1. 「担当、というほどの人はいないんです」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「ホームページの担当者は誰ですかと聞かれると、困るんです。作るときは私が打ち合わせに出ましたが、そのあとは誰ということもなくて。気づいた人が制作会社に連絡している、という感じです」

小さな会社では、これが普通です。ホームページのためだけに人を置く余裕はありませんし、置くほどの仕事量があるとも思えない。だから担当を決めないまま、公開後の日々が過ぎていきます。

ただ、担当がいない状態は、止まっていることに誰も気づかない状態でもあります。更新が止まっても、問い合わせが宙に浮いても、それが誰の仕事でもないからです。

この記事の答えを先に書くと、専任の担当者は要りません。ただ、兼任でよいので、受け持つ範囲を決めた1人は置いたほうがいい、というものです。

この記事で書くこと

  • 担当がいないと、何が止まるか
  • 兼任の担当が受け持つ4つの仕事
  • どんな人に向いているか
  • 担当に任せきりにしないための、社長との分け方
  • 1人に集中させないための、控えの置き方
  • かける時間を決めて、書き残しておく方法

担当者が辞める・異動するときの引き継ぎは ホームページの担当者が辞める・異動するときの引き継ぎ に、更新を続けるための当番表の作り方は 更新を続けられる会社と、止まる会社の違い に書きました。この記事は、その手前の話です。そもそも担当を置くか、置くなら何を任せるかを扱います。

2. 担当がいないと、何が止まるか

担当がいない会社で起きていることを、4つに分けて書きます。どれも、目立った失敗ではありません。静かに止まります。

更新が止まる

お知らせの最終更新日が、1年以上前のままになっている。新しく始めたサービスが載っていない。こうしたことは、誰かが材料を集めて送らない限り、そのままです。

社員はそれぞれ、載せたほうがいいことに気づいています。ただ、誰に渡せばいいか分からないので、気づいたまま終わります。

問い合わせが宙に浮く

フォームから届いた問い合わせが、誰のものでもない状態になります。全員が読める受信箱に届き、全員が「誰かが返しただろう」と思う。返事が無いまま数日たち、お客様は別の会社に連絡します。

制作会社からの確認が、返ってこない

制作会社から「この写真を差し替えてよいですか」「更新の期限が近づいています」と連絡が来ても、宛先が社長だけで、社長が忙しいと止まります。確認を待っているあいだ、作業も止まります。

何が載っているか、誰も知らない

営業の人が、お客様から「サイトに書いてある料金と違う」と言われて初めて、古い情報が残っていると気づく。自社のサイトに何が載っているかを、社内の誰も把握していない状態です。社内で使われていないサイトを使う場面に変える話は ホームページを作ったのに、社内で誰も見ていない にまとめました。

4つとも、担当を1人決めて、受け持つ範囲を書いておけば防げることです。

3. 専任でなくてよい。兼任で受け持つ4つ

担当を置くといっても、ホームページだけを仕事にする人は要りません。本業を持った人が、兼任で受け持つ形で足ります。

大事なのは、受け持つ範囲をはっきりさせることです。「ホームページ担当」とだけ伝えると、何をすればいいのか分からず、結局何もしないか、全部を抱え込むかのどちらかになります。

受け持つのは、次の4つです。

① 更新の材料を集める

載せたほうがいいことを、社内から集める役です。自分で記事を書く必要はありません。現場の写真、終わった仕事の概要、お客様によく聞かれること。社員が持っている材料を受け取って、制作会社に送る、あるいは自分で載せます。

社員に原稿を書いてもらうときの聞き方は ホームページの原稿を、社員に書いてもらう に書きました。担当の仕事は、書くことより、聞いて集めることです。

② 制作会社との窓口

制作会社とのやりとりを、1人にまとめる役です。修正の依頼を出す、確認に答える、見積もりや更新の連絡を受ける。

窓口が1人だと、制作会社の側も話が早くなります。同じ会社の別の人から、食い違う依頼が届くことが無くなるからです。ただし、窓口は決める人ではありません。社長に聞かないと決められないことは、持ち帰ります。この分け方は第5章で書きます。

③ 月1回の確認

月に一度、自社のサイトを開いて見る役です。見るのは、次のようなところです。

  • 古くなった情報 ― 営業時間、料金、社員の名前、終わったお知らせ
  • 表示の崩れ ― スマートフォンで開いて、読めないところが無いか
  • フォーム ― 自分で送ってみて、届くか
  • 数字 ― アクセスや問い合わせの件数を、前の月と比べる

全部を直す必要はありません。気づいたことを、制作会社か社長に伝えるところまでが役目です。

④ 問い合わせの振り分け

問い合わせが届いたら、まず読んで、誰が答えるかを決める役です。自分で全部に答えるのではなく、答える人に回すところまでを受け持ちます。

営業の相談は営業の人へ、採用の応募は採用の担当へ、売り込みは返さない箱へ。振り分ける人が決まっているだけで、宙に浮く問い合わせは減ります。

図:兼任の担当が受け持つ4つの仕事と、受け持たないこと(たとえばの整理)
① 材料を集める
社内から、載せることを受け取る

現場の写真、終わった仕事、よく聞かれること。社員から受け取り、制作会社に送るか自分で載せます。

書くより、聞いて集める
② 制作会社との窓口
依頼と確認を、1人にまとめる

修正の依頼を出し、確認に答え、更新や見積もりの連絡を受けます。決められないことは持ち帰ります。

窓口であって、決める人ではない
③ 月1回の確認
自社のサイトを、客の目で開く

古い情報、スマートフォンでの崩れ、フォームが届くか、前の月との数字の違いを見ます。

気づいたことを、伝えるところまで
④ 問い合わせの振り分け
読んで、答える人に回す

営業の相談、採用の応募、売り込み。種類を見て、答える人に渡します。

全部に答えなくてよい
受け持たないこと
方針・お金・載せる載せないの判断

何を載せるか、いくらかけるか、制作会社を変えるか。こうした判断は、担当ではなく社長が持ちます。

判断まで持たせると、担当が止まる

4つとも、本業のかたわらで回せる大きさに切ってあります。どれも「自分で全部やる」ではなく「集める・まとめる・気づく・回す」です。受け持たないことを先に書いておくと、担当が抱え込まずに済みます。

4. 誰に向くか ― 現場を知っている人

担当を決めるとき、多くの会社は「パソコンに詳しい人」を選びます。ただ、4つの仕事を見ると、向いている人は少し違います。

パソコンに詳しい人とは限らない

4つのうち、操作が要るのは一部だけです。更新を制作会社に頼める形にしておけば、担当は材料を送るだけで済みます。操作が苦手でも更新を止めない進め方は パソコンが苦手でも、ホームページの更新を止めない方法 に書きました。

むしろ大事なのは、載せる材料がどこにあるかを知っていることです。

現場とお客様の両方に近い人

向いているのは、現場で何が起きているかを知っていて、お客様からどう見えるかも分かる人です。

  • 現場の写真が、どこにあるかを知っている
  • お客様によく聞かれることを、覚えている
  • 社内の誰に聞けば何が分かるかを、知っている

事務の方、営業の方、現場のまとめ役の方。会社によって違いますが、社内の話が自然に集まってくる人が、材料集めにも振り分けにも向いています。

「若いから」だけで任せない

よくあるのが、いちばん若い社員に「詳しそうだから」と任せる形です。操作はできても、現場の材料がどこにあるか分からず、社内の誰に聞けばいいかも分からない。聞きに行きにくい立場の人に任せると、材料が集まりません。

若い方に任せるなら、材料を持っている人に声をかけやすいよう、社長から社内に一言伝えておいてください。

社長が自分で持つ場合

社員が少ない会社では、社長ご自身が担当を兼ねることもあります。それで構いません。

ただし、社長は忙しいので、4つのうちどれかを外に出すことを考えてください。更新の作業は制作会社に、問い合わせの振り分けは事務の方に、というように。全部を社長が抱えると、忙しい月にまとめて止まります。

5. 任せきりにしない ― 決めるのは社長

担当を決めると、今度は任せきりになることがあります。担当が決めていいことと、社長が決めることを分けておきます。

担当が決めること、社長が決めること

表:担当が決めてよいことと、社長が決めること(会社ごとに線は違う。中身はたとえばの例)
場面担当が決めてよいこと社長が決めること
お知らせ・実績どの写真を使うか、いつ載せるかお客様の名前を出すか、載せない仕事は何か
文章の直し誤字、古い日付、営業時間の書き換え料金、会社の考え方、断る仕事の書き方
制作会社とのやりとり月の更新の中での修正の依頼追加の費用がかかる依頼、契約の変更
問い合わせ誰に回すか、売り込みを返さないこと受けるか断るか迷う依頼、苦情への答え方
月1回の確認気づいたことを並べ、直す候補を出すどれから直すか、ページを足すか

線の引き方は会社ごとに違います。大事なのは、線を引いて書いておくことです。書いていないと、担当は全部を社長に聞くか、聞かずに決めるかのどちらかになります。

担当に決めてよいことが無いと、何をするにも社長の返事を待つことになり、担当は動けません。逆に、何でも決めてよいことにすると、会社の方針と違うことが載ります。線は、担当が迷わない場所に引いてください。

担当に、決められない話を持たせない

いちばん困るのは、制作会社との打ち合わせに担当だけが出て、その場で決められない話が出る場面です。担当は持ち帰り、社長に伝え、返事をまた制作会社に戻す。これが何往復も続きます。

方針を決める打ち合わせには、社長が出てください。担当は同席して、決まったことを持って帰る役です。打ち合わせを1回で終わらせる準備は 制作会社との打ち合わせを、1回で終わらせる準備 にまとめました。

月に一度、短く聞く

社長がやることは、もう1つあります。月に一度、担当から短く話を聞くことです。

  • 今月、何を載せたか
  • 月1回の確認で、何に気づいたか
  • 社長が決めないと進まないことは何か

これだけで、担当の仕事が社長に見えるようになります。担当の仕事が見えないと、評価もされず、続かなくなります。

6. 1人に集中させず、控えを置く

担当を1人決めたら、同時に控えも1人決めます。担当が1人だけだと、その人が休んだ日に、また全部が止まるからです。

控えは、何ができればよいか

控えは、担当と同じことができなくて構いません。できればよいのは、次の3つです。

  • 問い合わせを読んで、回せる ― 担当が休みの日に、振り分けだけを代わる
  • 制作会社に連絡できる ― 連絡先と、窓口が誰かを知っている
  • どこに何があるか分かる ― 材料の置き場所と、ログインの方法を知っている

この3つができれば、担当が休んでいるあいだも、問い合わせと連絡は止まらずに済みます。

休みと繁忙期の回し方

担当の休みが分かっているときは、その期間だけ控えに切り替えると、社内と制作会社に伝えておきます。伝えておかないと、制作会社は担当の返事を待ち続けます。

本業が忙しくなる時期がある会社は、その時期だけ控えと役割を入れ替えるのも1つの手です。忙しい人に兼任を続けさせると、いちばん後回しになるのがホームページです。

名義と届き先は、人に付けない

控えを置いても、ログインのIDや問い合わせの届き先が担当個人のアドレスになっていると、控えは入れません。名義と届き先は、人ではなく会社のアドレスに付けておく。これが控えを機能させる前提です。移し方は冒頭で挙げた引き継ぎの記事に書きました。

7. かける時間を決めて、書いておく

最後に、担当がどのくらいの時間をかけるかです。ここを決めないまま任せると、続きません。

時間の目安は、会社ごとに違う

月にどのくらいの時間がかかるかは、会社によってまったく違います。お知らせを月に何本載せるか、問い合わせが何件来るか、更新を制作会社に頼めるか。決まった目安はありません。

だからこそ、最初の数ヶ月は実際にかかった時間を記録してみてください。そのうえで、「月にこのくらい」と社長と担当で決めて、書いておきます。

業務の中に入れる

兼任でいちばん起きやすいのは、ホームページの仕事が「本業の空いた時間にやること」になることです。空いた時間は、たいてい来ません。

  • 業務時間の中でやる ― 残業や休日に回さない
  • 曜日や日を決める ― たとえば「月初の確認は第1週のうちに」
  • 評価の中に入れる ― やったことが本業と同じように見られるようにする

3つ目は見落とされがちです。評価されない兼任は、いちばん先に止まります。

1枚に書いておく

決めたことは、1枚の紙にまとめておきます。書くのは、担当と控えの名前、受け持つ4つの仕事、担当が決めてよいことと社長が決めること、かける時間と曜日、制作会社の連絡先です。

この1枚があれば、担当が替わるときも、紙を渡すだけで役割が引き継げます。人に付いていた仕事が、会社の仕事になります。

見直す時期

半年に一度くらい、この紙を見直します。時間が足りているか、受け持つ範囲が広すぎないか、控えが実際に動けているか。担当の異動や、ページを増やしたときも見直しの機会です。

8. 雄喜晃の伴走:担当の方の窓口になります

私たち雄喜晃のホームページ制作では、最初のお打ち合わせで「公開したあと、こちらとやりとりするのはどなたですか」と伺います。決まっていなければ、この記事の4つの仕事をもとに、一緒に考えます。

私たちがやること

  • 担当の方の窓口になる ― 修正の依頼や確認は、担当の方とやりとりします。社長の判断が要ることは、その旨をお伝えします
  • 材料を受け取って載せる ― 写真と一言を送っていただければ、文章を整えてページに載せます。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます
  • 控えの方にも連絡できるようにする ― 担当の方がお休みのときの連絡先を、最初に伺っておきます
  • 受け持つ範囲の紙を一緒に作る ― 担当が決めてよいことと社長が決めることの線を、お打ち合わせの中で一緒に引きます

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、担当の方は操作を覚えなくても、材料を送るだけで更新が進みます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 貴社の担当者を、私たちが代わりに務めることはしません。社内の材料を集めるのは、社内の方にしかできないからです
  • 誰を担当にするかを、私たちが決めることはしません。社内の人の配置は、社長が決めることです
  • 何を載せるか、載せないかの判断はしません。判断は社長にお願いし、私たちは決まったことを形にします。検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「サイトのことを誰が見るのか、社内で決まっていない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:専任は要らない。範囲を決めた1人と、控えを置く

社内にホームページの担当者を決めるときに、押さえることは5つです。

  • 担当がいないと、静かに止まる ― 更新、問い合わせ、制作会社への返事、載っている情報の把握
  • 兼任で、4つを受け持つ ― 材料を集める、制作会社との窓口、月1回の確認、問い合わせの振り分け
  • 向いているのは、現場を知っている人 ― パソコンに詳しい人とは限らない。社内の話が集まる人
  • 決めるのは社長、線を書いておく ― 担当が決めてよいことを分け、方針の打ち合わせには社長が出る
  • 控えを置き、時間を決めて書く ― 名義と届き先は会社に。かける時間は会社ごとに決め、業務の中に入れる

担当を決めるのは、仕事を1人に押し付けるためではありません。誰の仕事でもなかったことを、会社の仕事にするためです。範囲が決まっていれば、兼任でも回ります。

まず、今日できること

社内で、ホームページのことを聞かれたら誰の名前が挙がるかを考えてみてください。名前が挙がらなければ、そこが最初に決めるところです。挙がったなら、その人に4つの仕事のうち、どれを今やっているかを聞いてみてください。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の中で、誰が何を受け持つかを決めるところからご一緒します。