1. 「畑の写真はあるんです。でも、何を書けばいいのか」
農業を営む経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページを作ろうと思って、ほかの農家さんのサイトをいくつか見たんです。畑の景色ときれいな言葉は並んでいるんですけど、うちの場合に何を書けばいいのかは、結局分からなくて」
ほかの農家のサイトを参考にしても、答えが出ないのは自然なことです。同じ農業でも、誰に買ってもらっているかで、サイトの役目がまるで違うからです。
直売所に来る近所の方、ネットで取り寄せる遠方の方、仕入れ先を探している飲食店や加工業者、ふるさと納税の返礼品を選んでいる人、収穫体験に来たい家族、働きたい人。どの人も「農家のサイト」を見に来ますが、確かめたいことは別々です。
この記事では、まず誰に向けるかを決めて、そのうえで載せるものを順に書きます。
この記事で書くこと
- 誰に向けるかで、載せるものがどう変わるか
- 何をいつ作っているかを伝える「季節の表」
- 作り方のこだわりを、具体的な言葉にする方法
- 取引先の業者が知りたい、量・時期・規格・発送
- 直売所やネット販売の案内と、天候で変わることの書き方
- 体験や収穫の受け入れと、求人のページ
2. 誰に向けるかで、載せるものが変わる
最初に決めるのは、このサイトで、いちばん連絡してきてほしいのは誰かです。全員に向けて書くと、どの人にとっても肝心なことが見つけにくいサイトになります。
| 向ける相手 | 最初に確かめること | 載せておくもの |
|---|---|---|
| 直売所やネットで買う個人の方 | 今、何が買えるか/どこで、いつ買えるか/送ってもらえるか | 季節の表、直売所の場所と時期、届く時期の目安と送料 |
| 飲食店・加工業者・小売のバイヤー | どのくらいの量を、いつ、どんな規格で出せるか | 品目ごとの量の幅、出荷時期、規格と荷姿、発送の方法 |
| ふるさと納税で選ぶ人 | どんな人が、どう作っているか | 作り方の中身、作っている人、届く時期の目安 |
| 体験・収穫に来たい人 | いつ、何人で、いくらで、何を持っていけばいいか | 受け入れの時期と人数、料金、服装と持ち物、雨のとき |
| 働きたい人 | 仕事の中身、時間、季節による休みや忙しさ | 1日の流れ、繁忙期と閑散期、雇用の形、住まいの相談 |
全部の相手に向けたページを最初から作る必要はありません。いちばん連絡してきてほしい相手を1つ決め、その人の列から作るのが近道です。ほかの相手には、まず1段落ずつの案内を置いておけば足ります。
「主」と「従」を決める
たとえば、売上の多くが飲食店への卸で、直売所は週末だけという農家なら、主は業者向けです。トップページの最初の画面に「飲食店・加工業者の方へ」の入口を置き、直売所の案内はその下に置きます。
逆に、直売所とネット販売が中心なら、最初の画面は今の季節に何が買えるかです。業者向けの情報は「お取引をご検討の方へ」の1ページにまとめます。
ふるさと納税は、サイトの外に窓口がある
ふるさと納税の返礼品として出している場合、申し込みの窓口は自治体の手続きの側にあります。ホームページの役目は、そこで名前を見た人が「どんな人が作っているのか」を確かめに来たときに答えることです。
返礼品のページに書けることや書き方には、自治体ごとの決まりや案内があります。サイトに返礼品の話を載せるときも、自治体の担当窓口に確認してから載せてください。
3. 何をいつ作っているかは、「季節の表」で見せる
どの相手にも共通して効くのが、何を、いつ作っているかの表です。農業のサイトで、いちばん見られていて、いちばん抜けている情報だと感じます。
月ごとの表にする
形は単純で、縦に品目、横に月を並べ、出荷できる月に印をつけます。品目が多ければ、主なものだけで構いません。
- 収穫の時期と、出荷の時期を分ける ― 貯蔵してから出すものは、畑で採れる月と買える月がずれます。買う人が知りたいのは、買える月のほうです
- 「最盛期」を別の印にする ― 量がたくさん出る月が分かると、業者は仕入れの計画が立てやすくなります
- 品種で時期が分かれるなら、品種ごとに行を分ける ― 同じ品目でも、早く採れる品種と遅く採れる品種で時期が変わる場合です
「年によって前後します」を、表のすぐ下に書く
表を作ると、「その月に行けば買えると思われたら困る」という心配が出てきます。もっともな心配です。表のすぐ下に「天候により、時期は前後します」と一行書き、今年の状況をどこで知らせるかを添えてください。
「時期は例年の目安です。今年の収穫の始まりは、トップページの『今週の畑』でお知らせします」
こう書いておけば、表は目安として読まれます。表を出さない理由にはなりません。
画像にせず、文字の表で作る
季節の表をきれいな画像にして載せているサイトをよく見ます。見た目は良いのですが、スマートフォンでは文字が小さくて読めず、直すたびに画像を作り直すことになります。文字の表で作っておけば、品目を足すのも、時期を直すのもすぐです。
季節によってサイトの何を切り替えるかは、季節で忙しさが変わる商売の、ホームページの回し方 に、繁忙期の前に出すものと、最中に直す1行の考え方をまとめてあります。
4. 作り方のこだわりは、具体的に書く
農家のサイトでいちばん多い言葉は、「愛情を込めて」「安心・安全」「こだわりの土づくり」だと思います。どれも嘘ではありませんが、どの農家も書いている言葉は、比べる材料になりません。
何を、いつ、どうしているかで書く
こだわりは、形容詞ではなく、やっていることで書きます。たとえば、次のような書き方です(例はすべて架空です)。
- 土づくり ― 「こだわりの土」ではなく、「毎年秋の収穫後に、近くの牧場から分けてもらった堆肥を入れています」
- 品種の選び方 ― 「厳選した品種」ではなく、「収量は少なめですが、甘みが乗りやすい品種を選んでいます」
- 採る時期 ― 「採れたて」ではなく、「出荷の当日の朝に収穫し、昼までに箱詰めします」
- 選別 ― 「厳しい基準」ではなく、「大きさと傷で3段階に分け、傷のあるものは加工用に回します」
やっていることが書いてあると、読む人は場面を思い浮かべられます。業者にとっては、そのまま仕入れの判断材料にもなります。
やっていないことも、正直に書く
手間をかけていることを書くと、全部の工程で手間をかけているように読まれがちです。やっていないことや、天候次第で変わることも書いておくほうが、残りの言葉が信じてもらえます。「病気が広がった年は、必要な範囲で農薬を使います」のような一行です。
工程を段に分けて見せる方法や、作っている人本人への聞き取りの進め方は、職人の技術を、ホームページでどう伝えるか に書いた考え方がそのまま使えます。
栽培方法や認証の言葉には、決まりがある
ここは注意してください。栽培の方法や、認証を表す言葉の中には、使える条件が決まっているものや、使い方の指針が示されているものがあります。認証を受けていないのに、似た言葉を使ってしまうと問題になる場合があります。
食品の表示も同じで、そのまま売る生のものか、加工したものかで、必要な表示が変わります。どの言葉を使ってよいか、何を表示する必要があるかは、品目や売り方によって違うので、所管の窓口や認証の機関、専門家に確認してから載せてください。
5. 取引先の業者が知りたい、量・時期・規格・発送
飲食店や加工業者、小売のバイヤーは、仕入れ先を探すときにサイトを見ます。このとき確かめているのは、味や想いより先に、うちの店や工場の条件に合うかどうかです。
業者向けのページに並べるもの
| 項目 | たとえばの書き方 | 書いておく理由 |
|---|---|---|
| 量 | 「最盛期は週に〇〇箱程度まで、それ以外の月は少量になります」と幅で | 店や工場の使う量に足りるかを先に判断できる |
| 時期 | 季節の表に加えて「〇月〜〇月は通年の契約が可能です」 | 献立や製造の計画が立てられるかが分かる |
| 規格 | 「大きさで3段階。1箱〇kg入り。規格外品のご相談も承ります」 | 「規格外も可」は加工業者には大事な条件 |
| 発送 | 「冷蔵便で発送。ご注文から〇日でお届け。〇箱から承ります」 | 最小の数と届くまでの日数が分からないと止まる |
| 取引の始め方 | 「まずサンプルをお送りし、そのあとお見積もりします」 | 問い合わせたあとの流れが見えると連絡しやすい |
量は正確な数字でなくて構いません。最盛期とそれ以外で、どのくらい差があるかが分かるだけで、業者は自分の店に合うかを判断できます。数字は、貴社の実際の出荷の記録から書いてください。
量は、幅と季節で書く
量を書くのをためらう方は多いです。年によって違うし、約束になってしまうのが怖いからです。ただ、量がまったく書いていないと、個人の店は「うちには多すぎるかも」、工場は「うちには少なすぎるかも」と考えて、どちらも連絡してきません。
「最盛期は週に〇〇箱程度」「それ以外の月は少量」のように、幅と季節で書いてください。約束ではなく目安だと分かるように、「年によって変わります。詳しくはお問い合わせください」と添えれば十分です。
規格は、表にする
規格は、大きさの区分、1箱の重さや入り数、荷姿を表にします。規格外品を出せるかどうかは、加工業者にとっては大事な情報なので、出せるなら一行書いておいてください。形がそろわないものでも使える業者は、それを探しています。
規格の表の作り方は、製品の仕様や寸法を、ホームページにどこまで載せるか に、スマートフォンでも読める表の組み方と、仕様が変わったときの直し方をまとめてあります。
発送は、届くまでの日数と最小の数を書く
発送の方法、温度帯、注文から届くまでの日数、何箱から受けるか、送料の考え方。業者が見積もりの前に知りたいのは、この5つです。直接取りに来てもらう形も受けるなら、それも書いておきます。
6. 直売所とネット販売の案内、天候で変わることの書き方
個人のお客様に向けたページでは、今、どこで、何が買えるかを最初に出します。
直売所は、場所と開いている時期を書く
畑の横の直売所や、季節だけ開く販売所は、地図のピンだけでは見つけにくいことがあります。
- 場所 ― 地図に加えて、目印になる建物や看板、どの道から入るか。農道を通る場合は、車で入れるかどうかも
- 駐車 ― 何台停められるか、どこに停めればいいか
- 開いている時期と曜日・時間 ― 通年か、季節だけか。季節だけなら、例年いつからいつまでか
- 売り切れたとき ― 「売り切れ次第終了」なら、だいたい何時ごろに売り切れることが多いかも書いておくと親切です
- 支払い方法 ― 現金だけか、ほかの方法も使えるか
ネット販売は、届く時期を幅で書く
取り寄せを受ける場合、いちばん問い合わせが来るのは「いつ届くのか」です。収穫に合わせて送るなら、「〇月上旬から下旬の間に、収穫に合わせて順にお送りします」のように幅で書き、日付の指定を受けるかどうかも書いておきます。
自社のサイトで注文を受けるか、既存のショップサービスに出すかの判断は、ホームページに、ネットショップを付けるかどうか にまとめてあります。通信販売には必要な表示もあるので、あわせて確認してください。
「天候により」で済ませず、何が変わるかを書く
農業のサイトでは、「天候により変更になる場合があります」という一行がよく使われます。間違いではありませんが、これだけだと何が、どう変わるのかが分からず、読む人は予定を立てられません。
天候で変わることを、先に分けて書いてください。
- 始まりと終わりの時期 ― 例年より早まる、遅れる
- 量 ― 少ない年は、予約や注文を早めに締め切ることがある
- 品目 ― 特定の品目が出せない年がある
- 体験や直売所の日 ― 雨や暑さで中止にすることがある
そして、変わったときに、いつ・どこで知らせるかを決めておきます。「中止のときは、前日の夕方までにトップページとSNSでお知らせします」。知らせる場所が決まっていれば、読む人はそこを見に来ます。
7. 体験や収穫の受け入れと、求人のページ
体験の受け入れは、行く前の不安に答える
収穫体験や農業体験を受け入れているなら、家族、学校、企業の研修など、来る人によって知りたいことが少しずつ違います。共通して載せるのは次のものです。
- 時期と、体験できること ― 何月に、何を収穫できるか。季節の表と対応させます
- 人数と所要時間 ― 何人から何人まで受けるか、何時間くらいか
- 料金と、含まれるもの ― 持ち帰りの量や、追加で持ち帰るときの料金
- 服装と持ち物 ― 汚れてもよい服、長靴、帽子、手袋。貸し出しがあるかどうか
- 雨のとき ― 中止か、内容を変えて行うか。中止の連絡はいつまでに、どうやって届くか
- トイレ・駐車場・手洗い ― 小さな子ども連れのご家族が、いちばん気にするところです
申し込みの受け方や、締め切り、キャンセルの書き方は、説明会・セミナー・見学会の告知ページを、どう作るか に書いた項目がそのまま使えます。
体験の場で食べ物を出す場合や、保険をどうするかといったことには、それぞれ決まりや考え方があります。何が必要かは受け入れの形によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。サイトには、確かめて決まったことだけを書きます。
求人は、季節と天候の話を隠さない
農業の求人で、応募を迷っている人が確かめたいのは、仕事の中身と、季節や天候でどう働き方が変わるかです。
- 1日の流れ ― 朝は何時からか、昼の休みはどのくらいか、夏と冬で変わるか
- 忙しい時期と、落ち着く時期 ― 繁忙期だけの募集か、通年か
- 雨の日 ― 休みになるのか、別の作業をするのか
- 未経験の人が最初にやること ― どんな作業から覚えてもらうか
- 住まいや通勤 ― 車が要るか、住まいの相談に乗れるか
きつい時期があることを書くのは勇気が要ります。ただ、書いておくほうが、入ってからの「聞いていなかった」が減ります。求人媒体とホームページの役割分担は、採用のためのホームページ ― 求人媒体との役割分担 にまとめてあります。
8. 雄喜晃の伴走:誰に向けるかから、一緒に決めます
私たち雄喜晃は、農家や農業法人のホームページを作るとき、最初に「いちばん連絡してきてほしい相手は誰か」を一緒に決めるところから始めます。そこが決まれば、トップページの最初の画面と、作るページの順番が決まります。
私たちがやること
- 季節の表を、文字の表で作る ― 品目と出荷の月を伺い、スマートフォンでも読めて、あとから直しやすい形にします
- 業者向けのページの項目を、聞き取りで埋める ― 量・時期・規格・発送・取引の始め方を伺い、表に起こします
- 作り方のこだわりを、やっていることの言葉に直す ― 「愛情を込めて」で終わらせず、いつ何をしているかを伺って書きます
- 天候で変わったときの知らせ方を決める ― どこに、どの文面で出すかを先に決めておき、ご連絡いただいたらこちらで反映します
- 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 明るさや向きをそろえ、季節の表やページの中に配置します
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、収穫の始まりや直売所の開く日、体験の中止のお知らせも、ご連絡いただければこちらで直します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 畑や作物の撮影には伺っていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
- 表示や認証の言葉が決まりに合っているかの判断はしません。食品の表示や栽培方法の言葉、ふるさと納税の返礼品の載せ方は、所管の窓口や自治体、専門家に確認していただくようお願いしています
- 受注や発送、返礼品の手続きの代行はしていません。私たちが担当するのは、ホームページの中身と更新です
- 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「作るのは得意だけれど、サイトに何を書けばいいか分からないまま止まっている」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:誰に向けるかを決めて、季節と条件を書く
農家や農業法人のホームページで押さえることは、5つです。
- いちばん連絡してきてほしい相手を決める ― 直売、卸、ふるさと納税、体験、求人。主と従を決めて、主の相手から作る
- 季節の表を、文字で作る ― 買える月を書き、「年によって前後します」と今年の知らせ方を添える
- こだわりは、やっていることで書く ― 栽培方法や表示の言葉は、所管の窓口や専門家に確認してから
- 業者には、量・時期・規格・発送を書く ― 量は幅と季節で。規格外品を出せるかどうかも
- 天候で変わることを、先に分けて書く ― 何が変わるかと、いつ・どこで知らせるかを決めておく
どれも、毎日の仕事の中では当たり前すぎて、書くまでもないと感じていることです。ただ、外から見に来た人にとっては、そこがいちばん知りたいことです。
まずは今日、主な品目を紙に書き出して、それぞれ何月に出せるかを印で埋めてみてください。その1枚が、そのまま季節の表になります。