1. 「税理士さんとは何が違うんですか、と毎回聞かれるんです」

記帳代行や経理代行の会社を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「問い合わせの電話の半分くらいは、『申告もやってもらえるんですか』から始まるんです。うちは帳簿づけと請求書まわりの会社なので、そこはできませんとお伝えするんですが、サイトには『経理のことなら何でもお任せください』と書いてしまっていて」

帳簿づけや請求書の発行を外に頼みたい人は多いはずです。ただ、頼む側の多くは、記帳代行と税理士事務所の違いをはっきりとは知りません。「経理を頼める先」として、同じ並びで探しています。

そのため、この業種のサイトでいちばん大事なのは、何をお受けして、何をお受けしないかを最初に書くことです。ここが曖昧だと、頼む側は申告まで頼めると思って連絡し、話の途中でお互いに困ります。

見に来る人は、3種類いる

  • ひとりで事業をしている人 ― 本業で手いっぱいで、領収書の整理が後回しになっている
  • 小さな会社 ― 経理の担当がいない、または担当が辞めることになった
  • 税理士事務所 ― 繁忙期や人手の足りない時期に、入力の作業を外に出したい

同じ「帳簿をつけてほしい」でも、知りたいことは違います。それぞれに入口を用意しておくのが、この業種のサイトの役目です。

この記事で書くこと

  • できること・できないことの書き方
  • 頼む人ごとの入口の分け方
  • 仕訳の量や頻度で変わる料金の見せ方
  • 資料の受け渡しの流れと、情報の扱い
  • 会計ソフトの書き方と、契約の終わり方

2. できること・できないことを、最初に書く

資格の要る仕事との線引きがある

最初にお断りしておきます。私たちは税や法律の専門家ではありません。ここでは一般論だけを書きます。

経理のまわりの仕事には、資格を持つ人でなければ受けられないとされる仕事と、そうでない仕事があります。一般には、税の申告書を作ること、税務署とのやりとりを代わりに行うこと、個別の税の相談に答えることは、税理士の資格が要る仕事とされています。社会保険や労働保険の届出の書類を作って出すことにも、社会保険労務士の資格が関わる場合があります。

どこまでが資格の要らない仕事に当たるかは、仕事の中身や受け方によって違うとされます。貴社の仕事がどちらに当たるかは、サイトを作る前に、所管の窓口や専門家に確認してください。サイトに書くのは、確認したうえでお受けしている仕事だけです。

線引きを、3つに分けて見せる

確認ができたら、それを読む人に分かる形で並べます。「お受けする仕事」「お受けしない仕事」に、資格の要る仕事が出てきたときにどうするかを加えた3つに分けると、読む人は自分の頼みごとがどこに入るかを探せます。

図:できること・できないことを、3つに分けて見せる(中身はたとえばの例で、貴社が確認した範囲で書きます)
① お受けする仕事
帳簿づけと、請求書まわりの事務

たとえば、領収書や通帳をもとにした帳簿の入力、請求書の発行と送付、入金の確認、給与計算の補助、振込の準備など。

書くこと:仕事の名前と、どこまでやるか
② お受けしない仕事
資格が要るとされる仕事

たとえば、税の申告書の作成や提出、税務署とのやりとり、節税などの個別の税の相談、社会保険の届出の手続き。

書くこと:お受けしないことを、はっきり一行で
③ そのときの進め方
資格の要る仕事が出てきたら

たとえば、お客様の顧問の税理士に帳簿をお渡しする、税理士がいない場合は探す窓口をご案内する、など。

書くこと:お受けできない先で、どうつながるか

②を書くのは、断るためではありません。①が何かをはっきりさせるためです。③まで書いてあれば、頼む側は「申告はどうなるのか」で止まらずに連絡できます。どの仕事がどこに入るかは、所管の窓口や専門家に確認してから決めてください。

「何でもお任せください」を使わない

冒頭の方のように、「経理のことなら何でも」と書いてしまうのはよくあることです。ただ、この業種では「何でも」が、お受けできない仕事まで含んで読まれます。書くなら「帳簿づけと請求書まわりのことなら」のように、範囲を言葉で区切ってください。

税理士事務所と連携しているなら、その形も書きます。どこまでが貴社の仕事で、どこからが税理士の仕事かが分かれば、読む人は一度で全部を頼めるのかどうかを判断できます。

3. 頼む人ごとに、入口を分ける

ひとりで事業をしている人には、始め方を

ひとりで事業をしている人がいちばん知りたいのは、何を、どれくらい用意すれば頼めるのかです。領収書が箱にたまっている、通帳を何冊も持っている、去年の分から手をつけていない。そういう状態でも頼めるのかを書いておきます。

  • 途中からでも頼めるか ― 年の途中から、たまった分をまとめて受けるか
  • 用意してほしいもの ― 領収書、請求書の控え、通帳やカードの明細
  • やりとりの手段 ― 平日の昼に電話がとれない人のために、メールやメッセージで済むか

ひとりで事業をする人は、自分も小さな事業者として相手を見ています。一人社長の会社のサイトの考え方は、一人社長・家族経営の会社の、ホームページ にまとめてあります。

小さな会社には、担当者が抜けたときの話を

小さな会社からの依頼は、経理の担当が辞める、休むことがきっかけになることが多いはずです。急いでいるので、次のことを先に書いておきます。

  • いつから始められるか ― 相談から引き受けまでの日数の目安
  • 社内に残る仕事 ― 支払いの承認や、現金の管理など、会社に残してもらう仕事
  • 前の担当からの引き継ぎ ― 途中の帳簿や、これまでのやり方をどう受け取るか

税理士事務所には、受け方の条件を

税理士事務所からの外注は、個人のお客様とは知りたいことがまるで違います。入力の形式、受けられる量、繁忙期の受け方、事務所のお客様の情報をどう扱うか。法人向けのまとまりを別に作り、受け方の条件を並べます。

  • 受けられる仕事 ― 入力だけか、資料の整理からか
  • 量と時期 ― 繁忙期に受けられる量、早めに相談してほしい時期
  • 秘密を守る取り決め ― 事務所と交わす約束の形
  • 支払い ― 請求書での支払い、締め日と支払日

人から頼まれる仕事が中心の会社のサイトの役目は、下請けの仕事が中心の会社に、ホームページは効くのか に書きました。士業の事務所が自社のサイトで何を確かめられているかは、業種別に載せるものを整理した記事(士業/工務店/飲食/運送) の士業の節が参考になります。

4. 料金は、決まり方と一緒に見せる

金額を決める3つの条件を書く

記帳代行の料金は、仕事の量で動きます。金額より先に、何で決まるかを書きます。

  • 仕訳の量 ― 月にどれくらいの取引があるか。領収書や明細の枚数の目安で書くと伝わる
  • 頻度 ― 毎月か、数か月ごとか、年に一度まとめてか
  • 資料の受け渡し方 ― 整理して渡してもらうか、まとめて箱で受け取って仕分けからするか

この3つが分かれば、読む人は自分が高くなる側か、抑えられる側かの見当がつきます。

例は、条件と金額の組で並べる

決まり方を書いたうえで、例をいくつか、条件と組にして並べます。次の金額はすべて架空で、形だけの例です。

  • たとえば、ひとりで事業をしている方 ― 「月の取引が〇件ほどまで、毎月の受け渡し、資料はご自身で月ごとにまとめていただく場合。月額〇,〇〇〇円から」
  • たとえば、小さな会社 ― 「月の取引が〇〇件ほどまで、請求書の発行〇件まで、毎月の訪問なし。月額〇〇,〇〇〇円から」
  • たとえば、年に一度まとめて ― 「1年分の資料をまとめてお預かりする場合。〇〇,〇〇〇円から。量によってお見積もり」

あわせて、別にかかるものも並べます。たまった過去の分をまとめて入力するときの費用、給与計算の補助や請求書の発行を足すときの費用、訪問の交通費。最初の月だけかかる費用があるなら、それも書いておきます。料金の出し方の考え方は、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。

抑えられる条件も書く

高くなる条件だけでなく、抑えられる条件も書いておくと、予算の少ない人も相談しやすくなります。資料を月ごとにまとめて渡す、明細を写しではなくデータで渡す、受け渡しをクラウドで済ませる。読む人が自分で費用を抑える方法を見つけられます。

自社の登録番号も、載せる場所を決めておく

経理を任せる相手の請求書は、お客様もよく見ています。貴社の登録番号をサイトに載せるかどうかは、インボイスの登録番号を、ホームページに載せるか で考え方を整理しました。

5. 資料の受け渡しの流れを書く

受け渡しの方法ごとに、手順を分ける

頼む側がいちばん想像しにくいのは、毎月、何を、どうやって渡すのかです。ここを流れで見せておくと、続けられそうかを読む人が自分で判断できます。

図:毎月の資料の受け渡しから、報告までの流れ(日付や言い回しはすべて架空の例です)
① 資料を集める

領収書、請求書の控え、通帳やカードの明細など、その月の分をまとめていただきます。

たとえば「毎月〇日までに、前の月の分をお送りください」
▼
② 受け渡し

郵送、クラウドのファイル共有、訪問のいずれかで受け取ります。どの方法にするかは、最初にご相談して決めます。

方法ごとに、届いたことをどう知らせるかも書いておく
▼
③ 入力と確認

資料をもとに帳簿に入力し、通帳の残高などと合っているかを確かめます。

▼
④ 分からない点のご質問

何の支払いか分からないものは、まとめて一度にお聞きします。

たとえば「ご質問は月に一度、一覧でお送りします」
▼
⑤ ご報告と、資料のお返し

入力が済んだ帳簿と、月ごとの集計をお渡しします。紙の資料はお返しします。

たとえば「毎月〇日ごろに、前の月の分をご報告します」

いちばん効くのは①と⑤の日付です。いつまでに渡せば、いつ返ってくるかが分かると、頼む側は自分の月の予定に組み込めます。質問の来方(④)を書いておくと、「何度も電話が来るのでは」という心配も減ります。

方法ごとに、書いておくこと

  • 郵送 ― 送り先、送り方の目安、届いたことの知らせ方、返すときの送り方
  • クラウドのファイル共有 ― どのような形で受け渡すか、撮った写真でよいか、使う人ごとに権限を分けているか
  • 訪問 ― 伺える地域と頻度、交通費がかかるか

方法を一つに決めず、お客様に合わせて選べるなら、そう書いておきます。紙で受け取るのが安心な人もいれば、写真で送りたい人もいます。

6. 情報の扱いを、約束の形で書く

頼む側が気にしていること

帳簿を頼むということは、お金の出入りを全部見せるということです。取引先の名前、給与の額、通帳の残高。頼む側がためらう理由の一つは、ここにあります。だからこそ、情報をどう扱うかをサイトに書いておきます。

書くのは、言い切りではなく手順

「情報は漏れません」と言い切るのは避けてください。読む人が確かめられませんし、守れなかったときに行き違いのもとになります。書くのは、実際にどう扱っているかの手順です。

  • 秘密を守る約束 ― 契約のときに、秘密を守る取り決めを交わすか
  • 触れる人 ― 誰が資料に触れるのか。担当者を決めているか
  • 保管の場所 ― 紙の資料はどこにどう保管するか、データはどう保管するか
  • 外に出すか ― 仕事の一部をほかに頼むことがあるか、ないか
  • 返却と廃棄 ― 資料をいつ返すか、写しやデータをいつ消すか
  • 何かあったとき ― 紛失などがあった場合に、どう知らせるか

書くのは、実際にしていることだけです。していないことを書くと、それが約束になってしまいます。個人の情報の扱いには決まりがある場合があるので、細かい書き方は専門家に確認してください。情報の扱いをサイトにどう書くかは、お客様の情報をどう扱っているかを、ホームページに書くかどうか にまとめました。

7. 会計ソフトの書き方と、契約の終わり方

ソフトの名前を並べるより、「教えてください」

会計ソフトは、頼む側がいちばん気にすることの一つです。いま使っているソフトのまま頼めるのか、変えなければいけないのか。ここは、扱えるソフトの名前を並べるより、「お使いのソフトを教えてください」と書く形をおすすめします。

  • いま使っているソフトがある方 ― 「お使いのソフトを教えてください。そのままお受けできるかをお伝えします」
  • ソフトを使っていない方 ― 「紙の帳簿や表計算で管理している方も、ご相談ください」
  • ソフトを変えたい方 ― 「乗り換えのご相談もお受けします」と書けるなら、その範囲も

名前を並べると、載っていないソフトを使っている人がそこで止まります。聞く形にしておけば、まず連絡が来ます。

契約の期間を書く

続けて頼む仕事なので、最低の契約期間があるか、いつまでに言えば終われるかを書いておきます。

  • 契約の期間 ― 月ごとの契約か、年単位の契約か
  • 終わるときの申し出 ― 何か月前までに知らせてほしいか
  • 年の途中で終わるとき ― その月までの分の扱い

終わるときの引き継ぎを書く

あまり書かれていないのが、やめるときに何が渡されるかです。ここが書いてあると、頼む側は始める前に安心できます。

  • 帳簿のデータ ― どんな形で渡すか。次の担当や税理士が使える形か
  • 紙の資料 ― 預かっている資料は、いつまでに返すか
  • 次の担当への説明 ― 社内の担当や、次の会社への引き継ぎに応じるか

やめやすいことは、頼みやすいことでもあります。終わり方が書いてあれば、「一度頼んだら抜けられないのでは」という心配が減ります。

8. 雄喜晃の伴走:「何をお受けして、何をお受けしないか」を、最初の画面で伝えます

私たちがやること

私たち雄喜晃は、記帳代行・経理代行の会社のホームページを作るとき、最初に「問い合わせで毎回説明していること」を伺うところから始めます。申告はできるのか、何を渡せばいいのか、いくらか。ふだん電話で説明していることが、サイトに書く中身になります。

  • できること・できないことを、3つに分けて並べます ― 貴社が確認したうえでお受けしている範囲で組みます
  • 頼む人ごとの入口を分けます ― ひとりで事業をしている方、小さな会社、税理士事務所のうち、受けている相手に向けて
  • 料金の決まり方と例、受け渡しの流れを整理します ― 金額は貴社が決めたものを、条件と組にして載せます
  • 情報の扱いと、契約の終わり方を、実際の手順の言葉で書きます
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 事務所の様子や担当者の写真を、明るさや大きさをそろえて配置します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、料金の改定や受け付けの状況の変更も、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 業務の範囲が資格の決まりに合っているかの判断はしません。所管の窓口や専門家で確かめていただくようお願いしています
  • 料金そのものは決めません。決まった金額と条件を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
  • 資料の受け渡しや帳簿を管理する仕組みの開発はしていません
  • 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月に設立しました。

「申告もやってもらえますか、という電話が多い」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:範囲をはっきりさせると、頼みやすくなる

記帳代行・経理代行の会社のホームページで押さえることは、5つです。

  • できること・できないことを最初に書く ― 資格の要る仕事との線引きは、所管の窓口や専門家に確認してから
  • 頼む人ごとに入口を分ける ― ひとりで事業をしている方、小さな会社、税理士事務所
  • 料金は、仕訳の量・頻度・受け渡し方と一緒に ― 例は条件と組にし、抑えられる条件も書く
  • 受け渡しの流れと情報の扱いを、手順で書く ― いつ渡して、いつ返ってくるか。誰が触れて、どう保管するか
  • ソフトは「教えてください」、終わり方も書く ― やめるときに何が渡されるか

この業種のサイトは、範囲を狭く書くほど、頼みやすくなります。何をお受けしないかが分かれば、お受けする仕事を安心して任せられるからです。

まず、今日できること

この1か月に受けた問い合わせで、最初に聞かれたことを書き出してみてください。「申告もできますか」「何を送ればいいですか」「いま使っているソフトのままで大丈夫ですか」。その答えをサイトの中で探すと、足りないところがそのまま見つかります。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。電話でいつも説明していることを、電話の前に読める形にするところから、ご一緒します。