1. 「なんか違う、としか言えなくて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「制作会社から案が届いて、見たら、なんか違うんです。でも、どこがどう違うのか自分でもうまく言えなくて。『もう少し明るい感じで』と返したら、色だけ変わって戻ってきました。それも違うんですよね」

この話、本当によく伺います。そして、詳しくお聞きすると、案が悪かったのではなく、直してほしいことが相手に届いていなかったという場合がほとんどです。

「明るい感じ」と言った方が思い浮かべていたのは、写真の中の人の表情だったかもしれません。制作会社は、いちばん手を付けやすい色を直します。そして「違う」が返ってくる。どちらも真面目なのに、往復だけが増えていくのです。

この記事で書くこと

この記事では、届いた案に対して、直してほしいところをどう書いて送るかを書きます。

  • 「なんか違う」が伝わらない理由 ― 受け取った側に、場所も方向も分からない
  • 1件ずつ分ける ― どのページの、どこを、どう直すか
  • 画面の写しに印をつける ― 言葉で場所を説明しない
  • 文章は、前と後を並べる ― 「こんな感じで」ではなく、新しい文を書く
  • 事実の誤りと好みを分ける ― 急ぎと、急がないも分ける
  • 社内の意見をまとめて、1回で送る ― 直ったら「確認しました」と返す

打ち合わせの当日をどう進めるかは、制作会社との打ち合わせを、1回で終わらせる準備 に書きました。あちらは案ができる前に、何を決めて渡すかの話です。この記事は案ができたあと、直しをどう返すかの話です。

2. 「なんか違う」が伝わらない理由

受け取った側には、場所が分からない

「トップページがなんか違う」と書かれていても、トップページには見出しも写真も文章もボタンもあります。どれのことなのかが分からないと、制作側は全部を少しずつ変えるか、当てずっぽうで1か所を変えるしかありません。

全部を少しずつ変えると、気に入っていた部分まで変わります。1か所だけ変えると、外れたときにもう1往復になります。

「明るく」は、人によって指すものが違う

「もう少し明るく」「もっと親しみやすく」「高級感を出して」。こうした言葉は、言った人の頭の中では、はっきりした絵になっています。ところが、受け取った人の頭の中では、別の絵になります。

背景の色を白に近づけるのか、写真を替えるのか、文章をやわらかくするのか。どれも「明るく」です。言葉が短いほど、受け取る側の解釈の幅は広がります。

1通の中に、いろいろ混ざっている

気になったことを思いつくまま書くと、こうなります。

「全体的にもう少し明るくしてほしいのと、会社概要の住所が古いのと、あと社長の写真はもっと笑っているものがあったと思うので探します。料金のところの文章も少し硬い気がします」

受け取った側は、どれが直してほしいことで、どれが感想で、どれが貴社の宿題なのかを読み分けるところから始めます。読み分けを間違えると、1件抜けます。

3. 1件ずつ、「どのページの・どこを・どう直すか」に分ける

ここからが本題です。直してほしいことは、1件ずつ分けて、番号を振って書きます。1件に入れるのは、次の3つです。

① どのページか

トップページ、会社概要、サービスのページ。ページの名前で書きます。画面の上にURLが出ていれば、それを貼っても構いません。ページを特定するところで迷わせないのが目的です。

② そのページの、どこか

ページの中の場所は、近くにある見出しと、文章の書き出しの数文字で示すと伝わります。

  • 文 ― 「『私たちの仕事』の見出しの下、2つ目の段落の『創業以来…』で始まる文」
  • 写真 ― 「いちばん上の大きな写真」
  • 帯や枠 ― 「ページのいちばん下の、電話番号が書いてある帯」

「上のほう」「真ん中あたり」は、パソコンとスマートフォンで位置が変わるので、なるべく使わないでください。

③ どう直すか

ここは、直したあとの状態で書きます。「明るく」ではなく、どうなっていれば明るいと感じるのかです。

  • 色 ― 「背景の灰色を、白に替えてほしい」
  • 写真 ― 「事務所の写真ではなく、現場で作業している写真に替えたい」
  • 言い回し ― 「『〜させていただきます』を『〜します』に揃えてほしい」

直したあとの状態が決められないときは、何が気になっているのかだけを書いてください。「この写真だと、人がいない事務所に見えて寂しい」。理由が分かれば、制作側は直し方を提案できます。

1件に1つのことだけ

「この見出しを短くして、色も変えて」は、2件に分けます。分けておくと、片方だけ残ったときにはっきりします。

表:よくある伝え方を、1件ずつの形に直す(例はすべて架空)
よくある伝え方1件ずつの形に直したもの直した理由
なんか違うたとえば「1. トップページ/いちばん上の写真/人が写っていないので寂しく見える。人が写っている写真に替えたい」場所と、気になる理由が書いてあるので、直し方を提案できる
もう少し明るくたとえば「2. 全ページ/背景の灰色を白に」「3. サービスのページ/文末の『〜でございます』を『〜です』に」色の話と言い回しの話が別の件に分かれる
住所が違うたとえば「4. 会社概要/所在地/『2丁目』を『3丁目』に。名刺の表記が正しい」何を正とするかまで書くと、確かめる手間が要らない
文章が硬い気がするたとえば「5. 料金のページ/見出し下の1段落目/直す前と直した後を並べて送る」「硬い」だけでは、どの言葉が硬いのか相手には分からない
写真はあとで探しますたとえば「6. 代表挨拶/写真の差し替え/こちらで探して〇日までに送る(宿題)」直してほしいことと、自社の宿題を分けて書ける

左の列は、どれも言った本人には意味がはっきりしています。受け取った側にとっては、どこを、どう直すのかが読み取れません。真ん中の列のように、番号・ページ・場所・直し方の順に書くだけで、1件ずつ直して、1件ずつ確かめられるようになります。

番号は、最後まで同じものを使う

振った番号は、やりとりが終わるまで変えないでください。番号が同じなら、何が終わって何が残っているかが一目で分かります。

4. 画面の写し(スクリーンショット)に、印をつける

場所を言葉で説明するのは、思っているより手間がかかります。いちばん早いのは、画面の写しを撮って、そこに印をつけて送ることです。

撮るのは、自分が見ている画面そのもの

スマートフォンでもパソコンでも、今見ている画面を、そのまま画像として保存できます。やり方が分からなければ、社内の詳しい人に一度だけ教わってください。一度覚えれば、ずっと使えます。撮った画像は、言葉より正確です。

印は、丸と番号だけでいい

撮った画像に、直してほしい場所を丸で囲みます。スマートフォンなら、写真を見る画面の中に、指で線を書き込める機能がたいていついています。凝った図にする必要はありません。丸で囲んで、その横に番号を書く。それだけで十分です。

番号は、第3章の一覧の番号と合わせてください。画像の丸に「3」と書いてあれば、一覧の3番を読めば何をしてほしいかが分かります。画像は場所を、文章は直し方を受け持つ、という分担です。

どの画面で見たかを書き添える

ホームページは、パソコンとスマートフォンで並び方が変わります。パソコンでは横に並んでいたものが、スマートフォンでは縦に並ぶこともあります。

そのため、画像には「スマートフォンで見たとき」「パソコンで見たとき」の一言を添えてください。片方でしか起きていない崩れは、どちらで見たかが分からないと、制作側の画面では再現できないことがあります。

長いページは、分けて撮る

縦に長いページを1枚に収めると、文字が小さくて読めなくなります。直したい場所が写っている範囲だけを、1枚ずつ撮ってください。

5. 文章の直しは、「直す前」と「直した後」を並べる

「こんな感じで」ではなく、直した文を書く

文章について「もう少しやわらかく」「もっと短く」と書いても、どこまでやわらかく、どこまで短くするのかが伝わりません。いちばん早いのは、直した後の文を、自分で書いてしまうことです。上手に書く必要はありません。

送るときは、直す前と直した後を並べます。たとえば「5. 料金のページ/見出し下の1段落目」なら、こうです(例は架空)。

直す前:お見積もりにつきましては、現地調査の上、ご提示させていただきます。

直した後:お見積もりは、現地を見せていただいてからお出しします。

前の文を貼っておくのが大事です。どの文の話かを探す手間がなくなり、取り違えが起きません。

言い回しを任せるか、一字一句そのままか

直した後の文を送るときは、その文をそのまま使ってほしいのか、言い回しは整えてもらってよいのかを一言添えてください。

  • そのまま使ってほしい ― 代表の言葉、資格の名称、お客様との約束にあたる文
  • 整えてもらってよい ― 説明の文、サービスの紹介、よくある質問の答え

ここを決めておかないと、気を利かせて整えたことで、かえって意図がずれることがあります。文章を読みやすく直すときの考え方は ホームページの文章を、読みやすく直す にまとめてあります。

文を書けないときは、何が違うかを書く

直した後の文を書く時間がないとき、あるいは書いてみてもうまくいかないときは、何が違うのかだけを書いてください。

  • 事実 ― 「現地調査は無料ではなく、有料になる場合がある」
  • 言葉の選び方 ― 「お客様には『現地調査』ではなく『下見』と言っている」
  • 読み手 ― 「うちのお客様には、少し難しい言葉が多い」

どれも、制作側が直すための手がかりになります。

社員に書いてもらった文章を直すときも同じ

社員の方に書いてもらった原稿を直すときも、同じ形にしてください。どの文を、どう変えたかが残っていれば、書いた人も納得しやすくなります。頼み方は ホームページの原稿を、社員に書いてもらう に書きました。

6. 事実の誤りと、好みの話を分ける

送る前に、1件ずつ性質を分けてください。分け方は3つです。

事実の誤り ― 何より先に直す

電話番号、住所、料金、営業時間、社名、代表者名、資格や許認可の名称。こうした事実の誤りは、好みとは重さがまったく違います。間違ったまま公開されると、お客様がその情報で電話をかけ、その料金を信じて連絡してきます。

事実の誤りには、何を正とするかを書き添えてください。「名刺の表記が正しい」「料金表の最新版を添付します」。制作側は、どれが正しいのかを自分では確かめられないことが多いからです。

急ぐもの ― 公開に間に合わせたい

事実の誤りではないけれど、公開の日までに直っていてほしいものです。たとえば、トップページの最初の画面の見出し、問い合わせのボタンの文言、季節のお知らせ。公開の日に人の目に入るものは、急ぐ側に入れます。

好みの話 ― 理由を添えて、相談にする

色、写真の大きさ、余白、全体の雰囲気。こうしたものは、好みの話です。好みの話が悪いわけではありません。ただ、事実の誤りと同じ重さで並べると、どれから手を付けるべきかが見えなくなります。

好みの話には、なぜそう感じたかを一言添えて、相談の形で送ってください。「背景の色が暗く見える。うちのお客様は年配の方が多いので、読みやすさが気になる」。理由が書いてあると、制作側から「それなら、色ではなく文字の大きさで解決できます」という別の案が出てくることがあります。

図:直してほしいことを、3つに分けてから送る(中の例はたとえばのもの)
① 事実の誤り
間違ったまま公開できないもの

たとえば、電話番号の数字が1つ違う、料金が旧料金のまま、営業時間の終わりの時刻が違う。何を正とするかを添えて送ります。

一覧のいちばん上に置き、直ったら自分の目で確かめる
② 急ぐもの
公開の日に目に入るもの

たとえば、トップページの見出し、問い合わせのボタンの文言、公開の時期に合わせたお知らせ。公開の日までに直っていてほしいものです。

「公開までに」と期限を書く
③ 好み・あとでよいもの
理由を添えて、相談にするもの

たとえば、背景の色、写真の大きさ、全体の雰囲気。なぜそう感じたかを一言添えると、制作側から別の直し方が出てくることがあります。

公開後に回してよいものは、そう書いておく

1件ずつ、どれに当たるかを書いてから送ってください。①は相談の余地がなく、③は相談から始まるという違いがあります。混ぜて送ると、①が③と同じ扱いになって、後回しにされるおそれがあります。

「急がない」と書くのは、遠慮ではない

③の中で、公開のあとでよいものには、「公開後でよい」とはっきり書いてください。書いておかないと、制作側は全部を公開までに直そうとして、公開の日が延びます。

これは遠慮ではありません。限られた時間を、①と②に先に使ってもらうためです。

7. 社内の意見をまとめてから、1回で送る

ばらばらに送ると、指示がぶつかる

案を見た社内の何人かが、それぞれ制作会社に意見を送ると、同じ場所に対して、違う直し方が届くことがあります。

ある人は「写真を大きく」、別の人は「写真を小さくして文章を増やして」。制作側は、どちらに従えばいいのか分かりません。これで1往復増えます。

窓口を1人にして、そこに集める

意見は、社内の窓口を1人決めて、その人に集めてください。窓口の人が一覧にまとめ、ぶつかっている意見は、決める人に決めてもらってから送ります。窓口の役割については 社内に、ホームページの担当者を決めるかどうか に書きました。

集めるときは、締め切りを決めておくのがこつです。締め切りがないと、送ったあとに「そういえば」と追加が来て、また1通増えます。

送るのは、番号つきの一覧を1回

まとめたものは、番号つきの一覧と、印をつけた画像を、1回で送ります。何回にも分けて送ると、どれが最新なのかが分からなくなります。

公開したあとの日々の更新、たとえば休業のお知らせや実績の追加は、1件ずつ別々に頼むほうが抜けにくくなります。この頼み方は パソコンが苦手でも、ホームページの更新を止めない方法 に書きました。案に対する直しは1回にまとめ、公開後の更新は1件ずつ。場面によって、送り方を使い分けてください。

直ってきたら、「確認しました」と返す

直した案が戻ってきたら、番号ごとに確かめます。そして、確かめたことを返してください。

「1〜4、6は確認しました。5は、直した後の文が一部違っていたので、もう一度お願いします。7以降はありません」

何も返さないと、制作側は次に進んでいいのか分からず、止まります。問題がなかったときほど、返事を忘れがちです。「全部確認しました」の一言で十分です。

2回目の確認で、新しい直しを混ぜない

2回目の確認で、新しく気づいたことが出てくるのは自然なことです。ただ、前回の残りと混ぜると、どれが新しい話かが分からなくなります。

前回の番号の確認と、新しく気づいたことは、分けて書いてください。新しいことには、続きの番号を振ります。こうしておくと、やりとりが何回続いても、一覧を見れば全体の進み具合が分かります。

公開の前に社外の人に見てもらうと、社内では気づかなかった直しが見つかることがあります。その進め方は 自社のホームページを、社外の人に見てもらって直す に書きました。出てきた意見も、この記事と同じ形で一覧にすれば、そのまま制作会社に渡せます。

8. 雄喜晃の伴走:直しは、番号つきの一覧で受け取ります

私たち雄喜晃のホームページ制作では、案をお見せしたあとの直しを、番号つきの一覧で受け取って、番号ごとにお返しする形で進めています。

私たちがやること

案をお見せするときに、この記事に書いた形の一覧をこちらからお渡しします。番号、ページ、場所、直し方、そして事実の誤りか、急ぐものか、好みの話か。欄が埋めきれなくても構いません。気になった場所に丸をつけた画像だけでも、お電話で伺った内容だけでも、こちらで一覧に起こします。

直したあとは、番号ごとに「どう直したか」をお返しします。好みの話には、理由を伺ったうえで、こちらから直し方をご提案することもあります。事実の誤りは、お知らせいただいた正しい情報と照らしてから直し、ほかのページに同じ間違いが残っていないかも確かめます。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、公開後に回した「急がない直し」も、ご連絡いただければこちらで反映します。

条件も書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

ご指示のない箇所を、こちらの判断で書き換えることはしません。気になる箇所を見つけた場合は、直す前にお伝えして、ご判断を伺います。また、確かめられない数字や事実を、それらしく埋めることもしません。写真の差し替えは、貴社で撮っていただいたものをお送りいただき、こちらで大きさや明るさを整えて載せるところまでを担当します。検索の順位や、問い合わせが何件増えるといったお約束もいたしません。

「直してほしいところはあるのに、どう伝えればいいか分からず、案を寝かせてしまっている」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:場所と直し方に分ければ、1回で届く

ホームページの直してほしいところを制作会社に伝えるときに、押さえることは5つです。

  • 1件ずつ分ける ― どのページの、どこを、どう直すか。直し方が決められなければ、なぜ気になるかを書く
  • 画面の写しに印をつける ― 丸と番号だけでいい。どの画面で見たかを一言添える
  • 文章は、前と後を並べる ― そのまま使うか、整えてもらってよいかも書く
  • 事実の誤り、急ぐもの、好みを分ける ― 事実の誤りには、何を正とするかを添える
  • 社内でまとめて、1回で送る ― 直ってきたら、番号ごとに「確認しました」と返す

「なんか違う」と感じるのは、自分の会社をよく知っているからです。足りないのは感覚ではなく、相手に届く形です。場所と直し方に分けるだけで、同じ感覚が、直せる指示に変わります。

今日できることを1つだけ挙げます。手元に届いている案があれば、いちばん気になっている1か所の画面を撮って、丸をつけてみてください。丸をつけようとすると、自分が何を気にしていたのかが、少しはっきりします。

届いた案への返し方に迷っている、という方は、一度ご相談ください。