1. 「担当者の名前があると、電話しやすいと言われて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「取引先から、ホームページに担当者の名前が書いてあると電話しやすいと言われたんです。でも、うちは人の入れ替わりもあるし、名前を出したら本人あてに売り込みが来そうで。どうするのがいいんでしょう」

どちらの気持ちも、よく分かります。名前があると、連絡する側の最初の一言が楽になります。一方で、名前を出した人が休む日も、辞める日も来ます。そのたびにサイトのどこかが古くなります。

問い合わせ先に名前を書く場所は、意外と多くあります。問い合わせのページの「担当:〇〇」、会社概要の連絡先、お知らせの末尾の「本件のお問い合わせ:営業部 〇〇」、採用ページの「採用担当」。どれも、書いた日には便利で、替わった日に困る場所です。

この記事で書くこと

  • 名前があると良いことと、困ること
  • 4つの書き方 ― 窓口の名前、名字だけ、フルネーム、写真つき
  • どれにするかを決める4つの問い
  • 名前を出すなら、先に決めておくこと
  • 休む・替わるときに困らない書き方
  • 替わったときに直す場所

ほかの記事との分け方

載せるメールアドレスを共用にするか個人にするかは ホームページに載せるメールアドレスは、どれにするか に、部署ごとの窓口の案内は 部署や担当の分け方を、ホームページに載せるかどうか にまとめました。この記事は、問い合わせ先の欄に、人の名前を添えるかどうかに絞ります。

2. 名前があると良いことと、困ること

先に、両方を並べておきます。どちらか一方だけを見て決めると、あとで困ります。

良いこと

  • 連絡しやすくなる ― 電話口で「〇〇さんをお願いします」と言えます。誰が出るか分からない電話より、かける前の気持ちが軽くなります
  • 顔の見える会社に見える ― とくに小さな会社では、誰が対応するのかが分かること自体が安心につながります
  • 話が早くなる ― 前に話した人に、そのままつながります。同じ説明を二度しなくて済みます
  • 取引先が控えやすい ― 取引先の社内では、連絡先を「会社名と担当者名」で控えることがよくあります。名前があると、最初の登録がそのまま済みます

困ること

  • その人が休むと、相手が待つ ― 名指しで連絡が来るので、外出や休みの日に話が止まります
  • 辞める・異動すると、直す場所が増える ― サイトを直しても、名前あての電話はしばらく続きます
  • 本人あてに営業が来る ― 名前が分かると、本人を名指しした売り込みの電話やメールが届くようになります
  • 本人の負担になる ― 名前で検索されると、個人のSNSなどにつながることがあります

フォームに届く営業メールの扱いは 問い合わせフォームに届く営業メールを、どう扱うか に書きました。名前を出すと、電話でも同じことが起きると考えておいてください。

決めるのは「出すか」ではなく「どこまで出すか」

名前を出すか出さないかの二択で考えると、答えが出ません。窓口の名前だけ、名字だけ、フルネーム、写真つき。間に段階があります。次の章で、それぞれの向き不向きを並べます。

3. 4つの書き方と、それぞれの向き不向き

問い合わせ先の書き方は、おおむね次の4つに分けられます。

図:問い合わせ先の書き方は4段階(表記の例はすべて架空です)
① 窓口の名前
たとえば「お客様窓口」「営業部」

人が替わっても直す場所がありません。名指しの営業も来にくくなります。ただ、誰が出るか分からないので、かける前の気持ちは少し重くなります。

直しやすさはいちばん。親しみは控えめ
② 窓口+名字
たとえば「お客様窓口(担当:山田)」

窓口が主で、名前は添えるだけ。電話口で名前を言えるうえ、不在のときは窓口のほかの人が受けられます。替わったときは名字を1つ直すだけです。

迷ったら、ここから始める
③ フルネーム
たとえば「担当:山田 太郎」

同じ名字の人が社内にいる場合や、取引先が指名で連絡してくる商売では役に立ちます。ただ、検索で本人個人にたどり着きやすくなり、名指しの営業も来やすくなります。

便利だが、本人の同意を丁寧に
④ 写真を添える
名前に顔写真をつける

いちばん顔が見えます。訪問や来店がある商売では、会う前の安心につながります。そのぶん、替わったときに直す手間も、本人が気にすることもいちばん多くなります。

問い合わせ先より、紹介のページ向き

上から下へ、連絡のしやすさは上がり、直す手間と本人の負担も増えます。どの段階が正しいということはなく、貴社の商売と、名前を出す人の気持ちで決めるものです。

窓口の名前にするとき

窓口の名前にするなら、相手の用件で選べる名前にします。「総務部」より「お客様窓口」「ご注文・お見積もりの窓口」のほうが、連絡する側は迷いません。部署の名前が社内向けの言葉になっていないかは、一度見直してください。

窓口の名前だけだと、誰が出るのか分からず、少し冷たく見えることがあります。その場合は、受ける人の様子を一文で添えると補えます。「お電話には、工事のことが分かる者が出ます」「平日の日中は、2名で受けています」。名前を出さなくても、どんな人が受けるのかは伝えられます。

名字だけにするとき

名字だけでも、電話口で名前を言える良さは十分に残ります。読みにくい名字には、ふりがなを添えてください。読めない名前は、かえって電話をためらわせます。

フルネームや写真を出すとき

フルネームや写真は、問い合わせ先の欄より、社員紹介や代表挨拶のページで見せるほうが向いています。人柄を伝える場所と、連絡の行き先を伝える場所を分けておくと、替わったときに直す範囲が小さくなります。社員紹介の作り方は 社員紹介ページは、本当に要るのか に書きました。

4. どれにするかを決める4つの問い

迷ったときは、次の4つを順に考えてみてください。

誰が連絡してくるか

個人のお客様が多いのか、取引先の担当者が多いのか。取引先が相手の商売では、名前があると話が早くなります。発注や見積もりの相談は、同じ人と続けたいものだからです。個人のお客様が多い商売では、窓口の名前で十分なことが多いと思います。

何人で受けているか

問い合わせを1人で受けているなら、窓口の名前でも名前でも、出る人は同じです。社長お一人の会社なら、社長の名前を出すのが自然です。数人で交代して受けているなら、名前を1人に絞ると、その人に連絡が集まりすぎます。

担当がどれくらい替わるか

担当が数年変わらないなら、名前を出しても直す回数は少なくて済みます。年度ごとに担当が動く会社や、人の出入りが多い職場では、窓口の名前を主にしておくほうが無理がありません。

本人が望むか

いちばん大事なのがこれです。会社として名前を出したほうがいいと考えても、本人が望まないなら、出さない。窓口の名前で受けても、連絡のしやすさは書き方でかなり補えます。

4つを並べると、だいたいの形が決まる

4つの答えを並べると、向いている形が見えてきます。たとえば、取引先が相手で、担当が長く変わらず、本人も構わないなら、窓口+名字かフルネーム。個人のお客様が多く、数人が交代で受けているなら、窓口の名前に、受ける人の様子を一文添える形。どちらとも言えないときは、窓口+名字から始めて、様子を見て変えれば十分です。

5. 名前を出すなら、先に決めておくこと

名前を出すと決めたら、載せる前に決めておくことがあります。

本人の同意を、具体的に取る

「ホームページに名前を載せてもいいか」だけでは足りません。どのページに、何を、どんな形で載せるかを見せて確認します。名字だけか、フルネームか、写真はあるか。あわせて、辞めたときや担当を外れたときにどうするかも、その場で決めておきます。

名前や写真の扱いで気をつける点は、業種や取引の内容によって違います。気になる場合は、専門家に確認してください。辞めたあとに名前や写真が残ったときのことは 辞めた社員の写真や名前が、ホームページに残っている にまとめました。

個人の携帯番号や、個人のアドレスは添えない

名前を出しても、連絡先は会社のものにします。名前の横に本人の携帯番号や、本人の名前入りのアドレスを並べないでください。辞めたときに止まる連絡先が、サイトの外にまで写っていきます。最初の連絡は会社の窓口で受け、担当が決まってから本人の連絡先を渡す形にすると、入口が止まりません。

写真を添えるなら、場所と撮り直す時期を決める

問い合わせ先に写真を添える場合は、小さく、名前のすぐそばに置きます。社長の写真なら、考え方は 社長の顔写真を、ホームページに載せるかどうか と同じです。替わったときに写真も替える必要があるので、撮り直しの手間まで含めて決めてください。

採用ページの担当者は、少し考え方が違う

採用の問い合わせは、応募を考えている人からの連絡です。誰が話を聞いてくれるのかが分かると、応募の前の電話がしやすくなります。採用ページでは、名字と役割を添える形が向いていることが多いと思います。ただし、採用の担当は時期によって替わりやすいので、ほかのページよりこまめに見直してください。

名指しの電話に、誰がどう答えるか

名前を出すと、本人を名指しした電話が増えることがあります。用件の分からない名指しの電話に、受けた人がどう答えるかを決めておきます。

「あいにく山田は席を外しております。よろしければ、ご用件を伺えますか」

この一言をそろえておくと、売り込みの電話を本人に回さずに済み、お客様の用件も聞きそびれにくくなります。

6. 休む・替わるときに困らない書き方

名前を出す場合でも、書き方を工夫すると、休みや交代に強くなります。

名前は、窓口の下に置く

「山田までご連絡ください」と書くと、連絡の行き先が山田さん1人になります。「お客様窓口(担当:山田)」と書けば、行き先は窓口で、山田さんはその窓口の人という形になります。同じ名前が載っていても、休んだ日の受け止め方が変わります。

代わりの人が分かる一文を添える

名前のすぐ下に、一文を添えます。

  • 「担当が不在の場合は、窓口のほかの者が承ります」
  • 「担当:山田・中村(どちらでもお話を伺えます)」

2人の名前を並べる形は、受ける人が2人いる会社ならすぐに使えます。1人が休んでも、相手は残りの1人の名前を言えます。

休みの予定を、サイトに書かない

「山田は〇日まで休暇をいただいております」のような、個人の休みの予定はサイトに書きません。本人の予定が外に出ますし、戻ったあとに消し忘れます。会社として休む日はお知らせ欄で、個人の不在は電話やメールの返事の中で伝えます。

替わったあとの名指しの電話に、どう答えるか

サイトを直しても、前の担当者あての電話はしばらく続きます。名刺やメールの署名が、相手の手元に残っているからです。受けた人がどう答えるかを、交代の日までに決めておきます。

「山田は担当を離れまして、いまは中村が承っております。私でよろしければ、ご用件を伺います」

辞めた理由や、いまどこにいるかを話す必要はありません。後任の名前と、その場で用件を受けられることが伝われば足ります。取引の続いている相手には、電話を待たずに後任からひとこと連絡しておくと、話が途切れません。

自動で送られる文面には、名前を入れない

問い合わせフォームを送ったあとに届く自動の返信メールや、送信完了の画面に、担当者の名前を入れている場合があります。ここは替わったときにいちばん忘れられる場所です。自動で送られる文面は、窓口の名前にしておくほうが安心です。

7. 替わったときに直す場所

担当が替わったときに直す場所を、表にまとめます。名前を出すなら、載せたその日に、この一覧を社内に作っておいてください。

表:担当者の名前が残りやすい場所(例はすべて架空です)
場所たとえば見落としやすさ
問い合わせのページ「お客様窓口(担当:山田)」の名字最初に直すので残りにくい
会社概要・採用ページ連絡先の欄、「採用担当:山田」ページが分かれているので片方だけ残る
お知らせの記事の末尾「本件のお問い合わせ:営業部 山田」過去の記事に何本も残る
自動の返信メール・送信完了の画面「担当の山田よりご連絡します」ふだん目にしないのでいちばん残る
サイトに載せた資料会社案内やカタログのPDFの連絡先サイト内の検索で見つからない
サイトの外名刺、チラシ、メールの署名、団体の名簿直す担当が決まっていない

下に行くほど残りやすくなります。名前を出すのは問い合わせのページだけにして、ほかの場所は窓口の名前にしておくと、直す場所そのものが減ります。

過去のお知らせの末尾は、窓口の名前に置き換える

古いお知らせの末尾に残った名前は、本数が多いと手が止まります。名前だけを窓口の名前に置き換えるか、問い合わせ先の行ごと消すかを決めて、まとめて直してください。これから書く記事は、最初から窓口の名前にしておきます。

直したあとに、名前で探す

直し終えたら、サイトの中を前の担当者の名字で探します。サイト内の検索がない場合は、検索エンジンで「社名と名字」を入れて確かめる方法もあります。PDFや画像の中の名前は見つからないことがあるので、資料は別に開いて確かめてください。

サイトの外の場所は、直す人を決めておく

名刺、チラシ、メールの署名、加盟している団体の名簿。サイトの外の場所は、直す人が決まっていないと残ります。一覧の各行に、直す人の名前を書いておくと、替わった日に誰が何をするかで迷いません。

8. 雄喜晃の伴走:名前を出す範囲を、最初に一緒に決めます

私たち雄喜晃がホームページを作るときは、問い合わせ先に誰の名前をどこまで出すかを、最初のお打ち合わせで一緒に決めます。公開したあとに替わる日のことまで、作る前に考えておくためです。

私たちがやること

  • 名前を出す範囲を、商売の形から一緒に考える ― 誰が連絡してくるか、何人で受けているかを伺い、4つの書き方から選びます
  • 窓口を主にした書き方で組む ― 名前を出す場合も、窓口の下に添え、代わりの人が分かる一文を入れます
  • 自動の返信メールやお知らせのひな形を、窓口の名前にする ― 替わったときに忘れられやすい場所に、最初から名前を入れません
  • 名前が載っている場所の一覧をお渡しする ― 替わった日に、どこを直せばいいかが分かるようにします
  • 替わったら、一覧に沿って直す ― 新しい担当の名前をご連絡いただければ、サイトの中を直します
  • 写真を添える場合は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せる

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、担当が替わったときの書き換えもこの回数の中でお受けします。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 誰を担当にするか、名前を出すかどうかは決めません。それは貴社と、名前を出すご本人が決めることです
  • ご本人の同意を、私たちが代わりに取ることはしません。載せる形を見ていただく画面はご用意します
  • 問い合わせの電話や営業の連絡を、代わりに受けたり取り次いだりはしません
  • 個人の情報の扱いについて、法的な助言はしません。業種によって違うので、専門家に確認してください

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「担当者の名前を載せたいけれど、替わったときのことが心配」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:名前は窓口に添え、替わる日を先に決める

問い合わせ先に担当者の名前を書くかどうかで、押さえることは5つです。

  • 出すか出さないかではなく、どこまで出すか ― 窓口の名前、名字だけ、フルネーム、写真つきの4段階で考える
  • 迷ったら、窓口+名字から ― 連絡しやすさを残しつつ、替わったときは名字を1つ直すだけで済む
  • 本人の同意は、載せる形を見せて取る ― 辞めたときの扱いも、その場で決める
  • 代わりの人が分かる一文を添える ― 名前は窓口の下に置き、自動で送られる文面には入れない
  • 名前が載っている場所を一覧にしておく ― 替わった日に、一覧に沿って直す

名前があると、連絡する側の最初の一言は確かに楽になります。その良さを残したまま、休む日と替わる日に困らない形にしておくのが、この欄の作り方です。

まず、今日できること

貴社のホームページを開いて、問い合わせのページ、会社概要、お知らせの末尾に、誰の名前が載っているかを確かめてみてください。今はいない人の名前が1つでも見つかったら、それが最初に直すところです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の問い合わせ先を、人が替わっても止まらない形にするところからご一緒します。