1. 「診断を頼めば、家の悪いところが全部分かると思われているんです」

住宅診断の仕事をしている方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「お問い合わせの方の多くは、診断を頼めば、家の悪いところが全部分かると思っているんです。壁の中までは見られませんし、これから壊れないという保証でもない。そこを最初に毎回ご説明しています」

住宅診断を頼む人の多くは、頼むのが初めてです。中古の家を買おうとしている、親から受け継いだ家を売ることになった、新しく建てた家の引き渡しが近い。用事ははっきりしていても、診断で何が分かって、何が分からないのかは知りません。

そこに、仕事として何度も頼む不動産会社も来ます。初めての個人と、慣れた会社が、同じサイトを見に来る。しかも、個人の中でも、買う人と売る人では、気にしていることが逆です。ここが、この業種のサイトの難しさです。

この記事の前提

住宅診断に関わる制度や資格の中身には、この記事では踏み込みません。制度の扱いや資格の表示については、所管の窓口や専門家に確認してください。また、売買の契約や、売り手と買い手の責任の分け方について、法的な判断を書かないというのも、この記事を通しての前提です。

この記事で書くこと

  • 頼む人ごとに、知りたいことの違い
  • 診断でわかることと、わからないことの書き方
  • 当日の流れと、時間の目安、立ち会い
  • 報告書の見本の見せ方
  • 費用が決まる条件と、中立の立場の書き方
  • 資格や制度の書き方と、診断のあとの相談先

2. 頼む人ごとに、知りたいことが違う

住宅診断を頼む人は、大きく4つに分かれます。同じ「診断」でも、頼む理由と、確かめていることが違います。

表:頼む人ごとに、サイトに書いておくこと(たとえばの整理で、受けている診断の種類は貴社の実際で書いてください)
頼む人思っていることサイトに書いておくこと
中古住宅を買う人買ってから困ることがないか知りたい。契約の前に間に合うか申し込みから診断までの日数の目安。売り主の了解が要ること。報告がいつ届くか
家を売る人売る前に状態を知って、買い手に説明したい住んだままでも診断できるか。報告書を買い手に見せてよいか。売れることを約束しないこと
新築の引き渡し前の人引き渡しの前に、気になる所を見てほしい引き渡し前の確認に同行できるか。気づいた点を施工会社にどう伝えればよいか
不動産会社取引の段取りに合わせて、早く頼みたい対応地域、日程の取り方、報告書の形、請求と支払いの流れ

個人の方には手順と、わかることの範囲を、会社の方には条件と段取りを書きます。トップページで入口を分けておくと、どちらも自分の欄にたどり着けます。

買う人と売る人では、気にしていることが逆

買う人は、見つかってほしいと思っています。気になる所があるなら、契約の前に知りたい。売る人は、見つかったらどうしようと思いながら頼みます。見つかった所を、どう買い手に伝えればいいかが心配です。

同じページで両方に話すと、どちらにも合わない言葉になります。「買う方へ」「売る方へ」でページか欄を分け、それぞれの心配から書き始めてください。買う人には契約の前に間に合うか、売る人には住んだまま頼めるか、結果をどう使えるかから入ります。

不動産会社の方への入口

不動産会社の方は、取引の段取りの中で頼みます。確かめているのは、対応できる地域、日程の取りやすさ、報告書をいつどの形で受け取れるか、請求の流れです。個人の方への説明とは別に、短く並べた欄を作っておきます。入口の分け方は 個人のお客様と法人のお客様、両方を相手にする会社のホームページ に書きました。

3. 診断でわかることと、わからないことを、はっきり書く

この業種のサイトで、いちばん大事なのがここです。わからないことを先に書いておくと、頼む人の期待と、実際の診断がずれません。

わかること

  • 目で見て確かめられる傷み ― 外の壁や基礎のひび、屋根や雨どいの傷み、室内の壁や天井のしみ
  • 道具で測れること ― 床や柱の傾き、湿り気のぐあい
  • 床下と屋根裏 ― 点検口から入れる範囲での、水のもれたあとや、湿気、木の傷み
  • 建具と設備の動き ― 窓や扉の開け閉め、水の出方や流れ方(受けている範囲で)

わからないこと

  • 壊さないと見えない所 ― 壁の中、床の下の見えない部分。壁を壊したり、床をはがしたりはしないこと
  • 物で隠れている所 ― 家具や荷物の裏、点検口がない、または開けられない床下や屋根裏
  • その日に出ていない症状 ― たとえば、晴れの日には雨もれのあとが見えにくいこと
  • これから先のこと ― 診断は、その日に見える範囲の状態をお伝えするもので、これから壊れないことの保証ではないこと
  • ほかの調査が受け持つこと ― 地震への強さの詳しい判定などは、別の調査になる場合があること

書き方の例を1つ挙げます。

「住宅診断は、診断の日に、目で見て、道具で測れる範囲の状態をお伝えするものです。壁や床を壊して調べることはしません。また、これから先に不具合が起きないことをお約束するものではありません」

専門の言葉には、言い直しを添える

報告書やサイトには、基礎、小屋裏、雨じまい、といった専門の言葉が出てきます。専門の言葉のすぐ後ろに、普段の言葉で言い直しを添えてください。「小屋裏(屋根のすぐ下の、天井裏の空間)」のように書くだけで、読める人が増えます。考え方は 専門用語の多い仕事を、ホームページでどう説明するか にまとめました。

4. 当日の流れと、時間の目安、立ち会い

初めて頼む人がいちばん思い浮かべにくいのが、当日、誰が来て、何をして、自分は何をすればいいのかです。流れは、診断する側の作業より、頼む人がすることを中心に書いてください。

図:戸建ての住宅診断の当日の流れ(たとえばの例です。段階の分け方と中身は、貴社の実際の手順で書いてください)
① 事前の確認

たとえば、図面の有無や、点検口の場所、駐車できる場所を伺います。買う前の診断なら、売り主の了解が取れているかを確かめます。

頼む方がすることは、資料を探すことと、了解を取ること
▼
② 外まわり

たとえば、基礎、外の壁、屋根、雨どいを、見える範囲で確かめます。

▼
③ 室内

たとえば、床や壁の傾き、天井のしみ、窓や扉の開け閉めを確かめます。

立ち会いの方は、気になる所をその場で伝えられる
▼
④ 床下と屋根裏

たとえば、点検口から入れる範囲で確かめます。入れない場合は、その理由を報告書に書きます。

▼
⑤ その場での説明と、報告書のお渡し

たとえば、気づいた点をその場で口頭でお伝えし、報告書はあとから届けます。

報告書が届くまでの日数を、ここに書いておく

各段階の右側に、頼む方が気にしていることへの答えを置いています。マンションの住戸のように、外まわりや屋根裏を見ない診断は、流れを分けて書くと読みやすくなります。

時間は、条件と一緒に書く

当日の時間の目安は、条件と一緒に書きます。

「たとえば、木造2階建てで、床下と屋根裏に入る場合は〇時間ほど、マンションの住戸の場合は〇時間ほどが目安です(例は架空です。時間は貴社の実際の診断で書いてください)」

あわせて、長くなる条件も並べておきます。家が広い、床下や屋根裏まで見る、追加の調査を頼んだ、荷物が多くて動かす必要がある、といった場合です。買う前の診断では、売り主の方の都合も関わるので、時間が読めると日程が組みやすくなります。

立ち会いについて書くこと

  • 立ち会いが要るか ― 頼む方が、当日その場にいる必要があるか
  • 誰が立ち会えるか ― 買う方、売り主の方、不動産会社の方が一緒でもよいか
  • 途中から来てもよいか ― 最後の説明の時間だけ立ち会う形でもよいか
  • 当日の写真 ― 報告書のために写真を撮ること。住んでいる方の持ち物は写さないよう気をつけること

5. 報告書の見本を見せる

頼む前の人がいちばん知りたいのは、お金を払って、最後に何が手元に残るのかです。報告書の見本をサイトで見せてください。

見本は、架空の家で作る

見本には、実際のお客様の報告書をそのまま使わないでください。中身は架空の家で作り直し、次のものが出ないようにします。

  • 住所と名前 ― 番地、建物の名前、依頼した方の名前
  • 家が分かる写真 ― 外観、表札、周りの景色、車のナンバー
  • 暮らしが分かる写真 ― 室内の家具や持ち物、家族の写真

見本で見せる項目

  • 全体のまとめ ― 診断した日、建物の種類、見た範囲、全体として気づいたこと
  • 気づいた点の一覧 ― 場所、状態、写真、どう考えればよいか
  • 見られなかった所の一覧 ― 点検口がなかった、荷物で見えなかった、など。ここを載せている報告書は、わからないことを隠していないことが伝わります
  • 言葉の説明 ― 報告書に出てくる専門の言葉の言い直し

見本は、ページの中に何枚か画像で載せる形でも、申し込んだ方に送る形でも構いません。申し込みを受けて送る場合の条件の書き方は サンプルやお試しの申し込みを、ホームページで受けるか にまとめてあります。

渡し方を書く

報告書がいつ届くか、紙かデータか、内容について質問できるか、質問できる期間はいつまでか。受け取ったあとのことまで書いておくと、頼む人は安心して申し込めます。

6. 費用が決まる条件と、中立の立場の書き方

費用が変わる条件を並べる

住宅診断の費用は、家と、見る範囲で変わります。何が変わると金額が動くかを並べてください。

  • 建物の種類 ― 戸建てか、マンションの住戸か
  • 広さ ― 延べの床の広さで、見る所と時間が増える
  • 床下と屋根裏 ― 中まで入って見るか、点検口から見える範囲だけか
  • 追加の調査 ― 受けている追加の調査を、何をするものかと一緒に
  • 場所 ― 対応地域の外へ伺う場合の交通費
  • 日程 ― 急ぎや休日の日程に、別の料金がかかるか

そのうえで、例を条件と一緒に置きます。

「たとえば、延べ床〇㎡ほどの木造2階建てで、床下と屋根裏に入る場合:〇万円〜〇万円(数字は架空の例です。金額は貴社の料金で書いてください)」

追加の調査を足したときの金額も、同じ並びで書きます。条件つきで金額を出す考え方は、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。日程を変えたときや、当日取りやめになったときの決まりも、事実で書いておきます。

中立の立場は、つながりの有無で書く

買う人が気にしているのは、この診断は、売りたい側の都合で甘くなっていないかです。「中立です」と書くだけでは、その心配に答えたことになりません。誰とつながりがあって、誰とないかを事実で書いてください。

  • 不動産会社からの紹介 ― 紹介を受けることがあるか。紹介料のやりとりがあるか
  • 売り主や施工会社とのつながり ― 診断する家の売り主や、建てた会社と取引があるか
  • 工事を受けるか ― 診断のあとに、修理やリフォームの工事を自社で受けるか

工事を受けている会社なら、それを隠さずに書き、診断と工事をどう分けているかを添えます。

「当社は修理の工事もお受けしていますが、診断の結果をもとに工事をおすすめする連絡はしていません。工事の相談は、ご依頼があった場合にだけ、別にお見積もりします」

つながりがあることが、そのまま悪いわけではありません。書いていないことのほうが、読む人を不安にさせます。

7. 資格や制度の書き方と、診断のあとの相談先

誰が、どの資格を持っているか

住宅診断では、誰が診るかが信頼の材料になります。診断をする人の名前と、持っている資格、その資格で何を担っているかを書いてください。建築士のような資格は、名前を知っていても中身を知らない人が多いので、一行の説明を添えると意味が伝わります。

住宅診断には、国の制度として決まった調査もあり、その調査を担える人にも決まりがあります。貴社がどの調査を受けていて、誰が担えるのかは、所管の窓口や専門家の案内で確かめたうえで書いてください。制度の名前を挙げる場合も、一般的な案内にとどめます。資格の載せ方全般は 資格・許認可・受賞歴を、ホームページにどう載せるか に書きました。

診断のあとの相談先を書く

報告書を受け取った人は、次に「では、どうすればいいのか」と考えます。診断のあとに、どこに相談すればいいかを書いておいてください。

  • 報告書の中身についての質問 ― 貴社が受ける。いつまで、どの方法で受けるか
  • 修理や手入れの相談 ― 工事の会社を紹介するか、しないか。紹介するなら、紹介料の有無も
  • 買うかどうか、値段の話 ― 不動産会社や、専門家に相談していただくこと
  • 契約や責任の話 ― 売買の契約での扱いは、不動産会社や法律の専門家に確認していただくこと
  • 修理のあとの確認 ― 直したあとに、もう一度見る診断を受けているか

貴社が答えることと、ほかの専門家が答えることを分けて書くと、頼む人は報告書を受け取ったあとに迷いません。よく聞かれる質問がたまってきたら、「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる の手順で、質問と答えのページにまとめるのも1つの方法です。

8. 雄喜晃の伴走:毎回最初に説明していることを、先に読める形にします

私たち雄喜晃は、住宅診断の会社や事務所のホームページを作るとき、最初に「初めての方に、毎回最初に説明していること」を伺うところから始めます。その説明が、わかることとわからないことのページの中身になるからです。

私たちがやること

  • 頼む人ごとの入口を分ける ― 買う方、売る方、新築の引き渡し前の方、不動産会社の方が、それぞれ確かめていることを並べます
  • わかることとわからないことを、言葉にする ― 貴社がふだん口頭で説明している内容を伺って、文章に起こします
  • 当日の流れを図にする ― 貴社の実際の手順と、時間の目安を伺って書きます
  • 報告書の見本を整える ― 貴社で架空の家の見本を作っていただき、個人の情報が出ていないかを一緒に確かめて載せます
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 写り込みに気づいた点はお伝えします

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、料金の改定や、診断をする人が増えたときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 貴社の料金や、診断の範囲そのものは決めません。決まった内容を、読む人に伝わる形に組むところを担当します
  • 資格や制度に関わる表示、売買の契約に関わる書き方についての判断はしません。所管の窓口や専門家に確認していただくようお願いしています
  • 実際にない事例や、お客様の声を作文して載せることはしません。不安をあおる言葉で申し込みを増やす作り方や、検索順位、問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「問い合わせの電話が、いつも診断でわかることの説明から始まる」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:わからないことを先に書くと、頼まれやすくなる

住宅診断の会社や事務所のホームページで押さえることは、5つです。

  • 頼む人ごとに入口を分ける ― 買う人、売る人、新築の引き渡し前の人、不動産会社。買う人と売る人は、気にしていることが逆
  • わかることとわからないことを書く ― 壊して調べないこと、保証ではないこと、見られなかった所があること
  • 当日の流れと報告書を見せる ― 時間は条件と一緒に。報告書の見本は架空の家で、個人の情報を出さずに
  • 費用と中立の立場は、条件と事実で書く ― 広さ、床下や屋根裏、追加の調査。誰とつながりがあり、誰とないか
  • 資格と、診断のあとの相談先を書く ― 制度に関わることは所管の窓口や専門家に確認を。貴社が答えることと、ほかの専門家が答えることを分ける

住宅診断は、何が分かるかと同じくらい、何が分からないかが大事な仕事です。その線を先に引いて見せておくことが、頼む人の安心と、報告を受け取ったあとの行き違いの少なさにつながります。

まず、今日できること

最近の診断で、お客様に「それは分からないんですか」と聞かれたことを、3つ書き出してみてください。それがそのまま、サイトに載せる「わからないこと」の一覧の始まりになります。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。初めて頼む方にも、慣れた不動産会社の方にも伝わる形にするところから、ご一緒します。