1. 「24時間対応と書いたら、夜中に鳴ったんです」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「同業がみんな『24時間対応』と書いているので、うちも書いたんです。そうしたら本当に夜中に電話が鳴って。出られなかった日は、翌朝に『24時間って書いてあったのに』と言われてしまいました」
水回りの修理、鍵の開け閉め、空調や電気の設備、介護、建物の管理。急ぎの連絡を受ける仕事では、とてもよく伺う話です。書いた側は「できるだけ受けます」くらいのつもりでも、夜中に電話をかける人は、その一行を約束として読みます。
かといって、何も書かなければよいわけでもありません。急ぎで困っている人は、時間外も受けてくれそうな会社から順に電話をかけます。書いていなければ、候補にすら入りません。
この記事で書くこと
- 急ぎで探している人が、サイトのどこを見て決めているか
- 「24時間」と書く前に確かめる、出られる体制
- 夜間・休日の料金と、出動する条件の書き方
- どこまで、どれくらいで行けるかを、条件つきで書く方法
- フォームやメールは翌営業日になる、と書くこと
- 既存のお客様の窓口を分けるか、体制が変わったら直す場所
台風や急な事情で自社が休むときの知らせ方は 台風や急な休業のとき、ホームページで何を知らせるか に書きました。この記事は逆で、お客様の側に急ぎの事情があるとき、サイトでどう受けるかの話です。
2. 急ぎで探している人は、何を確かめているか
まず、読む人の側から見ておきます。夜や休日に検索してくる人は、ふだんとは見方が違います。
比べる余裕がない
水が止まらない、鍵が開かない、エアコンが止まった、家族の具合が急に変わった。こうした場面では、何社も見比べる余裕がありません。開いたサイトで、すぐに答えが見つかるかどうかで決まります。
だからこそ、書いてある一行の重みが、ふだんの比較とは違います。読み込まれることは少なく、目に入った言葉がそのまま期待になります。
確かめていることは、5つ
急いでいる人が知りたいことは、だいたい次の5つです。
- 今、出てくれるか ― 電話がつながるのか、留守番電話なのか
- 来てくれるか ― 電話で聞くだけなのか、来てもらえるのか
- どれくらいで来るか ― 今夜なのか、明日の朝なのか
- いくらかかるか ― 夜だと高くなるのか、来てもらうだけでかかるのか
- 自分の地域か ― そもそも来てもらえる場所なのか
この5つのうち、サイトに書いてあることが多いほど、電話の最初の数分が短くなります。逆に、「24時間対応」の一行しか無いと、5つ全部を電話で確かめることになります。急いでいる人ほど、その数分が長く感じられます。
3. 「24時間」と書く前に、本当に出られるかを確かめる
ここがいちばん大事なところです。書き方の前に、体制の話をします。
受け付けることと、出ることは別
「24時間受付」と「24時間出動」は、読む人にとって同じに見えます。けれど社内では、まったく別のことです。
電話がつながるだけなのか、話を聞いて判断してくれる人が出るのか、その場で人が向かうのか。どこまでを24時間でやっているのかを、まず社内で言葉にしてください。
誰が出るのかを、名前で並べる
次に、夜と休日に電話を受けるのは誰かを確かめます。当番表があるなら、それを見てください。無いなら、実際には誰が受けているかを思い出してください。
社長お一人が携帯で受けているなら、それも体制です。ただし、社長が出られない夜には、24時間ではなくなります。旅行の日、体調を崩した日、別の現場に出ている夜。そのときにどうなるかまで考えておきます。
出られなかった夜を、先に想定する
どんな体制でも、出られない夜はあります。そのとき電話をかけた人に何が起きるかを書いておくと、約束を破ったことになりにくくなります。
- 留守番電話につながる ― 何時までに折り返すかを、案内の音声とサイトの両方で伝える
- 別の番号に転送される ― 転送先の人が出られなかったときの扱いも決めておく
- 電話での案内だけになる ― 応急の対処を伝え、出動は翌朝になることがある、と書く
書けないなら、書ける時間を書く
確かめた結果、24時間は難しいと分かったら、無理に24時間と書かないでください。「夜間は22時まで受け付けています」「土日祝も、9時から18時まで受け付けています」。こう書けば、時間内の人は安心して電話をかけられます。
時間外の人には、「22時以降のご連絡は、翌朝8時から順に折り返します」と書いておきます。受けられないことも、書いてあれば情報になります。
| サイトに書いた言葉 | 読む人が受け取る意味 | 書くなら添えること |
|---|---|---|
| 24時間対応 | 夜中でも電話に人が出て、すぐ来てくれる | たとえば「24時間お電話を受け付けます。夜間の出動は、状況を伺ってから判断します」 |
| 24時間受付 | いつでも連絡でき、何かしら返事がある | 電話か、フォームか。夜間のフォームは翌営業日に返信と書く |
| 年中無休 | 年末年始もお盆も、ふだんどおり | 例外の日と、その日の受け方を書く |
| 緊急時はお電話を | 自分の困りごとは緊急なので、電話すればいい | 受付時間と、出動する状態の例をすぐ下に書く |
| 最短30分で到着 | 自分のところにも30分で来る | 地域と時間帯の条件。ふつうの目安を先に書く |
左の言葉は、どれも書いてはいけない言葉ではありません。ただ、読む人はいちばん都合のよい意味で受け取ります。右の列のように、範囲と条件を1行添えるだけで、電話の最初のやりとりが変わります。
4. 夜間・休日の料金と、出動の条件を書く
体制が決まったら、次はお金と条件です。急ぎの仕事で行き違いがいちばん起きやすいのは、ここです。
夜間・休日に高くなるなら、そう書く
時間外は料金が上がる、という会社は多いと思います。それ自体は当然のことです。困るのは、上がることを、来てから初めて知らされるときです。
金額まで書けるなら書いてください。書けない場合でも、仕組みは書けます。
- 時間外の加算があるか ― たとえば「22時から翌朝6時までは、基本の料金に夜間の加算があります」
- 来てもらうだけでかかる費用があるか ― 出張費や点検費。作業をしなかった場合も同じか
- 見積もりのあとで断った場合 ― その場でお断りいただいたとき、何がかかるのか
- 支払いの方法 ― 夜間でも、その場で何が使えるか
金額の書き方そのものは ホームページに料金を載せるか、載せないか に書きました。急ぎの仕事では、とくに「来てもらうだけで、いくらかかるか」が知りたいところです。ここが書いてあると、電話をかける側の迷いが一つ減ります。
何を「緊急」とするかを、例で書く
「緊急時はお電話を」と書くと、読む人は自分の困りごとを緊急だと考えます。困っている本人にとっては、どれも緊急だからです。
そこで、夜のうちに出動する状態と、翌朝の対応になる状態を、例で書いておきます。たとえば水回りなら、こんな形です(例は架空です)。
- 夜のうちに伺う例 ― 水が止まらず、元栓を閉めても止まらない。下の階に漏れている
- 翌朝の対応になる例 ― 蛇口から少しずつ水が垂れている。元栓を閉めれば止まる
線の引き方は、業種と体制によって違います。大事なのは、最後は電話で状況を伺って判断すると書いておくことです。例はあくまで目安で、例に当てはまらない人が電話をかけてはいけない、という意味ではないことも添えてください。
電話の前にできることを書く
元栓の場所、ブレーカーの見方、連絡が取れない家族がいるときに先に連絡する先。電話をかける前に、その人がやっておけることを短く書いておくと、到着までの被害や不安が小さくなります。
ただし、危ないことはさせないでください。ガスや電気、体調の急変のように、素人が触ると危ない場面では、「ご自身で触らず、すぐにお電話ください」と書くほうが親切です。介護や医療に近い仕事では、まず救急や主治医へ、という順番を書く場合もあります。何をどこまで書いてよいかは業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。
5. どこまで、どれくらいで行けるかを、条件つきで書く
急いでいる人は、「来てくれるか」と「いつ来るか」を同時に知りたがります。ここは地域と時間を、条件と一緒に書きます。
地域を、時間外とふだんで分ける
ふだんは広い範囲を回っていても、夜間は近くしか行けない、という会社は多いはずです。その場合は、時間外に行ける地域を、ふだんとは別に書いてください。
「ふだんは〇〇市・△△市・□□町。夜間・休日は〇〇市内のみ」。このくらいの書き方で十分です。地域の書き方そのものは 「対応エリア」を、ホームページにどう書くか にまとめました。市区町村の名前で書くほうが、読む人は自分が入っているかを探せます。
時間は、幅と条件で書く
どれくらいで着くかは、1つの数字で書かないほうが安全です。幅と、その幅が成り立つ条件で書きます。
たとえば、こんな形です(数字は架空です)。
「〇〇市内であれば、お電話をいただいてからおおむね1〜2時間で伺います。ほかのご依頼と重なった場合や、道路の状況によっては、もう少しお時間をいただくことがあります。到着の目安は、お電話のときにお伝えします」
「最短30分」と書きたくなる気持ちは分かります。けれど、読む人はいちばん短い数字を自分の数字だと受け取ります。30分で来なかった夜は、それだけで「書いてあったのと違う」になります。最短を書くなら、ふつうの目安を先に書き、最短は条件つきで添える順番にしてください。
到着前の連絡を書いておく
夜に人が来る、というのは、頼む側にとっても少し不安なことです。「伺う前に、担当者の名前と到着の目安をお電話でお伝えします」と書いてあるだけで、ずいぶん安心できます。
あわせて、どんな姿で伺うかを書いておくのもよい方法です。社名の入った車、作業着、名札。夜に玄関を開ける人にとっては、本当にその会社の人かを確かめる手がかりになります。
6. 電話以外の窓口は「翌営業日」と書く
急ぎの話になると、電話のことばかり考えがちです。けれど、夜間にフォームやメールで送ってくる人もいます。
フォームは、夜中に読まれていない
問い合わせフォームは、24時間送れます。だからこそ、夜中に送った人は、誰かが読んでいると思っています。実際には、翌朝まで誰も開いていないことがほとんどです。
そのずれを、先に書いて埋めておきます。フォームのすぐ上か、送信ボタンの近くに、たとえばこう書きます。
「フォームとメールでのお問い合わせは、翌営業日から順にお返事します。お急ぎの場合は、お電話でご連絡ください」
LINEで受けている場合も同じです。夜間に既読がつかないなら、そう書いておきます。
送信完了の画面にも、同じことを
フォームを送ったあとの画面にも、同じ一文を入れてください。送った人が最後に目にするのはこの画面です。「急ぎなら電話」の番号を、ここにも置いておくと、送ったあとで不安になった人が迷わずに済みます。
電話番号は、押せる形で、受付時間の横に
急ぎの人は、スマートフォンで見ています。電話番号は画像にせず、文字で書いて、押せばそのまま発信できる形にしてください。番号のすぐ横に、受付の時間と、時間外の扱いを書きます。
番号を固定電話にするか、携帯にするか、転送にするかは ホームページに、携帯電話の番号を載せるかどうか に書きました。営業時間と受付時間の書き分けは 営業時間・定休日を、ホームページにどう書くか にあります。急ぎの窓口は、この2つの上に乗る話です。
7. 既存のお客様の窓口を分けるか、体制が変わったら直す
最後に、窓口の分け方と、書いたあとの手入れです。
既存のお客様だけの窓口を作るか
建物の管理、保守の契約、介護の利用者のように、すでに契約しているお客様からの急ぎの連絡を受ける仕事があります。この場合、一般の方と同じ番号で受けるか、契約者だけの番号を分けるかを決めておきます。
分けるなら、契約者用の番号はサイトに大きく出さず、契約書や管理の案内、玄関の掲示などでお知らせする形が向いています。サイトには「ご契約中の方は、お渡ししている緊急連絡先へ」と書いておきます。取引のあるお客様向けの案内の置き方は 一度頼んでくれたお客様に、ホームページをどう使ってもらうか にまとめました。
窓口が1つなので、迷わせません。ただし、夜間に一般の方の電話が重なると、契約中の方の連絡が後回しになることがあります。
サイトには一般の窓口だけを出し、契約中の方には別の番号を書面でお渡しします。サイトにはその旨を一行書いておきます。
サイトには何も書かず、お客様が担当者の携帯を知っている状態です。担当者が休んだ日や辞めたときに、連絡先が消えます。
どれが正解というものではありません。体制に合った形を選び、選んだ形をサイトに一行で書いておくことが大事です。③のまま続いている場合は、まず①か②に寄せるところから始めてください。
一般の方の急ぎを受けないなら、そう書く
契約中の方だけを受けて、一般の方の時間外対応はしていない。そういう会社もあると思います。その場合は、「時間外の対応は、ご契約中の方に限らせていただいています」と書いておきます。
書かないままだと、一般の方が夜中に電話をかけて、つながらずに困ります。断る一行は冷たく見えるかもしれませんが、困っている人を待たせるより親切です。
体制が変わったら、書いた場所を全部直す
当番の人数が減った、夜間の受付をやめた、行ける地域を狭めた。こうした変化は、季節や人の出入りで起きます。そのときに、サイトの一行だけが前のまま残るのがいちばん危ない状態です。
「24時間」や時間外の受付は、思ったより多くの場所に書かれています。
- サイトの中 ― 上の帯、トップの最初の画面、サービスのページ、料金のページ、よくある質問、問い合わせのページ、送信完了の画面
- サイトの外 ― Googleマップの営業時間、SNSのプロフィール、紹介されているポータルサイト
- 紙と物 ― チラシ、名刺、ステッカー、車に貼った表示、留守番電話の案内
紙や車の表示は、すぐには直せません。だからこそ、書いた場所を一覧にしておき、体制が変わった日にその一覧を上から見るようにしてください。サイトとGoogleマップは、その日のうちに直せます。
8. 雄喜晃の伴走:書いた一行と、実際の体制をそろえます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、「24時間対応」の一行を、同業に合わせて入れることはしません。最初のお打ち合わせで、夜と休日に誰が電話を受けているか、どこまで行けるか、時間外の料金はどうなっているかを伺い、その事実に合わせて書きます。
私たちがやること
伺った体制をもとに、受付の時間、時間外の扱い、出動する状態の例、行ける地域、到着の目安を、条件つきの文章に直してページに組みます。電話番号は押せばそのまま発信できる形にし、受付時間をすぐ横に置きます。フォームの近くと送信完了の画面には、翌営業日の返信になることと、急ぎの電話番号を入れます。
「24時間」や時間外の受付を書いた場所は、一覧にしてお渡しします。体制が変わったときは、ご連絡いただければサイトの中をまとめて直します。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、繁忙期だけ受付時間を変える、といった書き換えもこちらで反映します。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
先に書いておきます。私たちは、貴社の夜間の体制や料金そのものを決める立場にはありません。何時まで受けるか、いくら加算するかは経営の判断です。私たちがやるのは、決まった体制を、読む人に誤解なく伝わる言葉にすることです。
また、夜間の電話を代わりに受ける代行もしていません。実際の体制より広く見える書き方もしません。「24時間」と書けば問い合わせが増える、検索の順位が上がる、といったお約束もいたしません。書いた一行が、夜中に電話をかけた人との約束になるからです。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「同業に合わせて24時間と書いたけれど、実際の体制とずれている気がする」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:約束できる範囲を、条件つきで書く
急ぎの連絡を受ける仕事で、時間外の受付をサイトに書くときに押さえることは、5つです。
- 書く前に体制を確かめる ― 受付だけか、判断までか、出動までか。出られない夜にどうなるかも決めておく
- 料金と出動の条件を書く ― 時間外の加算、来てもらうだけでかかる費用、夜のうちに伺う状態と翌朝になる状態の例
- 地域と時間は、幅と条件で ― 時間外に行ける地域を分けて書き、到着の目安はふつうの幅から
- 電話以外は翌営業日と書く ― フォームの近くと送信完了の画面に、急ぎの電話番号と一緒に
- 窓口を決めて、変わったら全部直す ― 既存のお客様の窓口を分けるか決め、書いた場所の一覧を残す
「24時間対応」の一行は、書くのは一瞬ですが、守るのは毎晩です。大きく書くより、守れる範囲を正確に書くほうが、夜中に電話をかけた人を裏切りません。
まず、今日できること
先月、営業時間の外にかかってきた電話を、着信履歴で数えてみてください。何時ごろに、どんな用件が多かったか。誰が出て、出られなかったのは何件か。その数行が、サイトに書くべき受付時間と条件の下書きになります。