1. 「年末の注文の締め切りを、毎年電話で一件ずつ伝えているんです」
地域で精肉店や鮮魚店を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「年末が近づくと、すき焼きのお肉やお正月の魚の注文はいつまでか、という電話が毎日のように来るんです。飲食店さんへの卸もやっているんですが、サイトには住所と電話番号しか載せていなくて。品物は毎日変わるので、何を書けばいいのか分からないんですよ」
精肉店も鮮魚店も、並ぶ品が日によって変わります。だから「品物を書いても、すぐ古くなる」と思われがちです。ただ、毎日変わる品の裏には、変わらない決まりがあります。どこから仕入れているか、どんな品がよく入るか、注文は何日前までか、どこまで届けるか。サイトに書くのは、その決まりのほうです。
見に来る人は、3種類いる
精肉店・鮮魚店のサイトを見に来る人は、大きく3つに分かれます。
- 店頭で買う人 ― 今日開いているか、どんな品があるか、切り方や下ごしらえを頼めるか
- 飲食店の人 ― 卸してもらえる地域か、どのくらいの量から頼めるか、何時に届くか
- 贈り物や行事の注文をする人 ― 年末やお祝いの注文はいつまでか、遠くへ送れるか
確かめることが違うので、トップページに「店頭のご案内」「飲食店さまへ」「ご予約・贈り物」のような入口を分けて並べると読みやすくなります。個人と法人の両方を相手にするサイトの組み方は、個人のお客様と法人のお客様、両方を相手にする会社のホームページ にまとめました。
この記事で書くこと
- 店の人の目利きと、扱う品の特徴の伝え方
- 日によって品が変わることを、毎日更新せずに書く方法
- 取り置きと、年末や行事の注文の締め切り
- 飲食店への卸の条件(地域・量・時間)
- 贈答品と配送
- 調理の相談と、食品の表示の考え方
2. 店の人の目利きと、扱う品の特徴を書く
品物の名前より、選び方を書く
地域の専門店が選ばれるのは、選ぶ人の目と、切り分けてくれる手があるからだと思います。サイトにまず書くのは、品物の一覧より、どういう考えで仕入れているかです。
- どこから仕入れているか ― 市場で自分の目で選んでいる、決まった産地や生産者から入れている、地元の港から仕入れている。貴社の事実をそのまま書きます
- 何を多く扱っているか ― 牛・豚・鶏のどれが得意か、近くの海の魚が中心か、貝や干物も扱うか
- どう扱っているか ― 店でさばいている、肉の寝かせ方に気を配っている、温度の管理をどうしているか
- 店で作っているもの ― 自家製のコロッケや惣菜、味付けした肉、干物、練り物など
生産者や産地の名前を出すときは、相手の了解を取ってからにしてください。
店の人の名前と、得意なことを添える
精肉店や鮮魚店では、「あの人に聞けば分かる」という店の人の存在が大きいと思います。誰が仕入れているか、誰がさばいているか。短い紹介でいいので、名前と得意なことを載せておきます。
「店主の〇〇です。毎朝市場に行って、その日の魚を選んでいます。煮付けにするか刺身にするか迷ったら、気軽に聞いてください」(言い回しは架空の例です)
家族で営むお店なら、店の紹介の中に数行あれば足ります。考え方は 社員紹介ページは、本当に要るのか に書きました。
頼めることを一覧にする
専門店の値打ちは、買う人の注文に合わせて手を入れてくれることにもあります。ところが、常連の方は知っていても、初めての人は頼んでいいのかが分かりません。頼めることを並べておきます。
- 切り方と厚さ ― すき焼き用、しゃぶしゃぶ用、ステーキの厚さ、角切り、ひき肉の粗さ
- 量り売り ― 少ない量でも頼めるか。何グラムから受けているか
- 魚の下ごしらえ ― うろこ取り、内臓の処理、三枚おろし、切り身、刺身にする。料金がかかるかどうか
- 時間がかかるもの ― 混み合う時間はお待たせすることがある、前もって電話で頼めば用意しておく
受けていないことも一緒に書いておくと、店頭で断る場面が減ります。
3. 日によって品が変わることを、毎日更新せずに書く
その日の入荷を、サイトのページに書かない
今日入った魚や今日のおすすめを、サイトのページに毎日書こうとすると続きません。止まった日から、昨日の情報が今日の情報として残ります。
品の情報は、変わる速さで3つに分けて、置き場所を決めます。
たとえば「豚の小間切れ、鶏のもも、自家製のコロッケ」。品名と、量り売りの単位や値段の目安を書きます。値段が動く品は「店頭の表示でご確認ください」と添えます。
たとえば「秋から冬にかけては、脂ののった魚が増えます」「〇曜日は鶏の入荷が多い日です」。例年の時期と入る曜日を書けば、その品を待つ人が予定を立てられます。
たとえば「本日は〇〇が入りました」。サイトのページには書かず、流れていく場所か電話に任せます。サイトからは、その場所への入口と「お電話でもお尋ねいただけます」の一行を置きます。
サイトのページに書くのは①と②です。決まりはサイトに、その日のことは流れる場所と電話に。この分け方なら、年末の忙しい時期でもページが古くなりにくくなります。
品が少ない日を書いておく
鮮魚店なら、市場が休みの日の翌日や、海が荒れた日は品数が少なくなることがあると思います。精肉店でも、入荷の曜日が決まっている品があるはずです。
「市場が休みの翌日は、鮮魚の品数が少なくなります。お目当ての魚がある方は、前日までにお電話でご相談ください」
定休日と、品が少ない日は別のことです。書き分けておくと、来たのに目当ての品が無い、ということが減ります。営業時間・定休日の書き方は 営業時間・定休日を、ホームページにどう書くか にまとめました。
その日の知らせは、SNSか電話に任せる
その日の入荷を写真で出しているなら、サイトからはそこへの入口を置きます。投稿の一覧を埋め込むかどうかの判断は Instagramの投稿を、ホームページに埋め込むか にまとめてあります。
SNSを使っていないお店なら、「その日の入荷は、お電話でお尋ねください」の一行で足ります。電話を受けやすい時間帯も添えておくと、仕込みの最中の電話が減ります。
4. 取り置きと、年末や行事の注文
取り置きは、何時まで置くかを書く
電話で取り置きを受けていても、サイトに書いていなければ、初めての人は頼めることを知りません。
- いつ頼めるか ― 当日の朝から受けるか、前日から受けるか
- 何時まで置いておくか ― 「閉店の1時間前まで」のように
- 来られなかったとき ― 連絡がなければ店頭に戻すかどうか
- 取り置きできない品 ― 数の少ない品や、その日のうちに売り切りたい生ものなど
年末の注文は、受付の始まりと締め切りを早めに出す
すき焼きの肉、お正月の魚、集まり用の盛り合わせ。年末に電話で一件ずつ伝えている決まりを、年末だけの案内として1つのページにまとめておきます。
- 受付の始まりと締め切り ― 「〇月〇日から受付、締め切りは〇日」。数に限りがある品は、そのことも
- 受け取りの日と時間帯 ― 受け取りの日を選んでもらい、最終日に集中しないようにする
- 店頭販売があるか ― 予約しなくても当日の店頭に並ぶ品があるかどうか
- 量の目安 ― 「すき焼き用は、お一人さま〇グラムほどが目安です」。目安は貴社の経験から書きます
- 変更と取り消し ― 何日前までなら変えられるか。仕入れたあとの取り消しをどう扱うか
- 年末年始の営業日 ― 何日まで開けて、何日から開けるか
量の目安は思いのほか効きます。何グラム頼めばいいか分からない人は、電話で聞くか、頼むのをやめてしまうからです。
行事の注文も、同じ形で書く
お盆、法事、お祝いの尾頭付きの鯛、地域の集まりのバーベキュー。行事ごとに「何日前までに、どれくらいの量から」を書いておきます。
年末の案内は毎年同じページを使い回し、日付と品だけを直す形にしておくと準備が楽になります。時期が過ぎたら、案内は下げてふだんの表示に戻します。季節で注文の山が来る商売のサイトの回し方は、季節で忙しさが変わる商売の、ホームページの回し方 に書きました。
予約が確定する仕方を書く
電話でもフォームでも、お店から確認の連絡をして初めて予約が確定するのかどうかを書いておきます。確定の仕方が分からないと、お客様は「頼んだつもり」のまま当日に来ます。受け方は少ないほうが、取りこぼしが減ります。
5. 飲食店への卸は、地域・量・時間で書く
飲食店の人は、条件で比べている
仕入れ先を探す飲食店の人が見ているのは、届けてもらえる条件です。「飲食店さまへの卸もいたします」の一行だけでは、自分の店が対象になるのかが分かりません。
| 項目 | たとえばの書き方 | 書いておく理由 |
|---|---|---|
| 配達の地域 | 「〇〇区と△△市の一部。それ以外の地域はご相談ください」 | 市区町村の名前があると、自分の店が入るかすぐ分かる |
| 納品の時間 | 「午前〇時から〇時のあいだにお届けします。ランチの仕込みに間に合う時間です」 | 仕込みの時間に届かないと、品が良くても使えない |
| 注文の締め切り | 「前日の〇時までのご注文で、翌日にお届けします」 | 締め切りが無いと、いつ頼めば間に合うかで迷う |
| 量 | 「1回〇キロから。少量のご注文はご相談ください」 | 小さな店が頼んでいいかを判断できる |
| 切り方・下処理 | 「部位ごとのカット、魚のおろしや切り身まで承ります」 | 厨房の手間がどこまで減るかが、仕入れ先を選ぶ決め手になる |
| 品が入らないとき | 「天候などで入荷がない日は、前日に代わりの品をご連絡します」 | 当日に品が届かない心配を、先に消しておける |
| 支払い | 「月末締め、翌月〇日までにお振り込み」 | 締め日と期日が分かると、経理の確認がそこで済む |
数字は、貴社の配達の回り方と仕入れの量から決めてください。条件に合わない店からの問い合わせが減るのは、損ではありません。合う店は、条件を読んだうえで連絡してきます。
献立の相談を受けているかを書く
この料理ならどの部位がいいか、今の季節はどの魚が安定して入るか。献立に合わせた品の相談を受けているなら、配達の条件と並べて書いておきます。値段だけで仕入れ先を決めない店には、ここが決め手になることがあります。
取引を始める流れを書く
取引を始めるまでの流れも書きます。連絡をもらう、店に伺って話を聞く、扱う品と配達の曜日を決める、試しに何回か届ける。店の業態、使う量の見込み、届けてほしい時間帯を伝えてもらえれば話が早い、と添えておきます。
6. 贈答品と配送
贈り物は、予算と包装と日持ちを書く
お中元やお歳暮、お祝いのお返し、手土産。肉や魚は、贈り物としても選ばれます。選べるものと、決まりを並べておきます。
- 予算の帯 ― 「〇,〇〇〇円から」のように、いくつかの帯で用意しているか。予算を伝えてもらえば見繕うか
- 包装とのし ― 箱や包装、のしを付けられるか。有料か無料か
- 日持ちの目安 ― 冷蔵か冷凍か、何日ほどで食べてほしいか。正確な期限は商品の表示で確かめてもらう
- 持ち歩き ― 保冷剤を付けられるか。どれくらいの時間の持ち歩きを考えているか
「迷ったら、予算と贈る相手を教えてください」と書いておくと、相談のきっかけになります。
送れる品と、送れない品を分ける
遠くへ送るときに、まず分けるのは送れる品と、送れない品です。その日のうちに食べてほしい品は送らない、冷凍できる肉や加工品は送る、というお店が多いと思います。送れる品には、次のことを書きます。
- 温度 ― 冷蔵で送るか、冷凍で送るか
- 届く地域と日数 ― 送れない地域があるか。日付の指定ができるか
- 送料 ― 「どこへ・いくつ・いくら以上」で書く
- 受け取れなかったとき ― 不在で戻ってきた生ものをどう扱うか
- 届いた品に問題があったとき ― 連絡の期限と連絡先
生ものは、受け取れる日を確かめてから注文してもらう一言を添えておきます。送料や返品の決まりの書き方は、送料や返品の決まりを、ホームページにどう書くか にまとめてあります。
7. 調理の相談と、食品の表示の決まり
調理の相談を受けていることを書く
「これはどう食べるのがいいですか」と店頭で聞かれることは多いと思います。こうした相談を受けていること自体が、専門店に来る理由になります。
- 相談できること ― 料理に合う部位や魚の選び方、何人分ならどれくらいの量か
- 簡単な食べ方の案内 ― 季節の魚や、なじみの薄い部位の食べ方を短く載せる。季節の品を入れ替えるときに一つずつ足せば十分です
- 保存の仕方 ― 冷蔵で何日ほど、冷凍するならどう分けるか
生で食べられるかを、言い切らない
刺身や、生に近い食べ方を聞かれることもあると思います。生で食べる用途の品には、扱いや表示に決まりがある場合があります。サイトでは、生で食べられる品を店頭の表示で分けていることを書き、店頭の表示に無い食べ方を勧める書き方はしないでください。
原産地や表示の決まりは、所管の窓口で確かめる
食品の表示について何が求められるかは、量り売りか、包装して並べるか、自家製の惣菜を作るか、通信販売で送るかといった売り方によって変わります。営業の許可や届け出が関わる場合もあります。業種や販売の形によって違うので、保健所などの所管の窓口や専門家に確認してください。この記事では、サイトに書くときの一般的な注意だけを書いておきます。
- 店頭の表示と食い違わないようにする ― サイトに産地を書くなら、店頭の表示と同じ内容にする
- 仕入れ先が変わる品は、産地を固定で書かない ― 「産地は店頭の表示でご確認ください」と書く
- アレルギーは相談の窓口を書く ― 惣菜や加工品について、「ご心配な方はご注文の前にご相談ください」
- 確かめた結果を控えておく ― 窓口で確かめた日と内容を社内に残す
8. 雄喜晃の伴走:毎日の品は書かずに、変わらない決まりを形にします
私たちがやること
私たち雄喜晃は、精肉店・鮮魚店のホームページを作るとき、最初に「毎日変わること」と「変わらない決まり」を分けるところから始めます。そのうえで、お客様の種類ごとによく聞かれることを伺い、ページの中身にします。
- 仕入れの考えと店の人の目利きを、伺って文章にします ― 品の一覧より先に、選び方と扱い方を書きます
- 品の情報を3つに分けて置きます ― いつもある品、季節や曜日で入る品、その日の入荷への入口
- 年末と行事の注文の案内を、使い回せるページにします ― 出す日と下げる日も一緒に決めます
- 飲食店への卸の条件を表にします ― 地域、時間、締め切り、量、支払いを、実際の回り方から組みます
- 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 店内や品の写真を、明るさや大きさをそろえて配置します
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、季節の品の入れ替えや、年末の注文の案内を出す・下げるといった直しも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
- その日の入荷を、毎日こちらで更新することはしません。月5回の更新代行は、決まりや季節の入れ替えのためのものです
- 品の値段や卸の条件そのものは決めません。決まった内容を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
- 食品の表示や許可が決まりに合っているかの判断はしません。所管の窓口や専門家で確かめていただくようお願いしています
- 注文の受け付けや発送の代行、在庫を管理する仕組みの開発はしていません
- 検索順位や来店・取引の増加をお約束することもしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「年末の注文の締め切りや卸の条件を、毎回電話で一から説明している」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:毎日変わる品の裏にある、決まりを書く
地域の精肉店・鮮魚店のホームページで押さえることは、5つです。
- 品の一覧より、選び方と頼めることを書く ― どこから仕入れ、どう扱い、どんな切り方や下ごしらえを頼めるか
- 品の情報を、変わる速さで分ける ― いつもある品と季節の品はサイトに、その日の入荷は流れる場所と電話に
- 年末と行事の注文は、締め切りと受け取りと量の目安を書く ― 毎年使い回せるページにして、時期が過ぎたら下げる
- 飲食店への卸は、地域・時間・量で書く ― 締め切り、下処理、品が入らないとき、支払いまで
- 贈答と配送は送れる品を分け、表示は言い切らない ― 食品の表示のことは所管の窓口や専門家に確認を
選んでくれる目と、注文に合わせて手を入れてくれる仕事は、貴社にしかありません。そこを書いておけば、まだ来たことのない人や取引のない飲食店にも、お店の値打ちが伝わります。
まず、今日できること
去年の年末に、電話で何を聞かれたかを思い出して、紙に書き出してみてください。締め切り、受け取りの日、何人分なら何グラムか、送れるかどうか。多かった順に並べれば、それがそのまま、年末の案内のページに書く項目の一覧になります。