1. 「最初の電話で、測量って何をしてもらえるんですか、と聞かれるんです」

測量や登記の仕事をしている事務所の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「サイトには業務内容として、境界の測量、分筆、建物の登記と並べているんです。でも、お電話をくださる方の多くは、そもそも自分の用事が測量なのかどうかが分からない。不動産屋さんに言われて電話しました、という方も多くて」

測量会社や土地家屋調査士の事務所に連絡してくる個人の方は、ほとんどが初めて頼む方です。土地を売ることになった、家を建てることになった、親の土地を相続した、隣との境目が気になる。用事ははっきりしていても、その用事に何という名前の仕事が要るのかは知りません。

一方で、不動産会社や建設会社のように、仕事として何度も頼む人もいます。初めての個人と、慣れた会社が、同じサイトを見に来る。ここが、この業種のサイトの難しさです。

士業の業種記事とは、役割を分けています

以前、業種別に載せるものを整理した記事(士業/工務店/飲食/運送) で、税理士や社労士、行政書士などの士業について書きました。そこでは、取扱業務を依頼者の言葉で書くこと、顧問料やスポットの料金、相談の流れを挙げています。

測量や土地家屋調査士の仕事には、それとは違う事情があります。現地で作業をすること、隣の土地の方が関わること、期間が事務所の都合だけでは決まらないこと、費用が土地の条件で大きく変わることです。この記事では、その違いから来る載せるものを書きます。

この記事の前提

測量や登記の制度、資格や登録の決まりは、この記事では中身に踏み込みません。制度の扱いや表示については、所管の窓口や所属する会に確認してください。また、境界のもめごとについて法的な判断や解決を約束する書き方はしない、というのもこの記事を通しての前提です。

この記事で書くこと

  • 業務の名前より先に、頼む場面を書く方法
  • 個人の依頼と、会社からの依頼の分け方
  • 仕事の流れと、期間の目安の書き方
  • 費用が決まる条件の書き方
  • 隣の土地の立ち会いについて書くこと
  • 資格や登録、事務所と人の見せ方

2. 業務の名前より先に、頼む場面を書く

いちばん直したいのが、ここです。多くのサイトでは、業務内容が業界の名前のまま並んでいます。境界確定測量、現況測量、分筆登記、表題登記、地積更正。依頼する人は、この名前で自分の用事を探せません。

場面から入って、業務の名前につなぐ

書く順番を逆にします。先に「こんなときに、ご相談ください」という場面を並べ、その場面ごとに、どんな仕事をするのかを書きます。業務の名前は、その説明のあとに添えれば十分です。

表:頼む場面ごとに、サイトに書いておくこと(たとえばの整理で、どの仕事が要るかは土地や事情によって違います)
頼む場面依頼する人が思っていることサイトに書いておくこと
土地を売る不動産会社から「測量が要る」と言われたが、何をされるのか分からない売る前に境目を確かめる仕事があること。決済の日から逆算して、いつごろ相談すればいいか
家を建てる・建て替える建てる前と建てたあとに、何か手続きが要ると聞いた建てる前の測量と、建てたあとの手続きのどちらを受けているか。建設会社とどう分担するか
相続で土地を分ける親の土地を兄弟で分けたいが、どう分ければいいか土地を分ける手続きに関わる仕事を受けているか。遺産の分け方そのものは別の専門家に相談する場合があること
境目が気になる塀を建て直したい。隣との境目がはっきりしない資料と現地を照らし合わせて境目を調べる仕事があること。もめごとの解決を約束しないこと
会社からの依頼売買や工事の段取りに合わせて、早く図面がほしい対応地域、納期の目安、図面の受け渡しの形、請求と支払いの流れ

場面の並べ方と中身は、貴社が実際に受けている仕事で書いてください。場面が先、業務の名前はあとの順にすると、初めての方は自分の用事を見つけられ、慣れた会社の方は業務の名前で探せます。

業界の言葉は消さずに、言い直しを添える

業務の名前を消す必要はありません。不動産会社や建設会社の方は、その名前で探しています。業界の言葉のすぐ後ろに、普段の言葉で言い直しを添えるのがいちばん収まります。

「分筆登記(1つの土地を、2つ以上に分けて登記し直す手続き)」

言い直しの添え方や、用語集を作るかどうかの考え方は、専門用語の多い仕事を、ホームページでどう説明するか にまとめました。

「うちの用事は、どれですか」と聞ける入口を

場面を並べても、自分がどれに当たるか分からない方はいます。「どの仕事が必要か分からない方も、状況をお聞かせください」と一行書いておいてください。

3. 個人の依頼と、会社からの依頼を分ける

測量の仕事は、個人の方からの依頼と、不動産会社や建設会社からの依頼の両方があります。同じページで両方に話そうとすると、どちらにも読みにくくなります。

個人の方が確かめていること

  • 何をされるのか ― 家に来るのか、隣の家にも行くのか、自分は何をすればいいのか
  • いくらかかるのか ― 費用の幅と、何で変わるのか
  • どれくらいかかるのか ― 売る日や建てる日に間に合うのか
  • 隣と気まずくならないか ― 立ち会いをどう頼むのか

個人の方には、手順と費用と期間を、ていねいな言葉で書きます。

会社の方が確かめていること

  • 対応できる地域と、受けられる量 ― 自社の現場がある地域を受けているか
  • 納期の目安と、急ぎの依頼 ― 売買や着工の段取りに合わせられるか
  • 図面の受け渡し ― 紙か、データか。どの形で受け取れるか
  • 請求と支払い ― 請求書の出し方、支払いの時期、続けて頼む場合の決まり

会社の方には、条件と段取りを、短く並べて書きます。トップページで「個人の方」「不動産会社・建設会社の方」と入口を分けておくと、どちらも迷いません。入口の分け方と、それぞれへの話し方は 個人のお客様と法人のお客様、両方を相手にする会社のホームページ に書きました。

4. 仕事の流れと、期間の目安

個人の方がいちばん思い浮かべにくいのが、頼んだあと、何がどの順番で起きるのかです。流れは、事務所がすることより、依頼する人がすることを中心に書いてください。

図:境目を確かめる測量の流れ(たとえばの例です。段階の分け方と中身は、仕事の種類や土地の事情によって違います)
① ご相談と、手元の資料の確認

たとえば、用事と希望の時期を伺い、お手元にある土地の資料を見せていただきます。依頼する方がすることは、事情を話すことと、資料を探すことです。

お見積もりまでに費用がかかるかどうかを書いておく
▼
② 資料を集めて、調べる

たとえば、役所などにある図面や記録を集め、昔の測量の資料と照らし合わせます。

▼
③ 現地で測る

たとえば、土地と周りを測ります。敷地に入らせていただく日を、事前にお知らせします。

依頼する方の立ち会いが要るかどうかを書いておく
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④ 隣の土地の方との立ち会い

たとえば、隣の土地の方に現地で境目を確かめていただきます。日程の調整は、誰がどう行うかを決めておきます。

ここで期間が延びることがある、と先に書いておく
▼
⑤ 図面や書類の作成と、お渡し

たとえば、図面と書類を作り、中身をご説明してお渡しします。登記の手続きが要る場合は、その段取りもここで決めます。

各段階の右側に、依頼する方が気にしていることへの答えを置いています。流れと中身は、貴社が実際に行っている手順で書いてください。建物の登記のように、隣の土地の立ち会いがない仕事は、流れを分けて書くと読みやすくなります。

期間は、幅と、長くなる理由で書く

期間は、事務所の都合だけでは決まりません。正確な日数が言えないのは当然です。それでも、過去の仕事の幅と、長くなる理由は書けます。

  • 隣の土地の数 ― 立ち会いをお願いする方が多いほど、日程の調整に時間がかかる
  • 隣の土地の方の事情 ― 遠方にお住まい、連絡先が分からない、相続の手続きが終わっていない
  • 道路や水路との境目 ― 役所などとの確認が要る場合
  • 資料の古さ ― 昔の資料と現地が合わない場合

期間の目安を書く場合は、「住宅地の土地で、隣の土地が数件の場合、ご依頼からお渡しまでおよそ〇ヶ月」のように、条件と一緒に、貴社の実際の仕事から出した幅で書いてください。

「いつまでに相談すればいいか」を書く

依頼する人は、売買の決済の日や、工事を始める日から逆算しています。「売買のご予定がある場合は、決まった時点でご相談ください」のように、相談の時期の目安を書いておくと、ぎりぎりの依頼が減ります。流れの書き方は サービス紹介のページは、どの順番で書けばいいか にもまとめてあります。

5. 費用が決まる条件を書く

測量の費用は、土地ごとに大きく違います。だからといって何も書かないと、個人の方は「頼んだらいくら請求されるか分からない」と感じて連絡をためらいます。金額を言い切れないなら、金額が決まる条件を書きます。

費用が変わる条件を並べる

  • 土地の広さ ― 広いほど、現地で測る手間が増える
  • 土地の形 ― 角が多い、細長い、高低差がある
  • 隣の土地の数 ― 立ち会いをお願いする方の数で、手間が変わる
  • 資料の有無 ― 過去の測量の図面があるか、境目の目印が残っているか
  • 道路や水路との境目 ― 役所などとの確認が要るか
  • 現地の状況 ― 木や建物で見通しが悪い、立ち入りに配慮が要る
  • 登記まで含むか ― 測量だけか、その後の手続きまでお受けするか

この一覧があれば、読む人は自分の土地が高くなる条件に当てはまるかを確かめられます。

例は、条件と一緒に置く

金額の例を出す場合は、条件と一緒に書きます。

「たとえば、住宅地にある〇〇㎡ほどの四角い土地で、隣の土地が〇件、過去の図面がある場合:〇〇万円〜〇〇万円(数字は架空の例です)」

数字は、貴社の実際の仕事から書いてください。性質の違う例を2〜3件並べると、読む人は自分に近い行を探せます。条件つきで金額を出す考え方は、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。

報酬とは別にかかるものを書く

登記の手続きでは、国に納める費用など、事務所の報酬とは別にかかるお金がある場合があります。資料を取り寄せる費用、境目の目印を新しく入れる費用、遠方の現地に行く交通費なども、別になることがあります。中身は仕事によって違うので、「別にかかるものがある」と書き、見積もりの中で分けてお示しすると書いておけば十分です。

見積もりと、途中でやめたとき

  • 見積もりに費用がかかるか ― 現地を見る前の概算か、資料を調べたあとの見積もりか
  • どこから費用が発生するか ― ご契約の時点か、資料の調査を始めた時点か
  • 途中で取りやめたとき ― 立ち会いがまとまらずに止まった場合、それまでの作業の費用をどう考えるか

3つ目は書きにくいところですが、貴社の決まりを事実で書いておくと、あとの行き違いが減ります。

6. 隣の土地の立ち会いについて書くこと

個人の方がいちばん気にしているのは、費用より、隣の家との関係かもしれません。「測量をお願いしたら、隣にも話が行くんですよね」。この心配に、先に答えておきます。

なぜ隣の方が関わるのかを、一文で

境目は、片方の土地だけでは決まりません。境目は隣の土地との間にあるので、隣の方にも確かめていただく。この理由を一文で書いておくと、依頼する人は隣の方に話をするときの言葉を持てます。

誰が、何をするのかを書く

  • 隣の方への連絡 ― 事務所から連絡するのか、依頼する方から先に一声かけてもらうのか
  • 説明の仕方 ― 隣の方にお渡しする説明の文書を用意しているか
  • 立ち会いの日時 ― 平日だけか、土日も受けるか。隣の方の都合に合わせられるか
  • 依頼する方の立ち会い ― 依頼する方もその場にいる必要があるか
  • 隣の方が遠方の場合 ― 現地に来られない方に、どう確かめていただくか

依頼する方が何をして、事務所が何をするかが分かれば、「隣に何と言えばいいか」という心配は小さくなります。

話がまとまらないときのことを、正直に書く

立ち会いで、隣の方と考えが合わないこともあります。そのとき事務所として何ができるか、何ができないかを書いてください。

「資料と現地の状況をもとに、境目について調べた結果をご説明します。ただし、隣の方との話し合いがまとまることをお約束するものではありません。争いになっている場合は、弁護士など別の専門家へのご相談が必要になることがあります」

法的な判断や、もめごとの解決を約束する書き方はしないでください。境目のもめごとを扱う制度や手続きもありますが、どれが使えるか、どの専門家が担うかは状況によって違います。サイトで制度の名前を挙げる場合も、中身は所管の窓口や所属する会に確認したうえで、一般的な案内にとどめます。

7. 資格と登録、事務所と人の見せ方

誰が、どの資格を持っているか

測量や登記の仕事では、資格と登録がそのまま信頼の材料になります。誰が、どの資格を持っていて、事務所や会社がどこに登録しているかを正確に書いてください。土地家屋調査士、測量士、測量士補のように、資格の名前が似ていて違いが分かりにくいので、その資格で何を担っているかを一行添えると、読む人に意味が伝わります。

どの手続きを誰が担えるかには、資格ごとに決まりがあります。貴社が担える範囲を、所管の窓口や所属する会の案内で確かめたうえで書いてください。制度の中身は、この記事では書きません。資格の載せ方全般は 資格・許認可・受賞歴を、ホームページにどう載せるか に書きました。

ほかの専門家とのつながり

相続や売買の相談では、司法書士や税理士、弁護士など、ほかの専門家の仕事と隣り合います。紹介できる先があるなら、そのことを事実の範囲で書いておきます。ただし、ほかの専門家の仕事まで受けるような書き方はしないでください。

事例は、場所が分からない形で

事例を載せると、どんな仕事をしているかが伝わります。ただし、土地の仕事は場所が分かると、持ち主が分かってしまうことがあります。

  • 場所 ― 市区町村までにとどめる
  • 図面 ― 番地や形から場所が分かる図面は載せない
  • 写真 ― 表札、車のナンバー、隣の家の様子が写っていないか確かめる
  • 中身 ― 依頼の場面、難しかった点、かかった期間の幅を中心に書く
  • 許可 ― 依頼した方に、何をどこまで載せてよいか確かめる

8. 雄喜晃の伴走:相談の電話で説明していることを、場面ごとに並べます

私たち雄喜晃は、測量や登記の事務所のホームページを作るとき、最初に「初めての方からの電話で、毎回説明していること」を伺うところから始めます。その説明が、そのまま場面ごとのページの中身になるからです。

私たちがやること

  • 頼む場面を並べ、業務の名前につなぐ ― 貴社が受けている仕事を伺い、場面ごとに言い直しを添えて書きます
  • 個人の方と会社の方の入口を分ける ― それぞれが確かめていることを、別々に並べます
  • 流れと期間の幅を、図にする ― 貴社の実際の手順と、過去の仕事の幅を伺って書きます
  • 費用が決まる条件を、一覧にする ― 金額の例を載せる場合は、貴社の数字と条件を伺って組みます
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 写り込みに気づいた点はお伝えします

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、事例の追加や、料金の改定、資格を持つ方が増えたときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 貴社の報酬や、受ける仕事の範囲そのものは決めません。決まった内容を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
  • 資格や登録、制度に関わる表示についての判断はしません。所管の窓口や所属する会に確認していただくようお願いしています
  • 実際にない事例や、お客様の声を作文して載せることはしません。検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「業務内容は並べてあるのに、初めての方からの電話がいつも説明から始まる」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:用事の名前を知らない人が、自分の場面を見つけられるか

測量会社や土地家屋調査士の事務所のホームページで押さえることは、5つです。

  • 頼む場面を先に書く ― 土地を売る、家を建てる、相続、境目の心配。業務の名前は、言い直しを添えてあとに
  • 個人と会社の入口を分ける ― 個人の方には手順と費用と期間を、会社の方には条件と段取りを
  • 流れと期間を、依頼する人の手間で書く ― 長くなる理由と、いつまでに相談すればいいかを添えて
  • 費用は、決まる条件で書く ― 広さ、形、隣の土地の数、資料の有無。例は条件と一緒に、別にかかるものと途中でやめたときのことも
  • 立ち会いと資格を、事実で書く ― 誰が何をするか、まとまらないときにできること・できないこと。資格は意味を一行添えて

測量や登記の仕事は、依頼する人が、用事の名前を知らないまま探し始める仕事です。場面から入れるサイトであることが、そのまま相談の入口になります。制度や資格、登録の表示に関わるところは、所管の窓口や所属する会に確認してください。

まずは今月、初めての方からの電話で最初に聞かれたことを、1つずつメモしてみてください。そのメモが、サイトに並べる「こんなときに、ご相談ください」の中身になります。