数と服装 ― 何人まで、着替えや持ち物の決まり
- 申し込み方 ― 何日前までに、どの窓口へ。試作の申し込みと同じ入口にまとめると、返事が早くなります
8. 雄喜晃の伴走:頼む人ごとの入口を、作れる範囲の事実から作ります
私たち雄喜晃は、食品の製造を請け負う会社のホームページを作るとき、最初に「誰が頼みに来るか」と「何が作れて、何が作れないか」を伺うところから始めます。そこが決まれば、入口の分け方と、書く条件が決まります。
私たちがやること
- 入口を、初めての方と開発の担当者で分けます ― 言葉の平たさと、並べる事実の細かさを、読む人に合わせます
- 作れるもの・作れないものを、伺って一覧にします ― 品目・詰める形・温度帯・工程で並べ、受けないものも書きます
- ロットと費用の決まり方を、文章にします ― 最小の量が決まる理由と、費用が決まる条件を、貴社の実際から書き起こします
- 相談から納品までの流れを、段ごとの目安つきで図にします
- 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 工場や品の写真の明るさや向きをそろえ、写ってはいけないものがないかを一緒に確かめます
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、作れる品目が増えたとき、認証を更新したとき、受付の時期が変わったときも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
- 秘密を守る約束の書面や、契約の中身は作りません。サイトには、貴社が実際に守っている決まりを平たい言葉で載せます。契約は専門家にご相談ください
- 衛生管理・認証・表示が決まりに合っているかの判断はしません。気になる点は、所管の窓口や専門家に確認していただくようお願いしています
- 取引先の名前や商品名を、了解なく載せることはしません
- 検索順位や問い合わせの件数をお約束することもしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「同じ説明を、問い合わせのたびに一から繰り返している」という受託製造の会社の方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:頼む人が、問い合わせる前に条件を測れるようにする
食品の製造を請け負う会社のホームページで押さえることは、5つです。
- 頼む人ごとに入口を分ける ― 初めての方には頼めるかの手がかりを、開発の担当者には判断に使える事実を
- 作れるものと作れないものを一覧にする ― 品目・詰める形・温度帯・工程で並べ、受けないものも書く
- ロットと費用は、決まる理由と条件を書く ― 「小ロット対応」の一言で終わらせず、品目ごとの最小の量と、その理由を
- 流れと期間は、段ごとの目安で示す ― 延びやすい段を書き、締め切りのある依頼は逆算して相談してもらう
- レシピの扱い・衛生管理・認証・表示は、実際の決まりだけを書く ― 制度や契約のことは、所管の窓口・専門家に確認を
受託製造の問い合わせが前に進まないのは、頼む人が条件を知らないまま連絡してくるからです。条件を先に書いておけば、最初の連絡が「この条件で頼めますか」から始まります。
まず、今日できること
直近の問い合わせを3件ほど見返して、最初のやり取りで聞かれたことを書き出してみてください。いくつから作れるか、何が作れるか、いくらか、いつ届くか、レシピはどう扱うか。その答えが今のサイトのどこにあるかを探すと、最初に足すべきページが見えてきます。