1. 「予約サイトに載っているので、自分のサイトは後回しで」
小さな宿を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「部屋は予約サイトでだいたい埋まるので、自分のホームページは昔作ったままなんです。料金も変わったし、写真も古い。直したほうがいいのは分かっているんですが、何を載せればいいのか」
予約サイトに載っている宿にとって、自分のホームページの役目は分かりにくいものです。予約は向こうで入る。写真も料金もあちらに載っている。では、自分のサイトには何を書けばいいのか。ここで手が止まり、何年も前のまま残っている宿は少なくありません。
ただ、泊まる側の動きを考えると、自分のサイトの役目は見えてきます。予約サイトで宿を見つけた人の中には、宿の名前で検索して、自分のサイトを確かめに来る人がいます。部屋の様子をもっと見たい。夕食の中身を知りたい。子どもを連れて行って大丈夫か知りたい。予約サイトの決まった欄には書ききれないことを、確かめに来ているのです。
この記事では、そうして確かめに来た人に向けて、小さな旅館や民宿が自分のサイトで何を伝えるかを整理します。
この記事で書くこと
- 予約サイトと自分のサイトで、伝える役目をどう分けるか
- 部屋ごとの写真と、広さ・人数の書き方
- 食事とお風呂、チェックインとチェックアウトの時間
- 送迎・駐車場と、近くの見どころの案内
- 子ども連れ・高齢の方・食事の制限への対応を、できることだけ書く方法
- キャンセルの決まり、料金と空室の食い違い、自分のサイトでの予約の受け方
2. 予約サイトは比べる場所、自分のサイトは確かめる場所
先に、2つの役目の違いを整理しておきます。
予約サイトは、同じ形で並べる場所
予約サイトは、たくさんの宿を同じ形で並べて比べる場所です。料金、空室、口コミ、決まった項目の設備。比べやすいように、どの宿も同じ欄に同じ形で書くようにできています。
同じ形では、書ききれないこと
裏返せば、欄の決まっていないことは書きにくいということです。部屋の窓から何が見えるか。夕食にどんな料理が出るか。階段が急かどうか。小さな子どもが泣いても気兼ねしにくい部屋はどれか。宿の人なら一言で答えられることが、決まった欄のどこにも入らないまま残ります。
泊まる側から見ると、ここが迷いどころです。料金で候補を何軒かに絞ったあと、最後に決める材料は、こうした欄の外の話であることが多いからです。
自分のサイトは、宿の人が答える場所
自分のサイトは、電話で聞かれたら宿の人が答えていることを、先に書いておく場所と考えてください。予約を取ることより、迷っている人の質問に答えることが先です。予約は、そのあとどちらで入ってもかまいません。
| 項目 | 予約サイトで伝わること | 自分のサイトで足すこと |
|---|---|---|
| 部屋 | 部屋の種類と料金、写真が数枚 | 部屋ごとの広さと人数、窓からの眺め、トイレや洗面が部屋にあるか、階と段差 |
| 食事 | 「夕朝食付き」などの区分とプラン名 | 献立の例、食べる場所と時間、季節で変わること、子ども用の食事 |
| お風呂 | 大浴場や貸切風呂の有無 | 入れる時間、男女の入れ替え、貸切の使い方 |
| 到着 | チェックインとチェックアウトの時刻 | 遅れるときの連絡先、夕食に間に合う到着の目安、送迎の条件 |
| まわり | 所在地と地図 | 宿の人が勧める歩いて行ける場所、雨の日の過ごし方 |
| 決まり | そのサイトでのキャンセル料 | どこで予約したかで決まりが変わることの説明、天候で来られないときの扱い |
予約サイトの欄を自分のサイトに写すのではなく、欄の外にある話を足すのが自分のサイトの役目です。電話で聞かれて答えていることが、そのまま右の列の中身になります。表の中身は一例なので、貴社の宿の事実で置き換えてください。
3. 部屋ごとに、写真と広さと人数を書く
「客室」をまとめて1枚にしない
小さな宿ほど、部屋ごとに違いがあります。眺めのいい部屋、少し広い部屋、トイレの付いた部屋、階段を上がった先の部屋。これを「客室」として写真1枚と説明数行にまとめてしまうと、自分がどの部屋に泊まれるのかが分かりません。
部屋の種類ごとに、同じ形で並べてください。部屋数が少なければ、1部屋ずつでもかまいません。
1部屋ごとに書く項目
- 広さ ― 和室なら畳の数、洋室なら平米。次の間や窓際の板の間があれば、それも
- 何人まで泊まれるか ― ゆったり泊まれる人数と、布団を足して泊まれるいちばん多い人数を分けて書く
- 寝具 ― 布団かベッドか。布団は宿で敷くのか、自分で敷いてもらうのか
- 部屋にあるもの、無いもの ― トイレ、洗面、お風呂、冷蔵庫、テレビ。部屋に無いものは「共用です」と書く
- 階と段差 ― 何階か、エレベーターがあるか、部屋の入口に段差があるか
- 眺めと音 ― 窓から何が見えるか。道路や川の音が聞こえる部屋なら、それも
古い建物の宿では、トイレや洗面が部屋の外にあることも珍しくありません。共用であることは、隠さずに書いてください。着いてから知るのと、分かったうえで選ぶのとでは、同じ部屋でも受け取り方がまったく違います。
写真は、泊まる人の目で撮ったものを
部屋の写真は、広く見せる1枚だけでは足りません。実際に泊まったときの姿が分かる写真を混ぜてください。
- 入口から見た部屋の全体
- 窓側から振り返った全体
- 窓からの眺め
- 布団を敷いた状態、またはベッドの並び
- 洗面やトイレ、部屋のお風呂
布団を敷いた写真があると、何人で泊まるとどのくらいの余裕があるかが伝わります。
手元にある写真から選ぶ手順は 手元にある写真から、ホームページに使う写真を選ぶ にまとめました。眺めの写真は季節が出るので、季節の変わり目に入れ替えると、古さが目立ちません。
部屋の呼び名を、予約サイトとそろえる
見落としやすいのが部屋の呼び名です。予約サイトでは「和室10畳・山側」、自分のサイトでは「桔梗の間」。これでは、同じ部屋だと分かりません。
呼び名を1つにそろえるか、両方を並べて書いてください。「桔梗の間(予約サイトでは和室10畳・山側)」と書いておけば、電話でも話が早くなります。
4. 食事とお風呂は、時間と場所まで書く
食事は、献立の例と、食べる場所
食事は、小さな宿が選ばれる理由になりやすいところです。それなのに「季節の会席」「地元の食材を使った料理」の一行で終わっていることがよくあります。
- 献立の例 ― ある季節の夕食で、どんな料理が出るか。「仕入れによって変わります」と添えて
- 食べる場所 ― 部屋か、食事処か、広間か。ほかのお客様と同じ部屋か、仕切りがあるか
- 時間 ― 夕食と朝食の始まる時間。選べるなら、いつまでにどう伝えればいいか
- 食事なしの泊まり方 ― 素泊まりや朝食だけで泊まれるか。近くに食べに行ける店があるか
献立の写真は、今の季節のものになっているかを確かめてください。冬なのに夏の献立の写真が並んでいると、「今もこれが出るのか」と迷わせます。
お風呂は、種類と入れる時間
お風呂も、予約サイトでは「大浴場あり」「貸切風呂あり」のように、有無だけになりがちです。自分のサイトでは、入れる時間と、使い方まで書きます。
- 大浴場か、家族で入れる貸切か、部屋のお風呂か
- 入れる時間。夜は何時まで、朝は何時から
- 男女の入れ替えがあるか、あるなら何時に替わるか
- 貸切は予約が要るか、空いていれば入れるか、追加の料金はあるか
- 脱衣所の段差や手すり、置いてあるもの
温泉を引いている宿は、温泉であることや、お湯の成分・効き目の書き方に決まりがある場合があります。書く前に、表示の内容を所管の窓口などで確かめてください。
5. 着くまでのことと、近くの見どころ
泊まる側は、宿に着く前のことも気にしています。時刻、送迎、駐車場、そして着いたあとに出かける場所です。
チェックインとチェックアウトは、前後のことまで
時刻だけでなく、その前後に何ができるかを書きます。
- チェックインより早く着いたら、荷物を預けられるか
- 到着が遅くなるとき、何時までに連絡がほしいか。夕食に間に合う到着の目安
- 玄関が閉まる時刻があるか、夜に外出できるか
- チェックアウトのあと、荷物を預けて出かけられるか
小さな宿は、宿の人が食事の支度をしている時間帯に、電話がつながりにくいことがあります。電話がつながりやすい時間を書いておくと、遅れるという連絡が届きやすくなります。
送迎と駐車場
送迎があるなら、どこから、何時ごろ、予約が要るかを書きます。駅までの送迎を決まった電車の時刻に合わせているなら、その書き方で。
車で来る方には、駐車場の台数、宿からの距離、大きな車が入れるか、狭い道や坂を通るかを書きます。カーナビで案内される場所と、宿の入口がずれる宿もあります。その場合は、目印になる建物や曲がる場所を書いておいてください。
駅や駐車場から玄関までの道の見せ方は、「アクセス」のページで、来る人を迷わせない に詳しく書きました。
近くの見どころは、宿の人の言葉で
近くの案内は、観光の案内所のページと同じことを書いても読まれません。書くのは、宿の人が泊まった方に実際に勧めていることです。
- 朝食の前に歩いて行ける場所
- 雨の日に過ごせる場所
- 夕方に行くといい場所、早く閉まる店
- 地元の人が買い物に行く店
「歩いて何分」のような数字は、実際に歩いて確かめたものだけを書いてください。季節によって行けない場所や、休みの多い店は、その旨を添えます。
6. 子ども連れ・高齢の方・食事の制限は、できることだけ書く
ここは書き方に気をつけたいところです。
「どなたでも歓迎」では、決められない
子ども連れの方、ご高齢の方、食べられないものがある方は、予約の前に細かく確かめます。ここで「どなたでも歓迎します」と書くだけでは、判断の材料になりません。
逆に、できないことまで「対応します」と書くと、着いてから困るのは泊まる方と宿の両方です。書くのは、できることだけ。できないことは、できないと書きます。
子ども連れの方へ
- 子どもの料金の決まり方。年齢で分けるのか、食事や布団の有無で分けるのか
- 子ども用の食事、取り分けの皿、小さな椅子があるか
- 大人と同じ布団で寝る形で泊まれるか
- 音が響きやすい部屋か、ほかの部屋から離れた部屋を選べるか
ご高齢の方、足の不自由な方へ
階段の有無、手すり、部屋からトイレやお風呂までの距離、和室での立ち座り。ベッドの部屋があるか、椅子とテーブルで食事ができる席があるかも書いておきます。
段差や車いすでの案内は、段差や駐車場、車いすでの来店を、ホームページでどう案内するか の考え方がそのまま使えます。
食べられないものがある方へ
アレルギーや、宗教・考え方で食べないものがある方への対応は、とくに慎重に書いてください。
- 受けられる範囲 ― たとえば「特定の食材を抜く対応は承ります」のように、できる形で書く
- 連絡の期限と方法 ― 何日前までに、電話かメールか
- できないこと ― 同じ調理場で作るため、ごく少量が混ざる可能性を取り除けない、など
- 相談の窓口 ― 予約の前に、電話で相談してほしいと書く
「どんな食事の制限にも対応します」とは書かないでください。宿の人が守れる範囲を書くことが、泊まる方の安全につながります。
外国から来る方へ
外国から来る方が多い宿は、英語などで要点だけをまとめたページを1枚置く方法があります。全部のページを訳す前に考えることは、ホームページの多言語対応は、本当に必要か に書きました。
7. キャンセルの決まり、料金と空室の食い違い、予約の受け方
最後は、予約まわりの決まりです。予約サイトと自分のサイトの両方で予約を受ける宿ほど、ここで行き違いが起きやすくなります。
キャンセルの決まりは、どこで予約したかで分けて書く
予約サイトと自分のサイトとでキャンセルの決まりが違う宿は、どこで予約したかによって決まりが変わることを書いておきます。「予約サイトでご予約の方は、そのサイトの決まりに沿って承ります」と一行あるだけで、電話での行き違いが減ります。
自分のサイトの決まりは、何日前から、いくらかかるかを表にして、予約の入口のすぐ近くに置きます。台風や大雪で交通が止まったときの扱いも書いておくと、その季節に慌てずに済みます。表の作り方は キャンセルや日程変更の決まりを、ホームページにどう書くか にまとめました。
料金と空室は、食い違わないように
いちばん気をつけたいのは、予約サイトと自分のサイトとで、料金や空室の情報が食い違うことです。自分のサイトでは満室と書いてあるのに、予約サイトでは空いている。料金が違う。こうなると、泊まる側は「どちらが本当か」を確かめるために電話をするか、そのまま別の宿に移ります。
防ぎ方は、次のようなものです。
- 料金は目安だけを書く ― 「1泊2食付きで、お一人〇円から」のように書き、正しい料金は予約の画面で見てもらう。書き換える場所が減ります
- 手で書き換える空室の表は置かない ― 更新が1日遅れただけで、食い違いが出ます
- 正しい情報の置き場所を1つに決める ― 料金と空室の正しい情報はここ、と宿の中で決め、ほかはそこを見て直す
料金を書くときは、1人あたりか1部屋あたりか、食事込みか、税やサービス料がどう含まれるかを書き添えてください。地域によっては、宿泊に別の税がかかる場合もあります。また、予約サイトとの契約で、ほかの場所で出す料金について決まりがある場合もあります。自分のサイトに料金を載せる前に、契約の中身と、所管の窓口の案内を確かめてください。
自分のサイトからの予約の受け方
自分のサイトで予約を受けるかどうか、どう受けるかは、宿の人手で決めてください。形は大きく分けて、次のようになります。
予約は電話だけで受け、サイトには部屋や食事の案内と、電話がつながりやすい時間を書きます。予約の台帳は宿の手元の1つだけで済みます。
送られてきた希望を見て、宿が空室を確かめてから返事をします。送っただけでは予約が決まらないことを、画面と自動の返信の両方に書いておきます。
空室の情報を1か所にまとめる仕組みにつなぐ形です。同じ部屋に2つ予約が入るのを防ぎやすい一方、費用と最初の設定の手間がかかります。
サイトの空室の表を見て「空いている」と思った人が、実はもう埋まっていた、ということが起きます。
どの形でも、予約の台帳は1つにまとめることが前提です。どれが合うかは、部屋数と、返事に使える人手で決めてください。
②の形では、「ご予約」ではなく「ご予約のご希望」「空室のお問い合わせ」と書いておくと、送っただけで決まったと思われる行き違いを防げます。ネットで予約を受けるかどうかの考え方は、予約をネットで受けるか、電話のままにするか に詳しく書きました。
営業の許可と、表示の決まり
宿の営業には、許可や届出が要ります。許可の内容をホームページにどう書くか、料金や設備をどう表示するかについても、決まりがある場合があります。建物や地域、営業の形によって中身が違うので、所管の窓口に確認してください。
8. 雄喜晃の伴走:電話で答えていることを、先に書いておきます
私たちがやること
私たち雄喜晃は、宿のホームページを作るとき、電話や玄関先でよく聞かれることを伺うところから始めます。部屋のこと、食事のこと、子ども連れのこと、遅れる到着のこと。伺った答えを、部屋ごとの案内、食事とお風呂の案内、到着までの案内に分けて、同じ形で並べます。
料金と空室の正しい情報をどこに置き、予約をどう受けるかも、宿の人手に合わせて一緒に決めます。
写真は、貴社で撮っていただいたものをお預かりして、部屋ごとに選び、明るさや向きを整えて載せます。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、季節の献立の写真の差し替えや、休館日のお知らせも、ご連絡いただければこちらで反映します。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
先に書いておきます。私たちは、撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでが私たちの仕事です。
予約の仕組みそのものの開発もしていません。予約サイトとの契約や、料金の決め方についての判断もしません。営業の許可や、温泉・料金の表示が決まりに合っているかの判断もいたしません。そこは所管の窓口で確かめていただくようお願いしています。サイトを直すことで予約が増えるとお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「予約サイトには載っているが、自分のサイトは昔のまま」という宿の方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:予約サイトの欄の外を、自分のサイトで答える
小さな旅館や民宿が、自分のホームページで押さえることは5つです。
- 予約サイトは比べる場所、自分のサイトは確かめる場所 ― 電話で聞かれたら答えていることを、先に書いておく
- 部屋ごとに、写真・広さ・人数・あるもの無いもの ― 共用のものは隠さず書き、部屋の呼び名は予約サイトとそろえる
- 食事とお風呂は、時間と場所まで ― 献立の写真は今の季節のものに入れ替える
- 子ども連れ・高齢の方・食事の制限は、できることだけ ― できないことも書き、迷ったら電話で相談してほしいと添える
- 料金と空室は、正しい情報の置き場所を1つに ― 手で書き換える空室の表は置かず、予約の台帳も1つにまとめる
最後に「ここに泊まろう」と決める材料は、予約サイトの欄の外にあることが多いのです。そこに答えるのが、自分のサイトの役目です。
まず、今日できること
この1週間に、電話や玄関先で聞かれたことを書き出してみてください。書き出した質問の答えが、自分のサイトに書いてあるかを探してみると、足りないところがそのまま見つかります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。宿の人がいつも答えていることを、泊まる前に読める形にするところから、ご一緒します。