1. 「『〇〇円から』の数字と比べられて、電話で説明しきれないんです」
鍵の仕事をしている方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「鍵をなくした、家に入れない、という電話がいちばん多いんです。でも最初に『ネットで〇〇円からって見たんですけど』と言われて。鍵の種類で金額が変わることを、電話口で説明しきれないんですよね。来てから金額を言うと、高くなったと思われてしまって」
鍵屋を探す人の多くは、急いでいます。玄関の前で立っている。車の中に鍵を置いたまま閉めてしまった。こうした場面では、何社も見比べる余裕がありません。目に入ったいちばん安い数字を手がかりに、電話をかけます。
そして同時に、あとから思っていたより高い金額を言われるのではないかという不安も抱えています。
この不安には、安さで張り合っても答えられません。答えになるのは、金額がどう決まるかと、いつ金額を伝えるかを、電話の前に読める形で書いておくことです。
この記事で書くこと
- 開錠・交換・合鍵・金庫・防犯の相談で、探している人がどう違うか
- 出張費・作業料・部品代・時間帯・鍵の種類で、料金を組み立てて書く方法
- 作業の前に金額を伝え、了解をいただいてから作業する流れ
- 到着の目安を、言い切らずに書く方法
- 本人確認をすることと、店の所在地・代表者の見せ方
- 防犯の相談と、急がない仕事のページ
夜間や休日の受付をどう書くかは、「24時間対応」「緊急時はお電話を」を、ホームページにどう書くか に詳しく書きました。この記事では、鍵の仕事ならではのところを中心に書きます。
2. 同じ鍵屋でも、探している人の急ぎ方が違う
鍵屋の仕事は、大きく分けると5つあります。開錠、交換や取り付け、合鍵、金庫、防犯の相談です。どれも「鍵」の仕事ですが、探している人の状況はまったく違います。
急いでいる人と、急いでいない人
- 開錠 ― 家や車、物置に入れない人。いちばん急いでいて、比べる余裕がない
- 金庫 ― 番号が分からない、鍵が見つからない人。家族が遺した金庫を開けたいという相談もある
- 交換や取り付け ― 鍵をなくした人、引っ越してきた人、鍵の調子が悪い人。数日のうちに頼みたい
- 合鍵 ― 家族や従業員の分を作りたい人。急いでいないことが多く、店に持ち込めるかを知りたい
- 防犯の相談 ― 空き巣の話を聞いた人、一人暮らしを始める家族がいる人。じっくり比べて選ぶ
急いでいる人は、電話番号と「今から来てもらえるか」だけを探しています。急いでいない人は、料金や作業の中身を読み比べています。全部を同じページに並べると、どちらの人も探しにくくなります。
最初の画面で、入口を2つに分ける
トップページの最初の画面には、「鍵が開かない・なくした方」の入口と、「交換・合鍵・防犯のご相談」の入口を並べて置くのが分かりやすい形です。
急ぎの入口には、押せばそのまま発信できる電話番号と、受付の時間、対応している地域を置きます。急がない入口からは、作業ごとのページや料金のページへ進めるようにします。
3. 「〇〇円から」だけを見て頼む人に、決まり方を見せる
ここがこの記事でいちばん大事なところです。
安い数字そのものが、悪いわけではない
「〇〇円から」と書くこと自体は、悪いことではありません。いちばん簡単な作業の金額を下限として示すのは、よくある書き方です。安く受けている会社を、悪く言う必要もありません。
困るのは、その数字に何が含まれていて、何が別なのかが読む人に分からないことです。分からないまま電話をかけ、来てもらってから総額を聞くと、金額の高い安いより先に「言っていたことと違う」という受け取り方になります。
安い同業と比べられたときの書き方は 安い同業と比べられたとき、ホームページに何を書くか にまとめました。鍵の仕事では、そこに書いた「差の中身を見せる」考え方を、料金の組み立てでそのまま見せるのが近道です。
料金を、部品に分けて書く
鍵の作業の料金は、多くの場合いくつかの部品の組み合わせです。部品ごとに分けて書くと、読む人は自分の場合の総額を考えられます。
| 料金の部品 | サイトに書くこと(たとえば) | 変わる条件 |
|---|---|---|
| 出張費 | たとえば「〇〇市内は〇,〇〇〇円」と地域ごとに | 距離。作業をお断りいただいた場合もかかるかどうかを書く |
| 作業料(開錠) | たとえば「玄関の一般的な鍵で〇,〇〇〇円〜〇〇,〇〇〇円」 | 鍵の種類。防犯性の高い鍵ほど時間がかかり、金額が上がることを書く |
| 作業料(交換・取り付け) | たとえば「シリンダーの交換で〇,〇〇〇円〜」 | 扉の形、取り付ける場所の加工が要るか |
| 部品代 | 交換する鍵そのものの代金。扱っている鍵を価格の順に並べる | 選ぶ鍵の種類。作業料と分けて書く |
| 時間帯の加算 | たとえば「22時から翌朝6時までは、作業料に〇,〇〇〇円を加算」 | 時間帯、休日。加算がないならないと書く |
大事なのは、どの部品で金額が変わるかが読む人に分かることです。金額は貴社が実際にお受けしている料金で書き、鍵を見ないと決まらないものは「現地で鍵を拝見してからお伝えします」と添えます。
鍵の種類による違いを、言葉で書く
料金がいちばん動くのは、鍵の種類です。ところが、読む人の多くは自分の鍵が何という種類かを知りません。
そこで、種類の名前だけでなく、見た目の特徴で書きます。たとえば「表面に丸いくぼみがたくさん付いている鍵」「鍵穴が上下に2つ付いている扉」のように書けば、読む人は手元の鍵を見て、どちらに近いかを考えられます。
電話の段階では、鍵の写真を送ってもらえれば、金額の幅をお伝えしやすいと書いておくのも一つの方法です。
たとえばの総額を、条件つきで書く
よくある依頼で、全部でだいたいいくらになるかも書いておくと、読む人は桁を知ることができます。
「たとえば、〇〇市内の戸建てで、玄関の一般的な鍵を昼間に開ける場合、出張費と作業料を合わせて〇,〇〇〇円〜〇〇,〇〇〇円のご依頼が多いです(金額は架空の例です)」
ポイントは、場所・鍵の種類・時間帯・金額の幅が一緒に書いてあることです。高くなる条件と安くなる条件の書き方は、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。
4. 作業の前に金額を伝える、と書く
次は金額がいつ決まるかです。急いでいる人の不安に、いちばんまっすぐ答えるところです。
流れを、段に分けて見せる
電話から支払いまでに何が起きるかを、段に分けて書いておきます。とくに、作業に入る前に金額を伝え、了解をいただいてから作業することを、流れの中ではっきり見せてください。
たとえば、どこの鍵か、鍵の見た目、住所、今どこにいらっしゃるかを伺います。この時点で、金額の幅と到着の目安をお伝えします。
たとえば、担当者の名前と到着の目安を、向かう前にお電話でお伝えします。
たとえば、鍵の種類を確かめ、その場で総額をお伝えします。住んでいる方や持ち主であることも、ここで確かめます。
たとえば、作業の途中で別の作業が要ると分かった場合は、手を止めて、もう一度金額をお伝えします。
たとえば、鍵が開け閉めできるかを一緒に確かめてから、お支払いいただきます。
右側の一言は、急いで電話をかける人が気にしていることへの答えです。とくに③と④の一言があるかどうかで、電話の最初のやりとりが変わります。書いた流れは、実際の現場の動きとそろえてください。
了解をいただけなかったときのことも書く
金額を聞いて、頼むのをやめる人もいます。そのときに何がかかるのかを、先に書いておきます。出張費だけをいただくのか、いただかないのか。どちらでも構いません。書いてあることが大事です。
書いていないと、「来てもらったら断れなくなるのでは」と感じて電話をためらう人が出ます。断れると分かると、かえって電話をかけやすくなります。
電話で伝えた金額と、現地の金額が違うことがある理由
鍵は、実際に見ないと種類や状態が分からないことがあります。だから電話と現地で金額が違うことはあります。この事情も、隠さずに書いてください。「お電話では鍵の見た目から幅でお伝えします。現地で鍵を拝見し、作業の前に確定した金額をお伝えします」。この二文があると、違いが出たときにも「最初から言われていたこと」として受け取ってもらえます。
5. 到着の目安は、言い切らずに書く
急いでいる人が金額の次に知りたいのは、どれくらいで来てもらえるかです。
幅と、その幅が成り立つ条件で書く
到着の目安は、1つの数字で言い切らないほうが安全です。幅と、その幅が成り立つ条件で書きます。
「〇〇市内であれば、お電話をいただいてから、おおむね〇〇分〜〇時間ほどで伺うことが多いです。ほかのご依頼と重なっているときや、道路の状況によっては、もう少しお時間をいただきます。お電話のときに、そのときの目安をお伝えします(時間は架空の例です)」
読む人は、いちばん短い数字を自分の数字だと受け取ります。ふつうの目安を先に書き、最短を書くなら条件と一緒に添える順番にしてください。
地域は、市区町村の名前で
地域は市区町村の名前で書き、夜間や休日は近くしか回れないならふだんと時間外を分けて書きます。地域の書き方は 「対応エリア」を、ホームページにどう書くか にまとめてあります。
どんな姿で伺うかを書く
社名の入った車か、作業着か、名札や身分を示すものを持っているかを書いておくと、玄関の前で待っている人が「頼んだ鍵屋さんだ」と確かめられます。
6. 本人確認をすることと、店の所在地・代表者
鍵の仕事には、ほかの仕事にはない事情があります。鍵を開けるということは、その家や車や金庫に入れるようにすることです。だから、頼む人の側も、受ける側も、相手が誰かを確かめる必要があります。
本人確認をすることを、先に書く
開錠の前に、住んでいる方や持ち主であることを確かめる。このことを、サイトに先に書いておきます。
- 何で確かめるか ― 身分証、住所の分かる書類、車なら車の持ち主が分かる書類など、貴社が実際に確かめているもの
- 手元にないとき ― 家の中にある場合は、開けたあとに確かめるのか。確かめられない場合はどうするのか
- 借りている部屋のとき ― 管理会社や大家に連絡をお願いすることがあるか
- 金庫のとき ― 持ち主の確認と、亡くなった方の金庫の場合にご家族に用意していただくもの
面倒だと感じる人もいるかもしれません。けれど、確かめる会社だと分かると、頼む人はかえって安心します。誰にでも開ける会社なら、自分の家も誰かに開けられてしまうかもしれないからです。
確かめる手順や、お断りする基準は貴社の方針で決めてください。業界団体の決まりや、守るべきルールが関わる場合もあります。何をどこまで確かめるべきかは、所管の窓口や業界団体、専門家に確認してください。サイトには、確かめたうえで実際にやっていることだけを書きます。
店の所在地は、番地と外観の写真まで
もう1つ、鍵屋のサイトで見られているのが、この会社はどこの誰なのかです。
所在地は番地まで書き、店舗があるなら店の外観の写真を添えます。合鍵を作りに来る人には行き先の案内になり、急いで電話をかける人には、地元に実在する店だという手がかりになります。
店舗を持たずに車で回っている場合も、事務所の所在地は書いておきます。会社概要に何を載せるかは 会社概要のページに、何を載せるか にまとめました。
代表者の名前と、作業する人
代表者の名前と、できれば顔写真。そして、実際に伺う人は誰か。少人数の会社なら、代表ご本人が伺うこと自体が安心材料になります。
電話番号は、押せば発信できる形で、どのページからも見えるところに置きます。固定電話か携帯かの考え方は、ホームページに、携帯電話の番号を載せるかどうか に書いてあります。
7. 防犯の相談と、急がない仕事のページ
急がない仕事のページは、読み比べて選ぶ人が見るページです。
防犯の相談は、不安をあおらずに書く
気をつけたいのは、怖がらせて売る書き方をしないことです。「今の鍵のままでは危ない」と書くと、読む人は急かされていると感じます。
おすすめの書き方は、相談を受けたときに何をするかを順に書く形です。
- 今の鍵と扉を見る ― 鍵の種類、扉の状態、窓や勝手口など、玄関以外の出入り口も
- 暮らし方を伺う ― 一人暮らしか、留守にする時間が長いか
- 選択肢を並べる ― 鍵の交換、補助の鍵の取り付け、窓の対策など。費用の違いも一緒に
- 今のままでよい場合は、そう伝える ― 替える必要がないと判断したときの伝え方も書いておく
鍵の性能を書くときは、「絶対に開けられない」のような言い切りは避けてください。性能をうたう表現は、示し方によっては表示のルールの上で問題になる場合もあります。作っている会社が示している内容に沿って書き、気になる表現は専門家に確認してください。
交換と取り付けは、扱う鍵を価格の順に
交換のページには、扱っている鍵を価格の順に並べ、それぞれをどんな方に勧めることが多いかを書きます。費用を抑えたい方、防犯性を上げたい方、鍵の数を減らしたい方。選ぶ理由は人によって違います。どれがいちばん良い、とは書かないでください。
引っ越してきたとき、鍵をなくしたとき、調子が悪くなったとき。よくある依頼のきっかけを見出しにすると、自分の用事で探している人に届きます。
合鍵は、持ち込みと作れないものを書く
合鍵のページで知りたいのは、持ち込めばその場で作れるか、何分くらいかかるか、作れない鍵はあるかです。店頭で作れない鍵があるなら、その場合にどうすればよいかも添えます。
金庫と、法人の依頼
金庫は、開けたあとの修理や、処分の相談を受けるかも書いておくと、相談の入口が広がります。店舗や事務所、管理会社からの依頼を受けているなら、法人向けの案内は見出しを分けて、請求のまとめ方や急ぎのときの連絡先を書きます。
8. 雄喜晃の伴走:料金の決まり方と、作業の前の約束を言葉にします
私たち雄喜晃は、鍵屋のホームページを作るとき、「電話の最初の数分で、毎回何を説明しているか」を伺うところから始めます。それが、そのままサイトに書くべき中身になるからです。
私たちがやること
- 急ぎの入口と、急がない入口を分ける ― 最初の画面に、開錠の電話番号と、交換・合鍵・防犯の入口を並べます
- 料金を、部品に分けて組む ― 貴社が実際にお受けしている出張費・作業料・部品代・時間帯の加算を伺い、スマートフォンでも読める表にします
- 作業の前に金額を伝える流れを、段に分けて書く ― 了解をいただけなかったときの扱いも、伺ったとおりに書きます
- 到着の目安と地域を、条件つきの文章にする ― ふだんと時間外の地域を分けて書きます
- 本人確認と、店の所在地・代表者の情報を整える ― 貴社が実際にやっている確認の手順を伺って言葉にします
- 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 店の外観、作業する方、扱っている鍵など、どこに置くかも一緒に考えます
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、料金の改定や、受付時間の変更、扱う鍵の入れ替えも、ご連絡いただければこちらで反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 写真の撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
- 貴社の料金そのものは決めません。価格は経営の判断なので、決まった料金と条件を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
- 本人確認の手順や、業界の決まりについての判断はしません。所管の窓口や業界団体、専門家に確認していただくようお願いしています
- 他社を悪く言う書き方や、鍵の性能を言い切る書き方はしません
- 電話の受付の代行や、検索順位・問い合わせの増加のお約束もしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。
「電話のたびに、ネットで見た安い金額との違いを説明している」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:安さより先に、決まり方と約束を見せる
地域の鍵屋のホームページで押さえることは、5つです。
- 急ぎと急がないで、入口を分ける ― 開錠の人は電話番号と地域を、交換・合鍵・防犯の人は料金と中身を探しています
- 料金を部品に分けて書く ― 出張費・作業料・部品代・時間帯の加算。鍵の種類は見た目の特徴で書き、たとえばの総額を条件つきで
- 作業の前に金額を伝えると書く ― 了解をいただいてから作業すること、断ったときにかかるもの、電話と現地で金額が違うことがある理由
- 到着の目安は幅と条件で ― 最短を大きく書かない。どんな姿で伺うかも
- 本人確認と、どこの誰か ― 確かめることを先に書き、所在地は番地と外観の写真、代表者と伺う人の名前を出す
鍵の仕事は、困っている人の家や車や金庫を、開けられるようにする仕事です。安い数字より、「金額を先に言ってくれる」「確かめてから開ける」と思ってもらえることが、頼む決め手になります。
まず、今日できること
先月かかってきた開錠の電話を思い出して、最初の数分で毎回説明したことを3つ書き出してみてください。鍵の種類で金額が変わること、出張費のこと、本人確認のこと。その3行が、サイトに足りていない答えです。