1. 「配車の電話は鳴るんです。運転手の応募は来ないんですけど」

地域のタクシー会社の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「サイトには電話番号と、運転手募集のページを載せているんです。配車の電話は鳴るんですけど、『明日の朝、空港まで予約できますか』『〇〇町まで来てもらえますか』と毎回聞かれて。募集のほうは、見られているのかどうかも分からないんです」

タクシー会社のホームページには、まったく違う目的の人が2種類、見に来ます。乗りたい人と、働きたい人です。乗りたい人は、呼べるか、予約できるか、いくらかを探しています。働きたい人は、どんな働き方で、免許がなくても始められるのかを探しています。

2つが同じページに混ざっていると、どちらの人も答えを見つけにくくなります。役割を分けて、それぞれの入口を作ることが出発点です。

この記事の前提

車いすやストレッチャーのまま乗る方の送迎、乗り降りの介助をともなう送迎については、介護タクシーのホームページに、何を載せるか に分けて書きました。この記事では、一般のタクシー会社に絞ります。

人を乗せて運ぶ仕事には、事業の許可や、運賃の決まり、表示の決まりが関わります。この記事では制度の中身には踏み込みません。運賃や表示、許可については、所管の窓口に確認してください。これが、この記事を通しての前提です。

この記事で書くこと

  • ホームページの2つの役割(乗る人への案内と、運転手の採用)の分け方
  • 配車の頼み方と、予約の受け付けの書き方
  • 営業の範囲と時間
  • 料金の見せ方
  • 観光・送迎・通院・子どもの送迎と、忘れ物の窓口
  • 運転手の採用ページで書くこと

2. 乗る人の入口と、働く人の入口を分ける

タクシー会社のサイトを開く人は、大きく3種類に分かれます。乗りたい人が2種類、働きたい人が1種類です。

図:タクシー会社のサイトを見に来る3種類の人と、探しているもの(たとえばの整理です)
① 今すぐ乗りたい人
ここに、今から来てもらえるか

駅や病院、飲食店の前で、スマートフォンから社名や地域名で調べている人です。電話番号を探していて、長い文章は読みません。

押せる電話番号と、来られる範囲を探している
② 予約して乗りたい人
この日、この時間に頼めるか

空港や駅への送り、観光の貸切、決まった曜日の通院、子どもの送迎。家で落ち着いて調べている人で、料金と予約の締め切りを確かめています。

予約の方法と、料金の目安を探している
③ 働きたい人
自分にもできる仕事か

求人を見たあとに、社名で調べに来る人です。働き方、二種免許を持っていなくても始められるか、どんな人が働いているかを見ています。

働き方と、始めるまでの道筋を探している

①と②は同じ「乗る人」でも、急ぎかどうかで読む量がまるで違います。③はまったく別の目的です。トップページの最初の画面で、3者がそれぞれ自分の入口を見つけられるかを確かめてください。

トップの最初の画面に置くもの

最初の画面に置くのは、配車の電話番号、予約の入口、採用の入口の3つです。いちばん大きく置くのは、配車の電話番号です。①の人は、そこしか見ないからです。

採用の入口は、メニューの奥に入れないでください。求人を見て調べに来た人は、トップページで「運転手募集」の文字を探します。小さくてもいいので、最初の画面か、そのすぐ下に置きます。

採用は、別のページに分ける

乗る人向けのページの途中に、募集の条件を長く書くのはやめておきます。採用は1つのページにまとめて、トップからそこへつなぐ形にします。

3. 配車の頼み方と、予約の受け付け

頼み方を、並べて書く

今のタクシーは、頼み方がいくつもあります。貴社で受けている方法を並べて、それぞれの使い方を一行ずつ添えてください。

  • 電話での配車 ― 配車の番号と、受け付けている時間。スマートフォンで押せばそのまま発信できる形にします
  • 配車アプリ ― 貴社の車をアプリから呼べるなら、その案内。使えるアプリと、アプリで呼んだ場合に料金が変わるかどうか
  • 乗り場 ― 駅や病院のタクシー乗り場に貴社の車が並んでいるなら、その場所
  • ネットでの予約の受け付け ― フォームで予約を受けているなら、その入口

配車の番号と、事務の番号が別なら、どちらが配車用かをはっきり書き分けてください。番号の種類や、出られない時間の書き方は、ホームページに、携帯電話の番号を載せるかどうか にまとめました。

電話のときに伝えてほしいこと

配車の電話で毎回聞いていることを、番号の近くに並べておくと、電話が短くなります。

  • 乗る場所 ― 住所か、建物や店の名前。目印になるもの
  • 乗る人数 ― 大きな荷物や、ベビーカー、車いすをたたんで載せるかどうか
  • お名前と、折り返しの電話番号 ― 着いたときに連絡するため

混み合う時間帯があるなら、「朝の通勤の時間や雨の日は、お待たせすることがあります」と書いておくと、予約を早めに入れてもらえます。

予約は、締め切りと決まり方を書く

予約で聞かれるのは、何日前から受けているか、前日の何時までに頼めばいいかです。早朝の空港への送りのように、前日のうちに決めておきたい依頼は多いです。

フォームで予約を受ける場合は、送った時点で予約が決まるのか、折り返しの連絡で決まるのかをはっきり書いてください。車の空きを見てから決める形なら、「お申し込みのあと、こちらからのご連絡で予約が決まります」と書きます。ネットで受けるか、電話のままにするかの判断は、予約をネットで受けるか、電話のままにするか に書きました。

4. 営業の範囲と時間

「〇〇市周辺」ではなく、市区町村の名前で

タクシーは、乗せられる区域に決まりがある仕事です。区域の外まで送ることはできても、区域の外で乗せられない場合があります。どこで乗せられて、どこまで送れるかを分けて書いてください。

  • いつも迎えに行ける地域 ― 市区町村の名前で。大きな市なら、町の名前まで
  • 迎えに行けるが、迎えの料金がかかる地域 ― 営業所から遠いところ
  • 送ることはできる遠方 ― 隣の県や、空港など

区域の決まりは、地域や事業の形によって違います。何をどう書くかは、所管の窓口に確かめたうえで決めてください。地域の書き方は 「対応エリア」を、ホームページにどう書くか にまとめてあります。

時間は、配車と事務を分けて

車が動いている時間と、電話を受けている時間と、事務の窓口の時間は、違うことが多いはずです。分けて書いてください。

  • 配車 ― 24時間か、何時から何時までか。深夜に台数が減るなら、そのことも
  • 予約の受け付け ― 予約の電話を受ける時間。フォームは何時までの分をいつ確認するか
  • 事務の窓口 ― 請求書や領収書、採用の問い合わせを受ける時間

5. 料金は、場面ごとに分けて見せる

運賃の決まりを、先に確かめる

タクシーの運賃や料金には、届け出や認可などの決まりがあります。事業者が自由に決めて、いつでも書き換えられるものではありません。地域や事業の形によって扱いが違うので、サイトに何をどう載せるかは、所管の窓口に確認してください。

そのうえで、サイトではどの場面で、どの料金がかかるかが分かるように分けて書きます。メーターの運賃だけを書くと、迎えの料金や予約の料金が足されたときに「書いてあった金額と違う」と受け取られます。

表:タクシーの料金を、場面ごとに分けて書く(たとえばの書き方で、金額の欄はすべて架空の〇〇です)
場面書き方の例(たとえば)添えておくこと
ふだんの乗車「初乗り〇kmまで〇〇円、以降〇mごとに〇〇円」止まっている時間の分が運賃に加わるかどうか
呼んで乗る「お迎えの料金:〇〇円」「時間を決めたご予約:〇〇円」電話とアプリで違いがあるか。かからない場合はそう書く
早朝・深夜「〇時から〇時までは〇割増し」何時に乗ったかで決まるのか、走っている時間で決まるのか
空港・駅の送り「〇〇地区から〇〇空港まで、定額〇〇円」定額の範囲と、有料道路の料金が含まれるか
観光の貸切「普通車:〇時間〇〇円、以降〇分ごとに〇〇円」駐車場や入場の料金は別か。大きめの車の料金

場面の分け方と金額は、貴社で実際に届け出ている内容で書いてください。自分が乗る場面の行を探せば、かかるお金が分かる形になっていれば足ります。

よくある乗り方の目安を、条件と一緒に

よく頼まれる行き先の目安を並べておくと、読む人は見当がつきます。たとえば「〇〇駅から〇〇病院まで、昼間で〇〇円前後」のように、条件と一緒に書きます。道の混み具合で変わるので、「目安です。道路の状況で前後します」と添えてください。

支払いの方法と、割引の制度

支払いの方法は、車ごとに違うことがあります。全部の車で使える方法と、一部の車だけで使える方法を分けて書いてください。乗ってから「この車は使えません」と言われるのが、いちばん困るからです。

  • 使える支払い方法 ― 現金、カード、電子マネーなど。使えない車があるなら、予約のときに伝えてもらう
  • 会社や施設の後払い ― 法人の契約で、月ごとにまとめて請求する形を受けているか
  • 割引の制度 ― 障がいのある方の割引などを扱っているなら、使える条件と、見せてもらうもの

6. 観光・送迎・通院・子どもの送迎と、忘れ物の窓口

サービスは、誰が何に使うかで書く

「観光タクシー」「送迎」と名前を並べるだけでなく、誰が、どんな場面で使うのかを書いてください。

  • 観光の貸切 ― 何時間から頼めるか、決まったコースがあるか、行きたい場所に合わせて組めるか。たとえば「〇時間で〇〇と〇〇を回るコース(例は架空です)」のように、時間の感覚が分かる例を1〜2本
  • 空港・駅への送迎 ― 何日前まで、早朝は何時から。飛行機や列車が遅れたときに、迎えの待ち時間をどう扱うか
  • 通院の送迎 ― 決まった曜日の予約をまとめて受けるか。帰りの時間が読めないとき、どう連絡を取り合うか
  • 子どもの送迎 ― 塾や習い事への送り迎えを受けているなら、その条件

通院は、介護タクシーとの違いを一行で

通院で使う方の中には、乗り降りに手伝いが要る方もいます。一般のタクシーで受けられる範囲を一行で書いておくと、ご家族が迷いません。たとえば「ご自分で乗り降りできる方の通院をお受けしています。乗り降りのお手伝いが要る方は、お電話でご相談ください」のような形です。

子どもだけを乗せる送迎は、取り決めを書く

保護者が乗らずに、子どもだけを乗せる送迎は、保護者の方がいちばん慎重に読むところです。貴社で決めている取り決めを書いてください。

  • 前もっての登録 ― 初回に保護者の方と取り決めをするか。乗せる場所、降ろす場所、迎えに出る人
  • 乗せたときと降ろしたときの連絡 ― 保護者の方に知らせているか、どんな方法で
  • 予定が変わったとき ― 習い事が早く終わった、休むことになった、というときの連絡の方法

子どもを乗せるときの扱いには決まりが関わる場合があるので、書き方に迷う項目は、所管の窓口に確認してください。

忘れ物の窓口を、1か所にまとめる

タクシー会社に毎日のように来る問い合わせが、忘れ物です。探している人は焦っているので、トップページの下のほうに「お忘れ物のお問い合わせ」の入口を置いておきます。

  • 連絡先と受付の時間 ― 配車の番号と同じなのか、別の番号なのか
  • 伝えてほしいこと ― 乗った日と時間、乗った場所と降りた場所、車の色や会社の表示、支払いの方法、領収書があればその記載
  • 見つかったあと ― 取りに来てもらうのか、届けることもできるか。届ける場合の料金
  • 見つからないとき ― 警察の窓口にも届けてもらうよう案内するか

「領収書があれば、お手元にご用意ください」と一行添えると、探す時間が短くなります。忘れ物の保管や引き渡しの扱いには決まりがあるので、期間などを書くときは所管の窓口に確かめてからにします。

7. 運転手の採用ページで書くこと

採用のページを見に来るのは、多くがタクシーの仕事をしたことがない人です。ほかの仕事から移ろうとしている人、定年のあとに次の仕事を探している人。知らない前提で書きます。

働き方を、並べて書く

タクシーの働き方は、一つではありません。貴社にある働き方を並べて、それぞれの1回の勤務の長さと、休みの取り方を書いてください。

  • 隔日の勤務 ― 1回の勤務が長く、翌日が明けの休みになる形。月に何回くらい勤務するか
  • 日中の勤務 ― 朝から夕方までの形。土日の出勤があるか
  • 夜の勤務 ― 夕方から夜中までの形
  • 短い時間の勤務 ― 週に何日、1日何時間から働けるか

どの働き方が、どんな人に向いているかを一行ずつ添えると、読む人は自分の暮らしに当てはめられます。

二種免許の取得の支援は、条件まで書く

お客様を乗せて運転するには、第二種運転免許(二種免許)が要ります。応募を迷う人がいちばん気にしているのは、持っていなくても始められるかです。

取得を支援しているなら、その中身を書いてください。

  • 支援の中身 ― 費用を会社が持つのか、一部なのか。教習に通う間の給与の扱い
  • 支援の条件 ― 入社してからの勤務の期間など、条件があるならそのまま書く
  • 取るまでの流れ ― 入社してから、免許を取って、一人で乗務を始めるまでの段取り

二種免許を受けるには、年齢や、運転免許を持っている年数などの条件があります。細かい条件は、運転免許の窓口で確かめてもらうよう案内してください。また、支援の費用を返してもらう取り決めを置く場合は、労働に関わる決まりが関わります。書く前に、社会保険労務士などの専門家に確認してください。

一日の流れを、時間の順に

仕事を知らない人には、出勤してから帰るまでに何をするのかが見えていません。時間の順に書いてください。

  • 出勤して、体調やお酒の確認を受ける
  • 車の点検をしてから、営業所を出る
  • 駅や街を走りながら、配車の連絡を受ける。休憩の取り方
  • 営業所に戻って、車を洗い、売上を納める

貴社で実際にしている流れを、だいたいの時刻と一緒に書きます。研修の期間や、最初は先輩が横に乗るかどうかも、ここに書きます。

収入は、作り話の例を書かない

給与は、応募する人がいちばん見るところです。ここで実際にはいない人の収入の例を作って書くことは、しないでください。

書くのは、給与の仕組みです。決まった額の部分と、売上で変わる部分があるのか。最初の何か月かを支える仕組みがあるのか。実際の例を出したいなら、在籍している人の実際の数字を、本人の了解をもらって、勤務の形と一緒に書きます。求人に載せる条件の書き方には決まりがあるので、迷うところは専門家や所管の窓口に確認してください。

採用のページに何を載せ、求人媒体とどう役割を分けるかは 採用のためのホームページ ― 求人媒体との役割分担 に書きました。働いている人の話を載せるときは、採用ページの「社員インタビュー」を、どう作るか の手順で、本人の言葉のまま載せてください。

8. 雄喜晃の伴走:乗る人の入口と、働く人の入口を分けて作ります

私たち雄喜晃は、タクシー会社のホームページを作るとき、最初に「配車の電話で毎回聞かれること」と「面接で毎回聞かれること」を伺うところから始めます。2つの質問が、それぞれ乗る人のページと、採用のページの中身になるからです。

私たちがやること

  • トップの入口を3つに分ける ― 配車の電話番号、予約の入口、採用の入口を、スマートフォンの最初の画面で見つけられるように置きます
  • 営業の範囲と時間を、市区町村の名前で書く ― 迎えに行ける地域と、配車・予約・事務の時間を分けて並べます
  • 料金を、場面ごとに組み直す ― 貴社で届け出ている料金を伺い、乗る場面ごとの表と、よくある行き先の目安にします
  • 採用のページを、知らない人に向けて書く ― 働き方、二種免許の取得の支援と条件、一日の流れを伺って文章にします
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 車や営業所、働いている方の写真のうち、どれがあると伝わるかはお伝えします

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、年末年始の営業の予定や、運賃の改定、募集の条件が変わったときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 運賃や料金、営業の区域についての判断はしません。所管の窓口で確認していただいた内容を、伝わる形に組みます
  • 働いている方の収入の例を作文することはしません。載せるのは、貴社で確かめていただいた事実だけです
  • 検索順位や、問い合わせ・応募の増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「配車の電話でも面接でも、毎回同じ説明をしている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:乗る人と働く人が、それぞれの答えを見つけられるか

地域のタクシー会社のホームページで押さえることは、5つです。

  • 入口を分ける ― 今すぐ乗りたい人、予約したい人、働きたい人。トップの最初の画面で、それぞれの入口を見つけられるように
  • 頼み方と予約の決まりを書く ― 電話、アプリ、乗り場、フォーム。予約の締め切りと、いつ決まるか
  • 範囲と時間を、名前と時刻で ― 迎えに行ける市区町村、配車と予約と事務の時間
  • 料金は場面ごとに ― 運賃の決まりは窓口で確かめたうえで、迎え・予約・深夜・定額・貸切を分ける
  • サービスと忘れ物と採用を、使う人の言葉で ― 観光や通院、子どもの送迎は誰が何に使うかを。採用は働き方、二種免許の支援の条件、一日の流れを

タクシーは、乗る人にとっても働く人にとっても、身近なのに中が見えない仕事です。電話や面接で毎回話していることが先に書いてあれば、それが頼む理由にも、応募する理由にもなります。

まずは今週、配車の電話と面接で聞かれたことを、それぞれ3つずつ書き出してみてください。サイトの中でその答えが見つからなければ、そこが最初に足す場所です。