1. 「このところ、問い合わせがぱったり来なくて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「先月まではフォームから週に何件か来ていたのに、この3週間は1件もないんです。季節のせいかと思っていたら、お客様から電話で『メールを送ったのに返事がない』と言われて。そこで初めて、届いていないのかもしれないと気づきました」

問い合わせが減ったとき、多くの方はまず「暇な時期だから」と考えます。それ自体は自然なことです。ただ、そのなかに問い合わせは来ているのに、こちらに届いていないだけという場合が混ざっています。

届いていないメールは、こちらからは見えません。送った側には「送信しました」の画面が出ているので、相手は送れたと思っています。どちらも気づかないまま、時間だけが過ぎるのが、この問題のいちばん困るところです。

この記事で書くこと

この記事では、フォームからの通知が来ない、会社のアドレスにメールが届かない、と気づいたときに確かめる順番を書きます。自分で試しに送る、手元で見られるところ、転送と契約、最近の変更。そして、直るまでのあいだにお客様と制作会社へ何を伝えるかです。

なお、反対にこちらから送ったメールが、相手の迷惑メールに入ってしまう話は 会社から送ったメールが、相手の迷惑メールに入ってしまう に分けて書きました。この記事は、受け取る側の話だけに絞ります。

2. まず、自分で試しに送ってみる

原因を探す前に、本当に届いていないのかを、自分の手で確かめます。ここを飛ばすと、届いているのに探し回ったり、届いていないのに様子を見続けたりします。

社外のアドレスから、フォームに1通送る

個人のスマートフォンのメールなど、会社のアドレスではないところから、自社のホームページのフォームに1通送ってください。本文には「テスト送信です」と書いておきます。受け取った社員が、本物の問い合わせと間違えて慌てずに済みます。

送ったら、次の3つを見ます。

  • 送信したあとの画面 ― 「送信が完了しました」と出たか、エラーが出たか
  • 会社の側の通知 ― 通知を受け取るはずのアドレスに、届いたか
  • 送った側の自動返信 ― 自動返信を設定しているなら、送った側のアドレスに届いたか

会社のアドレスにも、直接1通送る

フォームとは別に、同じ社外のアドレスから、会社のメールアドレスへ直接1通送ってください。名刺やホームページに載せているアドレスです。

フォームの通知と、直接送ったメール。この2通の結果を並べると、どこで止まっているかの見当がつきます。

結果は、3つに分かれる

  • 両方とも届いた ― 今は動いています。届かなかったのは特定の期間か、特定の相手からだけかもしれません。お客様が送った日付を伺っておきます
  • フォームの通知だけ来ない ― メールの受け取りは動いていて、フォームの側か、通知先の設定に理由がありそうです
  • どちらも届かない ― 会社のメールの受け取りそのものに理由がありそうです。転送や契約まで見ていきます

送ったときの画面と時刻は、写真に残しておくと、あとで連絡するときにそのまま使えます。

3. 手元で見られるところ:迷惑メールのフォルダと、受信箱の容量

試しに送って届かなかったら、人に頼まなくても確かめられる手元のところから当たります。

図:届かないと気づいたときに、確かめる順番(どこで見つかるかは会社によって違います)
① 自分で試しに送る

社外のアドレスから、フォームに1通、会社のアドレスに1通。届くか、どちらが届かないかを見ます。

ここで「本当に届いていない」と分かってから、次へ進む
▼
② 迷惑メールのフォルダと、受信箱の容量

手元で見られるところです。スマートフォンで見ている人の画面も確かめます。

見つかったら、迷惑メールでないと印をつけ、容量を空ける
▼
③ 転送の設定と、通知を受け取る人

フォームの通知先や、会社のアドレスの転送先が、今いる人のアドレスになっているかを確かめます。

辞めた人や、使わなくなったアドレスに向いていないか
▼
④ ドメインとメールの契約の更新

契約の期限、支払いのカードの期限、契約先からのお知らせを確かめます。

ここが切れていると、サイトとメールが同時に止まることがある
▼
⑤ 最近の変更を思い出す

サーバーの移転、サイトの作り直し、担当者の交代、フォームのスパム対策の追加。届かなくなった時期と重なるものを探します。

思い当たる変更を、日付つきで書き出して契約先に渡す

①と②は、社内だけで確かめられます。③から先は、制作会社や契約先に聞かないと分からないこともあります。自分で分かるところまでを確かめて、分かったことを書いて渡す。それだけで、相手の調べる時間が短くなります。

迷惑メールのフォルダを見る

まずは、迷惑メールのフォルダです。フォームの通知は、毎回同じような件名と本文で、同じ送り元から届きます。この形が、受け取る側の仕組みに宣伝のメールと見分けにくいと判断されることがあります。

見つかったら、「迷惑メールではない」と印をつけてください。受信箱に戻すだけでなく、印をつけておくと、次から受信箱に入りやすくなります。

スマートフォンのメールの画面では、迷惑メールのフォルダが奥に隠れていることがあります。ふだんスマートフォンだけで見ている人の画面でも確かめてもらってください。

受信箱の容量を見る

次は、受信箱の容量です。会社のメールには、保存できる量に上限があることが多く、上限に達すると、それ以上のメールを受け取れなくなります。

この場合、送った側には「届けられませんでした」という知らせが戻っています。ところが、こちらには何の知らせもありません。受信箱を開くと、昔のメールが並んでいて、ふだんどおりに見えます。

容量の残りは、メールの設定の画面や、契約先の管理の画面で見られることが多いです。見方が分からなければ、契約先に聞いてください。大きな添付ファイルのついた古いメールを整理すると、空きが作れます。写真や図面をよくやりとりする会社ほど、容量は早く埋まります。

振り分けのルールを見る

以前に誰かが作った「この件名は、このフォルダへ」という振り分けのルールが、フォームの通知を受信箱以外の場所へ運んでいることもあります。作った本人も忘れていることが多いので、ルールの一覧を一度開いてみてください。

4. 転送の設定と、通知を受け取る人

手元で見つからなかったら、次は「誰に届くようになっているか」です。届いていないのではなく、今は誰も見ていないところに届いていることがあります。

フォームの通知は、どのアドレスに届く設定か

フォームの通知先は、フォームを作ったときに決めています。決めたのが数年前で、以前の担当者の個人のアドレスや、今は使っていない古いアドレスのままになっていることがよくあります。通知先がどこかは、フォームを管理している制作会社に聞けば分かります。

会社のアドレスの転送先を見る

会社のアドレスに届いたメールを、別のアドレスに転送して読んでいる会社もあります。代表のアドレスを、社長の携帯のメールに転送している、といった形です。

この転送先が、機種変更や契約の変更で使えなくなっていると、メールは会社のアドレスには届いているのに、誰の目にも入りません。転送先のアドレスが、迷惑メールとして受け取りを断っていることもあります。

転送しているなら、転送先の一覧を1枚にしておくと、こういうときに確かめる場所がすぐ分かります。

共用のアドレスを、誰が見ているか

「info@」のような共用のアドレスは、全員が見られるぶん、全員が「誰かが見ているだろう」と思いがちです。メールは届いているのに、誰も開いていない。これも、お客様から見れば「届いていない」と同じです。

共用のアドレスを誰が毎日見るのか、休みの日は誰が見るのか。決まっていないなら、この機会に決めてください。どのアドレスを載せて、誰が読むかの決め方は ホームページに載せるメールアドレスは、どれにするか に書きました。

5. ドメインとメールの契約の更新

設定に問題が見つからず、試しに送ったメールがどちらも届かないなら、契約を確かめます。会社のメールアドレスは、独自ドメインの契約と、メールの契約の2つの上で動いています。どちらかが切れると、メールは届かなくなります。

更新の期限を見る

ドメインもメールも、多くは期限つきの契約です。契約先からの書類やメールを探して、期限を確かめてください。

ドメインが切れると、メールだけでなく、ホームページも同時に開かなくなることがあります。サイトも開かないなら、まず契約の期限を疑ってください。止まってからの対処は ドメインやサーバーの更新を忘れて、サイトが止まったとき に、時間の経過ごとに分けて書いてあります。

支払いのカードの期限を見る

自動で更新する契約でも、登録しているクレジットカードの期限が切れていて、支払いができずに止まることがあります。

契約先からのお知らせが、どこに届いているか

契約先は、期限の前にお知らせを送ってくれます。ところが、そのお知らせの送り先が、辞めた担当者のアドレスや、止まってしまった会社のアドレスそのものになっていると、お知らせは誰にも読まれません。

契約先に登録している連絡先を、今いる人のアドレスと電話番号にしておいてください。

契約先が分からないとき

そもそも、どこと契約しているのか分からないこともあります。その場合は、まず制作会社に聞くのが早道です。サイトとメールとドメインの契約先が別々で、誰に聞けばいいかも分からないときの整理の仕方は 作った会社と、サーバーやドメインの契約先が別々になっている にまとめました。3つの契約の分け方そのものは 独自ドメインとメールアドレスは、どこで何を契約すればいいか に書いてあります。

6. 最近の変更を、思い出す

契約も切れていない。それでも届かない。そういうときは、届かなくなった時期の少し前に、何かを変えていないかを思い出してください。メールが届かなくなるきっかけは、ほとんどの場合、何かを変えた直後にあります。

サーバーの移転

サイトを置いているサーバーを、別の会社や別の契約に移した。この作業のときに、メールの行き先の設定が新しい置き場所に合わせて直されていないことがあります。サイトはきれいに表示されているので、メールが届いていないことに気づくのが遅れます。

サイトの作り直し

作り直したときも、新しいフォームの通知先が仮のアドレスのままだった、ということが起きます。作り直した直後は見た目の確認に目が行き、フォームの確認が後回しになりがちです。

担当者の交代

ホームページやメールを見ていた社員が辞めた、異動した。そのときに、その人のアドレスを止めた。ところが、そのアドレスがフォームの通知先や、転送先になっていた。担当者の交代は、届かなくなるきっかけとしてとても多いものです。

フォームのスパム対策を足した

営業メールやいたずらの送信が増えて、フォームにスパム対策を足した、という場合もあります。対策の仕組みの設定がうまく合っていないと、正しい問い合わせまで送れなくなっていることがあります。

フォームのスパム対策を入れるなら、Turnstile や reCAPTCHA のような、送る人が人であるかを確かめる仕組みを使ってください。一方、画面には見えない入力欄を置いて、そこが埋まっていたら自動の送信とみなす、というやり方は、正しい問い合わせまで捨ててしまうことがあるので使いません。ブラウザの自動入力がその欄まで埋めてしまい、送った人の画面には「送信しました」と出るのに、どこにも届かない、ということが起きるからです。

ほかにも、メールのパスワードを変えた、端末を買い替えた、フォームの項目を直した、といった小さな変更がきっかけになることもあります。思い当たる変更は、何を、いつ、誰がしたのかを書き出してください。「2週間前に、制作会社にフォームの項目を1つ足してもらった」。この1行が、原因を探す人にとって、いちばんの手がかりになります。

7. 直るまでのあいだに、やっておくこと

直るまでに時間がかかることもあります。そのあいだ、お客様との連絡が途切れないようにします。

お客様向けに、電話番号をはっきり出す

直るまでのあいだ、ホームページの問い合わせのページと、トップページの目立つところに、電話番号をはっきり出してください。「ただいまメールでのお問い合わせが届きにくくなっています。お急ぎの方はお電話でご連絡ください」と一言添えます。

電話番号は、スマートフォンで押せばかけられる形にし、受付の時間も添えます。原因が分からないうちから出して構いません。届かないかもしれない入口だけを開けておくより、確かに届く入口を並べておくほうが、お客様にとって親切です。

届かなかった期間の、取りこぼしを拾う

届いていない以上、送ってくれた相手はこちらから分かりません。できることは、心当たりのある相手に、こちらから一言かけることです。「先週から今週にかけて、メールでご連絡いただいていませんでしたか」と電話で伺えば、拾えるものがあります。

制作会社や契約先へ、伝えること

自分で確かめられるところを確かめたら、フォームを管理している制作会社や、メールの契約先へ連絡します。連絡するときは、次の表の項目をそろえて伝えると、話が早く進みます。

表:制作会社や契約先へ連絡するときに、伝えること(記入の例はすべて架空です)
伝えることたとえば、こう書くなぜ要るか
いつから届かないかたとえば「最後に届いたフォームの通知は、○月○日の午前」止まった日が分かると、その日の前後の変更と照らし合わせられる
何が届かないかたとえば「フォームの通知は届かない。会社のアドレスへの直接のメールは届く」フォームの側か、メールの側かで、調べる場所が変わる
試しに送った結果たとえば「○日○時に社外のアドレスから送信。完了の画面は出た。自動返信は届かず」いつ、どこから送ったかが分かれば、相手の側の記録を探しやすい
画面の写真送信したあとの画面、エラーの文言、戻ってきた「届けられませんでした」の知らせ言葉で説明するより、写真のほうが正確に伝わる
最近の変更たとえば「○月○日に、前の担当者のアドレスを止めた」変更を伝えないと、相手は関係のない場所から探し始める
こちらで確かめたこと迷惑メールのフォルダ、受信箱の容量、振り分けのルールは確認済み同じことを二度聞かれずに済む

全部そろっていなくても、分かるところだけで構いません。原因を当てる必要はありません。見たことと、変えたことを渡すのが、連絡する側の仕事です。

連絡する先が複数あるときは、まずフォームを管理している制作会社へ連絡するのが早いことが多いです。ホームページそのものも開かないときの確かめ方と連絡のしかたは 自社のホームページが表示されないときに、まず確かめること にまとめてあります。

直ったあとに、もう一度送る

直ったと連絡が来たら、その日のうちに、もう一度自分で試しに送ってください。両方が届くのを見てから、電話番号の一言を外します。これからは月に一度、試しに送る日を決めておき、何かを変えた日にも1通送ると、早く気づけます。

8. 雄喜晃の伴走:フォームの通知が届くかを、変えるたびに一緒に確かめます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、問い合わせのフォームを、作って終わりにはしません。通知が届くところまで確かめて、はじめて仕上がりだと考えています。

私たちがやること

フォームを作るときに、通知を誰のアドレスで受け取るかを、貴社と一緒に決めます。個人の名前のアドレスだけにせず、人が代わっても残るアドレスを選ぶようにお話しします。

公開の前には、社外のアドレスから試しに送り、通知と自動返信が届くことを、貴社の方と一緒に確かめます。フォームの項目を直したときや、通知先を変えたときも、そのたびに試しに送ります。

フォームのスパム対策は、Turnstile や reCAPTCHA のような、人が送っているかを確かめる仕組みで行います。

「通知が来ない」とご連絡をいただいたときは、まずフォームの側で送信が受け付けられているかを確かめて、結果をお伝えします。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、担当者が代わって通知先を変えたいときや、直るまでのあいだ電話番号の一言を出したいときも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 社員の方のパソコンやスマートフォンのメールの設定を、代わりに触ることはしません。端末の中の設定は、貴社の中で確かめていただくことになります
  • 見えない入力欄でスパムをはじくやり方は、使いません。届くはずの問い合わせを、誰にも気づかれないまま捨てることがあるからです
  • 届かなかった期間の問い合わせを、あとから取り戻すお約束はできません。届かなかったメールは、こちらにも残っていないことがほとんどです
  • フォームを整えることで、問い合わせの件数が増えるとお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月に設立した会社です。

「フォームの通知がどこに届いているのか、社内の誰も分からない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:届かないと気づいたら、まず自分で1通送る

問い合わせのメールが急に届かなくなったときに押さえることは、5つです。

  • まず自分で試しに送る ― 社外のアドレスから、フォームに1通、会社のアドレスに1通。どちらが届かないかで、探す場所が分かれる
  • 手元のところから見る ― 迷惑メールのフォルダ、受信箱の容量、振り分けのルール。スマートフォンの画面も見る
  • 誰に届くようになっているかを確かめる ― 通知先と転送先が、辞めた人や使わないアドレスになっていないか
  • 契約と最近の変更を確かめる ― 更新の期限、カードの期限、サーバーの移転、作り直し、担当者の交代、スパム対策の追加
  • 直るまでは電話番号を出し、見たことと変えたことを渡す ― 原因を当てるのは、管理している側の仕事

問い合わせが減ったのか、届いていないだけなのかは、1通送ってみるまで分かりません。届かなかった問い合わせは、送った人の中では「返事をくれなかった会社」として残ります。

まず、今日できること

今日、手元のスマートフォンから、自社のホームページのフォームに「テスト送信です」と1通送ってみてください。そして、通知がどのアドレスに届いたか、誰の受信箱に入ったかを確かめる。それだけで、今の受け取りの形が見えてきます。