1. 「来年で30周年なんですが、サイトで何かしたほうがいいですか」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「来年でちょうど創業30年なんです。記念に何かサイトに載せたほうがいいのかなと。でも『おかげさまで30周年』と出すだけなら、誰が読むのかなという気もしていて」

この迷いは、もっともです。周年の知らせは、出すだけなら1行で済みます。トップに「創業30周年」と帯を出して、お知らせに「おかげさまで」と書く。それで終わらせている会社も多いと思います。

ただ、周年はもう少し使える機会です。ふだんなら「わざわざ書くほどでもない」近況を、このタイミングならまとめて伝えられるからです。お客様にも、取引先にも、採用で会社を調べに来る人にも。

会社の歴史そのものの書き方は 会社の沿革と創業のいきさつを、ホームページでどう伝えるか にまとめました。沿革は、ずっとサイトに置いておくものです。この記事で扱うのは、期間を決めて出す「周年の知らせ」のほうです。

この記事で書くこと

  • 周年の知らせは、誰に向けて何を伝えるか
  • 周年ページ・お知らせ・トップの帯の選び方
  • 感謝の言葉だけで終わらせない、積み上がったものの書き方
  • 写真と沿革との関係
  • 周年の表示を、いつ外すか
  • 周年記念のキャンペーンを書くときの条件

2. 周年の知らせは、誰に向けて何を伝えるか

先に、周年の知らせを誰が読むのかを整理します。読む人によって、受け取りたいものが違います。

お客様には、「これからも頼める」という安心

お客様が周年の知らせから受け取るのは、この会社はこの先も続いていくという安心です。修理やアフターサービス、次の注文。長く付き合う前提の仕事ほど、相手が続いていることが大事になります。

ですから、お客様に向けては「これまで」だけでなく「これから何を続けるか」まで書くと、読む意味が出てきます。

取引先には、今の体制と近況

取引先は、貴社のサイトを定期的には見ていません。周年の知らせは、ふだん伝えきれていない近況を、まとめて知ってもらう機会になります。

代替わりした、新しい設備を入れた、扱う仕事の幅が変わった。こうしたことは、お知らせ1本ずつだと見逃されています。周年の知らせの中でまとめて触れると、取引先が今の貴社を知り直すきっかけになります。

採用では、どんな会社が続いてきたのか

求職者は、会社が何年続いているかを見ています。ただ、知りたいのは年数そのものより、その年数の中で、どんなふうに働く会社だったのかです。

長く勤めている社員がいる、仕事の進め方を変えてきた。周年の知らせは、採用のページとは違う角度で会社を伝えられます。

「おかげさまで」だけだと、誰にも何も渡らない

ここまでをまとめると、感謝の一文だけでは、どの読む人にも渡るものがありません。感謝を書くのは良いことです。そのうえで、読む人が受け取れる中身を添えます。中身の書き方は、第4章で書きます。

3. 周年ページ・お知らせ・トップの帯、どれにするか

周年をサイトで伝える形は、だいたい3つです。どれか1つでも、組み合わせても構いません。

お知らせ1本 ― いちばん小さな形

もっとも小さいのは、お知らせに1本書く形です。周年の日付に合わせて、近況と感謝を数段落で書きます。書くことがそれほど多くない会社や、周年を大きく打ち出したくない会社に向いています。

お知らせの書き方は 「お知らせ」の欄に、何を書けばいいか にまとめました。周年のお知らせも、1本の型は同じです。

トップの帯 ― 期間を決めて、気づいてもらう

トップページの上や、最初の画面の下に、細い帯で「創業30周年」と出す形です。サイトを開いた人に、周年であることに気づいてもらえます。帯からお知らせや周年ページへつなぎます。

帯は目立つぶん、外す日を決めずに出すと、ずっと残ります。これは第6章で詳しく書きます。

周年ページ ― 書くことが多いとき

周年の記念に、専用のページを1枚作る形です。書くことが多い、記念の企画がある、採用にも使いたい。こうした場合に向いています。

ページを作るなら、中身は沿革の写しにしないことです。沿革はすでに会社のページにあります。周年ページに書くのは、次の章の「積み上がったもの」です。

図:周年の伝え方を3つに分けると、向いている会社が変わる(例は架空)
① お知らせ1本
周年の日付に、近況と感謝を数段落で

手間がいちばん少ない形です。たとえば「創業から30年を迎えました。この10年で変えてきたこと」のように、題で中身が分かるようにします。お知らせの一覧に残るので、外す手間もありません。

書くことが多くない会社に
② トップの帯
期間を決めて、開いた人に気づいてもらう

帯だけでは中身が伝わらないので、①か③へつなぎます。目立つぶん、外し忘れると古さがいちばん目に入る場所でもあります。出す前に、外す日を決めておきます。

①か③と組み合わせて使う
③ 周年ページ
積み上がったものを、1枚にまとめる

記念の企画や採用にも使えます。ただし、沿革を写しただけのページになりやすい形です。沿革とは別に、続けてきたこと・変えてきたことを書く準備がいります。

書く中身を先に集めてから作る

多くの会社では、①のお知らせに、期間を決めた②の帯を組み合わせる形で足ります。③は、書く中身が集まってから決めても遅くありません。

4. 感謝の言葉だけで終わらせず、積み上がったものを書く

ここがこの記事の中心です。周年の知らせで、感謝の次に何を書くか。この年数で何が積み上がったかを書きます。

続けてきた仕事 ― ずっと変えていないこと

最初に書くのは、創業からずっと変えていないことです。扱っている仕事、仕事の進め方、守ってきた決まり。長く続いたものは、それだけで読む人の判断材料になります。

たとえば「創業から、見積もりは現地を見てから出しています」のように、具体的な行動で書きます。「誠実に」「真心をこめて」のような言葉は、何年続けても比べる材料になりません。

変えてきたこと ― 始めたこと、やめたこと

次に、変えてきたことを書きます。周年の知らせで抜けやすいのがここです。続いてきたことだけを書くと、昔のままの会社に見えてしまいます。

新しく始めたこと、扱いをやめたこと、やり方を改めたこと。やめたことを書くのは勇気がいりますが、なぜやめたのかを1文添えると、今の仕事に力を入れている理由として読まれます。

数えられるものは、正確に数えられる範囲で

年数のほかに、件数や人数を書きたくなることがあります。書くなら、記録で確かめられる範囲だけにします。「この10年で」「記録が残っている○年以降で」のように区切れば、無理に大きな数字を作らずに済みます。

数えられないものは、数字にしなくて構いません。周年の知らせで数字を盛ると、沿革や会社概要の数字と食い違ったときに、かえって信用を落とします。

これから何を続けるか

最後に、これから何を続けるかを短く書きます。大きな目標でなくて構いません。「これからも、地域のお客様の修理を続けます」。お客様が受け取りたい安心は、この一文にあります。

組み立てると、たとえば次のような流れになります。中身は架空の例です。

「おかげさまで、創業から30年を迎えました。創業のときから、見積もりは現地を見てから出すことを続けています。10年前に住宅の仕事を始め、今では仕事の柱の1つになりました。一方で、大きな工場の工事は、目が届く範囲で続けるためにお受けするのをやめました。これからも、近くのお客様の修理と点検を続けていきます」

感謝の一文のあとに、続けてきたこと、変えてきたこと、これから。読む人が「今のこの会社」を受け取れる形になっています。

取引先や支えてくれた人の名前は、許可を取ってから

周年の知らせでは、お世話になった取引先や協力会社の名前を出したくなることもあります。名前を出すなら、先に了解を取ってください。了解が取れないときは、「長くお付き合いいただいている協力会社の皆さま」のように、名前を出さずに感謝を書きます。

5. 写真と沿革との関係

周年の知らせには、写真と沿革がついて回ります。どう分担するかを決めておきます。

沿革は常設、周年の知らせは期間つき

沿革は、会社のページにずっと置いておくものです。周年の知らせは、期間を決めて出すものです。周年の知らせに沿革を丸ごと写すと、同じ年表が2か所にできます。片方を直すと、もう片方が古いまま残ります。

周年の知らせには、沿革から2つか3つの節目だけを選んで書き、全体は沿革のページへつなぎます。周年をきっかけに、沿革のページ自体を見直すのもよい機会です。

古い写真と、今の写真を並べる

周年で写真を載せるなら、古い写真と今の写真を並べるのがいちばん伝わります。創業のころの店先と今の店先。最初の作業場と今の作業場。並べると、言葉で説明しなくても積み上がったものが見えます。

古い写真には、いつ・どこ・何が写っているかを添えます。写っている人がいる場合は、載せてよいか了解を取ってください。今の写真は、貴社で撮っていただいたもので構いません。

代表挨拶に、周年の数字を書き込まない

周年の言葉を、代表挨拶のページに書き足したくなることがあります。気持ちは分かりますが、代表挨拶は常設のページです。「創業30周年を迎え」と書くと、翌年には古くなります。

周年の言葉は、お知らせか周年ページに代表の名前で書きます。代表挨拶に書くなら、たとえば「1996年に創業し」のように年数ではなく創業の年で書きます。代表挨拶の書き方は 代表挨拶のページに、何を書くか にまとめました。

6. 周年の表示を、いつ外すか

周年の知らせで、いちばん起きやすいずれがこれです。周年の年が終わっても、「○周年」が残っている。

年が明けても「30周年」が残る問題

去年の周年の帯が、翌年の夏になってもトップに出ている。読む人は、更新されていないサイトだと受け取ります。もっと困るのは、年数が合わなくなることです。会社概要には「創業31年」、トップの帯には「30周年」。どちらが正しいのかと迷わせます。

外す日は、出す前に決める

外す日は、帯を出す前に決めておきます。周年の記念日から1年間、あるいはその年度の終わりまで。どちらでも構いませんが、決めないまま出すと、外す理由がなくて残り続けます。

決めた日は、社内の予定表に「周年の帯を外す」と1行入れておきます。月額制で更新を頼んでいるなら、頼み先にもその日を伝えておきます。

「創業○年」は、毎年変わる数字

周年の知らせとは別に、会社概要やトップの説明文に「創業30年」と年数で書いている会社もあります。この数字は、毎年1つずつ古くなります。

常設の場所には、年数ではなく「○○年創業」と創業の年で書くと、毎年直さずに済みます。年数で書きたい場合は、毎年同じ日に直すと決めて、直す場所を一覧にしておきます。

表:周年の表示が残りやすい場所と、周年が終わったあとの扱い(例は架空)
場所周年の間周年が終わったあと
トップの帯たとえば「創業30周年」の帯から、お知らせへつなぐ外す。外す日は、出す前に決めておく
ロゴの横の記念マーク周年のマークをロゴに添えるいつものロゴに戻す。画像に焼き込んだものほど残りやすい
検索結果に出る説明文「創業30周年の〇〇工務店」と入れている場合があるいつもの説明文に戻す。直しても、検索結果に反映されるまで時間がかかる
SNSやLINEでURLを送ったときの画像周年の記念画像にしている場合があるいつもの画像に戻す
周年ページ・お知らせメニューや帯からつなぐ消さずに残し、メニューから外す。記録として読まれる
メールの署名・名刺・封筒周年の一文やマークを入れるサイトと同じ日に戻す。刷った物は、刷り直しの時期に合わせる

サイトの中は、周年の文字で検索すれば見つかります。画像に焼き込んだ文字と、サイトの外のものは、検索では出てきません。出したときに、この表のような一覧を作っておくと外し忘れが減ります。

周年ページは、消さずに記録として残す

周年が終わったあと、周年ページやお知らせを消す必要はありません。メニューや帯から外し、ページそのものは残します。あとから会社を調べる人にとっては、その年の会社の姿が分かる記録になります。

ページを残すときは、題に年を入れておくと、いつの話か分かります。古いページの扱い方は 古くなったページを、消すか・残すか・直すか にまとめました。URLを送ったときに出る画像の直し方は LINEやSNSでURLを送ったときの「見え方」を整える に書いてあります。

7. 周年記念のキャンペーンを書くなら、条件を明記する

周年に合わせて、記念の割引や特典を出す会社もあります。書くなら、条件をはっきり書くことが何より大事です。

決めて、書いておく項目

周年記念のキャンペーンでも、書く項目はふつうのキャンペーンと同じです。

  • 何が、どれだけ変わるか ― 割引の額や率、つく特典の中身
  • いつから、いつまでか ― 「周年の間」ではなく、日付で
  • 誰が対象か ― 新しいお客様か、これまでのお客様か、両方か
  • どうすれば受けられるか ― 申し込みのときに伝える、フォームで選ぶ、など
  • ほかの割引と重ねられるか ― 重ねられないなら、そう書く
  • 終わったあと、どうなるか ― 終了の表示に切り替えることを、先に決めておく

とくに抜けやすいのが期間です。「周年記念」と書くと、周年の間ずっと続くように読まれます。終わりの日を日付で書いてください。

「感謝価格」と、通常価格の並べ方

周年記念で「感謝価格」として通常価格と並べる場合は、並べ方に表示のルールがかかることがあります。実際に売っていた期間のない価格を通常価格として並べるのは、避けたほうが無難です。業種によって違うので、気になる場合は所管の窓口や専門家に確認してください。

キャンペーンの載せ方と終わらせ方は キャンペーンや期間限定の割引を、ホームページにどう載せるか にまとめました。周年記念のキャンペーンも、同じ手順で始めて、同じ手順で終わらせます。

口コミとの引き換えにしない

周年の記念に、「口コミを書いてくださった方に記念品」のような形を考えることがあるかもしれません。口コミを特典と引き換えにするのはやめてください。口コミの信用を損ねるうえ、掲載先の決まりに触れることがあります。記念品を出すなら、口コミとは関係のない形にします。

8. 雄喜晃の伴走:周年の知らせを、外す日まで一緒に決めます

私たち雄喜晃は、周年の知らせを作るとき、最初にこの年数で続けてきたことと、変えてきたことを伺うところから始めます。感謝の一文は、そのあとに書きます。

私たちがやること

  • お話から、積み上がったものを拾う ― 続けてきたこと、始めたこと、やめたことを伺い、周年の知らせの文章にします
  • お知らせ・帯・周年ページの形を、一緒に選ぶ ― 書く中身の量に合わせて決めます
  • 写真を整えて載せる ― 貴社で撮っていただいた今の写真や、お手元の古い写真を、並べて見られる形に整えます
  • 外す日を決めて、外すところまでやる ― 帯や記念のマークを外し、周年ページをメニューから外して残します。沿革や会社概要の年数も、あわせて確かめます

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、周年の帯を出す、外す、といった作業もこの回数の中でお受けします。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 年数や件数を、記録より大きく書くことはしません。書くのは、貴社の記録で確かめられる範囲だけです
  • 記念の企画や割引の中身は決めません。それは経営の判断です。決まったことを、条件まで含めて読む人に伝わる形にするところを担当します
  • 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 周年の知らせで、検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。

「周年をサイトでどう伝えるか、まだ決めていない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:感謝の次に、積み上がったものを。そして外す日を

創業○周年をホームページで伝えるときに、押さえることは5つです。

  • 周年は、近況を伝える機会と考える ― お客様には安心を、取引先には今の体制を、採用にはどんな会社かを
  • 形は、お知らせ・帯・周年ページから選ぶ ― 多くの場合は、お知らせに期間を決めた帯を組み合わせれば足りる
  • 感謝の次に、積み上がったものを書く ― 続けてきたこと、変えてきたこと、これから続けること
  • 沿革は写さず、節目を選んでつなぐ ― 古い写真と今の写真を並べ、常設のページには年数ではなく創業の年を
  • 外す日を、出す前に決める ― 年が明けても残る「○周年」が、いちばんよく起きるずれ。記念のキャンペーンは条件を日付まで書く

周年の知らせは、出すことより何を書くかと、いつ外すかで差がつきます。感謝の一文だけで終わらせず、読む人が今の貴社を受け取れる中身を添えてください。

まず、今日できること

創業から今までで、ずっと続けてきたことを1つ、やめたことを1つ、紙に書き出してみてください。その2行が、周年の知らせのいちばん大事な中身になります。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社がこの年数で積み上げてきたものを、伝わる言葉にするところからご一緒します。