1. 「見積もりは送ったのに、届いていないと言われて」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「問い合わせをくれた方に、その日のうちに見積もりを送ったんです。1週間たっても返事がないので電話したら、メールは来ていないと。探してもらったら、迷惑メールのフォルダに入っていました」
この話の怖いところは、送った側には何の知らせも返ってこないことです。宛先の打ち間違いなら、たいてい「届けられませんでした」というメールが戻ってきます。ところが迷惑メールのフォルダに入った場合は、メールとしては届いています。こちらは送ったつもりで返事を待ち、相手は返事が来ないと思って他社に連絡している。どちらも悪くないまま、商談が1つ消えます。
この記事では、会社のメールが相手の迷惑メールに入るときに、何を確かめればいいかを順番に書きます。設定の細かい書き方ではなく、経営者や担当者が、契約先に何を聞けばいいかが分かるところまでを目指します。
この記事で書くこと
- 迷惑メールに入るとき、受け取る側で何が起きているか
- 送信元の認証(SPF・DKIM・DMARC)を、短く
- フォームの自動返信は、誰の名前で出ているか
- 件名や本文で避けたいこと
- 相手に迷惑メールのフォルダを見てもらう一言
- 届いていないと気づく仕組み
2. 迷惑メールに入るとき、何が起きているか
先に、受け取る側で何が起きているかを整理しておきます。
受け取る側が、自動で振り分けている
メールを受け取るサービスは、届いたメールを自動で振り分けています。受信箱に入れるか、迷惑メールのフォルダに入れるか。判断の材料は、大きく分けて次の3つです。
- 本当にその会社から来たか ― 差出人のドメインから正しく送られたものかどうか
- 中身が怪しくないか ― 件名、本文、リンク、添付の形
- これまでどうだったか ― その送り主から届いたメールが、過去にどう扱われてきたか
細かい基準はサービスごとに違い、中身は公開されていません。ですから、ここをやれば入らない、という言い切りはできません。それでも、1つ目が欠けていると、ほかがどれだけ丁寧でも疑われやすくなります。まず1つ目から確かめます。
相手の会社の仕組みで止まることもある
もう1つ知っておきたいのは、相手の会社の側の設定で止まることもあるという点です。取引先の会社が独自に厳しい設定をしていると、こちらに問題がなくても弾かれることがあります。
この場合は、こちらでは直せません。相手の会社のメールを見ている担当の方に、こちらのアドレスを受け取れるようにしてもらうしかありません。だからこそ、6章で書く「一言添える」と、7章で書く「気づく仕組み」が効いてきます。
3. 送信元の認証 ― SPF・DKIM・DMARCを、短く
独自ドメインのメールでいちばん大事なのが、送信元の認証です。ここは専門用語が3つ出てきますが、経営者の方が覚えておくのは、それぞれの役割を一言ずつで十分です。
「このドメインのメールは、ここから送ります」と、あらかじめ届け出ておくものです。届け出ていない場所から送られたメールは、疑われやすくなります。
送るメールに、電子の封を付けるものです。受け取る側は封を確かめて、そのドメインから出たものか、途中で書き換えられていないかを見ます。
①と②で確かめられなかったメールを、受け取る側でどう扱ってほしいかを示すものです。報告を受け取る宛先も決められます。
3つとも、設定するのはドメインやメールを管理している側です。経営者が確かめるのは「3つとも設定されているか」と「送り口が全部入っているか」の2点だけです。細かい値を覚える必要はありません。
確かめるのは、「設定されているか」だけ
自分で設定する必要はありません。契約先に、設定されているかを聞くだけで十分です。聞く相手は、独自ドメインのメールを契約しているところ、ドメインを管理しているところ、制作会社のどれかです。誰が管理しているか分からないときは、そこから確かめてください。
「当社のドメインから送るメールについて、SPF・DKIM・DMARCの3つが設定されているか教えていただけますか。フォームの自動返信など、ほかの送り口も含めてお願いします」
この一文で通じます。答えは、メールなど文字でもらっておくと、あとで見返せます。独自ドメインやメールの契約の全体は 独自ドメインとメールアドレスは、どこで何を契約すればいいか にまとめてあります。
抜けやすいのは、送り口が増えたとき
設定されているはずなのに迷惑メールに入る、という場合に多いのが、送り口が1つではないケースです。会社のドメインを名乗ってメールを出しているものは、思っているより多いです。
- 社員がふだん使っているメール
- ホームページの問い合わせフォームの自動返信と、社内への通知
- 請求書や見積書を送るために使っている外部のサービス
- ネット予約やネットショップから届く確認のメール
- お知らせを一斉に送るためのサービス
このうち1つでも認証から漏れていると、その送り口のメールだけが疑われます。ふだんのメールは届くのに、フォームの自動返信だけ迷惑メールに入る、というのはこの形です。新しいサービスを使い始めたら、そのたびに契約先へ「この送り口も入っていますか」と聞いてください。
自分でできる、簡単な確かめ方
自社のアドレスから、社外のフリーメールのアドレスへ1通送ってみてください。受信箱に入るか、迷惑メールのフォルダに入るかを見ます。フォームの自動返信も、自分で一度フォームを送って同じように確かめます。
受け取ったメールの詳しい情報を開くと、確かめた結果が書かれていることがあります。読み方が分からなければ、その画面をそのまま契約先に見せて聞けば足ります。
4. フォームの自動返信は、誰の名前で出ているか
問い合わせフォームの自動返信は、送り口の中でもいちばん見落とされやすいところです。
差出人を、送った人のアドレスにしない
フォームの設定によっては、自動返信や社内への通知の差出人が、フォームに入力された相手のアドレスになっていることがあります。返信ボタンを押せばそのまま相手に返せるので、便利に見えます。
ただ、受け取る側から見ると、相手のドメインのメールが、相手の届け出ていない場所から送られてきたことになります。名乗っている送り主と、実際の送り口が合わないので、疑われやすくなります。差出人は貴社のドメインのアドレスにして、返信の宛先だけを相手のアドレスにする、という形が一般的です。制作会社に「差出人はどうなっていますか」と一度聞いてみてください。
差出人の名前に、会社名を入れる
受信箱に並んだとき、最初に目に入るのは差出人の名前です。ここが空だったり、英字のアドレスだけだったりすると、相手は開く前に迷います。差出人の名前には会社名を入れて、件名にも「お問い合わせを受け付けました(株式会社〇〇)」のように会社名を入れておくと、開いてもらいやすくなります。
返信を受け付けないアドレスから送る場合は、本文に「このメールには返信できません。ご連絡は〇〇までお願いします」と、別の連絡先を書いてください。
自動返信に、入力された本文を載せない
自動返信に、相手が入力した本文をそのまま載せる設定もあります。これは避けてください。他人のアドレスを入れて送られると、貴社の名前で、知らない人に文面が届いてしまうからです。悪用されて大量に送られると、貴社のドメインそのものが疑われるもとにもなります。
自動の送信を減らすには、送っているのが人かどうかを判定する Turnstile や reCAPTCHA のような仕組みを使うのが一般的です。営業メールやいたずらの扱いは 問い合わせフォームに届く営業メールを、どう扱うか に書きました。
5. 件名や本文で、避けたいこと
送信元の認証が整っていても、中身で疑われることはあります。基準は公開されていないので、ここに書くのは疑われにくくするための一般的な心がけです。
件名
- 件名を空にしない ― 「Re:」だけ、「ご連絡」だけも避ける。何の件か分かる言葉を入れる
- 記号や強い言葉を並べない ― 「【重要】」「至急」「無料」を重ねると、宣伝のメールに見えやすい
- 相手の言葉を入れる ― 「〇月〇日にいただいたお問い合わせの件(外壁の塗り替え)」のように、相手が送った内容に触れる
本文
- 本文を画像だけにしない ― 文字が無く画像1枚だけのメールは、宣伝に見えやすい
- リンクを詰め込まない ― 必要なリンクだけにして、表示する文字とリンク先をそろえる。短く縮めたアドレスは避ける
- 署名を省かない ― 会社名、住所、電話番号、担当者名を入れる。相手にとっても、本物の会社だと分かる材料になる
添付
- 見積書はPDFで ― 圧縮したファイルや、開くと何かが動く形式の添付は、受け取る側で止められやすい
- 大きすぎる添付は避ける ― 容量の上限で弾かれることがある。写真が多いときは枚数を絞る
- パスワード付きの圧縮ファイルを送るときは、取引先の決まりを確かめる ― 受け取らない決まりの会社もある
一斉送信
お知らせを何十件、何百件と送るときに、ふだんのメールで宛先を並べて送るのは避けてください。短い時間に同じ文面を大量に送ると、送り主そのものが疑われることがあり、ふだんの返信まで届きにくくなるおそれがあります。一斉に送るなら、ふだんのメールとは分けて考えるのが安全です。
6. 相手に迷惑メールのフォルダを見てもらう一言
こちらでできることを全部やっても、相手の側で入ってしまうことはあります。そこで効くのが、送ったことを別の手段で伝える一言です。
大事なメールほど、送ったことを伝える
見積書、契約の書類、日程の確定。返事が無いと困るメールを送ったら、電話や対面の場で一言伝えてください。
「本日15時ごろ、〇〇@〇〇.co.jp のアドレスから、お見積もりをお送りしました。もし見当たらなければ、迷惑メールのフォルダもご覧いただけますか」
ポイントは3つです。送った時刻、送ったアドレス、迷惑メールのフォルダ。この3つがあれば、相手は探す場所が分かります。最初の問い合わせへの返信なら、返信の本文の最後に「今後のご連絡は、このアドレスからお送りします」と書いておくのも効きます。
見つかったら、受け取れるようにしてもらう
迷惑メールのフォルダで見つかったときは、「迷惑メールではない」と印を付けてもらう、またはアドレスを連絡先に登録してもらうようお願いしてください。次からは受信箱に入りやすくなることがあります。
相手が会社の場合で、何度も入ってしまうときは、相手の会社のメールを見ている担当の方に、こちらのドメインを受け取れるようにしてもらうのが近道です。言いにくければ、「メールのご担当の方に、このアドレスのことをお伝えいただけますか」と頼むだけで構いません。
送る前の画面と、自動返信にも書いておく
問い合わせフォームを送った直後の画面に、「確認のメールが届かない場合は、迷惑メールのフォルダもご確認ください」と一行書いておくと、送った人が自分で気づけます。書き方は 問い合わせを送ったあとの「送信完了」の画面に、何を書くか にまとめました。
7. 届いていないと気づく仕組み
最後が、いちばん大事なところです。迷惑メールに入ったかどうかは、こちらからは見えません。だから、返事が来ないことに、早く気づける仕組みを作っておきます。
受けた日、相手の名前、連絡先、用件を、表計算1枚に書きます。誰が返すかも書いておきます。
返信した日と、何を送ったか(回答、見積書、日程の候補など)を書きます。
電話や、相手が使っている別の連絡手段で「先日メールをお送りしましたが、届いていますか」と確かめます。
迷惑メールに入っていたと分かった場合は、それも書いておきます。続くようなら、送り口の認証を見直します。
大事なのは③です。返事が来ないのを「相手が忙しいのだろう」で済ませない。一言確かめるだけで、届いていなかったメールの多くは拾えます。
返事が来ない問い合わせを、放置しない
返事が来ないとき、こちらが遠慮して待ってしまうのはよくあることです。「催促するようで悪い」「もう他社に決めたのかもしれない」。ただ、相手の側では、こちらからの返事が来ていないと思っているかもしれません。一言確かめることは、催促ではなく確認です。
返信の早さそのものについては 問い合わせが来たあと、何時間以内に返すべきか に、社内で誰がどう受けるかの決めごとは 問い合わせが増えたあと、社内で何を決めておくか に書きました。表の作り方も、そちらと同じ1枚で構いません。
戻ってきたメールを読む人を決める
宛先の間違いや、相手の受信箱がいっぱいのときは、「届けられませんでした」という知らせが戻ってきます。英語で書かれていることも多く、読まずに消されがちです。戻ってきたメールを誰が見るかを決めておくと、届かなかった1通に早く気づけます。
月に一度、自分で送ってみる
自社のフォームから、社外のフリーメールのアドレスで、月に一度テストを送ってください。社内への通知が届くか、自動返信が受信箱に入るかを確かめます。何かを変えたあとは、その日のうちに一度送るのが安全です。メールの契約を変えた、新しいサービスを使い始めた、フォームの項目を足した。こうした変更のあとに、届かなくなることが多いからです。
8. 雄喜晃の伴走:フォームから送られるメールが、届くところまで確かめます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、問い合わせフォームを置いて終わりにはしません。フォームから送られるメールが、相手と貴社の両方に届くところまでを確かめてお渡しします。
私たちがやること
- 差出人と届き先を一緒に決める ― 自動返信の差出人の名前と件名、社内への通知の届き先を、最初のお打ち合わせで決めます
- 自動返信の文面を決まった形にする ― 入力された本文を載せず、返事の時期と連絡先を書いた文面にします
- スパム対策を入れる ― Turnstile や reCAPTCHA のように、送っているのが人かどうかを判定する仕組みを使います
- 公開前に送って確かめる ― 社外のアドレス宛に実際に送り、受信箱に入るかを見ます
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、自動返信の文面や、送信完了の画面の案内を直したいときも、ご連絡いただければ反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
届いたメールへの返信そのものは、お引き受けしていません。お客様への返事は、貴社の言葉で返すものだからです。また、社員の方のパソコンやメールソフトの設定、社内のメール全般の管理、相手先の会社のメールの仕組みの調べものも、お受けしていません。
そして、迷惑メールに入らないことをお約束することもできません。振り分けるのは受け取る側のサービスや会社なので、こちらで決められることではないからです。私たちにできるのは、疑われにくい形に整え、届いているかを確かめるところまでです。
「送ったはずのメールが届いていなかったことが、一度でもある」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。
9. まとめ:送ったで終わらせず、届いたまで確かめる
会社から送ったメールが相手の迷惑メールに入るときに押さえることは、5つです。
- 送信元の認証を確かめる ― SPF・DKIM・DMARCの3つが設定されているかを、契約先に聞く
- 送り口を全部入れる ― ふだんのメール、フォームの自動返信、請求書や予約の確認メール。増えたら、そのたびに聞く
- 自動返信の差出人を見直す ― 差出人は貴社のアドレス、名前には会社名。本文は載せない
- 大事なメールは、送ったことを一言伝える ― 送った時刻、送ったアドレス、迷惑メールのフォルダ
- 返事が来ないのを放置しない ― 表に「返した日」と「届いた日」を分けて書き、数日空いたら別の手段で確かめる
迷惑メールに入る問題は、送った側にも受け取った側にも見えないところで起きます。だから、設定を整えることと同じくらい、気づく仕組みを持つことが大事です。
今日できることを1つだけ挙げます。自社のフォームから、社外のフリーメールのアドレスで1通送ってみてください。自動返信が受信箱に入るか、迷惑メールのフォルダに入るか。それを見るところから始められます。
送ったメールが届いているか不安だ、という方は、一度ご相談ください。