1. 「前のサイトに、何て書いてあったか分からなくなって」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「新しいサイトに切り替えたあとで、前のサイトの『よくある質問』をもう一度見たくなったんです。ところが、もうどこにも無くて。古いほうの契約も切ってしまったので、制作会社に聞いても残っていないと言われました」
作り直しのときは、どうしても新しいサイトのほうに目が向きます。デザインをどうするか、何を載せるか。その間、今のサイトは「どうせ消すもの」として扱われがちです。
けれど今のサイトには、何年分もの文章や写真、お知らせ、問い合わせの記録が入っています。新しいサイトに移すつもりのものも、移さないつもりのものも、一度消えると、取り戻せないことがあります。
この記事では、作り直しを決めたら最初にやっておきたい「控え」の話をします。
この記事で書くこと
- 作り直すと、何が消えることがあるか
- 控えておくものの一覧
- それぞれを、誰が持っているかの確かめ方
- 古い制作会社に頼むときの聞き方
- 控えを置く場所と、名義
作り直すべきか、直すだけで足りるかの判断は リニューアルすべきか、直すだけで足りるか に書きました。この記事は、作り直すと決めたあと、手をつける前の話です。
2. 作り直すと、何が消えることがあるか
新しいサイトは、別の場所に作られることが多い
作り直しでは、新しいサイトを別の場所で組み立てて、できあがったら入れ替えることがよくあります。そのとき、古いサイトの中身は、自動では新しいほうに移りません。移すと決めたものだけが、手で移されます。
古い契約が終わると、中身も一緒に消える
古いサイトが置かれていた場所の契約を終えると、そこにあった文章や写真、管理画面に溜まっていた記録も、多くの場合は一緒に消えます。制作会社に預けていた場合は、相手の側でも、いつまで残しておくかは決まっていないことが多いです。
消えることがあるもの
- 文章 ― 新しいサイトで書き直したページの、元の言い回し
- 写真 ― サイトに載っている縮小版ではない、元の大きなデータ
- お知らせ・コラムの過去分 ― 新しいサイトに移さなかった、日付つきの記録
- 問い合わせの記録 ― フォームの管理画面に溜まっていた、過去の問い合わせ
- ページのURL ― どのページが、どのアドレスにあったか
- 設定 ― フォームの通知先、アクセス解析の数字、ドメインやメールの設定の情報
どれも、作り直しの途中ではあまり目立ちません。困るのは、切り替えたあとです。
3. 控えておくものの一覧
控えておくものを、1枚の表にしました。左から順に、何を、何のために、誰が持っていることが多いかを並べています。
| 控えるもの | 何のために | 持っていることが多い人 |
|---|---|---|
| 全ページの文章と画面の記録 | 新しいサイトの原稿の土台にする。前に何と書いていたかを後から確かめる | 誰でも控えられる。サイトを開けば見られるうちに |
| 写真の元データ | 新しいサイトや印刷物に使う。縮小版からは大きな写真は作れない | 撮った人、制作会社、社内の担当者 |
| URLの一覧 | 新しいサイトでも同じ入口を残す、または行き先を用意する | 制作会社。サーチコンソールで社内からも見られる |
| フォームの設定と通知先 | 項目と通知先を引き継ぎ、問い合わせの届かない期間を作らない | 制作会社、社内の担当者 |
| 問い合わせの記録 | 過去のお客様とのやりとりを、会社の手元に残す | 受信したメールの持ち主、フォームの管理画面 |
| アクセス解析と検索の設定 | 作り直しの前と後を比べられるようにする | GA4とサーチコンソールの管理者 |
| ドメインとメールの設定の情報 | 切り替えのときに、サイトやメールを止めない | ドメインの契約者、制作会社、メールの管理者 |
全部を一度にそろえなくても構いません。サイトがまだ開けるうちにしか取れないもの(文章と画面の記録、URL)から先に控えてください。設定の情報は、誰が持っているかを確かめながら集めます。
全ページの文章は、文字のまま残す
いちばん先にやっておきたいのが、これです。各ページの文章を、文字のまま書き写して残します。ページを開いて、本文を文書ファイルに貼りつけていくだけでも足ります。
画面の写しだけだと、あとで文章を使い回すときに打ち直しになります。文字で残しておけば、新しいサイトの原稿の土台にそのまま使えます。
画面の記録は、パソコンとスマートフォンの両方で
文章とは別に、ページがどう見えていたかも残しておきます。ページ全体を画像やPDFで保存しておくと、どこに何が置かれていたか、どんな写真を使っていたかが後から分かります。スマートフォンでの見え方も、数ページ分でいいので残してください。
写真は、元のデータを探す
サイトに載っている写真は、表示を軽くするために小さくしてあることがよくあります。その小さな写真から、元の大きさには戻せません。新しいサイトや会社案内に使うなら、撮ったときのデータを探してください。撮った人、受け取った制作会社、社内のパソコン。心当たりを順に当たります。
お知らせと、配っている資料
お知らせやコラムの過去分は、新しいサイトに全部は移さないことも多いです。移さないものほど、控えておく意味があります。日付と本文をセットで残してください。サイトから配っているPDFの会社案内やカタログも、元のファイルを一緒に控えます。
4. URLの一覧と、問い合わせのまわり
URLの一覧を作る
どのページが、どのアドレスにあったか。これを一覧にします。ページの名前と、アドレスを2列で並べるだけで足ります。サーチコンソールを入れているなら、人が多く来ているページも分かるので、その数字も横に添えておきます。
この一覧は、新しいサイトで同じアドレスを残すか、行き先を用意するかを決めるときの土台になります。転送の考え方と手順は リニューアルでURLが変わるときに、失うもの に詳しく書きました。ここでは、今のアドレスを、今のうちに控えておくことだけを押さえてください。
アドレスが外に出ている場所も書き出す
サイトの外に、今のアドレスが載っている場所があります。名刺、チラシ、QRコード、Googleマップのウェブサイトの欄、取引先や団体のサイト、SNSのプロフィール。どこに、どのページのアドレスを載せているかを、同じ一覧の横に書いておくと、切り替えのときに直す場所が漏れません。
フォームの設定を写す
問い合わせフォームは、見た目だけでなく中の設定を控えます。
- 項目 ― 何を聞いていたか。必須にしていた項目はどれか
- 通知先 ― 送られた問い合わせが、どのアドレスに届く設定か
- 自動返信の文面 ― 送った人に届いていたお礼のメールの中身
- 迷惑な送信への対策 ― どんな仕組みで防いでいたか
通知先は、とくに確かめてください。辞めた担当者のアドレスに届いていた、ということが作り直しのときに見つかることがあります。新しいサイトでどこに届けるかを決める、いい機会です。
問い合わせの記録を、会社の手元に残す
フォームの管理画面に過去の問い合わせが溜まっている場合は、一覧で書き出せないか確かめます。メールで受けていた場合も、受け取っていたアドレスが担当者個人のものなら、会社の共有の場所に移しておきます。お客様の連絡先が含まれるので、置き場所と見られる人は限ってください。個人情報の扱いは業種によって決まりが違うので、気になる点は所管の窓口や専門家に確認してください。
5. 解析と検索の設定、ドメインとメールの情報
アクセス解析の数字を控える
作り直したあと、「前と比べてどうか」を見るには、前の数字が要ります。公開前に控えておかないと、あとから比べられません。
控えるのは、たとえば次のような数字で足ります。
- 月ごとの問い合わせの件数
- よく見られているページの上位
- サーチコンソールで、検索からクリックされている言葉とページ
期間は、季節の波が分かるように、できれば1年分です。
解析と検索の「権限」を確かめる
数字と同じくらい大事なのが、GA4とサーチコンソールに貴社の誰が、どの立場で入れるかです。制作会社のアカウントだけで管理されていると、作り直しのときに新しいサイトへ引き継げないことがあります。貴社の会社名義のアカウントを、管理者として加えてもらってください。
ドメインとメールの設定の情報
ドメインとメールは、作り直しのときにいちばん止まると困るところです。ここで控えるのは、操作の手順ではなく情報です。
- ドメインの契約先と、契約者の名義
- 次の更新日と、更新の連絡が届くアドレス
- ドメインの設定の一覧 ― サイトやメールの行き先を決めている設定。管理画面の一覧を画面ごと控えます
- メールの契約先と、使っているアドレスの一覧
ドメインの設定は、サイトとメールの両方にかかわります。切り替えのときに、サイトだけ見てメールの設定を消してしまうと、メールが届かなくなります。設定を変えるのは、今どうなっているかを控えてからにしてください。名義の確かめ方そのものは、ホームページのドメインやアカウントは、誰の名義になっているか にまとめました。
6. 誰が持っているかを確かめる
控えるものが決まったら、それぞれを誰が持っているかを確かめます。ここが分かっていないと、頼む相手を間違えます。
持っている人は、だいたい4通り
- 貴社 ― 社内のパソコン、会社名義の契約
- 制作会社 ― サイトの元のファイル、写真のデータ、各種の設定
- 担当者個人 ― 個人のメールで登録したアカウント、個人のスマートフォンの写真
- 契約先の会社 ― ドメインやサーバー、メールの契約そのもの
請求書と、届いているメールが手がかり
誰の契約かは、誰に請求が来ているかでおおよそ分かります。ドメインやサーバーの請求が貴社に来ているなら、貴社の契約である見込みが高いです。更新の知らせのメールがどのアドレスに届いているかも、手がかりになります。
確かめる順番
全ページの文章と画面の記録、URLの一覧、アドレスを載せている場所。サイトが開けるうちに、社内だけで控えられるものから始めます。
写真の元データ、フォームの設定、解析の権限、ドメインとメールの契約。行ごとに、持っている人と、確かめ方を書きます。請求書と更新の知らせのメールを手がかりにします。
自社で取れないものを1通の連絡にまとめて頼みます。何を、いつまでに、どんな形でほしいかを書きます。
一覧の行が全部埋まったか、受け取ったファイルが開けるかを確かめます。そろってから、古い契約を終えます。
いちばんの要点は、最後の段の前に古い契約を終えないことです。解約の連絡は、控えがそろってからで間に合います。
7. 古い制作会社への頼み方と、控えの置き場所
頼むときは、一覧で、期限を添えて
古い制作会社に頼むときは、ほしいものを一覧にして、1回で伝えるのがいちばん話が早いです。たとえば、こんな書き方です。
「サイトを新しくすることになりました。つきましては、次のものをいただけますでしょうか。①掲載している写真の元のデータ、②問い合わせフォームの項目と通知先の設定、③ページのURLの一覧、④GA4とサーチコンソールに当社のアカウントを管理者として追加していただくこと。○月○日までにいただけると助かります。お手数をおかけする作業があれば、費用も含めてお知らせください」
ポイントは3つです。何がほしいか、いつまでか、費用がかかるなら教えてほしい。最後の一言があると、相手も動きやすくなります。
渡せないものがあることも、知っておく
制作会社が自社の契約で使っている有料の素材や書体などは、相手にも渡す権利が無いことがあります。それは不誠実だからではありません。何が渡せて何が渡せないかを早めに聞いておくと、新しいサイトの準備に間に合います。制作会社を変えるときの全体の段取りは ホームページを、別の会社に引き継いでもらう に書きました。相手と連絡が取れない場合は 制作会社と連絡が取れなくなったときに、まずやること を先に読んでください。
控えは、会社の名義の場所に置く
集めた控えを、どこに置くか。ここで迷ったら、会社の名義で契約している保存場所を選んでください。
- 担当者個人のパソコンや、個人のメールの中に置かない ― その人が辞めたり異動したりすると、控えも一緒に見えなくなります
- 2か所に置く ― 会社の共有の保存場所と、もう1か所。1か所だけだと、そこが使えなくなったときに困ります
- フォルダの名前に日付を入れる ― 「旧サイトの控え(○年○月)」のようにしておくと、何年か後でも分かります
ログイン情報は、控えとは分けて持つ
管理画面のIDやパスワードを、控えのフォルダに一緒に入れておくのは避けてください。見られる人を絞る必要があるものなので、社内で決めた方法で、別に保管します。
いつまで残すか
控えは、新しいサイトが落ち着いたからといってすぐ消さなくて構いません。少なくとも1年は残しておくと、季節ごとの比較や、「前は何と書いていたか」を確かめたいときに使えます。問い合わせの記録のように個人情報を含むものは、残す期間を社内で決めておいてください。
8. 雄喜晃の伴走:作り直す前の控えから、一緒に進めます
私たち雄喜晃は、ホームページを作り直すご相談を受けたとき、新しいサイトの話の前に、今のサイトに何があるかを一緒に見ます。
私たちがやること
- 控えるものの一覧を一緒に作る ― 今のサイトの全ページを見て、文章、写真、URL、フォームの設定のうち、何を控えて何を新しいサイトに移すかを整理します
- 文章を新しいサイトに引き継ぐ ― 控えた文章をもとに、残すところと直すところを分けて原稿を整えます
- 写真を整えて載せる ― 貴社で撮っていただいた写真や、控えていただいた元のデータを、新しいページに合わせて整えて載せます
- 古い制作会社への依頼文を一緒に考える ― 何を、いつまでに頼むかを、文面にするお手伝いをします
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も同じ月額の中です。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。私たちとの契約がどう終わるかも、作り直す前の控えと同じくらい大事なことなので、先にお伝えしています。
私たちがやらないこと
古い制作会社との交渉を、貴社に代わって行うことはしません。契約の当事者は貴社と相手の会社なので、連絡は貴社から出していただきます。文面を一緒に考えるところまでが、私たちのお手伝いです。また、契約書の解釈や個人情報の扱いについての法的な判断もいたしません。そこは専門家のお仕事です。
「作り直したいけれど、今のサイトに何が入っているのか把握できていない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。
9. まとめ:新しくする前に、今を手元に残す
ホームページを作り直す前に押さえることは、5つです。
- 作り直すと、消えるものがある ― 文章、写真の元データ、お知らせの過去分、問い合わせの記録、URL、設定
- 開けるうちに取れるものから控える ― 全ページの文章は文字のまま、画面の記録はパソコンとスマートフォンで
- 誰が持っているかを一覧にする ― 貴社、制作会社、担当者個人、契約先。請求書と届いているメールが手がかり
- 古い制作会社には、一覧と期限を添えて1回で頼む ― 費用がかかるなら教えてほしい、と添える
- 控えは会社の名義の場所に、2か所 ― 古い契約を終えるのは、控えがそろってから
作り直しは、新しいサイトを作る仕事であると同時に、今のサイトに積み上がってきたものを、会社の手元に残す仕事でもあります。
今日できることを1つ挙げます。今のサイトのページを1つずつ開いて、ページの名前とアドレスを紙に書き出してみてください。それが、控えの一覧の1列目になります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。今のサイトに何があるかを見るところから、ご一緒します。