1. 「一点ものなので、サイトに書きようがないと思っていました」
家具の工房を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「うちは全部、注文を受けてから作るんです。同じものは二つとないので、値段も期間も、話を聞いてみないと分からない。だからサイトには作品の写真を何枚かと、電話番号だけ載せているんです。それでも問い合わせは来るんですが、話してみたら予算が全然合わない、ということが多くて」
決まった値段や期間が書けないのは、そのとおりです。ただ、頼む側から見ると、写真と電話番号だけでは、自分が頼んでいい相手なのかどうかが分かりません。
注文家具を頼む人の多くは、初めて頼みます。何を伝えればいいのか、どれくらい待つのか、いくらくらいの話なのか。この3つが見えないと、電話をかける前に止まります。
見に来る人は、3種類いる
工房のサイトを見に来る人は、大きく3つに分かれます。
- 家の家具を頼みたい人 ― 食卓や本棚、テレビ台など。部屋に合う大きさのものが既製品で見つからなかった人も多い
- 店舗を作る人 ― カウンターや陳列の棚、レジまわりの什器など。開店の日が決まっていることが多い
- 設計事務所や工務店 ― 図面を持って、造作の家具や建具の製作を頼める先を探している
同じ「家具を作ってほしい」でも、知りたいことがまるで違います。それぞれに入口を用意しておくのが、この業種のサイトの役目です。
この記事で書くこと
- 頼む人ごとの入口の分け方
- 作れるものと、作れないもの
- 相談から納品までの流れと期間の目安
- 費用が決まる条件(大きさ・木の種類・仕上げ・金具・搬入)
- 木と仕上げの説明、工房の見学
- 作品写真の見せ方と、修理や塗り直し
2. 頼む人ごとに、入口を分ける
同じページに混ぜると、誰にも読みにくい
家庭の方は相談の進め方を、店舗の方は開店に間に合うかを、設計事務所や工務店の方は図面どおりに作れるかを知りたい。1つのページに並べると、どの人も自分に関係のない話を読み飛ばすことになります。トップページで「ご家庭の方」「店舗をつくる方」「設計事務所・工務店の方」と3つに分け、それぞれのページへ案内するのがいちばん分かりやすい形です。
| 頼む人 | 最初に知りたいこと(たとえば) | 入口のページに置くこと |
|---|---|---|
| ご家庭 | 何から伝えればいいか/いくらくらいか/どれくらい待つか | 相談の流れ、費用が変わる条件、家にいる必要がある日、作品の例 |
| 店舗をつくる方 | 開店に間に合うか/内装の工事とどう合わせるか | 相談の締め切りの目安、間に合わない場合の伝え方、内装を担う会社とのやりとりの仕方 |
| 設計事務所・工務店 | 図面どおりに作れるか/現場で取り付けまでするか/支払いの条件 | 受けられる仕事の範囲、図面の受け取り方、請求書での支払い、回れる地域 |
3つの入口を全部つくる必要はありません。受けている相手だけに入口を置き、受けていない相手には「お受けしていません」と書くのが要点です。店舗や設計事務所からの依頼を受けていないなら、その一行で行き違いが減ります。
店舗の依頼では、日付の話を先に書く
店舗の什器は、開店の日から逆算して話が進みます。「開店のおよそ〇か月前までにご相談いただけると、図面からご一緒できます」のように、相談の締め切りの目安を書いておきます。
店舗の内装には、建物の使い方によって材料や仕上げの決まりがある場合があります。どの決まりが当てはまるかは、建物や用途によって違うので、設計者や所管の窓口に確認をと添えておきます。工房が答えるのは、何で作れて、いつ納められるかです。
設計事務所・工務店向けには、受け方を具体的に
図面を持ってくる側は、工房の腕より先に、仕事の受け方を確かめています。図面の形式、現場の採寸や取り付けまで受けるのか、請求の締め日と支払日を書いておきます。
設計事務所が自社のサイトで何を見せているかは、設計事務所のホームページに、何を載せるか にまとめました。相手が何を大事にしているかを知っておくと、こちらの書き方も決めやすくなります。元請けからの仕事が中心の工房なら、下請けの仕事が中心の会社に、ホームページは効くのか もあわせて読んでみてください。
3. 作れるものと、作れないものを書く
作れるものは、種類と大きさで並べる
「家具全般」と書くより、作れるものを名前で並べるほうが、読む人は自分の頼みごとが入っているかを探せます。
- 食卓・机 ― ダイニングテーブル、書斎の机、子どもの学習机
- 収納 ― 本棚、食器棚、テレビ台、壁一面の造り付けの棚
- 椅子・小物 ― 椅子やスツール、まな板やお盆などの小さな木工品
- 店舗の什器 ― カウンター、陳列の棚、レジ台、看板の木枠
- 建具 ― 室内の扉、格子、引き戸
あわせて、作れる大きさの上限も書いておきます。「一枚の天板で、長さ〇mほどまで」のように書いてあると、大きなものを考えている人は相談の前に見当がつきます。
作れないものを、先に書いておく
ここを書いていない工房が多いのですが、作れないものを書くと、作れるものの話が信じてもらいやすくなります。たとえば、次のようなものです。
- 同じものを大量に作る仕事 ― 何十脚もの同じ椅子など、工房の規模で受けられない数
- 木以外が主になるもの ― 金属やガラスが主役の家具、布張りのソファなど
- 電気や水まわりの工事を伴うもの ― 照明の配線や、流し台の取り付けなど。別の業者さんの手配が要るもの
- 写真だけを見て同じものを作る依頼 ― ほかの作り手の作品をそのまま写す注文
最後の1つは、「お好きな雰囲気を伺って、一から考えます」と添えると角が立ちません。断る文章は、どう受けるかの説明にもなります。
4. 相談から納品までの流れと、期間の目安
流れを段で書くと、待つ理由が伝わる
注文家具は、届くまでに時間がかかります。なぜそれだけかかるのかが分からないと、長く感じます。段を追って書いておくと、待つ時間に中身があることが伝わります。
何を、どこに置きたいか、だいたいの予算を伺います。手描きの絵や、お部屋の写真があると話が早く進みます。
置く場所の寸法と、運び込む道すじを測ります。床の傾きや、壁の中に下地があるかも、ここで確かめます。
図面と、木の種類や仕上げの案をお出しします。直したいところがあれば、図面を描き直します。
木を選び、切り出し、組み立て、塗装します。木の種類によっては、材料が揃うまでに時間がかかります。
お届けして、置く場所で水平を合わせます。造り付けの棚は、その場で取り付けます。
期間は、段ごとの目安と、全体の目安の両方を書くと伝わります。全体だけだと長さに驚かれ、段ごとだけだと合計が分かりません。混み具合で変わる場合は「いまのご相談から製作に入れるのは〇月ごろです」のように、更新できる一行を別に置いておきます。
期間が延びる条件も書く
期間が延びやすい条件も、先に書いておきます。
- 図面の直しが重なったとき ― 決まるまでの時間は、製作の期間に入っていない
- 材料の木が手に入りにくいとき ― 種類や大きさによって、揃うまで待つ
- 混む時期 ― 引っ越しや開店が集まる時期は、製作に入るまで間があく
期間の書き方そのものは、納期や「何日かかるか」を、ホームページにどう書くか に詳しくまとめてあります。
5. 費用が決まる条件を書く
金額の前に、決まり方を書く
注文家具の費用は、条件次第で大きく動きます。だからこそ、金額より先に、何で決まるかを書きます。決まり方が分かれば、読む人は自分が高くなる側か、抑えられる側かの見当がつきます。
- 大きさ ― 同じ形でも、大きくなるほど材料と手間が増える。一枚の天板で作るか、はぎ合わせるかでも変わる
- 木の種類 ― 木によって材料の値段が違う。同じ種類でも、木目のそろった材を選ぶと上がる
- 仕上げ ― 塗装の種類や、塗り重ねる回数。手ざわりを残す仕上げか、汚れに強い仕上げか
- 金具 ― 引き出しのレール、扉の蝶番、取っ手。使う金具の種類と数で変わる
- 搬入と据え付け ― 階段で上げるか、吊り上げが要るか、造り付けにするか。届け先までの距離
例は、条件と一緒に並べる
決まり方を書いたうえで、例をいくつか、条件と金額の組で並べます。次の金額はすべて架空で、形だけの例です。
- たとえば、4人掛けの食卓 ― 「長さ〇cm×奥行き〇cm、木の種類は〇〇、オイルの仕上げ、脚は4本。〇〇万円から」
- たとえば、壁一面の本棚 ― 「幅〇m×高さ〇m、造り付け、扉なし。〇〇万円から。扉を付ける場合は1枚ごとに加算」
- たとえば、店舗のカウンター ― 「長さ〇m、天板は無垢の一枚板、下に収納あり、現場での取り付け込み。〇〇万円から」
書けるなら、実際にご依頼の多い金額の帯も添えてください。「から」だけを見た人が、図面のあとの見積もりで驚くことが減ります。料金の出し方の考え方は、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。
抑えられる条件も書く
高くなる条件だけを並べると、読む人は身構えます。抑えられる条件も同じくらい書いておくと、予算の少ない人も相談しやすくなります。
- 木の種類を、手に入りやすいものにする
- 一枚板ではなく、はぎ合わせた板にする
- 引き出しや扉の数を減らす
- 工房まで取りに来ていただく
見積もりが無料か、図面のあとで断ってもよいかも書いておきます。図面を描いてもらったら断りにくいと感じて、相談をためらう人がいるからです。
6. 木の種類と仕上げを、暮らしから選べる形で書く
名前より、使い方から説明する
木の名前を並べるだけでは、頼む側は選べません。どんな暮らしに向くか、どう変わっていくかから書くと読まれます。
- ナラ・オーク ― 硬めで、傷がつきにくいとされる。食卓や椅子によく使われる
- タモ ― 木目がはっきりしていて、明るい色。粘りがあるとされる
- ウォルナット ― 濃い茶色で、落ち着いた部屋に合わせやすい。材料の値段は高めになることが多い
- チェリー ― 使ううちに色が深くなっていくとされる。色の変わり方を楽しみたい人に
特徴は、「〜とされる」「〜ことが多い」のように言い切らない書き方にしてください。硬さや色の変わり方は、同じ種類でも一本ごとに違います。扱っている木だけを書き、扱っていない木は載せないでおきます。
無垢材と、そうでない材の違いを書く
一本の木から切り出した無垢材と、薄い板を貼った材、小さな材をはぎ合わせた材の違いも短く書きます。良い悪いではなく、値段と重さ、反りやすさの傾向が違う、という書き方にします。
無垢材なら、木は季節で縮んだり膨らんだりすることも書いておきます。冬に隙間が少しできる、夏に引き出しが固くなる。先に知らせておけば、届いてから「不具合ですか」と驚かれずに済みます。
仕上げは、手入れの手間と一緒に
仕上げは、見た目と手ざわり、それから手入れの手間で選ばれます。オイルの仕上げは手ざわりが残るかわりに、ときどき塗り直す手入れが要る。表面に膜を作る塗装は汚れに強いかわりに、手ざわりが少し変わる。どちらがよいかは暮らし方で決まると書いておきます。
工房の見学を、案内として書く
木の色や手ざわりは、画面では伝わりきりません。工房や展示の場所で、実物の木や見本を見られるかを書いておきます。見学を受けるなら、次のことを並べます。
- 予約が要るか ― 作業中は手が離せないことが多いので、予約制なら先にそう書く
- 見られるもの ― 木の見本、仕上げの見本、作りかけの作品、置いてある家具に座れるか
- 工房の中での注意 ― 刃物や工具のある場所には入れないこと
- 場所と車 ― 駐車場の有無、分かりにくい道なら目印
「見学だけでも構いません」と書けるなら、書いておいてください。実物を見てから頼むかどうかを決めたい人が、来やすくなります。手の仕事そのものの見せ方は、職人の技術を、ホームページでどう伝えるか に書きました。
7. 作品の見せ方と、修理・塗り直しの受け付け
写真は、置かれた場所が特定されない形で
作品の写真は、いちばん見られるところです。ただ、納めたお宅やお店で撮った写真には、暮らしの様子が写り込みます。窓の外の景色、表札、家族の写真、本棚の背表紙。どこの家か、誰の暮らしかが分かる写真は、載せる前に外すか、写らない角度で撮り直します。
- 工房で撮る ― 納める前に、白い壁や板の前で撮る
- 寄って撮る ― 天板の木目、引き出しの組み手、脚の付け根など、作りが分かるところ
- 部屋で撮るなら、了解を取る ― 載せてよいかを先に聞き、写り込みを一緒に確かめる
- 店舗は、開店前に ― お客様が写らない時間に、お店の了解を取ってから
写真には、木の種類、大きさ、仕上げ、期間の目安を短く添えます。条件があると、読む人は自分の頼みごとと比べられます。
修理と塗り直しの受け付けを書く
修理や塗り直しも、サイトに書かれていないと、頼めることが知られていません。受けている内容を名前で並べます。
- 塗り直し ― 天板のしみや輪じみ、日焼けした表面を削って塗り直す
- ぐらつきの直し ― 椅子や机の脚のゆるみ、引き出しの動きの悪さ
- 部品の取り替え ― 取っ手や蝶番、引き出しのレール
- 大きさの直し ― 引っ越し先に合わせて、棚の高さや天板の長さを変える
あわせて、自社で作った家具以外も受けるかを書きます。親から受け継いだ家具や、買った家具の直しを受けるなら、そう書いてあるだけで連絡が来やすくなります。
修理は、写真を送ってもらうところから
修理の相談は、まず写真を送ってもらう流れにしておくと手間が少なく済みます。全体、傷んだところの寄り、裏や脚の付け根と、撮ってほしい場所を並べておきます。持ち込みか、引き取りか、出張で直せるのかも書いておきます。
直した前と後の写真を並べて載せると、何ができるのかが一目で伝わります。撮り方のこつは、施工前と施工後の写真を、比べられる形で撮る にまとめました。
8. 雄喜晃の伴走:一点ものの仕事を、相談の前に読める形にします
私たちがやること
私たち雄喜晃は、工房のホームページを作るとき、最初に「相談の電話で、毎回説明していること」を伺うところから始めます。進め方、期間、何で費用が変わるか、木のこと。ふだん口で説明していることが、サイトに書く中身になります。
- 頼む人ごとの入口を分けます ― ご家庭・店舗・設計事務所や工務店のうち、実際に受けている相手に向けて組みます
- 作れるものと作れないもの、流れと期間の目安を整理します ― 貴社がふだん受けている仕事を伺って並べます
- 費用が決まる条件と、例の書き方を一緒に考えます ― 金額は貴社が決めたものを、条件と組にして載せます
- 木の種類や仕上げ、見学と修理の案内を、選べる形にまとめます
- 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 明るさや大きさをそろえ、写り込みに気づいた点はお伝えします
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、「いまのご相談から製作に入れる時期」の一行や、作品の追加も、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
- 家具の値段そのものは決めません。決まった金額と条件を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
- 店舗の内装の決まりや、搬入の可否の判断はしません。設計者や管理会社、所管の窓口で確かめていただくようお願いしています
- 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月に設立しました。
「作品の写真と電話番号だけで、あとは話してみないと分からない」という状態の工房の方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:一点ものでも、決まり方は書ける
オーダー家具・木工の工房のホームページで押さえることは、5つです。
- 頼む人ごとに入口を分ける ― ご家庭、店舗をつくる方、設計事務所や工務店。受けていない相手にはそう書く
- 作れるものと作れないものを並べる ― 種類と大きさの上限、お受けしない仕事と、その理由
- 流れと期間は、段ごとと全体の両方で ― 家にいる必要がある日と、延びる条件も添える
- 費用は、決まり方を先に書く ― 大きさ・木の種類・仕上げ・金具・搬入。例は条件と組にし、抑えられる条件も
- 木と仕上げは暮らしから、作品写真は暮らしが写らない形で ― 見学と、修理や塗り直しの受け付けも書く
一点ものの仕事でも、何で決まるか、どう進むかは書けます。そこが読めれば、頼む側は相談していい相手かどうかを、電話の前に判断できます。
まず、今日できること
この半年に受けた相談を3件思い出して、それぞれ「何を、どの木で、どの大きさで、どれくらいの期間で」作ったかを書き出してみてください。金額も分かる範囲で添えます。その3行が、そのまま費用の例の下書きになります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。相談のたびに口で説明していることを、相談の前に読める形にするところから、ご一緒します。