1. 「個人の方のほうが、話が早いと聞いて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「個人でやっている方の作ったサイトを見て、いいなと思ったんです。話は早そうだし、感じもいい。ただ、会社に頼んだほうが安心なのかなとも思って。どっちがいいんでしょう」

この迷いは、とても自然です。個人に頼むと、話した相手がそのまま作ってくれます。会社に頼むと、何人かで受け持ってくれるので、誰かが休んでも進みそうに思えます。どちらにも、頼みたくなる理由があります。

この記事の答えを先に書きます。どちらが良い、悪いではありません。頼む相手の形によって、確かめておくことが違う、というものです。個人には個人の、会社には会社の、起きやすいことがあります。それを先に知って、聞いておけば、どちらに頼んでも困りにくくなります。

この記事で書くこと

  • 個人と会社の、形の違い
  • 個人に頼むときに確かめること(連絡が取れなくなったときの備え、得意な範囲、作ったあとの保守)
  • 会社に頼むときに確かめること(担当者の交代、窓口と作る人の違い)
  • どちらにも共通して確かめる5つ
  • 比べ方と、決めたあとに貴社の側で持っておくもの

見積もりの金額を揃えて比べる方法は ホームページの相見積もりを、公平に比べる方法 に、検索で出てくる依頼先の種類と見分け方は 神戸でホームページ制作を頼むとき、どこを見て選ぶか に書きました。この記事は、その手前で相手が個人か会社かによって、何を聞いておくかを扱います。

2. 良い悪いではなく、形の違い

まず、個人と会社の違いを、良し悪しではなく「形」として並べます。

個人の形 ― 話す人と作る人が同じ

個人のフリーランスに頼むと、打ち合わせで話した人が、そのまま作ります。伝えたことが、途中で人を挟まずに届きます。決めるのも早く、細かい相談にも乗ってもらいやすい。やりとりの近さが、個人の形のいちばんの良さです。

その一方で、仕事がその人1人に乗っています。その人が動けなくなると、仕事も止まります。これは腕や人柄の問題ではなく、1人で受けている形そのものから来ることです。

会社の形 ― 役割を分けて、人が替わっても続ける

制作会社に頼むと、営業、進行、デザイン、仕組みといった役割を、何人かで分けて受け持つことが多くなります。誰かが休んでも、ほかの人が引き継げる。続けやすさが、会社の形の良さです。

その一方で、話す人と作る人が別になりやすく、担当者も替わります。伝えたことが、人を挟むうちに少しずつ変わることがあります。これも、役割を分けている形そのものから来ることです。

貴社にとって、どちらの弱いところが痛いか

どちらの形にも、強いところと弱いところがあります。選ぶときに考えたいのは、貴社にとって、どちらの弱いところが痛いかです。

細かいことを何度も相談しながら作りたい会社には、話す人と作る人が別になるのが痛いかもしれません。公開したあと何年も同じ相手に保守を頼みたい会社には、1人に乗っている形が気になるかもしれません。痛いところが分かれば、その部分を相手に確かめておけます。

図:相手の形によって、確かめることが変わる(たとえばの整理)
個人に頼むとき
1人に乗っている部分を確かめる

動けなくなったときの備え、得意な範囲と、それ以外を誰がやるか、作ったあとの保守を誰が受け持つか。

近さの良さを、続けやすさで補う
会社に頼むとき
人が入れ替わる部分を確かめる

担当者が替わったときの引き継ぎ方、窓口と実際に作る人の違い、伝えたことがどう届くか。

続けやすさの良さを、伝わり方で補う
どちらでも
共通して確かめる5つ

契約、名義、データの受け渡し、連絡の速さ、実績。ここは相手の形に関係なく、同じように聞きます。

ここが抜けると、どちらでも困る

個人と会社のどちらが上ということではありません。相手の形から起きやすいことを先に聞いておくための整理です。最後の5つは、どちらに頼む場合にも同じように確かめてください。

3. 個人に頼むとき① ― 動けなくなったときの備え

個人に頼むときに、いちばん先に話題にしておきたいのがここです。

1人だから起きることを、先に聞く

個人で受けている方も、病気になることがあります。家族の事情で、しばらく仕事ができなくなることもあります。別の仕事に移ったり、事業をたたんだりすることもあります。どれも、誰にでも起きることです。

困るのは、それが起きたときに、貴社のサイトがどうなるか分からないことです。管理画面に入れるのはその方だけ、データもその方のパソコンの中だけ、となっていると、連絡が取れなくなった日から何も動かせなくなります。連絡が取れなくなったときの順番は 制作会社と連絡が取れなくなったときに、まずやること にまとめましたが、起きる前に聞いておけば、そもそも慌てずに済みます。

聞いておく3つ

  • 休むときの連絡 ― 休みや急な不在のとき、どう連絡が来るか。返事が遅れるときに知らせてもらえるか
  • 代わりに対応できる人 ― 一緒に仕事をしている協力先がいるか。いる場合、その人は貴社のサイトに触れる状態か
  • データと名義の置き場所 ― ドメインやサーバーは誰の名義か。作ったデータの控えを、貴社の側でも持てるか

3つ目がとくに大事です。名義が貴社にあり、データの控えも手元にあれば、仮に連絡が取れなくなっても、別の人に引き継いでもらえます。

聞きにくさは、聞き方で減る

「病気になったらどうするんですか」とは、なかなか聞きにくいものです。そこで、相手の話としてではなく、貴社の側の決まりとして聞くと、角が立ちにくくなります。

「うちは、どこにお願いする場合でも、もしものときの連絡先とデータの置き場所を確認するようにしているんです。そのあたり、どうされていますか」

きちんと仕事をしている方なら、この質問を嫌がりません。むしろ、聞かれる前から備えを話してくれる方もいます。答えの中身と一緒に、答え方も見てください。

4. 個人に頼むとき② ― 得意な範囲と、作ったあとの保守

得意な範囲を聞く

ホームページには、デザイン、文章、写真、仕組みの管理といった、いくつもの力が要ります。個人で受けている方は、そのうちのどれかを特に得意にしていることが多いはずです。得意な範囲を聞くのは失礼ではありません。むしろ、頼む側が知っておくべきことです。

  • デザインが得意な方なのか、文章まで書いてもらえるのか
  • 問い合わせフォームや、予約の仕組みのようなものも作れるのか
  • 得意でない部分は、自分でやるのか、誰かに頼んでいるのか

最後の質問の答えが「知り合いに頼んでいます」なら、その知り合いが誰で、貴社の情報がどこまで渡るのかも聞いておきます。

作ったあとの保守を、誰がするか

もう1つ、個人に頼むときに見落とされやすいのが、作ったあとの保守です。

個人で受けている方の中には、作って納めるところまでを仕事にしている方もいます。それ自体は1つのやり方です。ただ、その場合、公開したあとのサーバーの更新、表示の崩れ、つながらなくなったときの対応は、誰がやるのかを決めておく必要があります。

  • 保守まで受け持ってもらえるか。受け持つなら、何が含まれるか
  • 受け持たない場合、サーバーやドメインの契約は貴社が直接持つのか
  • 更新を頼みたいとき、どう頼み、いくらかかり、何日くらいで対応してもらえるか

作る人と、守る人が決まっていない状態がいちばん困ります。作った直後は問題が無くても、1年後、2年後に何かが起きたときに、頼み先が無くなります。

5. 会社に頼むとき ― 担当者の交代と、窓口と作る人の違い

担当者は、替わる前提で考える

制作会社では、担当者が替わることがあります。異動、退職、担当の入れ替え。会社として仕事を続けるための仕組みなので、替わること自体は悪いことではありません。

ただ、替わったときに、前の担当者と話したことが、次の人に届いているかは別の話です。「前の担当には伝えたのに」が起きるのは、話した内容が、担当者個人のメモや頭の中にしか残っていないときです。

  • 担当者が替わるとき、知らせてもらえるか
  • 打ち合わせの内容や、決まったことは、会社として記録に残しているか
  • 新しい担当者に、これまでの経緯をどう引き継いでいるか

窓口と、実際に作る人が違う

会社に頼むと、打ち合わせに出てくる窓口の人と、実際にデザインや仕組みを作る人が別、ということがよくあります。社内の別の人のこともあれば、外の協力先のこともあります。

分業そのものは、悪いことではありません。気にしたいのは、伝えたことが、作る人まで何人を挟んで届くかです。挟む人が多いほど、細かいニュアンスは落ちやすくなります。

  • 実際に作る方は、社内の方か、外の協力先か
  • 細かいデザインの相談をしたいとき、作る方と直接話せるか
  • 修正の依頼は、誰に、どんな形で出せばよいか

修正の依頼を文字で出すようにしておくと、人を挟んでも内容が変わりにくくなります。文字で残すことは、窓口が替わったときの引き継ぎにも役立ちます。

会社の大きさの安心を、中身で確かめる

会社に頼むと、なんとなく安心に感じます。その安心は、たいてい「人がいるから、誰かが続けてくれるだろう」という期待です。

その期待が当たっているかは、会社の大きさではなく、引き継ぎと記録の仕組みで決まります。人が多くても、担当者1人に任せきりの会社もあります。大きさで安心する前に、上の質問で中身を確かめてください。

6. どちらにも共通して確かめる5つ

ここまでは、相手の形によって違う話でした。ここからは、個人でも会社でも、同じように確かめることです。

表:どちらに頼む場合も確かめる5つと、聞き方の例(たとえばの例。相手の答えは文字で残す)
確かめること聞き方の例答えで見るところ
① 契約たとえば「最低の契約期間と、途中でやめるときの条件を教えてください」期間・自動更新・やめるときに払うものが文字で出てくるか
② 名義たとえば「ドメインとサーバーは、どなたの名義になりますか」貴社の名義か、相手の名義か。相手の名義なら、やめるときにどうなるか
③ データの受け渡したとえば「契約が終わるとき、サイトのデータや画像の元は受け取れますか」何を、どんな形で、いつまでに受け取れるか
④ 連絡の速さたとえば「修正をお願いしてから、返事までの目安はどのくらいですか」目安の答えと、今のやりとりの返事の速さが合っているか
⑤ 実績たとえば「今も動いているサイトで、どこまでを担当されたか見せてください」見た目だけでなく、文章や仕組みまで担当したものがあるか

5つとも、相手が個人でも会社でも同じように聞けます。答えの中身と同じくらい、答え方を見てください。質問に順番どおり答えてくれるか、分からないことを分からないと言ってくれるかも、判断の材料になります。

① 契約

やめるときの条件まで、署名の前に読んでおきます。個人の方との仕事では、契約書を作らずに口約束やメールのやりとりだけで始まることもあります。その場合も、期間、料金、やめるときの扱いを、文字で残してもらってください。契約書で読むところは ホームページ制作の契約書で、サインする前に読むところ にまとめました。契約の扱いは取引の形や業種によって違うので、迷うときは所管の窓口や専門家に確認してください。

② 名義

ドメイン、サーバー、管理画面、GA4やサーチコンソール、Googleビジネスプロフィール。誰の名義で、誰が管理者かを確かめます。相手が個人でも会社でも、名義が相手にあるなら、やめるときにどうなるかを聞いておきます。一覧での確かめ方は ホームページのドメインやアカウントは、誰の名義になっているか に書きました。

③ データの受け渡し

契約が終わるとき、何を受け取れるかを聞きます。サイトのデータ、画像の元、書いてもらった文章。もらえるもの、もらえないことがあるものを、頼む前に知っておくと、あとで別の相手に移るときに慌てません。移るときの段取りは ホームページを、別の会社に引き継いでもらう にまとめました。

④ 連絡の速さ

返事の目安を聞くと同時に、今のやりとりで、実際に何日で返事が来ているかを見てください。頼む前のやりとりは、相手がいちばん気を配っている時期です。その時期の速さが、そのあとの目安になります。

⑤ 実績

今も動いているサイトを見せてもらい、どこまでを担当したかを聞きます。デザインだけなのか、文章も書いたのか、公開後の保守もしているのか。見た目がきれいかどうかより、何を担当したかのほうが、貴社が頼みたいことと合うかを測る材料になります。

7. 比べ方と、決めたあとに持っておくもの

同じ質問を、同じ形で送る

個人と会社を比べるときも、同じ質問を、同じ形で、文字で送ってください。片方には電話で聞き、片方にはメールで聞くと、答えが比べられません。第3章から第6章の質問を1枚にまとめて、どちらにも送ります。

個人の方には第3章と第4章の質問を、会社には第5章の質問を、両方に第6章の5つを。相手の形に合わせて足す質問は違っても、共通の5つは同じ文面で聞くのがコツです。

相性で選んでいい部分

確かめることを確かめたうえで、最後は相性で選んで構いません。話しやすいか、こちらの言葉を分かってくれるか、質問しやすいか。ホームページは公開したあとも長く付き合う相手なので、相性は大事な判断材料です。ただ、相性だけで選んで、確かめることを飛ばさないでください。

決めたあとに、貴社の側で持っておくもの

どちらに頼むと決めても、貴社の側で持っておくものは同じです。

  • 契約の控え ― 契約書、またはやりとりを残したメール
  • 連絡先 ― 窓口の方、作る方、もしものときの連絡先
  • 名義の一覧 ― ドメイン、サーバー、各アカウントの名義と更新日
  • データの控え ― 受け取れるものは、受け取って社内に保管する

この4つが手元にあれば、相手が個人でも会社でも、何かが起きたときに次の手が打てます。相手の形に頼るのではなく、貴社の側で続けられる形にしておくことが、いちばんの備えです。

8. 雄喜晃の伴走:私たちにも、同じことを確かめてください

私たち雄喜晃は、神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。設立からの年数はまだ長くありません。だからこそ、この記事の質問は、私たちにもそのまま聞いてください。

私たちがやること

  • 第6章の5つに、文字でお答えする ― 契約、名義、データの受け渡し、連絡の目安、実績について、お打ち合わせの前でも後でも、聞かれたことに文字でお答えします
  • 月額に含まれるものを、契約の前にお伝えする ― サーバー、独自ドメイン、SSL、保守が月額に含まれていること、契約がどう終わるかを先にお話しします
  • 作ったあとも受け持つ ― 月5回までの更新代行が月額に含まれているので、公開したあとの更新も、ご連絡いただければこちらで反映します。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も、同じ月額の中です。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。終わるときの条件は、始めるときと同じくらい大事なので、先に書いておきます。

私たちがやらないこと

  • ほかの個人の方や制作会社を、悪く言って比べることはしません。どちらの形にも良さがあり、貴社に合うかどうかは貴社が決めることです
  • ほかの依頼先との契約の中身を、私たちが判断することはしません。契約の解釈は、専門家のお仕事です
  • 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。

「個人に頼むか会社に頼むかで迷っていて、何を聞けばいいか分からない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:どちらに頼むかより、何を確かめたかで決まる

ホームページを、個人のフリーランスに頼むか、制作会社に頼むか。決めるときに押さえることは5つです。

  • 良い悪いではなく、形の違い ― 個人はやりとりが近く、会社は続けやすい。どちらの弱いところが貴社に痛いかを考える
  • 個人には、1人に乗っている部分を聞く ― 動けなくなったときの備え、得意な範囲、作ったあとの保守を誰がするか
  • 会社には、人が入れ替わる部分を聞く ― 担当者が替わったときの引き継ぎ、窓口と作る人の違い
  • 共通の5つは、同じ文面で聞く ― 契約、名義、データの受け渡し、連絡の速さ、実績
  • 貴社の側で、控えを持っておく ― 契約の控え、連絡先、名義の一覧、データの控え

どちらに頼んでも、うまくいく会社と、困る会社があります。分かれ目は、相手が個人か会社かではなく、頼む前に何を確かめ、頼んだあとに何を手元に持っているかです。

まず、今日できること

第6章の5つの質問を、貴社の言葉で1枚の紙に書いてみてください。その紙を、候補の相手に同じ形で送るだけで、比べる材料が揃います。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社に合う頼み方を、確かめることを並べるところからご一緒します。