1. 「社内で見る限りは、分かりやすいと思うんですが」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「社員にも見てもらいましたし、特に分かりにくいところは無いと言われたんです。それなのに、電話で『サイトのどこに書いてありますか』と聞かれることがあって」

社内の人が見て分かりやすいのは、当然のことです。社内の人は、どこに何が書いてあるかを、もう知っているからです。知っている人に「分かりやすいか」と聞いても、分かりやすいと答えるしかありません。

ホームページで迷うのは、貴社のことを知らない人です。ですから、詰まる場所を見つけるには、知らない人に、実際に使ってもらうのがいちばん早い方法です。特別な道具は要りません。人を1人呼んで、1つだけ探してもらい、横で見ているだけです。

この記事では、その進め方を順番に書きます。

この記事で書くこと

  • 社内の人では気づけない理由 ― 能力ではなく、立場の問題
  • 誰に頼むか ― 初めての人、お客様、家族や知人の使い分け
  • 頼み方 ― 「どう思う?」ではなく「〇〇を探してください」
  • 見方と聞き方 ― 横で黙って観察し、終わってから聞く
  • 直す順番と回数 ― 出てきた意見のどれから手をつけるか
  • 謝礼の扱い ― 時間へのお礼と、口コミのお願いを分ける

2. 社内の人には、なぜ見えないのか

先に、社内で見ても気づけない理由を整理しておきます。社員の目が悪いのではありません。立場上、見えないようになっているのです。

答えを先に知っている

社内の人は、料金がどのページにあるか、営業時間がどこに書いてあるかを知っています。知っているので、探さずにそこへ行けます。探すという動作をしないので、探しにくさに気づけません。

初めて開いた人は、メニューの言葉を一つずつ読んで、どれを押せばいいかを考えます。その数秒の迷いが、社内の人の目には映りません。

社内の言葉が、そのまま読めてしまう

メニューや見出しに、社内で普段使っている言葉が入っていることがあります。サービスの社内での呼び名、部署の名前、業界の略語。社内の人にとっては当たり前の言葉なので、読めない人がいることに気づけません。

お客様は、その言葉で探していません。自分の困りごとの言葉で探しています。この食い違いは、社外の人に使ってもらうと、すぐに出てきます。

パソコンで、いつもの順番で見ている

社内で確認するときは、たいてい会社のパソコンで、トップページから順に見ます。ところが、お客様の多くはスマートフォンで、検索結果からいきなり途中のページに入ってきます。入口も画面の大きさも違うので、同じサイトでも見え方が変わります。

スマートフォンで起きやすい詰まり方は スマートフォンで見たときに、人が離れる7つのこと にまとめてあります。社外の人に見てもらうときも、スマートフォンで見てもらうのが基本です。

遠慮がある

最後は、気持ちの問題です。社長が時間をかけて作ったサイトに、社員が「分かりにくいです」とは言いにくいものです。聞いても、本当のことが返ってきにくいのは、社員のせいではありません。

社内の人の意見が役に立たないわけではありません。社内からは、お客様によく聞かれることや、載っていない情報の話が出てきます。社内での使われ方については ホームページを作ったのに、社内で誰も見ていない に書きました。ただ、迷う場所を見つける役は、社外の人のほうが向いています。

3. 誰に頼むか

社外の人といっても、誰でもいいわけではありません。頼む相手によって、見えるものが変わります。

図:誰に見てもらうかで、見えるものが変わる(例は架空です)
① 初めての人
貴社も業種も知らない人

たとえば、取引のない別業種の経営者や、知り合いの紹介でつないでもらった人。予備知識が無いので、初めて検索してきたお客様にいちばん近い迷い方をします。

メニューや言葉の分かりにくさが見える
② お客様
最近頼んでくれた人

たとえば、ここ半年ほどで仕事を頼んでくれた方。実際に探した経験があるので、「頼む前に知りたかったのに、載っていなかったこと」が出てきます。

足りない情報が見える
③ 家族・知人
頼みやすいが、知りすぎている

たとえば、配偶者や昔からの友人。頼みやすい反面、貴社のことを知っていて、気も遣います。それでも、課題を1つ渡して横で見るやり方なら、詰まる場所は見えます。

感想ではなく、動きを見る

いちばん役に立つのは①ですが、最初の1回は③からでも構いません。大事なのは誰に頼むかより、感想を聞かずに、探してもらう様子を見ることです。

初めての人

いちばん見えるものが多いのは、貴社のことも、業種のことも知らない人です。初めて検索してきたお客様と、同じ状態だからです。

探し方は、知り合いの紹介が現実的です。異業種の集まりで知り合った経営者、取引先の担当者の知人、地域の会合で会った人。「15分だけ、うちのサイトを使ってみてもらえませんか」と、時間と頼みごとを小さく区切ってお願いすると、引き受けてもらいやすくなります。

お客様

最近仕事を頼んでくれたお客様は、別の意味で貴重です。実際に貴社を探して、選んだ経験を持っているからです。

お客様に頼むときは、使いにくさより、足りない情報が出てきやすくなります。「頼む前に、これが分かっていれば早かった」という話です。ただし、お客様には気を遣わせやすいので、頼むのは付き合いの長い方か、ご本人から「何か手伝えることがあれば」と言ってくださった方に限るのが無難です。

家族や知人

いちばん頼みやすいのは家族や知人です。ただし、貴社のことをある程度知っていて、しかも気を遣います。「どうだった?」と聞くと、褒め言葉しか返ってきません。

それでも、次の章で書く頼み方なら、家族や知人でも十分に役に立ちます。感想を聞くのではなく、課題を渡して、手の動きを見るからです。

人数は、少なくていい

何人に頼めばいいかというと、最初は3人もいれば足ります。1人だと、その人の癖なのか、サイトの問題なのかが分かりません。2人、3人と同じ場所で止まったら、それはサイトの問題です。

4. 頼み方:課題を1つだけ渡す

頼むときに、いちばん大事なのがここです。

「どう思う?」と聞かない

サイトを見せて「どう思いますか」と聞くと、返ってくるのは感想です。「きれいですね」「色が明るいですね」「写真がいいですね」。悪い気はしませんが、感想からは、どこを直せばいいかが分かりません。

それに、感想を求められると、人は何か言わなければと考えます。見る目が、お客様の目から評論家の目に変わってしまいます。

「〇〇を探してください」と頼む

代わりに、課題を1つ渡します。形はこうです。

  • 「このサイトで、料金がいくらくらいか分かったら教えてください」
  • 「土曜日にお願いできるかどうか、調べてみてください」
  • 「問い合わせをする直前まで進めてみてください。送信は押さなくて大丈夫です」

課題を渡すと、相手はお客様と同じ動き方をします。メニューを読み、ページを開き、戻り、また探す。その動きの中に、詰まる場所が出てきます。

課題は、お客様が実際にやることから選ぶ

課題は、思いつきで作らないでください。実際のお客様が、サイトでやろうとしていることから選びます。

手がかりは、電話でよく聞かれることです。「料金はいくらですか」「〇〇市まで来てもらえますか」「駐車場はありますか」。電話で聞かれるということは、サイトで探して見つからなかった可能性があります。それをそのまま課題にします。

1人に渡す課題は、1つか2つまでにしてください。たくさん渡すと、後半は疲れて、本当の動きではなくなります。

スマートフォンで、本人の端末で

見てもらうときは、その人がいつも使っているスマートフォンでお願いします。こちらのパソコンやタブレットを渡すと、慣れない端末の操作で迷ってしまい、サイトの問題と区別がつきません。

サイトのアドレスを送るのではなく、「〇〇(地域名と業種)で検索して、うちのサイトを開いてください」と頼めると、なお良いです。検索結果からどのページに入ってくるかも、一緒に見られます。

最初に、ひと言だけ伝える

始める前に、これだけは伝えてください。

「試しているのはサイトのほうで、あなたではありません。迷ったら、それはサイトが悪いので、そのまま迷ってください」

これを言わないと、相手は「うまく使えない自分が悪い」と思って、迷ったことを隠そうとします。迷ってもらうことが、こちらのお願いです。

5. 横で見て、黙って観察する

課題を渡したら、あとは横で見ます。ここがいちばん難しいところです。

口を出さない

相手が迷っていると、どうしても口を出したくなります。「あ、それはメニューの中の…」と言いかけたら、こらえてください。こちらが教えた瞬間、その迷いは無かったことになります。

実際のお客様の横には、誰もいません。教えてもらえない状態で、どこまで進めるか。それを見るための時間です。

相手から「これ、どこにありますか」と聞かれたら、「いつもならどうしますか」と返してください。それでも進めないようなら、そこで課題を終えて構いません。進めなかったこと自体が、いちばん大事な発見です。

見るのは、止まる場所

観察で見るのは、次のような動きです。

  • 指が止まる ― 何を押せばいいか、迷っている
  • 戻る ― 開いたページが、思っていたものと違った
  • 拡大する ― 文字が小さい、または表や画像の中の文字を読もうとしている
  • つぶやく ― 「えっと」「あれ」「これかな」。声が出た場所は、だいたい迷っている場所

書き留めるのは、場所と動き

見ながら、紙に書き留めます。書くのは、どのページの、どこで、何をしたかです。「料金ページで、表を拡大した」「トップのメニューで、5秒ほど止まった」。

感想や、こちらの解釈は書かないでください。「分かりにくそうだった」ではなく、「戻るを2回押した」と書きます。直すときに役に立つのは、解釈ではなく動きのほうです。

できれば2人で臨むと楽です。1人が相手の隣で見守り、もう1人が少し離れて書き留めます。離れた場所にいる人に頼む場合は、ビデオ通話の画面共有を使って、同じように見せてもらうこともできます。

図:社外の人に見てもらう、1回の流れ(課題の例は架空です)
① 課題を1つ決める

電話でよく聞かれることから選びます。たとえば「土曜日にお願いできるか、調べてください」。

用意するもの:課題を書いた紙、書き留める紙。相手のスマートフォン
▼
② ひと言伝えて、探してもらう

「試しているのはサイトのほうです。迷ったら、そのまま迷ってください」と伝えてから始めます。

できれば、検索するところから始めてもらう
▼
③ 横で黙って見る

止まる、戻る、拡大する、つぶやく。どのページの、どこで、何をしたかだけを書き留めます。

ここで教えてしまうと、その迷いは記録に残りません
▼
④ 終わってから聞く

「さっき、ここで止まっていましたが、何を探していましたか」と、場面を指して聞きます。

説明や言い訳はしない。聞いたことは、言葉のまま書く
▼
⑤ 書き出して、直す順に並べる

複数の人が止まった場所から順に直します。直したら、別の人に同じ課題で確かめます。

1人あたり、課題1つなら15分ほどを目安に見ておけば足ります。感想を聞くのではなく、動きを見て、あとから理由を聞く。この順番を守るだけで、出てくるものが変わります。

6. 終わったあとの聞き方

課題が終わったら、そこで初めて話を聞きます。

場面を指して聞く

「分かりにくかったですか」と聞くと、相手は気を遣って「いえ、大丈夫でした」と答えます。聞くのは、観察で見た場面です。

「さっき、メニューを開いたところで少し止まっていましたが、何を探していましたか」

場面を指して聞くと、相手は自分の頭の中で起きていたことを話してくれます。「料金という言葉を探していたんですが、『サービス』の中にあるとは思わなくて」。こうした言葉が、直すときのいちばんの材料になります。

説明しない、言い訳しない

聞いているうちに、こちらから説明したくなる場面が出てきます。「それは、こういう考えでそこに置いていて」。これは言わないでください。相手は、説明を聞いたうえで探したわけではありません。お客様も同じです。

意見に反論したくなったときも、同じです。「ありがとうございます」とだけ言って、書き留めます。採用するかどうかは、あとで決めればいいことです。

最後に1回だけ、自由に聞く

場面について聞き終わったら、最後に1回だけ「ほかに、気になったことはありましたか」と聞きます。ここで、こちらが観察で見落とした話が出てくることがあります。

事実と意見を分けて書く

聞いた話は、2つに分けて書き出します。

  • 事実 ― 料金のページにたどり着けなかった。電話番号を探して2回戻った
  • 意見 ― 色をもう少し落ち着かせたほうがいい。写真をもっと大きく

直すときに優先するのは事実のほうです。意見は、その人の好みが混ざっていることが多いからです。意見を捨てる必要はありませんが、事実と同じ重さで扱わないでください。

7. 直す順番、やる回数、謝礼の扱い

最後に、出てきたことをどう直すか。そして、どのくらいの頻度でやるか、お礼をどうするかです。

直す順番

出てきたことを全部直そうとすると、手が止まります。順番は次のとおりです。

  • 複数の人が止まった場所 ― 2人以上が同じ場所で迷ったら、まずそこから
  • 問い合わせにつながる場所 ― 電話番号、問い合わせのボタン、料金、対応エリア。ここで止まると、そのまま連絡が来なくなります
  • 言葉だけで直せる場所 ― メニューの名前や見出しの言い換えは、手間が小さく、効き目が大きい
  • 好みの意見 ― 色、写真の大きさ、雰囲気。最後に、まとめて考える

いちばん多いのは、3つ目の言葉の問題です。社内の呼び名を、お客様が探す言葉に変えるだけで、迷う場所が消えることがよくあります。

直したら、別の人で確かめる

直したら、前回とは別の人に、同じ課題を渡してください。前回の人は、もう答えを知っています。社内の人と同じ立場になってしまっているからです。

別の人が迷わずに進めたら、その直しは効いています。また別の場所で止まったら、次はそこを直します。この繰り返しで、サイトは少しずつ使いやすくなります。

年に何回やるか

目安は、公開する前に1回、公開したあとは年に1〜2回です。加えて、メニューを組み替えた、ページを大きく足した、といった変更のあとにも1回やっておくと安心です。

毎月やる必要はありません。年1回の点検と時期を合わせると、忘れずに続けられます。点検の項目は ホームページの年1回の点検リスト にまとめてあります。点検で「情報が古くないか」を見て、社外の人に「使えるかどうか」を見てもらう。2つは役割が違うので、組み合わせると抜けが減ります。

同業他社のサイトと並べて見てもらうやり方もあります。他社と比べたときの見え方は 同業他社のホームページを、どう見るか に書きました。

謝礼は、時間へのお礼として渡す

時間をもらった相手には、お礼をしてください。お菓子や食事、ちょっとした品物など、15分から30分の時間に見合う、気持ちの範囲のもので十分です。

ここで、はっきり分けておきたいことがあります。このお礼を、口コミやお客様の声と引き換えにしないでください。

  • してよいこと ― サイトを使ってもらった時間に対して、お礼を渡す
  • しないこと ― 「お礼をお渡しするので、Googleマップに口コミを書いてください」「お客様の声を書いてもらえたら割引します」と組み合わせる

見てもらうことと、評価を書いてもらうことは、まったく別のお願いです。特典と引き換えに書いてもらった口コミは、読む人に対して公平ではありません。Googleマップの口コミにもルールがあり、特典との交換は認められていません。ルールは変わることがあるので、口コミのお願いをする場合は、その時点のルールを確かめてください。お客様の声の集め方は 「お客様の声」を、どう集めて、どう載せるか に書いてあります。

お客様に見てもらった場合も同じです。その日は、サイトを見てもらったお礼だけを伝えてください。口コミのお願いをしたいなら、別の機会に、特典をつけずにお願いします。

8. 雄喜晃の伴走:見てもらったあとの「直す」を、一緒にやります

社外の人に見てもらうと、直したい場所がたいてい出てきます。そのとき、直す手間がかかりすぎると、せっかくの発見がそのまま眠ってしまいます。

私たちがやること

私たち雄喜晃のホームページ制作では、見てもらうときの課題を一緒に決めるところからお手伝いします。電話でよく聞かれることを伺い、それを課題の形に直します。見てもらったあとは、書き留めた場所と動きを伺って、直す順番を一緒に決め、ページに反映します。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、見てもらって出てきたメニューの名前や見出しの言い換えは、ご連絡いただければこちらで反映します。

条件も書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

見てもらう人を、こちらで集めて手配することはしません。貴社のお客様に近い人を知っているのは、貴社のほうだからです。また、見てもらうことと口コミのお願いを組み合わせる段取りもしません。検索の順位や、問い合わせが何件増えるといったお約束もいたしません。

「社内では分かりやすいと言われるのに、電話で場所を聞かれる」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:知らない人に、1つだけ探してもらう

自社のホームページを社外の人に見てもらって直すときに、押さえることは5つです。

  • 社内の人には見えない ― 答えを知っているので、探しにくさに気づけない
  • 課題を1つ渡す ― 「どう思う?」ではなく「〇〇を探してください」
  • 横で黙って見る ― 止まる、戻る、拡大する、つぶやく。場所と動きを書き留める
  • 終わってから、場面を指して聞く ― 説明も言い訳もしない
  • 複数の人が止まった場所から直す ― 直したら、別の人で確かめる

謝礼は、見てもらった時間へのお礼として渡し、口コミやお客様の声とは引き換えにしない。ここだけは分けておいてください。

今日できることを1つだけ挙げます。最近、電話で聞かれたことを3つ書き出してください。それが、そのまま社外の人に渡す課題になります。あとは、頼めそうな人を1人思い浮かべるだけです。

サイトのどこで人が迷っているのか確かめてみたい、という方は、一度ご相談ください。