1. 「よそのサイトで出てくる、あのクッキーの表示。うちにも要るんですか」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「最近、いろんなサイトを開くと『クッキーを受け入れますか』って出てきますよね。うちのサイトには何も出ないんですが、これって出さないとまずいんでしょうか。そもそもクッキーが何なのか、よく分かっていなくて」

この迷いは、もっともです。表示を出しているサイトは目に入る機会が増えました。一方で、出していないサイトも、まだたくさんあります。どちらが正しいのか、外から見ても分かりません。

先にお伝えしておくと、この記事では「要る」「要らない」を言い切りません。要るかどうかは、貴社のサイトに何が入っていて、誰が見に来ていて、どんな情報を扱っているかで変わるからです。この記事で書くのは、その決め方です。

プライバシーポリシーの中でアクセス解析やクッキーをどう書くかは ホームページのプライバシーポリシーに、何を書くか にまとめました。この記事は、その中で少しだけ触れた「同意の表示」の話を、もう一歩進めます。

この記事で書くこと

  • クッキーとは何か、なるべく専門用語を使わずに
  • アクセス解析や広告のタグとの関係
  • 同意の表示を出すサイトが増えている背景
  • プライバシーポリシーに書いておくこと
  • 出す・出さないを決める考え方
  • 出す場合の、読む人の邪魔にならない出し方と、よくある失敗

2. Cookie(クッキー)とは、ブラウザに預ける小さなメモ

サイトが、見ている人のブラウザに書き残すもの

クッキーは、サイトが、見ている人のブラウザに預けておく小さなメモのようなものです。次にそのサイトを開いたとき、ブラウザがそのメモをサイトに見せます。

身近な例で言うと、次のようなことにクッキーが使われています。

  • ログインしたままになる ― 会員のページを開くたびに、パスワードを入れ直さずに済む
  • 買い物かごの中身が残る ― ページを移っても、入れた商品が消えない
  • 前に選んだ設定を覚えている ― 文字の大きさや、表示する言葉

どれも、サイトを使いやすくするためのものです。クッキーそのものが悪いものではありません。

名前は入っていなくても、見た跡が残る

クッキーには、ふつう名前や電話番号は入っていません。ただ、同じブラウザで、いつ、どのページを見たかを見分ける手がかりになります。

この手がかりが、ほかの情報と組み合わさると、見ている人の興味や行動がかなり分かるようになります。ここが、同意の話が出てくる理由です。

置くのは、自社のサイトだけではない

もう1つ大事なことがあります。クッキーを置くのは、貴社のサイトそのものだけではありません。

サイトに埋め込んだ地図や動画、SNSのボタン、アクセス解析、広告のタグ。こうした外の会社の仕組みも、見ている人のブラウザにクッキーを置いたり、閲覧の情報を外の会社へ送ったりすることがあります。クッキーのほかにも似た働きをする仕組みがあるので、この記事ではまとめて「クッキーなど」と呼びます。

3. アクセス解析や広告のタグとの関係

同意の表示の話は、ほとんどの場合、サイトに入れている外の会社の仕組みの話です。種類ごとに分けると、考えやすくなります。

図:サイトに入っている「クッキーなど」を、3つに分けて考える(例は一般的なもの)
① サイトが動くのに要るもの
ログイン、買い物かご、フォームの送信

たとえば、会員のページにログインしたままにする、フォームのスパム対策を動かす、といったものです。これを止めるとサイトそのものが使えなくなるので、ほかの2つとは分けて考えられることが多い種類です。

サイトを使うために、要るもの
② アクセス解析
どのページが、どれくらい見られたか

たとえばGA4のようなアクセス解析です。サイトを直すための大事な材料ですが、閲覧の情報を外の会社のサービスへ送って集計しています。使っていることを、プライバシーポリシーに書いておく種類です。

サイトを直すために、使うもの
③ 広告と、外からの埋め込み
広告の効果を測るタグ、地図・動画・SNS

たとえば、ネット広告の成果を数えるタグや、一度来た人に広告を出すためのタグです。埋め込んだ地図や動画も、外の会社の仕組みを読み込んでいます。同意の表示を考えるとき、いちばん話の中心になる種類です。

入れた覚えがなくても、入っていることがある

同意の表示が要るかどうかを考える前に、貴社のサイトに①〜③のどれが入っているかを書き出してください。③が何も入っていないサイトと、広告のタグが何種類も入っているサイトとでは、考え方が変わります。

入れた覚えがなくても、入っている

「うちは広告をやっていないから関係ない」とおっしゃる方もいます。ただ、実際に調べてみると、入れた覚えのないタグが入っていることがあります。

  • 前の制作会社が入れた ― 解析や広告の効果を測るために入れ、そのまま残っている
  • 広告を一度だけ試した ― 広告はやめたのに、タグはサイトに残っている
  • テンプレートや追加の機能に入っていた ― 見た目の部品に、外の仕組みの読み込みが含まれている

まずは、作った制作会社に「サイトに入っている外の仕組みを一覧にしてほしい」と頼むのがいちばん早いです。

要らないタグを外すのが、いちばん先

一覧ができたら、同意の表示を考える前に、今は使っていないタグを外してください。やめた広告のタグ、誰も見ていない解析、使っていない埋め込み。外せば、それだけ外へ送る情報が減り、サイトも少し軽くなります。

何を測るかを絞っておくと、残すタグも決めやすくなります。解析で見る数字の絞り方は ホームページを作ったあと、何を測ればいいか にまとめました。

4. 同意の表示を出すサイトが、増えている背景

なぜ、同意の表示を出すサイトが増えているのか。背景は大きく3つあります。ここでは一般的な話にとどめます。

海外には、先に同意を求める決まりがある地域がある

海外には、サイトを見ている人のブラウザにクッキーなどを置く前に、本人の同意を得ることを求める決まりがある地域があります。そうした地域の人に向けたサイトでは、開いたときに同意を求める表示が出るのがふつうになりました。

海外の大きなサイトや、海外で作られたテンプレートがその形を広げたので、日本のサイトでも見かける機会が増えました。

国内でも、外へ送る情報の知らせ方に決まりが設けられている

国内でも、サイトを見た人の情報を外の会社へ送る仕組みについて、何を、どこへ送っているかを知らせたり、公表したりする決まりが設けられています。また、個人の情報の扱いについての決まりの中にも、閲覧の情報を外へ渡す場合の考え方があります。

どの決まりが貴社に当てはまるかは、業種や事業の内容によって違います。対象になる事業者かどうかの線引きもあります。

ブラウザや、見る人の側も変わってきた

ブラウザの側でも、外の会社が置くクッキーを制限する動きがあります。見る人の中にも、閲覧の情報がどう使われているかを気にする方が増えてきました。表示を出しているのは、決まりのためだけではなく、見る人に対して扱いを説明するためという面もあります。

当てはまるかどうかは、窓口や専門家に確かめる

ここまで書いたことは、あくまで一般的な話です。業種や扱う情報、海外の利用者がいるかどうかによって、求められることは違います。貴社に当てはまるかどうかは、所管の窓口や専門家に確認してください。この記事では、決まりの中身や条文の解説はしません。

5. プライバシーポリシーに書いておくこと

同意の表示を出すかどうかとは別に、プライバシーポリシーに書いておくことがあります。表示を出さないと決めた場合でも、ここは整えておきます。

書いておく4つのこと

  • 何を使っているか ― アクセス解析、広告のタグ、外からの埋め込み。種類ごとに分けて
  • 何のために使うか ― サイトを直すため、広告の効果を測るため、など実際の使い道だけ
  • どこへ送られるか ― 外の会社のサービスへ閲覧の情報が送られること
  • 止め方・設定の変え方 ― ブラウザの設定でクッキーを無効にできること。提供元が止め方を案内していれば、その案内先

書き方の全体は ホームページのプライバシーポリシーに、何を書くか に書きました。ここで加えたいのは、次の2つです。

表示とポリシーの中身を揃える

同意の表示を出すなら、表示に書いたことと、ポリシーに書いたことを揃えてください。表示では「解析のためだけに使います」と書いてあるのに、ポリシーには広告のことも書いてある。こうした食い違いは、読む人をいちばん不安にさせます。

表示の中には、ポリシーへのリンクを1つ置きます。表示に全部を書こうとせず、詳しいことはポリシーで読める形にします。

利用規約の「同意」とは、別の話

予約や会員登録のフォームにある「利用規約に同意します」のチェック欄と、クッキーの同意の表示は、別のものです。片方があるからといって、もう片方の代わりにはなりません。利用規約の同意の取り方は ホームページに「利用規約」は要るのか にまとめてあります。

6. 出す・出さないを、どう決めるか

ここがこの記事の中心です。決め方を、順番に並べます。

図:同意の表示を出すかどうかを、4つの段で考える(例は架空)
① サイトに何が入っているかを書き出す

前の章の①〜③に分けて、入っているものを一覧にします。使っていないものは、ここで外します。

たとえば「解析が1つ、地図の埋め込みが1つ。広告のタグは、やめた広告のものが残っていたので外した」
▼
② 誰が見に来ているかを確かめる

国内のお客様だけか。海外から見に来る人がいるか。海外のお客様に向けて売っているか、外国語のページがあるか。

たとえば「お客様は市内と近くの市だけ。外国語のページは無い」
▼
③ 扱う情報と、業種を確かめる

健康や子どもに関わる情報、お金に関わる情報など、扱いに気をつけたい情報を扱っているか。業種として決まりがあるか。

たとえば「サイトで扱うのは、問い合わせの名前と連絡先だけ」
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④ 窓口や専門家に確かめて、形を決める

①〜③の書き出しを持って確かめると、話が早く進みます。そのうえで、次の章の3つの形から選びます。

決めた理由と日付を、社内に残しておきます。タグを足したときに、もう一度①から見直します

①〜③は、専門家に聞く前に貴社でできる準備です。書き出しが手元にあると、「うちは要るのか」という漠然とした相談が、具体的な確認に変わります。中身は、貴社の実際のサイトで書いてください。

形は、だいたい3つ

決めたあとの形は、だいたい次の3つです。

  • 表示は出さず、ポリシーに書く ― フッターにポリシーへのリンクを置き、使っているものと止め方を書いておく
  • 知らせるだけの表示を出す ― 「このサイトではアクセス解析を使っています」と短く知らせ、ポリシーへつなぐ
  • 選べる表示を出す ― 同意するかどうかを選んでもらい、選んだとおりに外の仕組みを動かす、動かさない

どれが貴社に合うかは、①〜③と、確かめた結果で決まります。3つ目を選ぶ場合は、選んだとおりに動く作りにすることが肝心です。ここは次の章の失敗の話につながります。

「よそが出しているから」で決めない

いちばん避けたいのは、よそのサイトが出しているから、と形だけまねることです。海外向けのひな形をそのまま入れると、使っていない仕組みのことまで書かれた表示になります。逆に、出していないサイトが多いから、という理由だけで何も確かめないのも同じです。

7. 出すなら、読む人の邪魔にならない形で。よくある失敗も

画面をふさがない

同意の表示は、画面の下のほうに、帯のように小さく出す形にします。画面全体を覆って、選ぶまで何も読めない形は、読む人の手を止めます。とくにスマートフォンでは、開いたとたんに画面が埋まると、そのまま戻ってしまう人が出ます。

開いたとたんに出る窓の考え方は ホームページを開いたとたんに出る「お知らせの窓」を、使うかどうか にも書きました。同意の表示も、同じ考え方で扱えます。

断る選択肢も、同じ見やすさで

選べる表示にするなら、「同意する」と「同意しない」を、同じ大きさ、同じくらいの見やすさで並べてください。「同意する」だけが大きな色つきのボタンで、「同意しない」は小さな薄い文字。こうした形は、読む人に選ばせているように見えて、実際には選びにくくしています。

初めから同意の欄にチェックが入っている形も避けます。読む人が自分で選んだ、と言える形にしておきます。

文は短く、あとから変えられるように

表示の文は、2〜3文で収めます。何を使っているか、何のためか、詳しくはポリシーへ。それだけで十分です。

選んだ内容は覚えておき、ページを移るたびに出る形にはしません。そして、フッターに「クッキーの設定」のようなリンクを置き、あとから選び直せるようにしておきます。

よくある失敗

  • 選ぶ前から、外の仕組みが動いている ― 表示は出ているのに、広告や解析のタグは開いた瞬間に動いている。「同意しない」を押しても何も変わらない
  • 海外のひな形の文のまま ― 使っていない仕組みや、貴社に関係のない言葉が並んでいる
  • 表示とポリシーが食い違う ― 表示を入れたあとにタグを足し、ポリシーを直していない
  • 表示が、問い合わせや電話のボタンを隠す ― スマートフォンの画面の下に固定したボタンの上に、表示が重なっている
  • 選んでも、毎回出る ― 選んだ内容が覚えられず、開くたびに同じ表示が出る
  • 解析の数字が変わったことに気づかない ― 選べる形にすると、同意しなかった人の分が解析に入らなくなることがあります。入れる前と後の数字を、そのまま比べないようにします

4つ目は、作った側が気づきにくい失敗です。表示を入れたら、自分のスマートフォンで開いて、ボタンが隠れていないかを確かめてください。スマートフォンで見たときに人が離れる原因は スマートフォンで見たときに、人が離れる7つのこと に並べてあります。

8. 雄喜晃の伴走:サイトに入っているものを一覧にして、決める材料を揃えます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、同意の表示を、よそのまねで入れることはしません。先に、サイトに何が入っているかを一覧にするところから始めます。

私たちがやること

  • 入っているものを一覧にする ― アクセス解析、広告のタグ、地図や動画の埋め込み、フォームのスパム対策。作る側が入れたものを、種類ごとに表にしてお渡しします
  • 使っていないものを外す ― やめた広告のタグや、使っていない埋め込みを、確かめたうえで外します
  • ポリシーに反映する ― 貴社で決めた文面、または専門家に確かめていただいた文面を、一覧と食い違わない形で載せます
  • 出すと決まったら、邪魔にならない形で置く ― 画面をふさがない大きさ、同じ見やすさの選択肢、あとから選び直せるリンク。スマートフォンでボタンが隠れないかも確かめます

取引先から情報の扱いを聞かれることがある会社は、お客様の情報をどう扱っているかを、ホームページに書くかどうか もあわせてご覧ください。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、タグを足したり外したりしたときのポリシーの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 表示が要るかどうかを、決まりに照らして判断することはしません。それは専門家の仕事です。判断に使える一覧をお渡しし、所管の窓口や専門家に確かめていただくようお伝えします
  • 「同意しない」を見えにくくする作りはしません。選んでもらう以上、選べる形にします
  • 表示を出すことで、検索の順位や問い合わせがどうなるかをお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「自社のサイトに何が入っているのか、そもそも分からない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:表示の前に、中身を書き出す

ホームページの「Cookie(クッキー)の同意」の表示を考えるときに、押さえることは5つです。

  • クッキーは、ブラウザに預ける小さなメモ ― 置くのは自社のサイトだけでなく、解析・広告・埋め込みといった外の仕組みも
  • まず、入っているものを書き出し、要らないものを外す ― 入れた覚えのないタグが残っていることがある
  • 要るかどうかは、中身・見に来る人・扱う情報で変わる ― 書き出しを持って、所管の窓口や専門家に確かめる
  • ポリシーには、表示を出すかどうかに関わらず書く ― 表示とポリシーの中身を揃える
  • 出すなら、画面をふさがず、断る選択肢も同じ見やすさで ― 選んだとおりに動く作りにし、スマートフォンで確かめる

同意の表示は、出すか出さないかの前に、貴社のサイトが何を外へ送っているかを知ることから始まります。そこが分かれば、決めることはずっと少なくなります。

まず、今日できること

サイトを作った制作会社か担当者に、「サイトに入っている解析・広告・埋め込みの一覧をください」と一通連絡してみてください。返ってきた一覧に、やめた広告のタグが残っていれば、それが最初に外すものです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社のサイトに入っているものを確かめるところから、ご一緒します。