1. 「お客様が送ってくれた写真が、いちばんいいんです」
経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「納品したあとに、お客様が『使ってます』って写真を送ってくださることがあるんです。こっちで撮った写真より、ずっと暮らしの感じが出ていて。あれをサイトに載せたいんですが、勝手に使っていいものなのか分からなくて」
家具や雑貨、リフォーム、庭の手入れ、仕出しや花、教室で作った作品。納品や完成のあとに、お客様のほうから写真が届くことがあります。使っている場面の写真は、会社の側ではなかなか撮れません。だから、届いた写真はとても貴重です。
ただ、その写真はお客様が撮ったもので、写っているのはお客様の暮らしです。送ってくれたことと、ホームページに載せてよいことは、同じではありません。この記事では、お客様から届いた写真を載せる前に、何を確かめて、どう整えて、どう外せるようにしておくかを順番に書きます。
この記事で書くこと
お客様の言葉を集めて載せる話は 「お客様の声」を、どう集めて、どう載せるか に、写真と文章の権利の全体は ホームページの写真と文章、権利はどうなっているか にまとめました。この記事は、その中からお客様が撮って送ってくれた写真だけを取り出して書きます。
なお、写真の権利や個人の情報の扱いは、業種や場面によって考え方が違います。細かい判断は、所管の窓口や専門家に確認してください。この記事で書くのは、その前に会社の側で整えておける段取りです。
2. お客様が撮った写真が、会社で撮った写真と違うところ
先に、なぜお客様の写真を分けて考えるのかを書いておきます。
撮った人が、お客様である
写真には、撮った人の権利がつくのが一般的です。お客様が撮った写真はお客様の写真です。データが手元に届いても、それだけで自由に使えるわけではありません。
写っているのが、お客様の暮らしそのもの
施工した台所、納めた家具、手入れした庭。写真の主役は貴社の仕事でも、写っている場所はお客様の自宅や職場です。部屋の様子、家族、車、窓の外の景色。会社で撮る写真なら外せるものが、お客様の写真には自然に入っています。
送ってくれた理由は、載せてほしいからとは限らない
お客様が写真を送ってくれる理由は、さまざまです。お礼の気持ち、使っていることの報告、ちょっとした不具合の相談。「ホームページに使ってほしい」と思って送ってくれたとは限りません。喜んで送った写真が、知らないうちにサイトに出ていたら、驚かれて当然です。
3つの種類で、気をつけるところが違う
お客様から届く写真は、大きく3つに分けられます。種類によって、確かめるところが少しずつ違います。
いちばん伝わる写真です。そのぶん、家族や部屋の私物が写りやすく、写り込みの確認にいちばん手間がかかります。
人が写っていないことが多く、扱いやすい写真です。ただ、家の外観や表札、車のナンバー、周りの景色から場所が分かることがあります。
貴社に送られた写真ではなく、お客様が自分の場所で公開した写真です。公開されていても、そのまま貴社のサイトに持ってくることはしません。
どの種類でも、最初にやることは同じで、本人の了解を取ることです。そのうえで、①は写り込み、②は場所、③は転載のしかたに気をつけます。
3. 載せる前に、本人の了解を取る
ここから段取りに入ります。まずは了解の取り方です。
「載せていいですか」だけでは足りない
「写真、ホームページに使わせてもらっていいですか」。こう聞けば、たいていのお客様は「どうぞ」と言ってくださいます。ただ、この一言だけだと、お客様が思い浮かべた使い方と、会社が考えている使い方がずれることがあります。
お客様は実績のページに小さく載る程度だと思っていたのに、チラシの表紙にも使われていた。あとで気づかれると、好意が気まずさに変わります。了解を取るときは、次の3つを分けて伝えます。
どこに載せるか
使う場所によって、写真が届く人の数も、残り方も違います。
- ホームページ ― 実績のページか、トップか、サービスのページか
- 会社のSNS ― 広がり方が読めず、保存や共有もされやすい
- チラシや会社案内 ― 配ったら回収できない
- 広告 ― 知らない人に向けて、繰り返し表示される
全部まとめて聞くより、使う予定の場所だけを挙げて聞くほうが、お客様も判断しやすくなります。あとで別の場所に使いたくなったら、そのときに改めて聞けば済みます。
いつまで載せるか
期間も伝えておきます。「取り消しのご連絡をいただくまで」でも構いません。期間が決まっていないと、何年も経ってから外すかどうかで迷うことになります。
名前を出すか
写真と一緒に、どこまでお客様のことを書くかも決めます。名前は出さない、地域と頼んだ内容だけを書く、イニシャルにする。名前の出し方は、お客様に選んでもらうのが基本です。迷ったら、名前は出さないほうに寄せてください。写真と一緒にお客様の言葉も載せる場合は、言葉の了解も別に取ります。
了解は、文字で残す
口頭の「いいですよ」は、あとから確かめる手段がありません。メールやメッセージで、了解の中身が分かる形で残してください。たとえば、次のような聞き方です(文面は一例です)。
「お送りいただいた写真を、当社ホームページの施工例のページに載せてもよろしいでしょうか。お名前は出さず、『神戸市内・キッチンの入れ替え』のように地域と内容だけを書く予定です。載せたあとでも、ご連絡いただければすぐに外します」
これに「大丈夫です」と返ってくれば、それが記録になります。断りやすい書き方にしておくことも大事です。「もちろん、お断りいただいても構いません」と一言添えるだけで、お客様は本当の気持ちで答えやすくなります。
4. SNSに投稿された写真を、勝手に転載しない
お客様が、自分のSNSに貴社の仕事の写真を載せてくれることがあります。うれしいことですが、扱いには気をつけてください。
公開されている写真は、使ってよい写真ではない
SNSの投稿は、誰でも見られる場所にあります。だからといって、誰でも使ってよいわけではありません。写真を保存して自社のサイトに載せるのは、お客様の写真を断りなく持ってくることになります。投稿の画面を写した画像も同じです。アカウント名やほかの人のコメントまで一緒に写るので、かえって扱いが難しくなります。
「タグ付けしてくれた」は、了解ではない
貴社のアカウント名を付けて投稿してくれた。これは「見てほしい」という気持ちの表れではあっても、「サイトに使ってよい」という了解ではありません。お客様は自分のフォロワーに向けて書いたのであって、貴社の宣伝に使われることまでは考えていないかもしれません。
声をかけるなら、個別に
使わせてほしい写真があれば、投稿のコメント欄ではなく、メッセージなどで個別にお願いしてください。コメント欄で頼むと、ほかの人の目がある中で断りにくくなります。了解をもらったら、元の写真のデータを送ってもらうと、きれいに載せられます。
埋め込みにする場合も、了解を取っておく
SNSの機能を使って、投稿そのものをサイトに埋め込む方法もあります。ただ、お客様の投稿を自社のページに並べる以上、声をかけて了解をもらっておくほうが無難です。投稿が消されたり、アカウントが非公開になったりすると、その場所は空欄になります。埋め込みそのものの向き不向きは Instagramの投稿を、ホームページに埋め込むか にまとめました。
5. 写り込みを、拡大して確かめる
了解をもらったら、次は写真の中身を見ます。お客様は、自分の暮らしの中で何気なく撮っています。載せる側が、写っているものを一つずつ確かめる必要があります。
家族と、ほかの人
使っている場面の写真には、家族が写っていることがよくあります。了解をくれたのがお客様本人でも、写っている家族が了解しているとは限りません。顔が分かる人が写っているなら、その人の分も確かめるか、顔が写らない範囲で切り取ります。
子どもが写っている写真は、とくに慎重に扱ってください。考え方は 教室やイベントで子どもが写った写真を、ホームページに載せるとき に書いたものと同じです。迷うなら、使わないか、子どもが写っていない写真をお願いします。
車のナンバー、表札、住所が分かるもの
- 車のナンバー ― 駐車場や外構の写真に写り込みやすい
- 表札や郵便受けの名前 ― 玄関まわり、門柱の写真
- 郵便物や宅配の伝票 ― 台所の棚や玄関の床に置かれていることがある
- カレンダーや予定を書いた紙 ― 家族の予定や学校名が読めることがある
パソコンの画面で拡大して、写真の端から順に見てください。小さな画面では見落とします。
家の外観と、窓の外の景色
完成後の写真では、家そのものや、窓の外の景色から場所が分かることがあります。特徴のある建物、近くの看板、電柱の地名の表示。お客様の家がどこにあるか分かる写真は、自宅の住所を載せるのと近いと考えてください。外観を載せる場合は、場所が分かる要素を外せるかを先に見ます。
部屋の中の私物
写真立ての中の写真、本棚の背表紙、薬、書類、パソコンや冷蔵庫に貼られたメモ。お客様の暮らしが分かるものは、仕事の写真に必要ありません。気づいたら、切り取るか、別の写真をお願いします。
写真のファイルに残っている情報
スマートフォンの写真には、撮った場所の情報がファイルの中に残っていることがあります。自宅で撮った写真なら、それは自宅の場所です。位置の情報を消してから載せてください。
見つけたら、どうするか
写り込みを見つけたら、切り取る、ぼかす、使わない、のどれかです。ぼかしを入れる場合は、載せる前の形をお客様に見てもらってください。ぼかしが薄いと、知っている人には分かります。外しきれないなら、その写真は使わずに、別の写真をお願いするほうが早く済みます。
6. 写真に、どこまで手を加えるか
お客様の写真は、明るさや傾きがそろっていないことがあります。サイトに載せるときに整えたくなりますが、手を加えてよい範囲を決めておいてください。
整えるのは、見やすくするところまで
暗い写真を明るくする、傾きを直す、余計なものが入らないように切り取る。このくらいは、写っている事実を変えずに見やすくする作業なので、多くの場合は問題になりません。
実物と違って見える加工はしない
一方で、色を変える、傷や汚れを消す、ほかの写真と組み合わせる、背景を差し替える。こうした加工をすると、写真が実物と違うものを見せることになります。読む人は、お客様の写真だからこそ実物に近いと思って見ています。そこで実物と違って見えると、お客様にも、読む人にも不誠実になります。
| 手を加える内容 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 明るさ・傾きを直す | 整える範囲 | 写っているものは変わらない。見やすくするだけ |
| 切り取る | 整える範囲 | 写り込みを外すのにも使える。たとえば、端に写った車を外す |
| 写り込みをぼかす | お客様に見てもらってから | 薄いぼかしは分かることがある。仕上がりを本人に確かめてもらう |
| 文字やロゴを重ねる | お客様に見てもらってから | 広告のように見える使い方は、了解の範囲を超えることがある |
| 傷や汚れを消す | しない | 実物より良く見せることになる |
| 色を変える・合成する | しない | お客様が撮ったものとは別の写真になってしまう |
線を引くときの問いは1つです。このお客様が見たとき、自分の撮った写真だと思えるか。思えないところまで手を加えたら、それはもうお客様の写真ではありません。
手を加えたら、載せる前に見てもらう
切り取りやぼかしを入れたら、載せる形をお客様に一度見てもらってください。「この形で載せます」と画像を送るだけで構いません。自分の写真がどう使われるかを先に知っていると、お客様も安心します。
写真の下に、ひとこと添える
お客様の写真だと分かるように、写真の下に「お客様撮影」「お客様からお送りいただいた写真です」と添えておくと、読む人にも伝わります。何の写真か、どこを見てほしいかを一言で書く方法は 写真の下に、ひとこと説明を添えるかどうか にまとめました。
7. 謝礼と引き換えにしない。取り消されたら外す
最後に、写真の集め方と外し方です。
「写真を送ってくれたら割引」は勧めない
写真がなかなか集まらないと、割引や特典を付けて募りたくなるかもしれません。ただ、謝礼と引き換えに写真や感想を集める方法は、お勧めしません。
- 読む人には、見分けがつかない ― 特典目当ての写真が混ざると、写真全体が信じてもらえなくなります
- 写真の中身が変わる ― 特典のために撮った写真は、普段の暮らしの写真ではなくなります
- ルールの上で問題になることがある ― 見返りを渡して集めたものを、そうと分からない形で載せると、表示のルールやサービスの規約の上で問題になる場合があります。業種によって違うので、気になる場合は所管の窓口や専門家に確認してください
お願いすること自体は、問題ない
見返りを付けずにお願いするのは、問題ありません。納品や完成のときに、「もしよければ、使っている様子の写真を送っていただけるとうれしいです」と一言添えるだけで十分です。送ってくれなくても、何も変わらないことが伝わる言い方にしてください。
どの写真を、どこに使ったかを一覧にしておく
取り消しの連絡が来たとき困るのは、その写真をどこに使ったか、誰も把握していないことです。写真を使うたびに、一行ずつ記録を残してください。写真のファイル名、くれたお客様、了解の範囲、使った場所、使った日。表計算の1枚で足ります。了解のメールも、同じ場所にまとめておきます。
取り消しの連絡が来たら
了解は、あとから取り消されることがあります。引っ越した、家族に反対された、なんとなく気になってきた。理由は聞かずに、連絡を受けたら、すぐに外してください。
- サイトとSNS ― 一覧から使った場所を探し、その日のうちに外す
- チラシや会社案内 ― 配ったものは回収できない。在庫は使わずに止め、次に刷るときに差し替える
- 検索結果 ― サイトから外しても、しばらく古い画像が出ることがある
すぐには消せないものがあることは、了解を取るときに先に伝えておいてください。あとから伝えると言い訳に聞こえます。外し終えたら、どこから外したかをお客様に伝えます。
実績のページに使っている場合
施工例や納品例のページに、お客様の写真を中心に据えていることもあるでしょう。写真を外すと、そのページが成り立たなくなることがあります。写真を外しても、内容が伝わる書き方にしておくと、取り消しがあっても慌てずに済みます。1件ずつの書き方は 実績ページに何を書くと、次の依頼につながるか にまとめました。
8. 雄喜晃の伴走:お客様の写真は、了解の範囲を確かめてから整えて載せます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、お客様から届いた写真をお預かりするとき、その写真をどの範囲で使ってよいと了解をもらっているかを先に伺います。写真の出来より、そちらを先に確かめます。
私たちがやること
お預かりした写真の中から、ページの役目に合うものを一緒に選びます。そのうえで、家族の顔、車のナンバー、表札、郵便物、窓の外の景色など、お客様の暮らしや場所が分かるものが写り込んでいないかを、拡大して確かめます。写真のファイルに残っている位置の情報も、消してから載せます。
手を加えるのは、明るさ、傾き、切り取りといった、見やすくするところまでです。お客様に見てもらうための確認用の画像もお作りします。
どの写真をどのページに使ったかは、一覧にしてお渡しします。取り消しの連絡があったときは、ご連絡いただければこちらで外します。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、写真の差し替えや取り下げも、同じ月額の中で対応します。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
先に書いておきます。私たちは、撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものや、お客様から貴社に届いたものを、整えて載せるところまでが私たちの仕事です。
また、了解が確認できない写真は、どれだけ良い写真でも載せません。お客様のSNSから、了解なく写真を持ってくることもしません。傷を消す、色を変える、合成するといった、実物と違って見える加工もお断りしています。了解の取り方や文面が権利の上で足りているかの判断は、私たちの立場ではお答えできないので、所管の窓口や専門家にご確認ください。写真を載せることで問い合わせが増えるとお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「お客様から届いた写真を活かしたいけれど、どこまで載せていいか分からない」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:写真はお客様のもの。借りて載せる
お客様から送ってもらった写真をホームページに載せるときに押さえることは、5つです。
- 了解は、どこに・いつまで・名前の3つを分けて ― 「載せていいですか」の一言で済ませず、文字で残す
- SNSの投稿は、転載しない ― 公開されていることも、タグ付けも了解ではない。使いたいなら個別に声をかける
- 写り込みは、拡大して確かめる ― 家族、車のナンバー、表札、郵便物、窓の外の景色、位置の情報
- 手を加えるのは、見やすくするところまで ― 実物と違って見える加工はしない。整えたら、載せる前に見てもらう
- 謝礼と引き換えにしない。取り消されたら、すぐ外す ― どの写真をどこに使ったかの一覧を作っておく
お客様の写真は、会社の側では撮れない場面を見せてくれます。だからこそ、お客様から借りて載せているという気持ちで扱うと、次の写真も送ってもらいやすくなります。
まず、今日できること
メールやメッセージの履歴をさかのぼって、お客様から届いた写真を集めてみてください。その横に、了解をもらっているかどうかを書けるか。すでにサイトに載っている写真で書けないものがあれば、そこから確かめ始めてください。